【ことまき】 バレンタインの短編 【南ことり&西木野真姫】

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真姫-アイキャッチ38
1: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:07:21.80 ID:hguBaFMC.net
ことまきスレの要望に応えて

オチのパートは10分ちょっとで書いたから質が落ちるかも

5、6分に一回くらいの投稿でいいのかな
ほんわなか雰囲気でいきますよ〜

元スレ: 【ことまき】 バレンタインの短編 【南ことり&西木野真姫】

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3: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:12:54.18 ID:hguBaFMC.net
――バレンタインデー、なんて。

少しは。

ほんの少しはだけれど。

多くの女の子がなんだか普段よりも、
いっそう美麗で甘い時間を過ごしたいと思うであろう、
ロマンティックな響きの一日。

本当なら私も、
同じクラスの男の子から「西木野さんチョコくれないのかな〜」なんて
チラチラ見られたりしているはずなんだけれど、
女子高である以上そんなことが起こるはずもない。

その上今年は日曜日ということだから、
たとえ共学であったとしても関係ないの。

わざわざこの真姫ちゃんが、
一人の男の子の為に休日を出歩くことはないだろうから。
4: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:16:02.45 ID:hguBaFMC.net
だから私はその甘美な香りにやんわりと後ろ髪を引かれつつも、
つい先日の昼休みまでは縁のないイベントね、
なんて思っていた。



「ねえ、皆でバレンタインパーティしようよ!」

そう言ったのは乙女ロードを加速しながら、
目にも留まらぬ速さで走り抜けている凛。

「いいね、凛ちゃん。
きっと皆も大賛成するんじゃないかな」

でしょ〜?って花陽に微笑んだ凛は、
今度は私の方に「真姫ちゃんはどう?」なんて言いながら、
にゃっにゃっ、と勢いよく体を乗り出してくる。
6: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:19:14.74 ID:hguBaFMC.net
でしょ〜?って花陽に微笑んだ凛は、
今度は私の方に「真姫ちゃんはどう?」なんて言いながら、
にゃっにゃっ、と勢いよく体を乗り出してくる。

最近は友チョコなんて物もあるらしいし、
いいんじゃないかしら。

ことりなんて甘いものが好きそうだから、
とても喜びそう。


「いいんじゃない?
なんなら、私の家でパーティーをしてもいいわよ」

「うん、ありがと真姫ちゃん!
きっと絵里ちゃんとかにこちゃん、大喜び間違いなし!
 いっぱい用意しないといけないにゃ!」

「そうだね。
二人ともチョコとかお菓子、大好きだもんね!」


数秒の後、私は思わずはっと息を呑んで赤面した。
二人に「どうしたの?」なんて言われるけれど、
なんとかやり過ごす。
……何で私は、真っ先にことりを思い浮かべたの?
7: 五分って長い……(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:21:46.81 ID:hguBaFMC.net
――最近、ことりがかわいい。

私は自室で彼女のことを思い浮かべながら、
なんとなくそう思う。

別に、
今までのことりがかわいくなかったわけではないのだけれど、
それでも何か、口では表現できない可愛さが増した気がする。

作曲の為に音楽室なんかにいると度々その音色につられるようにやってきては、
次の衣装を考え始めることり。

彼女曰く、
「なんだか真姫ちゃんのピアノを聴いてると、とっても集中できるの」とのこと。

正直言って初めはなんだか気恥ずかしかったけれど、
時々目が合って微笑まれるとそんなことは忘れてしまった。
8: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:24:23.03 ID:hguBaFMC.net
真剣そうな顔をして何かをぽつりとつぶやいたかと思うと、
私の意見を聞いてみたいな〜なんて言って気さくに話しかけてくることも度々あるし、
それこそ小鳥のさえずりのように、
私の伴奏に合わせて鼻歌を奏でたりする彼女。

正直言って今朝まではそんな時間がとても心地よかったのだけれど、
わざわざ乙女の一大イベントである「バレンタインデー」へと
自然に結び付けてしまった私の思考回路に困惑して、
今日は一度も音楽室へは足を運ばなかった。

何か頭がその事ばかりを考えてしまって、
上手く働かない。

ノートに向かって次の曲のイメージを捻出しようとしているのに、
さっぱり思い浮かんでこない。

ペンを置いて机に思いっきり突っ伏すとひんやりしていて、
私の頭に上った熱を冷ましてくれるようで、
得も言われぬ心地よさがあった。
10: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:28:17.37 ID:hguBaFMC.net
何かに呼ばれたような気がして姿勢を元に正した瞬間、
携帯が小さくさえずる。

まさに話題の渦中にある南ことり、
その人からのメッセージだった。


『真姫ちゃん、今度のバレンタインのパーティーなんだけど
皆より少しだけ早く行って準備を手伝ってもいいかな?』


正直、やめて欲しかった。
今ことりと二人きりになったら、
恥ずかしさから口数が少なくなって、
私が耐えられそうにない。


『手作りのものとか市販品を持ち寄るだけみたいだから大丈夫よ、ありがとう』


着信から一分も経っていないけれど、
とりあえず短く返す。
11: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:31:24.49 ID:hguBaFMC.net
するとまた、
ことりからのメッセージ。

『使う部屋のお掃除でも飾り付けでも、
ミナリンスキーが何でもお手伝いしますよ〜?
 だから、おねが〜い!』

なんだかやけに、
ことりの押しが強い。

たとえ文面であってもことりの『おねがい』を聞くと、
なんだか断る意思がそがれてしまって――
私は結局、
彼女のお手伝いを受け入れることになってしまった。
12: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:34:11.41 ID:hguBaFMC.net
それからの数日間は自分自身でも驚いて開いた口がふさがらないくらい
……それこそまるで、
バレンタインデーを気忙しく待つ共学の高校に通う女の子みたいな心持ちで、
学校と家を行き来した。

家に友達を招いてパーティーを開くなんていう初めてのイベントに、
多少なりとも緊張しているということだ。
と私は感情を決めつけ続け、
今までで一番と言っても過言ではない程、
張り詰めた頬と熱い全身の脈動を感じる朝を迎えることになった。
13: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:37:43.21 ID:hguBaFMC.net
「真姫ちゃんごめんね、
無理言っちゃって。
でも最近はよくピアノを弾いてもらってるから、
どうしてもお礼がしたくって」


可愛いチェック柄のスカートを揺らしながら、
部屋を嬉しそうな表情で見回すことり。
なんだか本当に、
全身からあらゆる幸せのオーラを振りまいているみたいで、
こそばゆかった。


「そんなの気にしなくてもいいのに。
 別にことりのためならいつでも弾いてあげるわよ」


「う〜ん、でもやっぱりお礼がしたいの」と言う様子からは、
なかなか意思を曲げるつもりはなさそうに思える。

穂乃果に隠れていて若干気付きにくいけれど、
ことりも意外と強引なところがあるんじゃないのかしら。
15: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:41:07.23 ID:hguBaFMC.net
「さあ真姫ちゃん、ことりに何でも言ってくださいね。
 張り切ってお手伝いしちゃうから!」

結局こうなることはある程度予測できていたので、
私はあらかじめ練っておいたプランに移行することに決めた。

テーブルの上に置いてあった箱を指し示し、
出来るだけ緊張を隠して、
平静を装った声音で彼女に話そうと試みる。


「じゃあ悪いんだけど、これ一緒に食べてくれないかしら。
 今日のパーティーで手作りチョコを作ろうと思って練習した時の余りなんだけれど、
 私ひとりじゃ全部食べきれないから」


ことりは一瞬、
予想していなかった方向から豆鉄砲をぶつけられたような、
少し意外な出来事に直面した表情をする。

「そんなことでいいの?」と発する彼女に、
もちろんよ。と返すと、
喜色満面の笑みで頷いてくれた。

正直言って、
やっぱりことりに無茶なお願いをするのは気が引けるし、
これくらいでいいのだと、
上手くいった事に胸を撫で下ろしていた。
16: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:45:12.19 ID:hguBaFMC.net
テーブルの対面に座ってとてもおいしそうな表情でチョコを頬張る彼女に見とれつつ、
私も自分で作ったチョコを一つ摘まむ。

作り始めた時は心配だったけれど、
意外と上手く作れた私を褒めてあげたいくらいだった。

この目の前の少女の反応を見るに、
皆の口にも十分通用するはず。


「私も真姫ちゃんへの差し入れで、マカロン作ってきたの。
 よかったら食べてくれないかな?」


そう言ってことりがマカロンの入った小包を二つ、
テーブルの上に乗せた。

うんしょ。とテーブルに体を倒して、
手をいっぱいに伸ばして私に片方を配る。

そんな仕草も、一々可愛い。

悪戯っぽくたれ目を輝かせながらウィンクして小包を渡した彼女は、
どこか得意げな表情。

それも、やっぱり可愛い。

ま、μ’sは私も含めて皆可愛いから、当然なんだけどね。

ことりのことを取り立てて可愛いって思ってるつもりは、
――少なくとも今の私には――ないわ。
18: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:48:53.47 ID:hguBaFMC.net
(……手作りの、マカロン。
 難易度が凄そうなんだけど、さすがね。
 ことりの手作り……)


ラッピングタイを解いて、中を覗く。

中には可愛いバラの花が咲いたような色のマカロンが五つと、
小さく折りたたまれた紙が入っていた。

いったい何かしら、と心が少し弾む。

急いで机の下で紙を開いて、中の文面を目で追った。


『味を当ててくださいね!
正解したあなたには、ことりからのご褒美が出ちゃいます!』


なんだか、顔に血が上るのを感じる。

と、とにかくこのマッキーちゃんが外すはずがないわ。

絶対にあたるから、そのご褒美の準備をしておきなさい、ことり。
19: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:52:16.11 ID:hguBaFMC.net
私はもう一度、視線をことりの方に向けた。

それに気付くとすぐにこっちを向いて、
その可愛く垂れた瞳をキラキラさせて、
じっと見返してくる。

「待ってて、今当てるから」と、
装甲を剥がされてしまいそうな自分を奮い立たせるように、
敢えてはっきりと聞こえるように言った。

少し声が震えちゃったけど。

「やったっ!」と私に聞こえるか聞こえないかくらいの
小さな声で呟いてガッツポーズをしたことりは、
彼女の方が何よりもおいしいお菓子を貰ったみたいに嬉しそう。

もしμ’sの皆がいたら不思議そうな表情で見られて、
慌てて「ううん、なんでもないですよ〜!」って手をパタパタさせそうな感じに、
ゆるみきった笑顔。

マズイわ、せっかく装備した虚勢がすでに崩壊しかけてる。

彼女の手作りマカロンも食べなきゃいけないっていうのに、
かわいすぎてちょっと私の頭がそろそろやばいかもしれない。

それこそ本当にμ’sの誰かがここにいてくれたら、
と助けを乞いたい程に。
20: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:55:11.83 ID:hguBaFMC.net
包みからマカロンを一つつまんで取り出した私は、
唇の前にそれを運ぶ。

いかにもことりが好きそうな、可愛い赤色……。


(やけに明るい色だと思ったら、私のイメージカラーじゃない!
何考えてるのよ、ことり!)


それに気付いた私はこれ以上みているのも恥ずかしくなって、
大慌てで口の中に放り込む。

一口でも無理のないサイズだったことに感謝しつつ、
どうどう?分かるかな?って表情のことりを前に、
私はひと噛み。

少し酸味の利いた、ことりが大好きなあの味。

こんなの、簡単すぎる問題だったわね。

外させる気がなかったんじゃないのかしら。

バターの風味を残しつつ、チーズガナッシュの甘い味が、
しっとりとした生地にとても合っているような気がする。

何個でも食べてしまいたくなるくらい、
ことりの人柄を感じるような、
優しい味と食感だった。

彼女のお菓子作りの上手さを、
改めて実感させられる。
21: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 01:58:18.24 ID:hguBaFMC.net
「真姫ちゃん、どうだったの?
そろそろ感想を言葉でも言ってくれないと、
ご褒美は無しですよ〜?」


何よ、顔を見ただけで感想が分かるっていうの?と言いたいけれど、
残念ながら私の表情は緩みっぱなしで、
そんなことはとても言えない。


「最高だったわ、ことり。
それこそ、いくつでも食べられちゃうわよ。
味はあなたの大好きなチーズケーキ風味ね」

「えへへ〜、真姫ちゃんなら当ててくれると思ってたんだ。
…………真姫ちゃんに、ことりが挟まれちゃってますね!
なんちゃって」


………………。

ちょっとした軽口を言ったつもりなのかしら?

でも、その魅力的な声音で発せられたセリフは、
私を固まらせるには十分だった。

今口の中に入れたばかりのマカロンのカラーリングが自然と思い出されて、
余計に恥ずかしくなる。

目を閉じて耳を塞いでしまいたかったけれど、
彼女の表情と声を逃したくなくて、
体が言うことを聞かない。

死にそう。

心臓の音が聞こえてきた、
完全静止するかと思ったけど。

むしろ逆で、爆発寸前みたいに振動してる。
22: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:01:35.40 ID:hguBaFMC.net
「そそそ、そんなことより、ことり。
ご褒美ってなんなのよ」

「ねね、真姫ちゃん。
そのマカロンはしまっておいて、
皆とのパーティーの後で食べてね。
お母さんとかお父さんにあげちゃだめですよ?」


誰かにあげるわけもないのにそんなことを私に言ったことりは、
彼女の隣の座面をトントンと叩きながら、
「直接渡したいから、こっちに来てほしいな〜」と手招きをする。

だめ、無理。

それ本当に無理だから。

別にことりが嫌いってわけじゃないけど、
ますます死にそうになると思うわ、
そんなところへ行ったら。

とうとう耐え切れなくなった私は、
彼女に貰ったマカロンだけを持って立ち上がった。

そしてそのまま「こ、これ。私の部屋に置いてくる!」
とだけ上擦ったセリフを吐きつつ、
逃げるようにして顔を真っ赤にさせながら部屋を飛び出してしまった。
23: 配分下手でスマンね(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:04:16.18 ID:hguBaFMC.net
部屋の扉を勢いよくあけて、
マカロンの入った小包を置きながら、
自分の机に手をついて身悶える。

胸が苦しい。

ことりに――物理的ではないけれど――圧死させらてるみたい。

早く戻らないと心配されるのに、
どうしても体が動かない。
24: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:06:09.74 ID:hguBaFMC.net
足音が聞こえたから俯いていた顔を上げて、
部屋の入り口をそっと見遣る。

ことりがもう片方の小包を手に持って、
私の隣までやって来ていた。

こんなに近くに来るまで気付かないなんて。


「真姫ちゃんごめんね、ちょっと予想外だった。
そんなに恥ずかしがるとは思わなくて……
私まで恥ずかしくなってきちゃう」


でもね、こっちが本当にプレゼントしたかった方なの。と小包から、
やはりマカロンを取り出す。

ことりっぽい色の、
つやつやの、
マカロン。

どういったものか、もう察しちゃったかも。

「これ、真姫ちゃんに『あ〜ん』ってしてあげようと思って。
最初は無難に、いちごにしようかな〜って思ったんだけど、
やっぱり諦めきれなくて、いろいろ試してみたの。
お口に合うといいんだけど」
25: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:09:19.86 ID:hguBaFMC.net
そう言ってことりはマカロンを一つ手に取って、
私の口の方へ。

そっと「あーん」って言われた私はなす術もなく、
口を開けてそれを頬張った。

トマトピューレほど、
酸っぱくはない。

トマトの風味を残しつつ、
ジャムみたいな感じで少し甘め。
想像していた以上にマカロンの生地に合うように作られていて、
おいしい。
おいしくて、
なんだかうれしくて、私は――
26: (・8・)視点変わるからね(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:11:23.37 ID:hguBaFMC.net
「真姫ちゃん、どうかな……
味見はしてみたんだけど、自信なくって」


真姫ちゃんが人形みたいに固まっちゃって、
返事をしてくれません。

最近は作曲と衣装づくりの時間が被ってよく一緒にいるから、
お礼の差し入れのつもりだったんだけど……。

やっぱりマカロンは、
真姫ちゃんでも苺がよかったのかな。

なんだか今はいつもと違って、
表情がぎこちなくて……。

かわいいのには変わりがないけど。

すると急に真姫ちゃんは私の方を向いて、
少し震える手で私の右手を取って、
両手で優しく包み込むように、
ぎゅっと握ってきました。

よく耳を澄ましてやっと聞き取れるくらいの小さな声で、
私に向かって一言。


「とってもおいしかったわ」
27: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:14:41.68 ID:hguBaFMC.net
そう言う真姫ちゃんは爆発しちゃいそうなほど真っ赤っかで。

ぎこちない表情が、
嬉しさを伝えることを恥ずかしかったためだと分かると、
途端に私も嬉しくなって。

がんばって作ってみてよかったな〜。
って思ったのは、
わざわざ言うまでもありません。

だってそんな不器用な真姫ちゃんも、
かわいいんだもん。

今みたいにちょっと不器用だけど、
真面目でかっこよくて、

ピュアなところもあって。

最近よく一緒にいるから、
私もちょっと素直に甘えたりできるようになったけど、
なんだかとても頼りがいがあって。

ことりとはまた違った意味で、
とてもと〜っても女の子らしい真姫ちゃん。

そんな彼女に喜んでもらえて、
お菓子を作った身としては、
本当に、
本当に嬉しい。
28: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:17:38.32 ID:hguBaFMC.net
「ことり。
やっぱり私だけじゃなくて、あなたにも食べてほしいわ。
せっかく二人のお菓子の時間なんだもの」


そう口に出した真姫ちゃんは、
テーブルに置いた自分の小包から一つ、
マカロンを取り出します。

まさか私なんかにくれると思ってなかったから、
ちょっと慌てちゃって。


「えへへ、私はいいよ。
だって自分で作ってきたものだし、
真姫ちゃんに食べてほしかったから」


そう両手を振って遠慮するけれど、
全然いうことを聞いてくれない真姫ちゃん。

確かに、ちょっとプライドが高いとこあるけど、
今は素直に引いてくれないと恥ずかしいから。

ぐいぐい迫ってくる彼女に、
なんだか押され気味になってしまいます。


「ことりはそうやって、いつも遠慮がちなんだから。
私が食べてほしいって言ってるのよ。ほら、あーん」

「ま、真姫ちゃん、恥ずかしいよ!」

「いいから、1つもらって――きゃっ」
29: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:20:43.43 ID:hguBaFMC.net
……少しの間、
ことりには何が起きたのか理解できませんでした。

気が付くと今まで感じたことのないような、
微熱を帯びた重さがそっと私を包んでいて。

なんだかとても触れ心地のいい、
心を揺さぶられる様な香りの
――まるで髪の毛みたいなものが頬をくすぐっていて。

でもいま目を開けていいのかなって思ってしまって。

――結局そっと視界を広げてみると、
目の前にはトマトみたいに顔を真っ赤にさせた真姫ちゃんの潤んだ瞳と、
何と言っていいか分からずにパクパクさせているお口。

その視線は、じっと私の顔を見つめていて
――なんだか、
私までつられて頬が赤く染まるのを感じました。
31: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:23:09.05 ID:hguBaFMC.net
……どうしよう、
なんだか胸が。

とても、とってもドキドキして、
どうすればいいのかわからないよ。

私も真姫ちゃんも、女の子なのに。

ただ真姫ちゃんが「ごめんなさい」って、
この際別に謝らなくてもいいから、
すぐにどいてくれるだけで、
この胸の思いは収まりそうなのに。

せっかく最近仲良くなれたのに、
こんな感情持っちゃダメ、
真姫ちゃんにどう接すればいいのか分からなくなっちゃう。


「ごめんなさいことり、私は別に――」


やめて、真姫ちゃん。

どいて、じゃないと私……
それに真姫ちゃん、その先を言わないで。

それ以上何かを言われたらことり、
勘違いしちゃうかもしれないから。

お願い。
32: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:26:15.62 ID:hguBaFMC.net
「別に、
ことりのことはその、
誰よりも可愛いとは思ってるけど、
意図的にこんなことをしようとは思ってなかったのよ。
た、たまたまよ。
たまたま」


素直じゃないね、
って思いながら……私は考える。

真姫ちゃんは、
自分が恋をしている事には気付いていないのかもしれない。

ううん、ダメ。

それはことりが都合よく解釈しようと思ってるだけ。

それにこれは、
彼女の言うとおりただの事故なの。

でも一つだけ。

真姫ちゃんに「誰よりもかわいい」と言われて、
本当に分かったことがある。

私は今、
真姫ちゃんに――恋をしちゃった。
33: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:29:25.37 ID:hguBaFMC.net
今までこんなことなかったし、
一度は穂乃果ちゃんとか海未ちゃんで
恋を想像してみたことはあったけど、
やっぱり二人は大切な親友で……。

なんでなんだろ。

なんでことりは、
真姫ちゃんのことを好きになっちゃったのかな。

これがきっかけ?

可愛いから?

ううん、きっとそれだけじゃないよ。

だって真姫ちゃん、
私と違って作曲もできるし、
ピアノも弾けちゃうし、
頭もいいし、
とっても頼りになるんだもん!

自分に自信も持ってるし、
すぐにくよくよしちゃう私とは全然違う。

いくらでも真姫ちゃんの素敵なところが、
思い浮かんできちゃう。
34: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:31:23.81 ID:hguBaFMC.net
「まきちゃん……」

今真姫ちゃんの目には、
私はどんなふうに映ってるのかな。

私の方が年上なのに、
なんか全然かっこいい顔、
できてない気がする。

好きな人が私の上にいると思うとドキドキしすぎちゃって、
もう何を考えてるのかもさっぱりわからないや。

どんな表情をしてるのかも、
分かんない。

とにかく今は、
いつもピアノを弾くとき綺麗なその指で、
こうなる前にしていた事の、
続きをして欲しかった。


「まきちゃん、マカロンちょうだい」


顔は真っ赤だけど、
なんだかとても大人っぽくてかっこいい表情の真姫ちゃんが、
小刻みに揺れる指で、
私の口にマカロンを入れてくれた。

真姫ちゃん色の、
ことりの大好きなチーズケーキ味のマカロン。

自分で作ったものだし、
練習で何度も食べてるのに、
全然味が違う。

脳が溶けて、
頭から出ちゃいそう。

なんだか、
今までことりが知ってるものとは比べ物にならなかった。
35: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:34:16.99 ID:hguBaFMC.net
…………マカロンはもう食べさせてもらったのに。

それにマカロンを手渡されて、
もう一回真姫ちゃんに「あ〜ん」もしたのに。

それでも真姫ちゃんが、
まったく私から降りようとしません。

なんでなの、
真姫ちゃん。

ことり死んじゃうよ?

恥ずかしすぎて。

だって、そんな。

今誰かに見られたら、絶対に誤解されちゃうよ?

二人きりの、それもあなたの部屋で、
こうして押し倒されてる光景。

ううん、
別にことりは誰かに見られてもいいなんて思ってないんだけど、
もしパーティーの時間より早く皆がここに来たら……。

その、真姫ちゃんはいいの?

だってただ仲がいいね、で済むような近さじゃないよね!

未だに上体を起こそうとすらせずに、
ずっと手を床について髪が顔に掛かったままだし。
36: ピュアピュア路線だからエロはないよ!(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:37:24.40 ID:hguBaFMC.net
「…………」
「…………」


二人とも、何も喋らない。

私からは、何も声が出ないよ。

ただただ、
真姫ちゃんのキラキラした瞳を見つめて、
髪の毛の香りを嗅いでいるだけで、
時間が過ぎちゃう。

……ハグがしたいな、って私が思って数秒後、
真姫ちゃんが何か「ごめん」って、
小さな声で呟きながら、
少しやりにくそうに肘を地面に付けちゃった。

太ももが当たって、なんだか気持ちいい。

両手で頭を押さえられる感じなのかな?

真姫ちゃんの鼻が髪の毛にあたってくすぐったい。

って、真姫ちゃん、

私の頭に頭を埋めてるってことだよね?

ばれないようにこっそりしてたつもりだったけれど、
真姫ちゃんも私みたいに香りを嗅ぎたくなっちゃったのかな。

でも、こうして体を寄せてくれたってことは、
私もハグしていいってことだよね?

キスは恥ずかしいから、
ことりは真姫ちゃんに抱きつくだけで十分だったのに、
なんだかもうそれが叶っちゃって不思議な気分。

私はできるだけそっと、
そっと真姫ちゃんの体に抱きついて、
自分の胸の方に引き寄せました。

あぁ、でもダメだ。

今度は首筋が……真姫ちゃんの首筋がことりの鼻の位置に来ちゃった。

なんで汗かいてるの、真姫ちゃん。

ついさっきまでは、
ことりはそんなの嗅ぎたがるような子じゃないと思ってたのに。
37: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:40:08.88 ID:hguBaFMC.net
「まきちゃん、まきちゃん……」
「ことり、ことり……」


だめ、だめです。

名前を呼ばないで、お願い。

もうのど元まで好きって出かけてるの。

そんなこと言われたら、もうことり、
真姫ちゃんのことを我慢できなくなっちゃう。

もっともっと、
ずっと思いっきり抱きしめたくなっちゃうよ!

でも、
気持ちを伝えたら、
終わっちゃうかもしれない。

ここまできて嫌いなはずがないのに、
臆病なことりは、
最後の一言がどうしても言えない。

ああ、どうしたらいの?

いっそのこと、もっと名前を呼んでくれると勇気が出るのかな?

怖いよ。

本当に真姫ちゃんは私を好きでいてくれるのかな。

でも、この気持ちが許してもらえるのなら……
ことりが、先に言いたいな。

だって今のままじゃ真姫ちゃんの方が年上みたいなんだもん。
38: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:43:32.91 ID:hguBaFMC.net
「ことり……っ!」


ああ、なんだか不思議。
心の準備ができちゃった。
真姫ちゃんがさっきより大きな声で、
私の名前を呼んでくれたから。


「真姫ちゃん、好きだよ。
ことりは真姫ちゃんのことが、好きなの!」


言葉を聞いた真姫ちゃんは、
ずっと私の頭に押し付けてた顔をこっちに合わせて、
なんだかびっくりしたような、
今初めて自分が恋に落ちているってことに気付いたような、
ピュアな表情で。


「ことり、私も。
私もあなたのことが好きみたい。
私も、好きみたいなの」


そう言う真姫ちゃんはやっぱりとてもかわいくて、
そしてそんな素敵な返事を頂けたことがとてもとても嬉しくて、
幸せで、
安心して。

さっきは恥ずかしいし、
ハグだけで満足なんてこと思っちゃったけど、
ことりはそっと真姫ちゃんの頭の後ろに、
手を回していました。

えへへ、なんでかな。

とってもとっても恥ずかしくて、
しかも初めてのはずなのに。
39: おまけというかなんというか、下から始まるよ(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:46:25.19 ID:hguBaFMC.net
それは今まで口に触れた何よりも艶やかで、
私達の周りの時間が溶けて崩れ落ちそうな程に甘くて。

ほんの少し体の一部が触れただけであるとは
とても思えない素敵な気持ちを、
二人の間にもたらしてくれました。

ファーストキス、
なんだよね、これが。

真姫ちゃんはどうなのかな。

心配そうな表情が出ていたのか、
「私も初めてよ」と言ってくれる真姫ちゃん。

その可憐で愛おしい少女は姿勢を起こしてかっこよく私に手を差し出し
――真姫ちゃんからもキスがしたいのかな――
じっと私の唇を見つめています。


「ことり、もう一回だけいいわよね?」
「もちろん、いいよ」


これが、ことりと真姫ちゃんの、
ちょっぴり甘いマカロンの味がする初めてのキスでした。
40: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:48:40.98 ID:hguBaFMC.net
「えりち、真姫ちゃんまだ電話でないん?」

「ええ、さっぱり」


凛と花陽が、不思議そうに顔を見合わせる。


「おかしいですね。ことりもさっきから電話に出ないんです」


海未も穂乃果もやはり、同じく不思議そうな表情。


「ど〜せ、チョコ作りって聞いて張り切り過ぎてるんじゃないの?
まだ早いんだし、後で迎えに行きましょ」


にこはそう言うけれど、
さすがに電話に気付かない程熱中するってことは、
私はないと思う。

真姫の家の扉をじっと見つめつつ、
どうしたものかと指で額を抑えた。


今私達はパーティーの時間よりも早く集合して、
真姫の家の玄関前に集まっている。

『いつも素直じゃない彼女にまずはサプライズで、
家を使わせてもらうお礼のチョコを渡す』
っていうのは、凛の提案。

真姫の都合もあるだろうから、
一応電話は掛けて様子もうかがおうともした。

けれど、さっぱり応答してくれない。

ドッキリにならないから、インターホンも鳴らせずにいる。


「家、もう開いてないかしら」


何となく思いついて、
私はそう声を上げた。

そんなまさかと皆に言われつつも、
私は思い切って一歩を踏み出し、
そっと玄関扉に触れる。
41: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:51:03.92 ID:hguBaFMC.net
何かに緊張でもして忘れてたんじゃないのか、
と思う程不用心なことに――鍵は開いていた。

えぇ〜!?と、後ろから声が上がる。

室内は無音で、
私にはとても真姫がいる雰囲気を感じ取ることはできなかった。

その時穂乃果が、後ろから大きな声を上げる。


「あぁー!あれ、ことりちゃんの靴だよね海未ちゃん!」


真っ先に玄関にあった靴を指さして海未にそう言う穂乃果のセリフに、
みんな揃って、驚かされる。

まさかことりが、もう来ていたなんて!


「これは逆に、
私達がドッキリ計画を知らされてなかったんじゃないのかしら……!」


思わず呟いた私のセリフに、
三度目の驚愕の声が飛び出す。

驚愕の展開にざわついている皆を見回して、
私はサプライズ計画立案者の凛の手を引っ張った。


「大勢で偵察するとバレるわ。
私と凛で様子を見て来るから、
皆は外で待ってて!」


私は任せなさい!とサムズアップしてウィンクをし、
足音を殺して真姫の家へと探索に乗り出したのだった。
42: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:53:09.77 ID:hguBaFMC.net
「ねえ絵里ちゃん、勝手に入っていいの……?」

「ケースバイケースよ」


出来るだけ足音を立てないように室内に入った私と凛は、
まずテーブルに置かれたチョコレートの箱と、
二人の携帯電話を発見した。


「電話、あるじゃない。
気付かないってことは聞こえない別の部屋にいるか、
にこが言うみたいにチョコ作りに専念してるのね。
一応凛は、この部屋の近くを見てて。
私はもっと奥を偵察してくるわ」

「わ、分かったにゃ……!」


誰にも聞かれないようにそっと会議をした私達は、
別行動作戦を決行したのだった。
43: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:55:11.98 ID:hguBaFMC.net
「ことり……っ!」

真姫の声が、
扉を開け放たれた部屋から聞こえた。

出来るだけ慎重に、音を立てずに、
私はそっちの方向に向かう。

髪の毛の先が扉から出ないように、こっそりと覗き込んだ。


「真姫ちゃん、好きだよ。ことりは真姫ちゃんのことが、好きなの!」

「ことり、私も。
私もあなたのことが好きみたい。
私も、好きみたいなの」


「ハ、ハラショー…………」


衝撃的な瞬間を見てしまった。

恐らく絶対に見てはいけない類の、
愛の告白というやつを。

それに私知ってるわ。

皆にたくさんチョコを貰ったお返しを
ホワイトデーにしようと思ってネットで調べた時に出てきたの。

……マカロンは『特別な人』に渡す、って!

あれほど目立つカラーリングなら、
一瞬見ただけでも分かるわ。

確かにテーブルの上には、
マカロンが置いてあったもの!
44: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 02:57:14.95 ID:hguBaFMC.net
私は細心の注意を払いつつ、
玄関の方向へ戻る。

「え、絵里ちゃん!?
どうしたのそんなに慌てて!」

私の焦った表情にビックリしたのか大きな声を上げる凛の口を
手でふさいで周りに聞こえないように「静かに」と囁いた後、
ほとんど抱きかかえるようにして彼女を連れて、
大慌てに慌てて家を出た。

「偵察は成功、作戦は中止よ!
今から私の家でバレンタインパーティーを始めるわ。
二人は携帯にメッセージを送っておいて都合のつく時間帯に
――無理なら明日でもいいけど――とにかく二次会で合流よ!」

程なくして二人はこのメッセージに気付いたものの、
午後にはすぐにばれるようなぎこちなさでパーティーは決行した模様です。
45: 名無しで叶える物語(神宮)@\(^o^)/ 2016/02/15(月) 03:00:25.78 ID:hguBaFMC.net
本当なら10回以上読み返してないと人目にさらさないんだが、
バレンタインに間に合ってなかったんでスマンな
ノーチェックだ

それとこんなとこに投下するの自体初だったが
なにも問題はなかったか?

ことまき好きはぜひことまきのスレの方にも遊びに来てくれ
人が少ないんだ
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『【ことまき】 バレンタインの短編 【南ことり&西木野真姫】』へのコメント

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