海未「仮面の下には」

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海未-アイキャッチ52
1: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 15:34:20.01 ID:zgUe/Lyd.net
海未「はい、そこまで! それでは、今日の練習はここまでにしましょう」

穂乃果「はあーっ! 今日も疲れたあー!!」

にこ「ひい…ふう…な、なんでもないわよこのくらい…!」

真姫「にこちゃん、足プルプルしてるわよ」

希「えいっ!」ヒザカックン

にこ「びゃあぁぁ~! やめなさい希! 立てなくなっちゃうじゃないの!!」

凛「にこちゃん、全然なんでもないことないにゃ~!」

ナンデスッテー!ワーニコチャンオコッタニャー!ワイワイガヤガヤ

絵里「海未、お疲れ様」

海未「絵里、お疲れ様です。全体的に完成度も上がってきているので、次回のライブはなんとかなりそうですね」

絵里「そうね。次回は歌も合わせて練習して、きっちり仕上げていきましょう!」

海未「分かりました」

ウミチャーン!イッショニカエロー!

海未「はーい! …それでは絵里、また明日」

絵里「ええ、また明日」

元スレ: 海未「仮面の下には」

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2: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 15:40:19.87 ID:zgUe/Lyd.net


穂乃果「いやー、今日の練習も疲れたよー!」

ことり「でも、そのおかげでダンスもすごくよくなってきてる気がするよ!」

海未「そうですね、前から見てても全体的にメリハリがあって、お客さんにも満足してもらえるのではないでしょうか」

穂乃果「大変だけど、明日の練習も楽しみだよ!」

ことり「明日といえば……穂乃果ちゃん、全校集会の発表原稿って考えた?」

穂乃果「あ゛っ……途中までしかできてないし……学校に、おいてきた……」

海未「全く、穂乃果は……」

穂乃果「うわーんごめーん! もう学校で仕上げてきちゃうからさ、二人は先に帰っててよ!」

ことり「穂乃果ちゃん……手伝おうか?」

海未「ダメですよことり。自業自得なんですから、自分で頑張ってください!」

穂乃果「海未ちゃんの鬼ーっ! …って言いたいけど、今回はもうちょっとで出来上がるところまできてるから、多分大丈夫だと思う! ことりちゃん、ありがとう!」

ことり「そっか! それじゃあ、頑張ってね!」

穂乃果「うん! じゃあ、ごめんね2人とも、また明日!」

ことり「じゃあね!」

海未「また明日」

ことり「…じゃあ帰ろっか。海未ちゃん」

海未「そうですね」
3: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 15:47:02.81 ID:zgUe/Lyd.net


海未「穂乃果、大丈夫でしょうか…」

ことり「大丈夫だと思うよ?穂乃果ちゃん、一応こつこつやってたみたいだし」ドンッ

不良A「ってぇなぁ…」

ことり「あ、すみません…」

不良B「すみませんだ?それで済んだら警察はいらねぇだろうがよぉ」

不良C「お?よく見たらこいつら2人揃って可愛い顔してんじゃねぇか」

不良A「お嬢ちゃんたち、この後俺らと遊ばない?」

海未「いえ、時間がないので。失礼します」

不良B「おい、ぶつかっといてその態度は無いんじゃねぇか?」ガシッ

海未「ですから、彼女も謝っているではないですか」

不良B「……なんだとぉ!」グワッ

ことり「海未ちゃん危ない!」
5: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 15:50:41.00 ID:zgUe/Lyd.net
海未「」パシッ

不良B「……!?」

海未「私は武道をたしなんでいるものでして。あなたたち3人相手でも簡単に倒せると思いますよ。怪我をしたくなければここを通していただけませんか?」

不良A「舐めやがって! このぉ!!」グワッ

海未「」メキメキッ!

不良B「……っぐわあああぁぁぁぁぁ!!」

不良C「!?」

不良A「……おい……完全に折れてるぞこれ……」

海未「怪我をしたくなければ、と言ったはずです」

ことり「海未ちゃん……そこまでしなくても……」

海未「ことり、危ないので下がっていてください。私は大丈夫です」

ことり「でも…」

不良C「……ってめぇ!」グワッ

不良A「バカ、よせ!」

海未「」ブシュッ

不良C「うわぁぁぁぁぁぁぁ!目が……目が……!!」

不良A「な……なんなんだよお前は……」

海未「ことり、行きますよ」ガシッ ダッ

ことり「海未ちゃん!? きゃっ」

不良A「……行っちまった……」
8: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 15:55:09.76 ID:zgUe/Lyd.net


海未「……ふぅ、ここまでくれば大丈夫でしょう」

ことり「……海未ちゃん、助けてくれてありがとう。……だけどあれは、ちょっとやりすぎだよ……」

海未「……?でも彼らは、私たちに危害を加えようとしていたんですよ?」

ことり「それはそうだけど……」

海未「……時間も結構遅くなってしまいましたね。家までおくります、ことり」



海未「それでは、また明日。ことり」

ことり「うん、ありがとう。じゃあね、海未ちゃん」
11: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 16:00:45.01 ID:zgUe/Lyd.net
ことり(海未ちゃんは、私の憧れです)

ことり(しっかり者でダンスも歌も上手、その上弓道や生徒会までこなしていて、)

ことり(穂乃果ちゃんとはまた違った魅力のある、私の自慢の幼馴染です)

ことり(でも、私は時々海未ちゃんが怖いと思うことがあるんです)

ことり(小学生の頃、学校で飼っていたうさぎが死んでしまったときに、ずっとにこにこしていた海未ちゃんを見て、初めて海未ちゃんを怖いと思ったと思います)

ことり(中学、高校と上がるごとに海未ちゃんを怖いと思うことは少なくなってきたけれど)

ことり(今日、久しぶりに心の底から海ちゃんを怖いと感じました)

ことり(腕を折られた人は、一体どれほどの苦痛だったの?)

ことり(目を潰された人は、今後今まで通りものを見ることができるの?)

ことり(海未ちゃん…)
12: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 16:05:20.33 ID:zgUe/Lyd.net
海未(私はスクールアイドルで、弓道部員で、生徒会の一員である園田海未)

海未(生真面目でしっかり者の奥ゆかしい大和撫子)

海未(それが私のつけている仮面です)

海未(その仮面の下には……醜悪な怪物が住んでいるのです)

海未(県外の幼稚園に通っていた私は、いつも孤独感に苛まれていたと思います)

海未(なんであなたは笑っているの?)

海未(なんであなたは泣いているの?)

海未(クラスメートの気持ちが、心が、全く分からなかったのです)

海未(私から見ると誰も彼も何を考えているか分からない変な人達だったので、友達はできませんでした)

海未(ある日、ハサミを使って工作をしているときにふと思ったのです)

海未(紙はハサミで切れるけれど、人間の指はハサミで切れるのか?)

海未(私はクラスメートの指にハサミを使って確かめました)

海未(その子は血まみれで大泣きし、先生たちが騒々しく動き回り)

海未(私は大声で怒鳴られていたと思います)

海未(後で聞いた話では、私がハサミを使った子の指は元通りに治療できたそうです)

海未(その日を境に私は幼稚園が変わることになり、その地を離れ音ノ木坂で生活をすることになりました)
13: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 16:10:04.31 ID:zgUe/Lyd.net
海未(音ノ木坂に来て間もなく、私は何故前の幼稚園でクラスメートの気持ちが分からなかったか、その理由がなんとなく理解できました)

海未(周りが変なのではなく、私が人間として異常なのだと)

海未(感情の動きと行動とのリンクや、心の動きそのものがちぐはぐなのだと)

海未(そういった人間のことを、世間ではサイコパス、と呼ぶらしいですね)

海未(それに気づいたとき、私の中は重苦しい孤独感に満たされ、どこまでも沈んでいく落下感のような感覚に支配された気がします)


海未(私が穂乃果とことりに初めて会ったのは、それから間もなくしてのことでした)

海未(穂乃果の笑顔を見ながら鬼ごっこをしていると、私の中の重苦しい感覚は、気づけば消え失せていました)

海未(その鬼ごっこをきっかけに、穂乃果とことりは、私の初めての友達になったのです)

海未(それでもまだ2人の心は分かりませんでしたが、2人と行動するうちに、1つの発見がありました)

海未(人の心は再現できるのです)

海未(今まで見てきた、ある状況とその状況に対する人の反応とを照らし合わせて考えると、普通の人間の感情というものがうっすらと浮かび上がってくるのです)

海未(私は、まるで数学の公式を扱うかのように、何かしらの状況に対する人の反応を割り出すことができるようになってきていました)

海未(小学生の頃、学校で飼っていたうさぎが死んだときは、どんな反応が正しいか分からず笑顔を作って失敗したこともありましたけどね)

海未(習っていない公式――例えば今日の出来事のような――を要求されることもありましたが)

海未(そのようにして蓄積してきた感情で再現したのが、今の私という仮面)

海未(仮面は、どことなく母に似ています)

海未(おそらく、毎日顔を合わせるからでしょうね)
14: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 16:16:18.41 ID:zgUe/Lyd.net
海未(……ことりに変な目で見られたでしょうか……)

海未(私は、穂乃果やμ'sのメンバーに仮面の下の顔を晒すわけにはいきません)

海未(……明日、なんとかしなくてはなりませんね)



絵里「……はい!じゃあ今日の練習はここまでにしましょう!」

凛「にゃぁぁ~今日も疲れたよかよちーん!」ダキッ

花陽「り、凛ちゃん!今花陽汗かいてるから抱き着かないで!」

凛「えー別に臭くないしいいでしょ~!」

花陽「ダ、ダレカタスケテー!」

にこまき「こら、そこイチャイチャしない!」

希(にこっちとまきちゃんも大概やけどな)

ヤイノヤイノワーワーギャーギャー
15: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 16:22:12.42 ID:zgUe/Lyd.net
海未「ことり、この後生徒会のことで打ち合わせをしたいんですが、いいですか?」

ことり「あ、海未ちゃん……うん、いいよ」

海未(やっぱり……ちょっとぎこちない感じがしますね)

穂乃果「生徒会の話?私も居た方がいい?」

海未「いえ、私が担当していた会計の書類でよくわからない部分があって……前担当していたことりに聞こうと思ってたんです」

穂乃果「あ、そうなんだ」

海未「そういえば、今日の生徒会長の挨拶、よかったと思いますよ。生徒会が始まったばかりのときは心配でしたが……」

穂乃果「むぅー!海未ちゃんのいじわる! ……でも、ありがとね!今日は一緒に帰れなさそう?」

海未「ちょっと時間がかかってしまうかもしれないので、今日は先に帰っていてください」

穂乃果「りょーかい! ……あーっ、そういえば今日店番あるんだった! 早く帰んなきゃ!!」ピュー

海未「転ばないでくださいね! ……それじゃことり」




海未「生徒会室に行きましょうか」
16: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 16:25:24.38 ID:zgUe/Lyd.net


ことり「それで、この部の予算がこうなってるから……」

海未「ふむふむ、なるほど……」

ことり「ここがこうなって……大体こんな感じだよ」

海未「なるほど、よくわかりました。ことり、わざわざありがとうございました。お時間とらせてしまって申し訳ありません」

ことり「ううん、大丈夫だよ……それより海未ちゃ

海未「ことり、昨日のことなんですが」

ことり「う、うん」









海未「本当にすみませんでした!」
18: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 16:30:23.01 ID:zgUe/Lyd.net
ことり「……え?」

海未「最近武道の練習に力を入れていて……ことりを守らなきゃいけないという思いもあって、自分でもわけがわからないうちにあんなことになってしまっていて……」

ことり「あ、うん……」

海未「ごめんなさい!」

ことり「海未ちゃん! 落ち着いて!」

海未「はい……」

ことり「……最初に手を出してきたのはあっちだけど、やっぱり大けがをさせるのはよくないよ」

ことり「守ってくれたのは嬉しかったけど、海未ちゃんは人に怪我をさせるために武道をしているわけじゃないはずだし……昨日の海未ちゃんは少し、怖かったかも」

海未「……申し訳ありません」

ことり「昨日の事は私たちしか知らない。だから、もう忘れよう? 私はいつもの海未ちゃんが好きだから」
26: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 19:45:15.93 ID:zgUe/Lyd.net


海未「それではことり、今日は、色々とありがとうございました」

ことり「うん。それじゃあまた明日ね!」


海未(……なんとかことりの疑惑は晴らせたでしょうか)

海未(ことりは誰にも言っていないと言っていましたが、そもそもことりが誰かに昨日のことを言っているかもしれないということを考えていませんでしたね)

海未(私の外れた行動は、できるだけ抑えていかなければなりません)

海未(改めて、気を引き締めていかないといけませんね)



海未「穂乃果はまた遅刻ですか?」

ことり「うーん……そうみたいだね」

海未「全く……寝坊なら寝坊だと早く連絡をよこしてくれればいいのですが」

ことり「あはは……穂乃果ちゃん、もしかしてまだ寝てるのかな? 連絡、きてないかな……あれ?」

海未「どうしました?」

ことり「私、携帯家においてきちゃったみたい……」

海未「ことりが忘れ物とは珍しいですね。私の携帯には……あっ、たった今、先に行っててというメールが来てました」

ことり「そっか! じゃあ学校向かおうか」

海未「そうですね」
28: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 19:51:30.38 ID:zgUe/Lyd.net
すみません、書き忘れていましたがここから人によっては不快な表現が出てくるので閲覧注意です



穂乃果「てへへ……海未ちゃん、ことりちゃん、今日はごめんね」

海未「全くです!まさか1時間目が終わってから学校に来るなんて……」ブツブツ

ことり「まぁまぁ海未ちゃん」

海未「それだけ寝たなら体力もバッチリでしょうから、今日の練習では絵里にしっかりしごいてもらってくださいね」

穂乃果「えぇーっ勘弁してよー! ……って、海未ちゃんは?」

海未「昨日メールしたでしょう! 私は今日弓道部の方に顔を出すので、練習は絵里に任せてあるんです」

穂乃果「あれぇー……そうだったっけ」タハハ

海未「全く穂乃果は……それじゃあ、練習頑張ってくださいね」

ことほの「海未ちゃんもね!」
29: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 19:55:25.11 ID:zgUe/Lyd.net


絵里「……それじゃあ今日の練習はここまでにしましょう。お疲れ様、みんな!」

真姫「ふー、今日の練習は一段と疲れたわね」

にこ「真姫ちゃん最近たるんでるんじゃないの!?」

凛「そうにゃそうにゃ!!」

希「にこっちと凛ちゃん、汗かきすぎてお風呂入った後みたいになった髪で言っても説得力あらへんよ……」

花陽(希ちゃんはいっつも息一つ切らしてないけど、その無尽蔵の体力はどこから……?)


穂乃果「ことりちゃーん、一緒に帰ろう!」

ことり「ごめんね穂乃果ちゃん、今日はちょっと衣装を手直ししたいから……待たせるのも悪いし、今日は先に帰っててもらっていいかな?」

穂乃果「ぶぅー……なんか最近海未ちゃんもことりちゃんも一緒に帰ってくれないよー……」

ことり「ほんとにごめんね?穂乃果ちゃん」

穂乃果「冗談だよー! こっちこそいつも衣装作ってもらってありがとう。私に手伝えることがあったら言ってね?」

ことり「うん!」

穂乃果「それじゃあ衣装づくり、よろしくお願いします! ばいばーい!」

ことり「また明日!」


ことり「よし! 頑張ろう!」
30: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 20:01:13.95 ID:zgUe/Lyd.net


穂乃果「そうはいってもこう毎日1人で帰るのは寂しいなぁ……」

穂乃果「そうだ! 弓道場に寄ってみよう!」



海未「」ヒュンッ バスッ

海未(それほど悪くないですね……最近はあまりこっちに来れていませんでしたが、調子が落ちてなくてよかったです)

穂乃果「海未ちゃーん!」

海未「穂乃果。練習終わったんですか?」

穂乃果「うん!ことりちゃん衣装手直ししてから帰るみたいで……久しぶりに一緒に帰ろうよ!」

海未「そうですね。では着替えてくるので少し待っていてください」
31: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 20:05:50.73 ID:zgUe/Lyd.net


穂乃果「それでそのとき雪穂なんて言ったと思う!?『私は海未さんみたいなお姉ちゃんがよかったよ!』なんて言ったんだよ!」

海未「ふふ……私も、寝坊して1時間目をさぼるような姉は嫌かもしれないですね」

穂乃果「あー! 海未ちゃんまで!!」

海未「冗談ですよ。でも、明日は遅刻しないでくださいね」クワッ

穂乃果「ひぃ! ぜ、善処します! そ、それじゃあまた明日、じゃあねー!」ピュー

海未「あ、穂乃果! 転ばないで下さいよ! ……全く」



ことり「ふー、やっと終わったよー……」

ことり「誰もいないと思うけど、一応生徒会室と弓道場に顔を出していこうかな」


ことり「やっぱ誰もいないみたいだね……あれ?」

ことり「これ、昨日確認してた会計の資料みたい……海未ちゃん、忘れちゃったのかな? 連絡してみよう」

ことり「……そういえば今日携帯忘れたんだったね、私……」

ことり「もしかしたら海未ちゃん困ってるかもしれないし、帰りに海未ちゃんの家に届けて帰ろう」
32: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 20:10:45.98 ID:zgUe/Lyd.net


海未(今日の数学の課題は少し難しいですね……)カリカリ

ワンッ ワンッ

海未(…)カリカリ

ワンッ ワンッ

海未(…)カリカリ

ワンッ ワンッ

海未(野良犬でしょうか?うるさいですね)


海未(うちの庭に迷い込んでしまったようですね)ワンッワンッ

海未(首輪はついていますから野良犬ではないようですが……)ワンワンッ

海未(それにしてもよく吠えますね……しつけられていないのでしょうか?)ワンッワンッ

海未(なんとかしなくてはいけませんが、どうしましょうか)

海未(そうだ、あれを持ってきましょう)
34: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 20:15:18.46 ID:zgUe/Lyd.net
海未「おいしいですか?」

犬「ワンッ ワンッ」シャクシャク

海未「お前は玉ねぎが大好きなんですね」

犬「ワン ワン」シャクシャク

海未「どんどんお食べ」

犬「ワン……ワン……」シャク

海未(玉ねぎは犬に食べさせると溶血を引き起こし、貧血や毒尿症を発生させることができます)

海未(うるさいワンちゃんは少し静かになっててくださいね)
36: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 20:20:06.17 ID:zgUe/Lyd.net
ことり「海未ちゃんの家はいつ見ても立派だなぁ……あ、庭にいるの海未ちゃんだよね?何かしてるみたいだけど……」

ことり「海未ちゃん?」

海未「!?」ビクッ サッ

ことり「海未ちゃん、学校に書類置きっぱなしになってたから届けにきたよ! (あれ、海未ちゃん今何か……)」

海未「あ、あぁことりですか。びっくりしてしまいました。書類、ありがとうございます」

ことり「あ! ワンちゃんだ! 可愛い~! ……けど、少し元気ないみたい」

海未「えぇ、どうやらうちに迷い込んでしまったようで……首輪がついているので、そのうち飼い主のところへ帰ってくれると思うのですが」

ことり「そっか……大変かもしれないけど、飼い主さんが見つかるまではお世話してあげて?」

海未「そうですね、前うちで犬を飼っていたことがあるので、その点は大丈夫です」

ことり「それじゃあ、時間も遅いし、私もう帰るね」

海未「はい、気を付けてくださいね。また明日」
38: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 20:26:15.74 ID:zgUe/Lyd.net
海未(見られた?見られましたか!?)

海未(私としたことが迂闊でした……静かにさせるだけなら自分の部屋に連れ帰ってからでもよかったのに……)

海未(最悪なパターンは、私がこの犬に玉ねぎを与えているところを見られていて、かつことりが犬に玉ねぎが毒だということを知っている場合)

海未(人が飼っている小動物に毒になる野菜を与えるなんてどこからどう見ても明らかに異常)

海未(私の仮面がはがされるきっかけになりかねません)

海未(……これがμ'sのメンバーや教員、クラスメートや弓道部員にバレるようなことがあれば、もう修復は不可能)

海未(私の今の生活は完全に崩壊します)

海未(逆に言えば、そうなっていない今の状況なら、なんとかリカバリーをすることはできます)

海未(……ただ、できれば余計なことはしなくて済むに越したことはありません)

海未(……ひとまず明日からことりを徹底的にマークして、私を怪しがったりする様子がないかチェックするしかありません)
39: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 20:30:32.73 ID:zgUe/Lyd.net


ことり(海未ちゃんは……一体何をしていたの……?)

ことり(私に気付いた瞬間、明らかに何かを隠した……)

ことり(あのワンちゃんの前に落ちていたのは……何かの野菜の皮みたいだった……)

ことり(あそこに漂ってた匂いは多分……でも、そんなの考えたくないよ!)

ことり(前に犬を飼ってたっていってたから、毒になるのを知らないってことも考えにくい……)

ことり(あのワンちゃんの元気のなさそうな様子もどう考えたって……)

ことり()ゾワッ

ことり(海未ちゃん、私……、怖いよ)

ことり(怖いけど、海未ちゃんがもし何か苦しんでいたりするのなら、助けてあげたい)

ことり(私は、まだ海未ちゃんのことを全然分かっていないのかもしれない)

ことり「……明日、聞かなきゃ」
41: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 20:36:07.24 ID:zgUe/Lyd.net


穂乃果「おっはよー!」

ことり「おはよう、穂乃果ちゃん」

海未「おはようございます、穂乃果」

穂乃果「昨日は海未ちゃんに念を押されちゃったからね!ちゃんと早起きしたよ!」

ことり「流石だね! 穂乃果ちゃん」

海未「普通です! ……それじゃあ学校に行きましょうか」

海未(結局あの犬は、朝起きたときには死んでしまっていましたので、首輪を外して庭に埋めました)

海未(首輪はまだ自分の部屋に保管してあります)

海未(ともかく今日以降、ことりの様子を徹底的に伺っていかなければなりません)
43: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 20:39:48.16 ID:zgUe/Lyd.net
ことり(海未ちゃん、特に変わった様子はないようだけど……)

ことり(今の海未ちゃんは、本当の海未ちゃんなの?)

ことり(それとも、私が今見ているのも海未ちゃんは作り物なの?)

ことり(海未ちゃんを見てると……なんていうか、一歩間違えると全てが破綻してしまうような、そんな危うさを感じるよ)

ことり(とにかく、昨日のことはなんとしても今日はっきりさせてみせる)

ことり(……海未ちゃん……)
44: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 20:45:27.68 ID:zgUe/Lyd.net


絵里「今日は学年ごとに個別練習することにするわ! 柔軟やトレーニングと歌を中心に練習しましょう!」

にこ「待ちなさいよ、穂乃果がいないけど、どうしたの?」

海未「あ、穂乃果は小テストの結果が良くなかったみたいで、今日は補修で来れないそうです」

凛「えー!穂乃果ちゃんダメダメにゃー!」

真姫「凛も2回くらいそんなのがあったと思うけどね」

凛「気のせいだよー真姫ちゃん!」

花陽「凛ちゃん……」

にこ「全く……リーダーなんだからちゃんとしなさいよね」

希「にこっちも人のこと言えんけどな」ワキワキ

にこ「な、何よ希。その手は……い、いや、こっち来ないで! ギャアアァー!」

絵里「ほーら、そこふざけない! それじゃ、各自移動してー!」
46: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 20:50:37.65 ID:zgUe/Lyd.net
海未「2人だとできることが限られますね」ジュウナンジュウナン

ことり「そうだねー……」ジュウナンジュウナン

海未「……」

ことり「……」

ことり「ねぇ、海未ちゃん」

海未「なんですか?」

ことり「昨日のワンちゃんの飼い主さんって見つかった?」

海未「……いえ、見つかったわけではありませんが、朝起きたらいなくなっていました。恐らく元の飼い主のところへ戻ったんでしょう」

ことり「じゃあもう1つ聞くよ?……海未ちゃん、昨日犬に玉ねぎを食べさせてなかった?」

海未「……いえ、そんなことはしていませんよ? どうしてそんなこと聞くんです?」

ことり「最近、不良の人達に絡まれたことあったでしょ? あのとき私、不良の人達と同じくらい……いや、それより海未ちゃんが怖かった」

ことり「海未ちゃんと出会ってから今まで、何回かあったの」

ことり「心の底から、海未ちゃんが怖い、って思うことが」
47: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 20:55:24.85 ID:zgUe/Lyd.net
海未「……」

ことり「海未ちゃんのことはずっと昔から知ってるはずなのに、実は何も知らないんじゃないかって……! 自分でもよくわからないのに不安になっちゃって……!」

ことり「海未ちゃん……海未ちゃんが何か悩んでたり……その……隠したりしてるなら、教えてほしいの」

海未「……」

海未「ことり……」ナデナデ

ことり「海未ちゃん……?」

海未「私は大丈夫ですよ。ここ最近はスクールアイドルに弓道、生徒会に加えて勉強や家のことも忙しくて……心配をかけていたかもしれませんが、私はいつも通りです。」

海未「不安にさせてしまってすみません」

ことり「……そっか、分かったよ」

ことり「でも、何かあったら言ってね?」

海未「分かりました。……もうこんな時間ですね、屋上に戻らなければ。行きましょう」

ことり「そうだね、もどろっか」
48: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 20:56:25.59 ID:zgUe/Lyd.net
ことり(海未ちゃんはそういうけど……今の海未ちゃんが本当の海未ちゃんだって風にはどうしても見えないよ……)

ことり(海未ちゃんの形をしたまるっきり別人のような……)

ことり(私だけの力じゃ……どうにもできないのかな……)


海未(恐らく昨日の出来事は最悪の方向に動いてしまったようですね)

海未(ほぼ確実に犬に玉ねぎをあげているところを見られているうえに、玉ねぎが犬に毒であることも知っている)

海未(しかし……ことりが何を考えているか分かりません。)

海未(恐らく普通は、小動物に毒を与えているところを見たら恐怖を抱くのでしょうが……)

海未(ことりはそれ以外の……それこそ心配するかのような素振りそ見せていました)

海未(さっきは咄嗟に反応しましたが、あの反応が普通の反応であるかも自信がありません)

海未(それに加えて気になるのは、昔から私の異常性らしきもの気づいていたということです)

海未(はっきり言って、今のことりは私の仮面にとって非常に危うい存在であることは疑いようがありません)


海未「やむを得ませんね」
71: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 13:31:40.05 ID:vQxedkow.net
絵里「それじゃあ、今日の練習はここまでにするわ! ……あれ? 穂乃果じゃない」

穂乃果「えへへ……今日も皆さん、練習頑張っていらっしゃるようで……」

にこ「何他人ごとみたいに言ってるのよ!」

凛「そうにゃそうにゃ!!」

にこ「リーダーが補修で練習来れないなんてどういうことよ!」

凛「わかるにゃわかるにゃ!!!」

希「だーかーら、2人も人の事はあんまいえへんやん?」ワキワキ

にこりん「ひぃ!」アトズサリー

希「待てー!」ワキワキワキ

ワーワーギャーギャー

真姫「バカバカしいわね」

花陽(希ちゃん、なんていうかエネルギッシュだなぁ)
72: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 13:35:15.35 ID:vQxedkow.net
絵里「希の言う通り、あの2人は人の事を言ってる場合じゃないけど……でも、成績が悪くて練習できないなんて格好悪いわよ? 生徒会長さん」

穂乃果「うー……そうだよね、ごめんなさい」

絵里「海未とことりも、いざとなったら穂乃果を助けてあげてね?」

ことり「もちろん!」

海未「できればテスト前に余裕をもって頼ってほしいものですが……」

穂乃果「海未ちゃぁーん……」

エリチー!カエロー!

絵里「それじゃ、3人とも、また明日ね」

ほのことうみ「また明日!」

穂乃果「じゃあ私たちも帰ろっか?」

海未「そうですね」
73: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 13:40:03.50 ID:vQxedkow.net


穂乃果「こうして3人で帰るの、随分久しぶりな気がするよー」

海未「そうですね、なかなか時間が作れずすみません……」

ことり「私も……ごめんね? 穂乃果ちゃん」

穂乃果「今度クレープおごってくれたら許してあげるよ!」

海未「穂乃果……別にいいですけど、体型には気を使ってくださいね」

穂乃果「最近練習ハードだから大丈夫だよ! 多分」

海未「今日練習に来れなかったのは誰でしたっけ?」

穂乃果「うわーん海未ちゃんがいじめるよーことりちゃーん!」ダキッ

ことり「あはは……」ナデナデ

穂乃果「……でもこうして久しぶりに3人でしゃべってたら、昔のこととか思い出しちゃうなー」

ことり「最初に3人で遊んだのは、鬼ごっこだったっけ?」

穂乃果「うんうん、海未ちゃんったら凄い引っ込み思案だったよねー」

海未「ばっ……あのときのことはもう忘れてください!」

ことり「ふふ、それから大きな木に登っておりれなくなったりとかもあったよね」
74: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 13:45:18.91 ID:vQxedkow.net
穂乃果「そうだねぇー、それから……」


穂乃果「タイムカプセルを埋めたりもしたよね!」

ことり「あぁー! 懐かしい!」

海未「確かあのときは山の奥深くに入りすぎて、遭難しかけたんですよね」

穂乃果「穂乃果もあのときはやんちゃだったなぁー……若気の至り? ってやつ?」

ことり「穂乃果ちゃん……まだ女子高生だよ……」

穂乃果「えへへ……そうだった! また近いうちに3人で遊びたいねー」

ことり「うん!」

海未「そうですね」
75: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 13:50:18.27 ID:vQxedkow.net


穂乃果「それじゃ2人とも、また明日ね!」

ことり「ばいばい!」

海未「さようなら」


海未「タイムカプセルですか……そんなこともありましたっけね」



海未(私は翌日から10日かけて、μ'sメンバー全員と1対1で話す機会を設けました)

海未(1人1人の様子を注意深く観察しましたが、私を怪しがったり、恐怖していたりする様子は見受けられませんでした)

海未(ただ1人、ことりを除いて)

海未(状況としては、リカバリーの効くギリギリの状態)

海未(手を打つなら……今しかないでしょう)


海未(今晩は、少し夜更かしすることになりそうですね)
76: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 13:55:18.16 ID:vQxedkow.net


ことり(穂乃果ちゃんに相談するにしても……海未ちゃんがワンちゃんに玉ねぎを食べさせてた、なんて言いづらいよ……)

ことり(もう何日も誰にも話せないでいるけど、そろそろ何かしないと……)

ことり(海未ちゃんの海未ちゃんらしくない姿は、私はもう、見たくない)

ことり(μ'sの中で、事情を察した上で話を聞いてくれそうなのは……)


To:絵里ちゃん、希ちゃん

title:明日の練習の前に
本文:海未ちゃんのことで、少し話があるの。生徒会室に来てもらってもいい?


ことり(これで……これで大丈夫なはず)

ことり(海未ちゃん……)
77: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 13:59:55.64 ID:vQxedkow.net


穂乃果「おっはよー!」

ことり「おはよう、穂乃果ちゃん!」

海未「おはようございます。今日は早いのですね」

穂乃果「チッチッチ…海未ちゃん、今日はなんの日だと思ってるの?」

海未「……? はて、今日って何かありましたっけ?」

穂乃果「今日は……金曜日! 今日を乗り越えればお休みだよ! 今日くらい頑張らないと!」

ことり「なんだか、穂乃果ちゃんらしいね」

海未「そうですね……それじゃ、学校に行きましょうか」


海未(昨日は一晩かけて、リカバリーの方法を考え、完成させました)

海未(いくら最低限のリカバリー、とはいえ、やはり多少の無理は必要になってしまいそうですね)

海未(まず1つ目の難関は、今日の部活……)

海未(うまく、いくでしょうか)

海未(いえ、うまくいくかどうかではありません)

海未(もう、うまくやるしかないのです)
87: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 23:16:21.09 ID:vQxedkow.net


キーンコーンカーンコーン

穂乃果「授業終わったー!」

先生「おう高坂、楽しそうだな。この後補修3時間くらい詰めてやろうか?」

穂乃果「ひぃ! すみませーん!」

ワハハハハハ

穂乃果「うぅ……ちょっと恥ずかしかったよ」

海未「ちょっとじゃないでしょう!」

ことり「あはは……じゃあ、部活行こっか」

海未「あ、すみません。私先生に呼び出されているので、今日は先に行っていてもらえませんか?」

穂乃果「そうなんだ。 海未ちゃーん、何かやらかしたんじゃないのー?」

海未「穂乃果と一緒にしないでください! 弓道部の件ですよ」

穂乃果「海未ちゃん……そんな言い方しなくても……」シュン

ことり「まぁまぁ穂乃果ちゃん! 海未ちゃんは、練習は来れるの?」

海未「えぇ、少し遅れますが必ず行きます」

穂乃果「そっか! それじゃ、またあとでね海未ちゃん!」

海未「はい、それでは失礼します」
89: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 23:20:30.69 ID:vQxedkow.net
海未(……まずは、全員が着替え終わる頃を見計らって部室に行きます)


海未「」ガチャ バタン


海未(幸い、誰も居ませんね……)

海未(穂乃果の携帯を拝借して……)

海未(音が鳴ったら厄介ですから、電源を切って私のカバンに入れておきましょう)ガチャ


花陽「急がなきゃーっ……って海未ちゃん?」

海未「花陽ですか。私は今日先生に呼び出されてしまって、今来たのです。花陽は?」

花陽「私はアルパカのお世話当番で……じゃあ、早く着替えて屋上行こっか」

海未「そうですね」


海未(危なかったですが、第一の難関クリアです)

海未(後5秒行動が遅れていたら、完全にアウトでしたね)
90: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 23:25:09.71 ID:vQxedkow.net


うみぱな「」ガチャ バタン

穂乃果「あ、海未ちゃんに花陽ちゃん!」

海未「遅れました、すみません」

花陽「遅れてごめんなさーい! ……あれ?練習は?」

にこ「見ての通り、希と絵里とことりがいないのよ。3年生の2人は少し用事があるって言ってたけど……」

穂乃果「あ、ことりちゃんは生徒会室に忘れ物したみたいで、取りに行くっていってたよ!」

凛「早く練習したいにゃー!」

真姫「私も早くステップの確認がしたいわ」

にこ「真姫ちゃん、今日は珍しくやる気ね」

真姫「べ、別にそんなんじゃないわよ!」

凛「真姫ちゃん可愛いにゃ」

真姫「うるさいわね!///」



海未「……」
91: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 23:30:15.64 ID:vQxedkow.net
海未「すみません、私も部室に忘れ物をしてたのを思い出しました」

海未「すぐ戻ります」ガチャ バタン

にこ「あ、ちょっと海未!」

穂乃果「行っちゃった……」



希「ことりちゃんがウチらを呼び出すなんて珍しいやん」

絵里「それで? 海未についての話っていうのは?」

ことり「うん……それなんだけど……」

ことり(やっぱり、海未ちゃんがあんなことをしていたなんて信じたくないし、それを人に話すなんて……)

希「ことりちゃん?」

ことり(でも、私は幼馴染として、μ'sの仲間として、よく分からない不安を抱えたまま海未ちゃんと一緒には居たくない!)

ことり「あのね、実は海未ちゃんのことで……」




海未「私がどうかしましたか?」ガラッ
92: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 23:35:34.19 ID:vQxedkow.net
ことり「海未ちゃん!?」

海未「はて、今私の名前が聞こえた気がしたのですが……」


希「……そうなんよ。最近海未ちゃん頑張りすぎなんやないか、ってことりちゃんが心配しててなぁ」

希()チラッ

絵里()チラッ

絵里(またタイミングを改めて…ね?)

ことり(……分かったよ)

絵里「確かに、最近の私たちから見ても海未はちょっと頑張りすぎだと思うわ」

希「そうやな、自分の身体を適度に労わらな、却ってマイナスになってしまうよ? ……ほな、練習いこか」

海未「そうですね」

ことり「……」


海未「……」
94: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 23:40:15.89 ID:vQxedkow.net


海未「はい、それじゃあ今日の練習はこれで終わりです! 少し長引いてしまいましたね、すみません。完全下校時刻が迫っているので、全員急いで着替えてください!」

ハーイ!

海未(さっきのことりと希と絵里……私の話をしていたようですね)

海未(ことりが私のここ最近の異常な行動について相談しているところに私が来て、3年生の2人が慌ててフォローした、といったところでしょう)

海未(問題は、ことりが私についてどこまで話したのかということ)

海未(……場合によっては、更なるリカバリーが必要になりますね)

海未(しかし、幸い明日はμ'sの練習はありません)

海未(来週様子を見つつ、マークしていくことにしましょう)
96: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 23:45:03.60 ID:vQxedkow.net


穂乃果「ふー! なんとか完全下校間に合ったね!」

海未「そうですね」

海未(穂乃果は携帯が無くなっていることに気が付いていないようですね)

海未(着替えを急かしたおかげでしょうか。何にせよ、念のため練習を長めにやっておいてよかったです)

ことり「……」

ことり(結局、絵里ちゃんと希ちゃんに海未ちゃんのこと話せなかったなぁ)

穂乃果「……? ことりちゃんどうしたの? 考え事?」

ことり「なんでもないよ。今日週末だし、練習も長かったからちょっと疲れちゃって……」

海未「練習についてはすみません、明日練習が無い分、と思ってつい……」

ことり「あぁ、うん、大丈夫だよ! 私も体力つけないとなぁー」

穂乃果「でも、最近みんな体力ついてきてるよね! にこちゃんなんか、前は毎日全てを出し切ったみたいな感じになってたのに……」

海未「ふふ、そうですね。ですが、こういうときこそ自分の体を労わらないと、却ってマイナスになってしまうかもしれませんからね。休養もしっかりとりましょう」チラッ

ことり(海未ちゃん……)
97: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 23:50:16.86 ID:vQxedkow.net


穂乃果「それじゃ、また来週! ばいばい!」

ことり「じゃあね!」

海未「さようなら」


海未(さぁ、ここからが勝負です。まずは第二の難関をしっかり越えなくてはなりませんね)



From:穂乃果ちゃん

title:明日!
本文:練習お疲れ様ことりちゃん!そういえばこの前、帰り道にタイムカプセルの話したでしょ?
あれ、そろそろ掘り起こしてみたいと思うんだ!というわけで早速明日!行きたいんだけど、大丈夫?


ことり「明日か……明日は確か、何もないはずだよね」

ことり「最近考え事ばっかりで疲れてたし、明日はできるだけなにも考えないで遊ぶことにしようかな」
98: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/20(金) 23:55:21.91 ID:vQxedkow.net
To:穂乃果ちゃん

title:Re:明日!
本文:明日は特に何もないから大丈夫だよ!


ことり「これでよしっと……ん」ピローン


From:穂乃果ちゃん

title:Re:Re:明日!
本文:ありがとう!あ、海未ちゃんも今メールでOKもらったよ!じゃあ、明日駅前に10時待ち合わせで!


ことり「りょーかい……と、送信!」


ことり「タイムカプセルかぁー……私何埋めてたかな?」
99: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 00:00:32.99 ID:LM25Iltd.net


From:ことりちゃん

title:Re:Re:Re:明日!
本文:りょーかい(・8・)


海未「これで第二の難関は突破です」

海未「もしことりが明日来れない場合は、この計画はここで完全に頓挫です」

海未「運任せでしたが、なんとかなりましたね」


海未「さぁ、次は3つ目の難関ですね」

海未「大丈夫です。私は必ずやり遂げます」



海未「両親は…寝ているようですね」

海未「待ち合わせまでは……あと8時間ですか、ギリギリですね」

海未「スコップが邪魔ですが……自転車を飛ばせばなんとかなるでしょうか」
100: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 00:05:37.33 ID:LM25Iltd.net


海未「着きました」ゼェハァ

海未「あの看板は……穂乃果の字ですね。間違いないですね、ここです」

看板「タイムカプセル!ざいちゅう!」

海未「時間は…3時ですか」

海未「ここまできたらもう、無心です」ザクザク

ザクザク……

ザクザク……

ザクザク……




海未「このくらい掘っておけばいいでしょう」ハァハァ
101: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 00:10:06.82 ID:LM25Iltd.net
海未「何を埋めたか、もうすっかり忘れてしまっていますね」

海未「これは……」

海未「」ズキッ

海未「……」

海未「時間は……4時半ですか。急がないといけませんね」



海未「なんとか家につきました」ゼェゼェ

海未「時間は……5時半……」

海未「そろそろ両親が起きだしてくるはずです。早く部屋に戻りましょう」


海未(どうやら第三の難関も突破できたようですね)

海未(後は最後の仕上げだけです)

海未(私は確実に成し遂げます。何があっても)
102: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 00:15:20.54 ID:LM25Iltd.net


ことり「待ち合わせまでは……あとは30分か。ちょっと早かったかな?」



ことり「10時……穂乃果ちゃんはともかく、海未ちゃんが遅刻なんて珍しな」ピローン


From:穂乃果ちゃん

title:ごめん><
本文:今起きたー!私場所分かるから、先に2人で行っててほしい!

ことり「穂乃果ちゃーん……」


海未「ことり!すみません、少々遅れてしまいました」

ことり「あ、海未ちゃん。うん、私も今来たところだから大丈夫だよ。それより、穂乃果ちゃんまた寝坊しちゃったみたい……。メール見た?」

海未「メールですか?……あ、ほんとですね。それじゃあ、先に出発しちゃいましょうか」

ことり「うーん……そうだね。あ、海未ちゃん場所覚えてる? 私少し自信ないかも……」

海未「私も少し怪しいですが……おそらく大丈夫だと思います。行きましょう!」


海未「……」
103: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 00:15:59.14 ID:LM25Iltd.net


海未(山の麓までの電車は、麓の駅まで8駅あった駅が全て廃駅となってしまった路線でした)

海未(来月廃線になるそうで、今日も休日だというのに私とことり以外誰もいませんでした)

海未(私の心と穂乃果やことりの心との違いは、ちょうどこの電車と街中の電車の違いようなものなのかもしれません)

海未(空っぽの電車の中で、私はことりと色々な話をしました)

海未(小学生のときの話、中学生のときの話、高校に入ってからの話)

海未(生徒会の話、μ'sの話、弓道の話、服飾の話)

海未(その話をしている最中、ことりが何を考えているか、私にはほんの少しも理解できませんでした)

海未(不思議なことに、私自身が何を考えていたのかもよく思い出せません)

海未(むしろ何も考えていなかったのかもしれませんが……今となってはよくわからないです)

海未(ただ、張り詰めた緊張感や気まずさは無かったと思います)

海未(無人の車内を満たしていたあの柔らかな感じが、やさしさというものなのかもしれませんね)

海未(私の心にも、目には見えない思い出というものが、いつの間にか注がれていたのだろうか)

海未(いつまでも尽きない思い出話に、ふとそう感じたときに、電車が終点に到着しました)


海未「それじゃあ、いきましょうか。ことり」
114: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/22(日) 14:57:32.86 ID:J319NUlB.net


海未「確か……ここだったはずですが……」

ことり「これって……」

ことり(海未ちゃんと穂乃果ちゃんと私でタイムカプセルを埋めたはずの場所には、大きな穴が開いていました)

ことり(あぁ、タイムカプセルを回収することは叶わなかったか)

ことり(その光景を見た時に、私の心には最初に浮かんできたのは、そんな気持ちで、)

ことり(タイムカプセルを掘り出したにしては穴が深すぎることや)

ことり(そもそも誰が掘り起こしていったのかといったことに)

ことり(私は違和感を覚えることができませんでした)


海未「……」
116: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/22(日) 15:00:06.66 ID:J319NUlB.net
ことり「タイムカプセル、掘り起こされちゃってたね…どうする海tyグウッ!」

海未「」ギチギチ

ことり「ぅ……ち……ぐ……あぐっ……!」ジタバタ

海未「」ギチギチ

ことり「ゎ……う……ど……」クタッ


海未「……」


海未(私は、振り向いて私に話しかけようとしたことりの首を、犬の首輪を使って思い切り締め上げました)

海未(ことりからは想像もつかないほど強い力で抵抗されましたが)

海未(どちらかといえば力の強い私の不意打ちにはさすがになすすべがなかったようで)

海未(すぐに動かなくなってしましました)

海未(一度力が抜けると、ことりの体は重力に従って地面に倒れこんでしまいます)

海未(糸の切れた操り人形)

海未(その表現がぴったり当てはまる様子だったと思います)
118: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/22(日) 15:05:23.60 ID:J319NUlB.net
海未(私はその後、ことりの亡骸をあらかじめ掘っておいた穴に放り込み)

海未(服や下着も全て脱いで袋に詰め込み、念のためことりと穂乃果の携帯を破壊した後、凶器などもまとめてことりと一緒に埋めました)

海未(ことりに強く抵抗されることを予見し、それによってことりの髪や爪など予期せぬ証拠が残ることのないよう、あらかじめ着替えを用意しておいたのです)

海未(一通りの作業を終え穴を枯葉でカモフラージュしてから)

海未(スコップを少し離れた崖から放り投げ、私は下山しました)


海未(帰路につきながら、私は色々なことを考えていました)

海未(私の秘密を知っていたことりの死によって、私の仮面が壊れる危機がひとまずは去ったであろうこと)

海未(明日以降希と絵里の様子をよく見ていかなければならないこと)

海未(ことりがいなくなったことで、穂乃果がどうなってしまうかということ)


海未「しかし……連日の寝不足や運動は、流石に堪えますね……」

海未「明日の練習も、しっかり頑張らなくては」


海未(疲れのせいもあるのか、帰り道の空気はいくらかひんやりしている気がしました)
119: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/22(日) 15:10:22.77 ID:J319NUlB.net


穂乃果「おはよー……海未ちゃん……」

海未「おはようございます、穂乃果。……元気が無いようですが、何かありましたか?」

穂乃果「それが携帯無くしちゃったみたいでさー、お母さんに凄い怒られちゃったんだよねー……」

海未「そうだったんですか……。穂乃果はそそっかしいんですから、大事なものはしっかり管理してくださいね」

穂乃果「うーん……どこかに落としちゃったのかなぁー……。あ、そういえばことりちゃんは?」

海未「そういえばまだ来ていませんね。携帯の方にも、連絡はないようです」

穂乃果「ことりちゃんにしては珍しいね。まだ寝てるのかな?」

海未「穂乃果じゃあるまいし……でも、もうすぐ練習始まってしまいますし、連絡だけ入れて先に行った方がいいかもしれません」

穂乃果「そうだね、それじゃことりちゃんに連絡よろしく!」

海未「了解しました」
129: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/22(日) 16:53:30.21 ID:J319NUlB.net
>>119>>120の以下の部分が抜けてました


……

穂乃果(結局その日の練習には、最後までことりちゃんがくることはありませんでした)

穂乃果(ことりちゃん、連絡もなく練習お休みするなんて……もしかして何かあったのかな……?)

穂乃果(明日は学校に来てね、ことりちゃん……)



穂乃果「おはよう! 海未ちゃん!」

海未「おはようございます、穂乃果」

穂乃果「あれ……今日もことりちゃん、来てないんだ」

海未「そうなんです。昨日も私から電話してみたんですが……出てくれませんでした。何か…あったのでしょうか」

穂乃果「……丸1日連絡さえとれないなんて、普通じゃないよ。学校に行ったら理事長に話を聞いてみよう」

海未「……そうですね」
120: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/22(日) 15:15:59.76 ID:J319NUlB.net


ザワザワ……ザワザワ

穂乃果(学校へついてホームルームが始まると、1時間目は授業の代わりに臨時の全校集会が開かれることとなりました)

穂乃果(体育館に向かう途中、私は心臓をぎゅっと掴まれるような感覚を感じていました)

穂乃果(私の知らないところで、取り返しのつかない何かが起きてしまったんじゃないのか)

穂乃果(いいようのない不安を感じながら、私はただただ全校集会が始まるのを待っていました)


海未「……」


理事長「みなさん、おはようございます。今日はみなさんに、非常に残念なお知らせをしなくてはなりません」


理事長「先週の土曜日から、わが校の生徒が1名、行方不明になっています」
121: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/22(日) 15:16:40.73 ID:J319NUlB.net
穂乃果(理事長の話の内容は、ことりちゃんの行方がわからなくなっていることと、警察に捜索願を出したというも)

穂乃果(話を聞きながら、私は全てが遠くなっていくような、不気味な感覚を感じていたと思います)

穂乃果(心のどこかでは、こうなる可能性を感じていたはずなのですが)

穂乃果(いざ面と向かってその事実に向き合うと、どうしようもない喪失感が私に襲い掛かってきました)

穂乃果(話の最中に何度も声を震わせながら、それでも最後まで毅然とした態度で話し切った理事長がステージから降壇する頃には)

穂乃果(私の胸をきゅっと掴んでいた感覚は、ジクジクとした痛みのようなものに変わっていました)

穂乃果(ことりちゃん、私まだことりちゃんと何もできてないよ)

穂乃果(ことりちゃん……)
145: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 15:59:18.66 ID:tHQ+AMDd.net


To:希 絵里

title:今日の放課後
本文:少し残ってくれませんか?話したいことがあります
147: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 16:05:59.91 ID:tHQ+AMDd.net


にこ「ことりが行方不明って、どういうことよ……」

真姫「……」

花陽「……」

凛「……」


希「……」

絵里「……」



穂乃果「……」




海未「……」
148: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 16:10:13.09 ID:tHQ+AMDd.net
にこ「こんなことがあった後じゃ、とてもじゃないけど練習なんてできないわ。今日は解散にしましょう」スタスタ

真姫「……っ! ちょっと待ちなさいよ! そんな言い方ないんじゃないの?」ガシッ

バッ

にこ「うるさいわね……!」

真姫(にこちゃん……泣いてる……)

にこ「じゃあ何よ!? ずっとこんな風に落ち込んでいればことりは見つかるの? また笑顔で、私たちの前に現れてくれるの!?」

にこ「私だって……どうしていいか分からなくて悔しいわよ! でも、ずっとこうしてるのが正しいとは、私には思えない」

真姫「……」

にこ「……ごめん。とにかく、今日は解散にしましょう」ガチャッ バタン
149: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 16:16:36.89 ID:tHQ+AMDd.net


絵里「……それで海未、話って何?」

海未「ことりがいなくなった件についてですが……もしかして2人は何か知ってるのではないかと思いまして」

希「……どういう意味?」

海未「先週、生徒会室で3人で話をしていましたよね? ……心当たりはありませんか?」

希「だから、ことりちゃんから最近海未ちゃんが頑張りすぎてるんじゃないかっていう相談をされてたんよ。あの時は」

海未「……」

希「ごめんな海未ちゃん、さすがにごまかす場面じゃなかったやんな? 実はあのとき、ウチら前日にことりちゃんからメールで呼び出されてたんよ」

海未「メールで?」

絵里「そうなの。海未のことについての相談だったのは本当だったんだけど、結局相談の内容を聞かないうちに海未が来てしまったから……」

希「ウチらも、結局どんな相談なんかは聞かずじまいっていうことなんよ」
150: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 16:20:48.15 ID:tHQ+AMDd.net
海未「……そうですか。分かりました。いきなり呼びつけて、申し訳ありませんでした。それでは失礼します」


希「海未ちゃん」


海未「なんですか?」


希「今回の件、ウチらももちろんショックやけど……海未ちゃんと、穂乃果ちゃんも。ウチらじゃ想像もできないくらい落ち込んでると思う」

希「なんていっていいかわからんけど……くれぐれも落ち込みすぎんようにね。それから……」

希「こんなこと海未ちゃんに頼むのも酷かもしれんけど、穂乃果ちゃんのこと支えたってな。海未ちゃんもわかってると思うけど、凄い落ち込んでしまっているようやから……」
151: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 16:25:08.27 ID:tHQ+AMDd.net
海未「……」


海未「ええ、分かっていますよ。それでは、失礼します」ガラッ


海未(絵里も希も、嘘をついていたり、私に疑念を抱いている様子はありませんでした)

海未(それに、万が一希と絵里が私に疑念を抱いていたとしても、ここでことりと同じようにしてしまえばもうリカバリーなどと言っている場合ではなくなってしまいます)

海未(私に疑念を抱く人間が全て消えても、私の生活が原型をとどめなければ意味がありません)

海未(もう少し様子を見る必要はありますが……問題ないとみて大丈夫でしょう)




絵里「……」

希「……」
152: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 16:30:06.78 ID:tHQ+AMDd.net
……

海未(それから1ヶ月が経ちました)

海未(幸い、私がことりを殺したことは、まだバレてはいないようですが)

海未(その後私の思い通りにことが運ぶということもありませんでした)

海未(想定外の出来事の1つ目は、μ'sの活動がなくなってしまったこと)

海未(1、2週間ならまだしも、1月経っても練習が再開しないのは、正直予想外でした)

海未(そして2つ目、穂乃果が想像以上にショックを受けていること)

海未(ことりが行方不明ということが告げられてから、私は1度として穂乃果のあの笑顔を見ていません)

海未(ことりが死んだ、ということが公になっているならまだしも、行方不明でここまで深刻な事態になるとは……)

海未(それほどことりがみんなから大事に思われていたということでしょうかね)

海未(しかし、このままではわざわざ殺人まで犯した意味がなくなってしまいます)

海未(……どうなるかはわかりませんが、ここまで来てしまった以上、少し無理やりにでもμ'sの活動を促しましょう)
153: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 16:35:10.66 ID:tHQ+AMDd.net


To:穂乃果 真姫 凛 花陽 にこ 希 絵里

title:明日の放課後
本文:お話したいことがあります。部室に集まってもらえますか?
154: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 16:40:14.59 ID:tHQ+AMDd.net


にこ「……で? 話って何よ」

海未「単刀直入にいうと、μ'sの活動を再開させたいというお話です」

花陽「μ'sの……活動……」

海未「前回の部活でにこが言っていたように、私たちがこうして落ち込んでいても、ことりが見つかることにはつながりません」

海未「それに、ことりが今こうしている私たちを見たら、なんていうと思いますか? 少なくとも喜ぶことはないだろうと、私は幼馴染として思います」

真姫「私は反対よ」

花陽「真姫ちゃん……?」

真姫「確かに海未のいうことは一理あるかもしれない。でも、この学校の理事長はことりの母親なのよ? これ見よがしに活動するなんて、私には耐えられないわ」

凛「凛も反対にゃ……。みんなが落ち込んだ気持ちを押し殺して練習しても、誰も嬉しい気持ちにはならないと思うにゃ」

花陽「私も……。私は、今の気持ちでお客さんの前に立つことはできないと思います……」
155: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 16:45:11.04 ID:tHQ+AMDd.net
海未「……そうですか……。にこはどうですか?」

にこ「私は……私は、海未に賛成よ」

真姫「にこちゃん……?」

にこ「私たちはアイドルで学校を廃校から救ったのよ!? 私たちがライブを通して呼びかければ、ことりの手がかりを探すことだってできるかもしれない!」

希「ウチも賛成や。にこっちの言うように、ウチらなりにできることをすべきやと思う」

絵里「私も賛成よ。ことりが見つかったときに、μ'sが無くなっていたら、ことりは悲しむんじゃないかしら」


海未「ほn

穂乃果「できるわけないよ」

海未「穂乃果?」
157: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 16:50:06.63 ID:tHQ+AMDd.net
穂乃果「できるわけないよ。ことりちゃん無しでμ'sなんて」

穂乃果「私たちは9人でμ'sなんだよ? 仮に無理に活動を再開したとして、私たちの本当に伝えたいことはお客さんに伝えられるの?」

穂乃果「私はそうは思わない。それに、そんな中途半端なライブじゃお客さんの心には響かないだろうし、そんなのやらない方がましだよ」


穂乃果「海未ちゃん、そんなことも分からないんだね。がっかりしたよ」

海未「……」


穂乃果「μ'sのリーダーとして言うね。μ'sは、ことりちゃんが見つかるまで無期限活動停止とします」


穂乃果「……今日はもう帰るね」ガラッ
158: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 16:55:09.66 ID:tHQ+AMDd.net


海未(穂乃果が活動停止を宣言した翌日から、私には驚くほど穏やかな日常がやってきました)

海未(登校し、授業を受け、生徒会の仕事をこなし、弓道部に顔を出す)

海未(今までの生活と違うのは、μ'sの活動が無いことと、メンバーとすれ違ったときに挨拶しなくなったこと)

海未(そして、穂乃果と事務的な会話以外一切交わさなくなったことだけです)

海未(園田海未という仮面から、μ'sの一員というピースが欠けたにすぎない)

海未(そう思っていたのですが……)

海未(ピースの欠けた仮面から見る世界は、どこか白みがかって)

海未(味気のない、まるでドロドロの粘土を食べているかのような不愉快な感覚が、私の中について回りました)

海未(私を罵倒した穂乃果の表情……初めて見る表情でしたが)

海未(やはりあなたには、笑顔が似合うと思います)

海未(穂乃果と1対1で……直接お話をしなくてはいけませんね)
159: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 17:00:05.61 ID:tHQ+AMDd.net


To:穂乃果

title:明日の放課後
本文:お話があります。久しぶりに穂乃果の家にお邪魔してもよろしいですか?

From:穂乃果

title:Re:明日の放課後
本文:いいよ。
161: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 17:05:06.93 ID:tHQ+AMDd.net


穂乃果(海未ちゃんと一緒に帰るのも、随分久しぶりな気がします)

穂乃果(海未ちゃんが、それじゃあ、帰りましょうかと言って、私がそうだねと返す)

穂乃果(校門を出る少し前にそのやりとりをしてから、お互いにそれ以外の言葉を交わすことはありませんでした)

穂乃果(張り詰めた緊張感や気まずさ……というよりは)

穂乃果(ひんやりとした鋭い空気が、ひたすら漂っていたと思います)


穂乃果「……あがって?」
162: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 17:10:07.67 ID:tHQ+AMDd.net
穂乃果「それでお話って何かな? 海未ちゃん」

海未「穂乃果……やっぱり、まだμ'sを再開させる気はないのですか?」

穂乃果「……言ったでしょ。μ'sは無期限活動停止中だよ」

海未「ですが……」

穂乃果「話はそれだけ? ならもう帰ってy

海未「穂乃果ッ!!」

穂乃果「」ビクッ

海未「穂乃果、私が今あなたに伝えたいことは2つだけです」

穂乃果「……」

海未「1つは、あなたはここ最近、とてもひどい顔をしているということです」

海未「……正直、見てられません」

海未「そしてもう1つは、ことりが今のあなたのひどい顔を見たら、どう思うかということです」

海未「さすがにそれを見てことりが喜ぶはずがないということは、あなたにもよくわかるはずです」

海未「今一度、落ち着いてゆっくり考えてみてください」

海未「……それだけです。失礼します」ガラ
163: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 17:15:12.00 ID:tHQ+AMDd.net
穂乃果「ぅ……く……ぐぅっ……!!」


穂乃果(海未ちゃんが部屋から出るのを見届けると、私は大声で泣いているのに気が付きました)

穂乃果(いつから泣いていたのか、わかりませんでした)

穂乃果(海未ちゃんが帰ったあとなのか、海未ちゃんの話を聞いている途中からなのか、それとも帰り道でもう泣いていたのか)

穂乃果(むしろもう、ここ最近ずっと泣いていたような気さえします)

穂乃果(海未ちゃんの話は、正直正しいと思います)

穂乃果(私やμ'sのメンバーがこうしていても、ことりちゃんは喜ばない)

穂乃果(私も心のどこかでは、そのことに気が付いていたはずでした)

穂乃果(私は……私は、どうすればいいのでしょうか)


穂乃果「もう、わかんないや」
165: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 17:20:06.65 ID:tHQ+AMDd.net


海未「穂乃果、この書類の確認を理事長にしてきてもらえますか?」

穂乃果「分かったよ、海未ちゃん」


穂乃果(海未ちゃんがうちに来てから、2週間が経ちました)

穂乃果(海未ちゃんやにこちゃん達が言っていたことも、頭ではわかっているのですが)

穂乃果(1年生のみんなが言っていたように、理事長のことや、落ち込んだ気持ちを押し殺してお客さんの前に立つことを考えると)

穂乃果(活動停止を解くという決断をすることはできませんでした)

穂乃果(あれから海未ちゃんが話しかけてくることはなく)

穂乃果(さっきの会話も、とても久しぶりのやりとりだった気がします)
166: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 17:25:08.53 ID:tHQ+AMDd.net
穂乃果「失礼します」コンコン

理事長「あら、高坂さん。どうしたの?」

穂乃果「生徒会の書類を確認していただきにきました」

理事長「そう、それでは書類を見せてもらえるかしら?」

穂乃果「はい。お願いします」


理事長「最近、μ'sは活動していないみたいね」

穂乃果「……μ'sは、今無期限活動停止中です」

理事長「……それは、ことりが行方不明になったから? それとも、私を気遣ってのことかしら」

穂乃果「……」
167: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 17:31:29.42 ID:tHQ+AMDd.net
理事長「高坂さん、私は確かにことりの母親だけど、それと同時に教育者でもあるの」

理事長「教育者として、学院の生徒が少しでも健やかな学校生活を送れる可能性があるのなら、私は生徒をその可能性に導く義務があるわ。それにね……」

穂乃果「……」

理事長「ことりの母親としても、あなたたちには活動を続けてほしいと思っているの」

穂乃果「ことりちゃんの……母親として、ですか?」

理事長「そうよ。……私は、もしこのままμ'sが活動を再開しないことで、ことりがμ'sの一員として確かに居たという証が無くなってしまうことが怖いのよ」

穂乃果「ことりちゃんが……μ'sの一員であった証……」

理事長「ことりが見つかるまで、当然μ'sはことり抜きの8人で活動することになるけど」

理事長「少なくともμ'sの8人や、ことりが居た頃からのファンの方々は、確かにことりが居たという事実を知ってくれている」

理事長「……まぁそれは、ことりが見つからないという最悪のパターンが起きた場合の話だけどね」

理事長「ことりが見つかったとしても、彼女が帰ってきたときにμ'sが無くなってたら悲しむと思うの」

理事長「教育者として、あなたたちの決定は全面的に尊重したいけれど、今一度、よく考えてみてくれないかしら」
168: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 17:35:18.96 ID:tHQ+AMDd.net
穂乃果「失礼しました」バタン

穂乃果(私は、理事長の目の端から涙が一滴落ちるのを見逃しませんでした)

穂乃果(理事長だって、自分を押し殺してああ言ってくれている)

穂乃果(そんなことは、いくらバカな私でもわかります)


海未『ことりが今こうしている私たちを見たら、なんていうと思いますか? 少なくとも喜ぶことはないだろうと、私は幼馴染として思います』


にこ『私たちはアイドルで学校を廃校から救ったのよ!? 私たちがライブを通して呼びかければ、ことりの手がかりを探すことだってできるかもしれない!』


希『にこっちの言うように、ウチらなりにできることをすべきやと思う』


絵里『ことりが見つかったときに、μ'sが無くなっていたら、ことりは悲しむんじゃないかしら』


海未『今一度、落ち着いてゆっくり考えてみてください』


穂乃果「私、もう一度μ'sで…歌って、踊れるかな……?」
169: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 17:40:24.43 ID:tHQ+AMDd.net


穂乃果(理事長と話をきっかけに、私は結局μ'sの活動を再開させることを決めました)

穂乃果(今は、ことりちゃんとの思い出がある場所を1つ1つ順番に回っています)

穂乃果(μ'sの一員として活動するにあたって、自分の気持ちにけじめをつけるためなのでしょうか)

穂乃果(それとも、μ'sのメンバーが1人減ってしまったことによる、どうしようもない寂しさを少しでも埋めるためかもしれません)

穂乃果(いずれにせよ、私にはよくわからないです)


穂乃果(初めて海未ちゃんと会った公園に、木登りして降りられなくなった大木)

穂乃果(小学校や、中学校)

穂乃果(一緒に行ったゲームセンターやカラオケ、ファミレス)

穂乃果(1日かけて、可能な限りたくさんの場所を周ったと思います)



穂乃果(そして私は今、ことりちゃんと海未ちゃんと3人でタイムカプセルを埋めた山に来ています)
172: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 17:45:12.63 ID:tHQ+AMDd.net


穂乃果「懐かしいなぁ……」


ザックザック


穂乃果(私は、スコップを持ってきて、無心でタイムカプセルを埋めたであろう場所を掘り起こしました)


ザックザック


穂乃果(私は当時看板を立てたはずですが、どうやらなくなってしまっているようでした)


ザックザック


穂乃果(場所があってるかもわからない、あってたとしてもタイムカプセルが出てくるかわからない)


ザックザック


穂乃果(それなのに、私は穴を掘るのをやめられませんでした)
173: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 17:48:13.29 ID:tHQ+AMDd.net


穂乃果「さすがに……何も出てくるわけないか……」ゼェハァ

穂乃果「……え? あれ……何……?」


穂乃果(『それ』を見つけたとき、私の心は生まれてから感じたことがないくらいの恐怖と、少しの恐怖で埋め尽くされてしまいました)

穂乃果(しかし、その後悔はいやにはっきり意識され)

穂乃果(――なんでこんなところに来てしまったんだろう――)

穂乃果(――なんで穴なんか掘ってしまったんだろう――)

穂乃果(私に、『それ』から目を離すことを許しませんでした)





穂乃果「人の……骨」
178: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/23(月) 18:04:09.16 ID:tHQ+AMDd.net
すみません、>>173訂正です

誤:少しの恐怖で埋め尽くされてしまいました
正:少しの後悔で埋め尽くされてしまいました
193: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 21:51:20.70 ID:48Ug1AC9.net


穂乃果「い……いやああああああああああああああああああああああああ!!」

穂乃果(私は自分でも気づかないうちに叫び声をあげていました)

穂乃果(自分の心臓が爆発したような気がして、カーッと熱くなっていくのと同時に)

穂乃果(両手両足の指先が、感覚がなくなるほど冷え込んでいく感覚)

穂乃果(私は乱れた呼吸と溢れ出す涙を止めようともせず)

穂乃果(自然とその骸に縋り付いていました)

穂乃果(ことりちゃんの服を着た、その骸に)


穂乃果「ことりちゃん! ことりちゃぁん!! どうして!! 目を覚ましてよう!」

穂乃果(ことりちゃんの亡骸を見ても、私は気持ち悪いなどとは思いませんでした)

穂乃果(だって、そこにいるのはただ骸骨になってしまったというだけで)

穂乃果(まぎれもなく、ことりちゃんなのですから)
197: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 21:54:05.51 ID:48Ug1AC9.net
穂乃果「何で! 何で何で何でなんでなんでなんでナンデナンデナンデ――」ガサッ

穂乃果(ことりちゃんを無茶苦茶にゆさぶっていると、私はすぐそばに埋まっていた袋のようなものに気が付きました)

穂乃果(ことりちゃんを生き返らせる薬が入っているかもしれない)

穂乃果(確か、無我夢中で袋を開けながら私はそんなことを思っていたような気がします)

穂乃果(その袋の中身が、私に更なる戦慄をもたらすとも知らないで――)


穂乃果「ぅ……うぐ……おげええええええええええええええええええ!」

穂乃果(袋の中には、私の携帯だったらしきもの、ことりちゃんの携帯だったらしきもの)

穂乃果(そして、見覚えのある洋服が入っていました)

穂乃果(ほかでもない、幼馴染の海未ちゃんの洋服が――)

穂乃果(予想だにしない映像をいくつも連続で見せられショートした私の思考回路は、嘔吐という形で私の体にダメージを与えます)

穂乃果(ひとしきり吐いて、泣いて、叫んで、吐いて、泣いて、叫んで……)

穂乃果(来た時はまだ少し明るかった山が薄暗くなってきた頃)

穂乃果(私は突然、強烈な恐怖を感じて、気づけば山を全速力で走って降りていました)
199: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 21:58:08.19 ID:48Ug1AC9.net
穂乃果(急な坂道で何度も転び、全身ボロボロになりながら、来た道を戻っていきます)

穂乃果(私の家の近くの駅とこの山の麓の駅を繋ぐ電車は、先日廃線になってしまっていたので)

穂乃果(駅の数にして8駅ほどの距離を、走って帰りました)

穂乃果(疲れも感じず、時間もきたときより短く感じたような気がします)

穂乃果(家に着いた私を、『こんな時間までどこに行っていたの!』と強い語気で攻めながら迎えた母は)

穂乃果(涙と、鼻水と、吐しゃ物と、血と……よくわからないものでぐちゃぐちゃになった私を見るなり、何かを叫びながら私を抱きしめていました)

穂乃果(それ以降のことは、よく覚えていません)

穂乃果(雪穂とも、お父さんとも、何か話したような気もしますが、思い出せません)

穂乃果(落ち着いて考えると、こんな姿で突然帰ってきて……家族にはとても心配をかけたと思います)

穂乃果(ごめんなさい)



穂乃果(翌日から私は、2日間、学校を休みました)

穂乃果(家族はときどき私の部屋の前に様子を見に来ましたが、詳しく話を聞こうとすることはありませんでした)

穂乃果(ご飯も食べず、飲み物も飲まず、ベッドの上に縛り付けられるようにして、ただ海未ちゃんのことを考えていたと思います)

穂乃果(海未ちゃんは、なんでそんなことをしちゃったの?)

穂乃果(私はこれから、どうすればいいの?)
200: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:00:11.76 ID:48Ug1AC9.net


穂乃果(翌日から私は、2日間、学校を休みました)

穂乃果(家族はときどき私の部屋の前に様子を見に来ましたが、詳しく話を聞こうとすることはありませんでした)

穂乃果(ご飯も食べず、飲み物も飲まず、ベッドの上に縛り付けられるようにして、ただ海未ちゃんのことを考えていたと思います)

穂乃果(海未ちゃんは、なんでそんなことをしちゃったの?)

穂乃果(私はこれから、どうすればいいの?)


穂乃果(正直、海未ちゃんに対して『奇妙だな』と思ったことは何度かありました)

穂乃果(小学生のとき、飼っていたウサギが死んでにこにこしていたときは、少しだけ……本当に少しだけ、恐怖も感じた気がします)

穂乃果(それでも、そんな一面なんて見えなくなるくらい、私にとっての海未ちゃんはまぶしくて)

穂乃果(一緒に笑って、何でも話し合える心からの友達でした)

穂乃果(おかしな部分も、まじめでしっかり者な部分も、全て併せて海未ちゃんだと受け入れていたつもりでしたが)

穂乃果(私は、海未ちゃんのことなんて、実は何一つ分かっていなかったのかもしれません)

穂乃果(だって、私の友達は、海未ちゃんは。人を、ましてやことりちゃんを殺すなんてことなんて絶対にしないですから)

穂乃果(海未ちゃんの中に、私には想像もつかないような何かが住んでいたのか)

穂乃果(そもそも私が友達だと思っていた海未ちゃんなんて、存在しなかったのか)

穂乃果(あるいは、両方かもしれません)

穂乃果(そんなことを考えながら、私はいつの間にか眠りに落ちていました)
201: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:03:12.97 ID:48Ug1AC9.net


穂乃果(夢の中では、海未ちゃんが磔にされ、それをたくさんの人々が見ていました)

穂乃果(μ'sのメンバーも、理事長も、学校のみんなも、みんな泣いてしました)

穂乃果(それを磔から見下ろす海未ちゃんは……)




穂乃果「顔が、ない」
203: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:06:24.62 ID:48Ug1AC9.net


穂乃果(悪夢で目を覚ました私は、久しぶりに起き上って部屋を出ました)

穂乃果(あなたは、色々な人を悲しませすぎた)

穂乃果(あなたが海未ちゃんであっても、そうでなくても、あなたはその罪を償わなければならない)

穂乃果(あなたは、罪を犯した意識はないのかもしれないし、償うことにも何も感じないのかもしれない)

穂乃果(それでも……)

穂乃果(今思えば、私をさっきまでベッドに縛り付けていたのは、幼馴染を2人同時に失う恐ろしさと)

穂乃果(友達を自分の手で檻に入れてしまう怖さだったのかもしれません)


穂乃果「すぅ……はぁ……」


穂乃果(電話の前に着いて一息ついた私は、受話器に手を――)
205: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:09:13.64 ID:48Ug1AC9.net


キーンコーンカーンコーン
サヨーナラー

海未(穂乃果が学校を休んで、もう2日目ですね)

海未(相当参ってしまっているようですし、今日は帰りに様子を見に寄っていきましょう)


真姫「あら? 海未じゃない」

海未「真姫。それに凛と花陽……にこまで。どうしたんですか? 今日も練習はありませんよ?」

にこ「穂乃果、ここ2日学校を休んでいるそうじゃない」

花陽「μ'sの活動はできなくても、私たちが同じグループのメンバーだってことには変わりないから。せめて、お見舞いだけでもと思って」

凛「海未ちゃんもくるかにゃ?」

海未「はい、ちょうど私も穂乃果の様子を見に行こうと思いっていたので。……そういえば、絵里と希はいないのですか?」

にこ「今日昼声かけてみたんだけど、どうやら2人ともどうしても外せない用事があるみたい」

海未「そうなんですか……。それじゃあ、行きましょうか」
206: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:12:13.75 ID:48Ug1AC9.net


海未(穂乃果の家へ行く道中、私たちはいろいろなことを話しました)

海未(しかしそれは、μ'sができた頃のように、夢や希望が溢れた輝かしい雰囲気ではなく)

海未(ぽつり、ぽつり、とまるで小雨のようなやりとりだったと思います)

海未(学校のこと、勉強のこと、受験の事……)

海未(最後まで、μ'sの話が出ることはありませんでした)


海未「穂乃果、起きているでしょうか……」



警官A「動くな。警察だ」



海未(穂乃果の家のチャイムを鳴らそうとした途端、そんな声が聞こえてきました)

海未(誰かが犯罪を犯したのでしょうか)

海未(しかし、私たちの周りには閑静な住宅街があるだけで、何人かいた警官たちは、キッと私たちを真っ直ぐ見つめていました)
208: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:15:13.81 ID:48Ug1AC9.net
海未(まさか、私たちの中に罪人がいるのでしょうか)


警官B「園田海未。殺人、死体遺棄の容疑で逮捕する。詳しく署で話を聞かせてもらおう」


海未(園田海未、という名前を聞いた瞬間、私の頭は猛烈に働き始めました)

海未(不良の腕を折ったこと、不良の目を潰したこと)

海未(犬を殺したこと)

海未(穂乃果の携帯を盗んだこと、山奥のタイムカプセルを掘り起こして大穴を掘ったこと)

海未(ことりを殺したこと)

海未(私の行動に、考えに、何か淀みがあっただろうか)

海未(2月近くも逃げおおせて、何故今更?)

海未(とんでもない速さで回転する私の頭と裏腹に)

海未(私は2人の警官に伴われ、怖いほどおとなしくパトカーに乗り込んでいました)

??(仮面というのは、本当に、本当にあっけなく壊れてしまうものなのですね)

??(目まぐるしくかけめぐる思考の上に、そんなセリフが浮かぶのを、μ'sのメンバーのなんともいえない表情を見ながら私は感じていたと思います)
209: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:18:17.59 ID:48Ug1AC9.net


にこ「あの警官……なんて言ってた? 『殺人、死体遺棄の容疑』? は……?」

にこ「なんで海未は何も言い返さなかったの……? なんでパトカーなんかで連れていかれちゃったの……?」

凛「凛には、何が何だか……」

真姫「もしかして……ことりの行方不明と関係が……」

にこ「……何言ってるの……? バカなこと言わないでよっ!!」

花陽「うぅ……ぐすっ……えぐ……μ's、もうバラバラになっちゃうのかな……もう、前みたいにみんなで一緒に歌ったり、踊ったりできないのかな……?」

にこ「そんな……そんなことって……」

真姫「……」

凛「……」

ガラッ

穂乃果「みんな……来てくれたんだね。あがっていってよ」

にこ「穂乃果……」
210: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:22:08.75 ID:48Ug1AC9.net


穂乃果(家の前で立ち尽くしていたみんなを部屋にあがらせて、私は知っていることを、全て話しました)

穂乃果(子供のころから海未ちゃんはどこかおかしいところがあったこと、私が海未ちゃんのことを何も理解できていなかったかもしれないこと)

穂乃果(理事長と話したこと、μ'sの活動を再開させようとしたこと、山奥にことりちゃんの亡骸と海未ちゃんの洋服が埋まっていたこと)

穂乃果(1人で部屋で考えて考えて……警察に通報したこと)

穂乃果(みんな、まるで凍り付いたかのように、静かに私の話を聞いていました)


穂乃果(恐らく、μ'sが活動を再開できることは、もう永遠にないでしょう)

穂乃果(μ'sのリーダーとしてこんなことになってしまって申し訳ないという想いを伝えると)

穂乃果(にこちゃんが、私の身体を優しく抱きしめてくれました)

穂乃果(花陽ちゃんも凛ちゃんも真姫ちゃんも)

穂乃果(涙を流しながら、ずっとずっと、抱きしめてくれていました)
211: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:24:34.77 ID:48Ug1AC9.net


??(少年院での生活は、やはり退屈ですね)

??(最初の頃は新鮮さなことも多かったですが、慣れるとどうにも……)


看守「315番、面会だ。出ろ」

??(面会……? 弁護士の方でしょうか」



穂乃果「久しぶりだね。海未ちゃん」

??「穂乃果……ですか……」

穂乃果「海未ちゃん、私、海未ちゃんに聞きたいことがたくさんあるんだ」

??「……」

穂乃果「考えてるうちに、聞きたいことが多すぎて分からなくなっちゃった。だから……1つだけ聞くね」


穂乃果「私が今まで一緒に居た海未ちゃんは、本当の海未ちゃんなの?」
212: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:27:42.46 ID:48Ug1AC9.net
??「……いえ、恐らく違うと思います」

??「穂乃果はサイコパスという言葉を聞いたことがありますか?

穂乃果「サイコパス……?」

??「ええ。罪の意識や良心を持たない、自己中心的なパーソナリティを持った人間のことをそう呼びます」

??「私は、そのサイコパスなんですよ、穂乃果」

穂乃果「……」

??「私が音ノ木坂に来たのは、前居た県外の幼稚園でクラスメートの指をハサミで切り付け、ケガをさせたことがきっかけなんですよ」

??「私がこちらに来て自分がサイコパスであるという事実に絶望しているとき、あなたに会い、私はあなたに強い興味を持ちました」

??「なんでこの子はこんなに色々な表情を見せるんだろう、なんでこの子の笑顔を見ていると気持ちが楽になるのだろう」

??「今まで見たことのないタイプの、表情豊かな人間に対する純粋な興味なのか、それ以外の感情なのか……」

??「今になっても、私にはわかりません」

??「私は、そんなあなたが見せるいろいろな表情をずっと見ていたくて、『園田海未』という仮面を用意しました」

??「生真面目で、しっかり者の大和撫子という顔をした仮面です」

??「ことりを殺したのも、私の異常な行為にことりが気が付き、仮面が壊されるのを危惧したから、という理由です」

??「それ以上でも、以下でもありません」
213: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:30:10.61 ID:48Ug1AC9.net
??「……私を軽蔑しますか?」


穂乃果「……わかんないよ」

??「穂乃果……?」

穂乃果「私はここに来るまで、海未ちゃんを憎んでた。恨んでた。殺してやりたいとさえ思っていたような気がする」

穂乃果「私から幼馴染を……親友を一気に2人も奪っていった海未ちゃんが、憎くて、憎くて……」

穂乃果「でもさ……」


穂乃果「やっぱり久しぶりにあったら、どうしようもなく愛おしく思えちゃうんだよ」

??「……」

穂乃果「私、バカだから……いきなりサイコパスがどうとか、仮面がどうとか言われても、わかんないよ」

??「穂乃果……涙を拭いてください」

穂乃果「私から見たら、どっちも間違いなく海未ちゃんなんだもん」

穂乃果「私、海未ちゃんが出てくるの、待ってるから」

穂乃果「今までと同じようにはいかないかもしれない。海未ちゃんのことどうしようもなく嫌いになっちゃうかもしれない。それでも…」

穂乃果「やっぱり私は、海未ちゃんと友達でいたいから」


穂乃果「海未ちゃんこそ、涙を拭いたら?」


看守「……そろそろ時間です」
215: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:33:11.95 ID:48Ug1AC9.net


海未(私は心の底では、こうなることを望んでいたのではないですか)

??(穂乃果に、仮面を壊してもらうことを?)

海未(本当は、分かっていたのではないですか)

??(仮面なんかなくても、よかったということを?)


(いずれにせよ……ここを出たら――)
216: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:36:16.56 ID:48Ug1AC9.net


希(音ノ木坂学院殺人事件から10数年が経った)

希(μ'sメンバーは、各々の人生を歩んどる)

希(真姫ちゃんは女医、凛ちゃんはOL、花陽ちゃんは専業主婦)

希(穂乃果ちゃんは穂むらを継いで、にこっちは芸能事務所の事務員をやっとるらしい)

希(え? ウチとエリチが何をやっとるかって?)


希(世の中には、サイコパスいう人間がたまにいる)

希(良心や罪の意識を持たない、自己中心的な存在で)

希(しばしば他人からの恐怖の対象となる人間)


希(でも、そんなサイコパスも、世間で必要とされる場合があるんや)

希(人間の心……感情の源泉。そういうものの研究をするために、逆に人間らしい感情の乏しいサイコパスの行動を観察する)

希(そんな物好きな研究者も、世の中にはいるんよね)


希(でも、そんな研究をしている人間は数が限られているわけで……)

希(ウチらは、その研究のためのサイコパスの管理、観察の手伝いをしてるわけや)
217: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:39:10.26 ID:48Ug1AC9.net
希(音ノ木坂といえば、ことりちゃんはかわいそうやったね。海未ちゃんの秘密を知ることさえなければ今頃幸せな生活を送ってたんやろうけど)

希(ただ、海未ちゃんは海未ちゃんで色々お粗末なところも多かったからなぁ。ことりちゃんかどうかはおいといて……似たようなことになるのは時間の問題やったかもしれんね)


希(ん? そんな人体実験みたいなことの手伝いをして心が痛まないのかって?)

希(そんなん痛まんに決まってるやん。だって)


希(相手は人間の皮を被ったバケモンなんやから――)


希(そういえば、もう少しで海未ちゃんも出所やったかな)

希(また……興味深い結果を見せてもらえることを期待しとるよ)

ノゾミー!シュッパツスルワヨー!

希(……それじゃ、仕事の時間や。ほな、また)
220: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:43:32.72 ID:48Ug1AC9.net


「この街も、随分久しぶりですね」

「……」

「さて、それではそろそろ出発しましょう」














「穂乃果、待っててくださいね」

fin
221: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 22:45:21.80 ID:48Ug1AC9.net
これで終わりです
最後まで読んでいただいた方は、誤字・脱字も多く読みにくい駄文にお付き合いいただき、
ありがとうございました。

分かりにくい部分も多かったと思いますので、質問などがもしあれば暇なときに答えていこうと思います
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『海未「仮面の下には」』へのコメント

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