【SS】レズと百合と、レンズと友情の解釈

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1: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:25:01.23 ID:7hYtZYGB.net
ややオムニバス風で長めのSS

元スレ: 【SS】レズと百合と、レンズと友情の解釈

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3: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:26:21.20 ID:7hYtZYGB.net
   序

   ぱん ぱんっ

ツバサ「……」

ツバサ「ふう」

「こんにちは。珍しい参拝客の方ですね」

ツバサ「ん──こんにちは」

「A-RISEの綺羅ツバサさん、ですよね?」

ツバサ「ええ。そういう貴方は、」

ツバサ「μ'sの東條希さん、でしょう?」

希「あ、バレちゃった。巫女服やったらバレへんと思ったのになー」

ツバサ「ふふ。貴方がここで働いている事は、元から知っていたもの」

希「ちょっと恥ずかしいなぁ、ツバサさんに知られてるのって」

ツバサ「そう? その姿、凄く様になってるわよ?」

希「……えーと、恥ずかしさのベクトルが違うとゆーか」

ツバサ「あら、間違ってた? 心からの本音だったんだけど」
4: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:27:36.74 ID:7hYtZYGB.net
希「今日はオフの日なん?」

ツバサ「んー、そうね。オフと言えばオフかしら」

ツバサ「やっている事はいつもと変わらないけれど」

希「……レッスンをしていた、とか?」

ツバサ「そう。今は休憩中でね、ここに立ち寄ってみたの」

希「ストイックなんやね、本当に」

ツバサ「貴方達も同じでしょ?」

希「いやいや、ウチらは……、等身大の女子高生に過ぎんよ」

希「バイトが終わった後も、友人と喫茶店でダラダラ過ごす予定やし」

ツバサ「それは奇遇ね、私達も行きつけの喫茶店に足を運ぶ予定なの」

ツバサ「家電量販店と古本屋に挟まれた──緑色の看板が立て掛けてある喫茶店。知ってる?」

希「え、そこって」

希「……最近、ウチらがよく行くところかもしれんね」

ツバサ「本当に? ふふふ、嬉しいわ」

希「う、嬉しい、かぁ。……プレッシャーやなぁ」
5: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:29:05.63 ID:7hYtZYGB.net
ツバサ「ちなみによく使う席は、二階の奥にある──窓側に並べられた小さなテーブル」

ツバサ「あんじゅがそこじゃないと嫌だってうるさいものだから、いつもその席なの。私達だけの秘密ね?」

希「あー……」

ツバサ「……どうかした?」

希「い、いや」

ツバサ「あ、もしかして」

ツバサ「貴方達も、そこをよく使ってたりする?」

希「……恥ずかしながら」

ツバサ「ふっ──あはははっ! 本当に奇遇ね、こうして行き先も席も被っちゃうんだもの」

希「すごい偶然ってあるものなんやねぇ……」

ツバサ「いいえ、運命かもしれないわ」

ツバサ「μ'sには九人を引き合わせた女神が宿っているんだから、ね」

希「──ツバサさんも知ってたんだ、μ'sの意味」

ツバサ「こう見えて、私はμ'sのファンでもあるのよ」

ツバサ「九人揃った時点のライブだって見ているし──伊達に追いかけていた訳ではないの」
6: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:30:02.41 ID:7hYtZYGB.net
希「追いかけられてたなんて、そんな……。μ'sだってA-RISEを追いかけて──」

ツバサ「鶏が先か、卵が先か」

ツバサ「結論を探るのは不毛じゃない?」

希「……そうやね」

ツバサ「さて、そろそろ戻ろうかしら。話せて良かったわ、希さん」

希「うん、また来てねー」

ツバサ「ええ、もちろん。──あ、それと」

ツバサ「最後に一つだけ、いい?」

希「なに?」

ツバサ「九人ものアイドルグループであるμ'sの、」

ツバサ「貴方達の、絆の在り方に対する──貴方の考え」

ツバサ「またいつか、今度にでもそれを教えてほしいの」

希「……いいよ」

希「しっかり考えとこかな」

ツバサ「お願いね、楽しみにしてるわ」
7: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:31:03.74 ID:7hYtZYGB.net
ツバサ「そういえば。えーと──」

ツバサ「何だったかな……」

希「?」

ツバサ「ああ、いつまでも立ちっぱなしでごめんなさい。英玲奈とあんじゅにお使いを頼まれててね、」

ツバサ「飲み物と飴なんだけど、どの飴を買うのか失念してしまったの。電話で聞くしかないわね……」

希「くす。ツバサさんでも、どこか抜けてる部分があったりするんや」

ツバサ「うん、よく言われる。私って結構ドジなのよ」

希「じゃあ、せっかくだし親近感が湧いたから──」

希「これ、よければ有効活用してあげてくれる?」

ツバサ「……黒い、模様の付いたカード? 裏側は空白になっているのね」

希「メモ帳として使えるモノでね。現代人だからこそ、書き物する癖を付けてみるといいよ」

希「……あと、持っていると、少しだけええコトあるかも?」

ツバサ「ありがとう、貰っておくわね。良い素材を使ってるみたいだけど、いくらするの?」

希「ふふ、価値は付いてないんよ。ウチの手作りやから」

 ────
8: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:32:02.57 ID:7hYtZYGB.net
   1部/全4部

絵里「たとえば」

絵里「にこがレズだったとする」

にこ「は?」

にこ「なに言ってんの?」

絵里「にこがレズだったとする」

にこ「もういちど言えだなんて言ってないわよ」

にこ「ネジ外れてない?って言ってんの」

絵里「失礼ね。たとえばの話よ」

にこ「たとえばを付けてもアンタの方が失礼でしょ!」

絵里「最近よく聞くじゃない?」

絵里「レズ営業っていうの?」

にこ「百合営業」

絵里「それ。レッスン中に、ふと気になったのよ」

絵里「μ'sのメンバーがレズだったらどうなるのかしら、って」

にこ「ワンツーワンツー言いながら考えてた内容がソレってどうなの」
9: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:33:03.06 ID:7hYtZYGB.net
絵里「まあ、仮よ。仮にね?」

絵里「にこがレズだとしてね?」

にこ「だとしない」

絵里「ねえお願い、最後まで聞いてよ」

にこ「聞かない」

絵里「ひとくちあげるから、チョコクレープ」

にこ「……」

絵里「じゃあふたくちあげる」

にこ「……」

絵里「好きなクレープいっこまるまる奢ってあげる」

にこ「迅速に話してみなさい」

絵里「スクールアイドルの貴女、矢澤にこがレズだとする」

絵里「どんな形でもいいけど、その情報をファンの方へ発信したとする」

絵里「そしたら、μ'sの人気は上がるのかしら」

にこ「上がらないわね」
10: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:34:02.75 ID:7hYtZYGB.net
絵里「答えるの速すぎよ。ちゃんと考えてる?」

にこ「あのねぇ、レズっていうのは」

にこ「つまり同性愛者のコトでしょ」

絵里「ん」

絵里「うーん……?」

にこ「悩むとこじゃないから」

にこ「同性愛者っていうのは、一般的には受け入れられないモノ」

にこ「ましてやクリーンなイメージを持たなければいけないニコが、」

にこ「いやそもそもスクールアイドルが、よ」

にこ「レズだったら、むしろ人気は下がるに決まってるわ」

絵里「ふーん……?」

にこ「だからなんで首傾げてんのよ、一般論でしょうが!」

にこ「と、いうか」

にこ「アンタの言いたいコトって、そんなんじゃないわよね」

絵里「え?」
11: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:35:02.38 ID:7hYtZYGB.net
にこ「絵里の『たとえば』はこう」

にこ「ニコがレズだったら、ファンの方は──」

にこ「μ'sは盛り上がるのか?」

絵里「ええ」

にこ「この言い方だと、ニコがたったひとりのレズってコトになる」

にこ「言い換えてみれば、」

にこ「9人の中で、たったひとりの同性愛者」

にこ「こう聞くと恐くない?」

絵里「……恐い、かも」

にこ「絵里が言いたいのは『百合営業』について──でしょ?」

絵里「そうよ、レズ営業」

にこ「百合営業」

絵里「どっちでもいいじゃない」

にこ「よくないわよ」

にこ「百合営業っていうのは、ひとりじゃ成立しない言葉なの」
12: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:36:03.67 ID:7hYtZYGB.net
にこ「アンタが言いたいのは、たぶんこういうコト」

にこ「ニコがレズだったら、じゃなくて──」

にこ「ニコがμ'sメンバーの誰かと、よくスキンシップを取り合っていたら」

絵里「ああーそれよそれ! さすがにこね!」

にこ「……なんなの、今日のアンタは」

絵里「そうね、考えてみれば、」

絵里「ひとりレズがいたところで何も始まらないじゃない」

にこ「始まらないし、ドン引きされるのがオチなのよ」

にこ「だけど、複数人の仲睦まじい様子だったら」

にこ「需要は……、まあ、少しはあるかもしれないわね」

絵里「そうよ、そうなの」

絵里「にこと真姫が仲良くしてるところ眺めるの、私は好きだもの」

にこ「別に仲良くしてないし、全然レズじゃないから」

絵里「レズじゃない──そこが問題でね」

絵里「どこまでがレズの境界線なのかしら」
13: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:37:01.90 ID:7hYtZYGB.net
絵里「手を繋ぐとレズ?」

にこ「ただの仲良しでしょ」

絵里「抱きつくとレズ?」

にこ「ソレも仲良しね」

絵里「ふむ」

にこ「……この話、もうやめない?」

希「──エリちにこっちー、やほやほー」

絵里「あ、希」

にこ「遅い。パフェ奢りね」

希「えぇー、遅れるって言ったやん」

希「バイトとはいえ、巫女さんもラクじゃないんよ──っと」

絵里「こらこら、さり気なく人のクレープ食べようとしないの」

希「あん、エリちのケチ」

にこ「そして流れるようにわたしのパンケーキを狙わない! 自分のは自分で注文しなさいよ」

希「もー。急いで駆けつけたっていうのに、いけずやねえ」
14: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:38:04.40 ID:7hYtZYGB.net
希「ま、ウチも糖分不足やし、何も頼まないっていうのもよくないし──」

希「二人は何か追加する? ついでに注文してくるよ」

絵里「そういう事なら、これ。コーヒーのおかわり、お願いね」

にこ「じゃあニコはぁ〜、ストロベリーパフェにしよっかナ〜? もちろん希のおごりでね☆」

希「エリちはいいけどにこっちはやーよ」

にこ「あれれ〜? 宇宙ナンバーワンアイドルを待たせたのはどこの誰ニコぉ〜?」

絵里「最近の宇宙ナンバーワンアイドルって執念深いのね」

にこ「絵里、アンタにもクレープ奢ってもらうの忘れてないんだからね」

希「うわ、エリちにもたかっとるん? にこっちったらみっともなー」

にこ「うるさいわね。無駄口叩いてないで、ほれほれ行った行った」

希「……コレは、オシオキが足りないようやなぁ?」

にこ「……いやココ店内だから。まさか、ね? やらないわよね? ね?」

希「問答無用。宇宙ナンバーワンワシワシの刑やっ!」

にこ「や、ちょ、やめ──ぅひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?!?」

絵里「……あ」
15: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:39:04.65 ID:7hYtZYGB.net
絵里「ねえ、これってレズじゃない?」

希「えっ?」

にこ「……あー、また面倒なのが」

絵里「あまり気にしてなかったけど、希ってレズなの?」

希「えっ、えぇ? ……え?」

にこ「……こっちを見たって助け舟なんか出してやらないわよ」

希「え。れ、レズ、っていうか」

絵里「同性愛者?」

希「いや、え、なに? エリち、いきなりどうしたん?」

絵里「ワシワシって、考えてみればそういうことなのかと思って」

希「深い意味はないよ?」

絵里「でも希以外でそんなことしてる人、見たことないわ」

希「……まあ、そうかもしれんけど」

希「レズ──ではないんやない?」

にこ「なんで疑問系なのよ」
16: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:40:12.75 ID:7hYtZYGB.net
希「だってウチ、レズとかやないし……」

絵里「希がレズかどうかは問題じゃなくてね」

絵里「ワシワシという行為が限りなくレズに近い気がするから、その答えが欲しいのよ」

希「……に、にこっちー」

にこ「……」

絵里「ワシワシがレズでないのなら、一体何がレズに値する──」

絵里「あら? 私のクレープは?」

にこ「あ〜、いっけな〜い☆ ニコニーのちいさなおくちハウスにクレープさんが遊びに来たニコ〜☆」

絵里「あ、あああああああッ!! やってくれたわねっ、にこぉぉぉぉぉぉ!!!」

にこ「なによ、丸ごと一個よりもひとくちの方が安いでしょ」

絵里「ひとくちで食べきられたらフルプライスと変わらないわよ! あまりにも唐突な襲来じゃないかしら!?」

にこ「はいはい、また注文してくりゃいいんでしょ。変なとこでプライド高いんだから、まったく」

絵里「にこに言われたくないわ!! 激おこよ激おこ!!」

にこ「ほら、行くわよ希」

希「う、うん」
17: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:41:07.89 ID:7hYtZYGB.net
希「──なんかおかしいと思ったら、そーゆーコトかー」

にこ「妙にキリッとしてるくせに、ネジが外れてるコトに気が付いてないのよ」

希「だいぶメンドくさいパターンのエリちやね」

にこ「コレに懲りたらワシワシはやめなさいよ」

希「ううん、ソレとコレは別」

にこ「……今後、崖から落ちたって、絶対に手を伸ばしてあげないんだから」

希「ふふ、期待しとるよ」

希「──でも、たしかに」

希「どこまでがレズなんやろね?」

にこ「ワシワシ星人のアンタにそー聞かれてもね」

希「だ、だからぁ、ウチのワシワシは別に、そーゆーのじゃないの!」

希「……単なるスキンシップ、っていうか?」

にこ「さっき論破されたじゃない。そんなスキンシップ見たコトないって」

希「う……。ちょっと百合チックかもしれないけど、ワシワシはそーゆーのではないんよ、本当に!」

にこ「……百合チック、ねぇ────」
18: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:42:06.40 ID:7hYtZYGB.net
   2部/全4部

穂乃果「ふあぁぁん……」

ことり「痒いところはございませんか〜?」

海未「……」

穂乃果「ないよぉ……。つづけてぇことりちゃぁん……」

ことり「は〜い♪」

海未「……」

ことり「こしょこしょこしょ〜」

穂乃果「はふぅぅぅ……」

海未「……」

ことり「ふーってするね?」

穂乃果「うん、してしてぇ……」

海未「……」

ことり「ふぅーっ」

穂乃果「くひぃぃっ……」
19: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:43:05.21 ID:7hYtZYGB.net
海未「……穂乃果」

穂乃果「あふぅ、気持ちよかったぁ……。次は片っぽの方ね!」

海未「穂乃果」

ことり「穂乃果ちゃん、呼ばれてるよ?」

穂乃果「んー? 海未ちゃん作詞終わったのー?」

海未「……まずは起き上がってください」

穂乃果「えー、なんで?」

海未「私が呼び掛けているのです。面と向き合って話すのが道理でしょう」

穂乃果「うーん、ソレはそうだけど。でも──」

ことり「ひゃんっ」

穂乃果「ことりちゃんの膝まくらが気持ちよくって離れられないんだよねぇ」

ことり「ほ、穂乃果ちゃぁん、手つきがいやらしいよぉ」

穂乃果「うひひ、スベスベじゃのぉ〜」

ことり「きゃあ〜♪」

海未「……」
20: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:44:00.64 ID:7hYtZYGB.net
海未「穂乃果。貴方は先程、耳掃除を受けていたのですよね?」

穂乃果「うん。あ、お礼言わなきゃね」

穂乃果「ありがとーことりちゃんっ♪」

ことり「えへへ、どういたしまして♪」

海未「……お礼はともかく」

海未「その、嬌声、と言いますか……」

海未「何やら破廉恥な声が出ていたようですが」

穂乃果「ハレンチ、……なの?」

ことり「いつもの穂乃果ちゃんだったよ?」

海未「いいえっ、破廉恥です!」

海未「たかが耳掃除であのような声を上げられては、聴いてるこちらが恥ずかしくて……」

海未「筆が乗らないではありませんか!」

穂乃果「たかが──たかが耳掃除ぃ!? ソレは違うよ海未ちゃん!!」

ことり「わわっ」

穂乃果「あっ、ゴメンね急に起きちゃって」
22: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:45:09.74 ID:7hYtZYGB.net
穂乃果「ことりちゃんの耳かきはね、しあわせを運んでくれる耳かきなの!」

海未「……む」

ことり「い、言いすぎじゃないかなぁ」

穂乃果「柔らかいし、いい匂いするし、脳がトロけちゃうし!」

海未「耳掃除ではなく、それはことりの良さでしょう!」

ことり「……あぅぅ」

穂乃果「そんなことりちゃんだからこそ、耳かきとの相性がバツグンだってコト!」

穂乃果「ソレをたかが耳かきだなんて軽々しく言い放つのは、ほのかが許さないよ!」

海未「……そうですね、失言を口にしてしまった事については謝ります」

海未「甘く優しいことりならば、耳掃除でも極上の癒やしを与えてくれる事は間違いありません」

穂乃果「うんうん。わかってくれればよし!」

ことり「あの、そ、そんなに言わなくても」

海未「しかし! しかしです!!」

海未「しあわせを運ぶことりの耳掃除が、穂乃果が嬌声を上げる『理由』になっても──」

海未「私の筆を止めた件について、正当化する『手段』には成り得ませんっ!」
23: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:46:06.14 ID:7hYtZYGB.net
穂乃果「セートーカ? つまり、なにが言いたいの?」

海未「単純なお話です。無意識とはいえ、作詞活動に支障をもたらした貴方は、」

海未「穂乃果は……」

海未「──わ、私に謝るべきなのです!」

穂乃果「ぅええっ!? ムチャクチャすぎるよおっ!」

ことり「……うーん」

ことり「穂乃果ちゃんは、なにも悪いコトしてないと思うよ?」

海未「……う」

ことり「どっちかというとその原因を作っちゃったことりの方が、謝らなきゃいけないような、」

穂乃果「ことりちゃんっ!!」

海未「ことりっ!!」

ことり「はひぃ!!?」

穂乃果「ことりちゃんのせいじゃないよ、絶対に!!!!」

海未「ことりが謝る事ではありません、決して!!!!」

ことり「……え、えっと、なんだかゴメンなさぃぃ……」
24: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:47:03.69 ID:7hYtZYGB.net
海未「大体、最近の穂乃果はことりにベタベタしすぎなんです!」

海未「さっきだって! ことりの破廉恥な部分ばかり触って、嫌がっていたというのに!」

穂乃果「太ももくらい撫でたっていいじゃん! それほど嫌がってなかったもん!!」

海未「痴漢の言い訳ですかっ!!」

穂乃果「ほ、ほのかチカンなんかじゃないよっ!!」

ことり「ふたりとも、あの、ケンカは、」

穂乃果「──わかった! 海未ちゃん嫉妬してるんでしょ!」

海未「しっ、嫉妬!? な、なっ、何が、何にです!?」

穂乃果「ほらほら、動揺してる〜」

海未「しし、してません!!」

穂乃果「ことりちゃんの膝まくらがうらやましくて、ほのかに当たってるんじゃないの〜?」

海未「う、羨ましくは──無いとは言い切れませんが、本件とは関係ありません!」

穂乃果「ふーん。ホントかなぁ〜?」

海未「くっ。私は別に、嫉妬など……」

ことり「……」
25: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:48:02.85 ID:7hYtZYGB.net
海未「……貴方は、いつも……」

海未「そうです。そもそも前提が間違ってるんですよ!」

穂乃果「ゼンテー?」

海未「いつまで人に甘えているのですかっ。耳掃除くらい自分で出来るでしょう!」

穂乃果「なっ」

穂乃果「なにさ!! いまさら海未ちゃんが言えたコトじゃないじゃんっ!!」

海未「今更とは何ですか!」

穂乃果「……いつも、してくれてたのに」

穂乃果「ちょっと前まで海未ちゃんが耳かきしてくれてたくせにぃっ!」

ことり「──!」

海未「う、ぐ……!」

穂乃果「最近になって急に、これ以上甘やかすのはよくないから──って、」

穂乃果「してくれなくなったのが悪いんだもんっ!!」

海未「それは、それは穂乃果の事を……っ!」

ことり「海未ちゃん、穂乃果ちゃん。ちょっといいかな?」
26: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:49:01.56 ID:7hYtZYGB.net
海未「ことり……?」

ことり「たしかにね、すこし変だと思ってたの」

ことり「穂乃果ちゃんはいつも海未ちゃんに耳かきしてもらってたから、」

ことり「わざわざことりを頼るなんて珍しいなーって」

穂乃果「……うん」

ことり「それでね、海未ちゃんは──たぶん」

ことり「穂乃果ちゃんの耳かき、ホントはしてあげたかったんじゃないかな」

海未「なっ!?」

穂乃果「……もうやらないって、あれだけ突き放したのに?」

ことり「うん。穂乃果ちゃんのコトを大切に考えてるから、あえて突き放したの」

ことり「だけど、海未ちゃんにとってはずーっとやってきたコトだもん」

ことり「そんなすぐに離れたりできるはずないんだよ」

海未「ち、ちがっ……」

ことり「ちがう?」

海未「……違い、ません」
27: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:50:02.47 ID:7hYtZYGB.net
ことり「きっと穂乃果ちゃんも同じ気持ちなんだと思うよ」

ことり「ホントは海未ちゃんに耳かきしてもらいたいんだよね?」

穂乃果「う、うぅ……」

海未「……はぁ、ことりには嘘を付けませんね」

ことり「ふたりのコトならことりに任せて〜♪」

海未「嫉妬して、無駄に辛く当たってしまった部分があったのも確かです」

海未「私では……、ことりほどの癒やしを、穂乃果に与える事は出来なかったものですから」

穂乃果「ううん……」

ことり「穂乃果ちゃん?」

穂乃果「あのっ! ……あのね、ほのかもね」

穂乃果「海未ちゃんに甘えられないからって、ことりちゃんに甘えて」

穂乃果「仕返しとして、海未ちゃんに見せつけようとしてた。……かもしれない」

海未「なるほど。ふふ、実に穂乃果らしいですね」

ことり「ね。さすが穂乃果ちゃん♪」

穂乃果「な、なんで笑うのーっ!?」
28: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 19:51:02.28 ID:7hYtZYGB.net
海未「ことり、穂乃果」

海未「当たり散らしてしまって申し訳ありませんでした」

穂乃果「……ほのかも」

穂乃果「ワガママばっかり言って、ごめんなさい……」

ことり「うんうんっ。それじゃあ今度は、わたしにも言わせてね?」

ことり「ふたりの気持ちをすぐに汲み取ってあげられなくて、ごめんねっ」

ことり「……みんなで仲直りしよう?」

海未「はいっ!」

穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん──」

穂乃果「──ぎゅーっ!!」

ことり「ほっ、ほにぇかちぁ!?」

海未「ほにょかぁ!?」

穂乃果「みんにゃず〜〜〜っといっしょにゃにょおーっ!!」

海未「く、くっちゅきしゅぎでしゅう! ほにょかー!!」

ことり「にゅふふ〜、こにょりもみんにゃらいしゅきい〜♪」
30: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:09:50.56 ID:7hYtZYGB.net
「んー、ん、入るよー」

穂乃果「ゆきほー? いいにょー」

雪穂「……相変わらずなかよしだね、みんな」

海未「いちゅまにぇこにょままにゃんでしゅか! はにゃれ──っなさい!!」

ことり「わ、お菓子いっぱい!」

雪穂「あー、えと、すぐに持っていきたかったんだけど、なんか言い争ってたから」

海未「き、聞こえていたのですか。恥ずかしいです……」
31: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:11:30.85 ID:7hYtZYGB.net
雪穂「だいたいおねーちゃんが原因なんでしょ? ゴメンね海未ちゃん、ことりちゃん」

ことり「ぜんぜん謝らなくても大丈夫っ。もっと仲良くなれたんだよ〜♪」

穂乃果「そうそう! ほのかのおかげと言っても過言じゃないね!」

海未「途端にそうやって調子に乗るのは悪い癖ですよ、穂乃果」

雪穂「……さてはおねーちゃん、反省してないね?」

穂乃果「しっ、してるよお! っていうか、雪穂は関係ないでしょ!」

雪穂「そっか、そんな言い方するんだね」

雪穂「なら──あのコト、バラしちゃおっかなあ……?」
32: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:13:00.40 ID:7hYtZYGB.net
穂乃果「……あ、あのコト?」

ことり「なになに? 教えて〜♪」

海未「面白いお話になりそうですね。……穂乃果の怯えきった表情を見る限り」

穂乃果「待って待って! どれなの? どのコトっ!?」

雪穂「ふふふ、聞かせてあげようか」

雪穂「ついこの前ね、海未ちゃんに耳かき頼んだのに断られたって話をされて、」

穂乃果「わあああああああああ!?!? やめやめっ、雪穂やめーーーっ!!??」
33: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:14:01.35 ID:7hYtZYGB.net
海未「捕らえました! ことりっ、今です!」

ことり「は〜いっ。お耳を借りるね穂乃果ちゃん♪」

穂乃果「は、離して海未ちゃん!! いまはダメことりちゃんっ──」

ことり「ふぅーっ」

穂乃果「あひぇぇぇえ……」

雪穂「……な、ナイス連携だね。では、改めて」

海未「続きをどうぞお願いします、雪穂」

ことり「穂乃果ちゃんはことりの膝まくらにセットしておきますっ」
34: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:17:01.37 ID:7hYtZYGB.net
穂乃果『──だってさ、だって、海未ちゃんの膝まくらは、ほのかの特等席だったんだよ!?』

雪穂『おねーちゃんが勝手にそう思ってるだけでしょ』

穂乃果『だってぇ……』

雪穂『もー。おねーちゃん高校生なんだよ? 恥ずかしくないの?』

穂乃果『スーパー幼なじみの海未ちゃん膝まくらはトクベツなんだもんっ』

雪穂『理由になってないし、しかもことりちゃん省かれてるし、かわいそー』

穂乃果『あ、や、ことりちゃんは、そうじゃなくて』
35: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:18:01.88 ID:7hYtZYGB.net
穂乃果『ことりちゃんの膝は……、あまり、余計なコトで負担を与えちゃいけない気がして』

雪穂『海未ちゃんならいいんだ?』

穂乃果『あっ、揚げ足とらないでよおーっ!!』

雪穂『ホント、かわいそうで仕方がないよ。おねーちゃんみたいなのが二人の幼なじみでさー』

穂乃果『ううー……』

穂乃果『海未ちゃんもことりちゃんも、家族だったら良かったのになあ……』

雪穂『ふぅーん、わたしじゃ不服ってコトですか、そうですか』

穂乃果『そ、そうじゃないけど!』
36: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:19:13.59 ID:7hYtZYGB.net
穂乃果『……海未ちゃんに耳かきされてる時って、お母さんを思い出すの』

雪穂『ウチのおかーさん?』

穂乃果『うん──というより、母性を感じる……、って言った方がいいかな』

穂乃果『ただの耳かきじゃないんだよ。ヨゴレごと、ほのかが抱えてるイヤなコトをなにもかも取り除いてくれて……』

穂乃果『いつの間にか赤ちゃんみたいに寝ちゃってるほど──やさしい耳かきなの』

雪穂『……まあ、なんとなくイメージは掴めるけどさ』

穂乃果『ことりちゃんもね、ぽわぽわしてるように見えて、かなりしっかりしてて……』
37: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:20:05.33 ID:7hYtZYGB.net
穂乃果『だらしないほのかから見れば、すべてを包み込んでくれるお母さん──って感じでね』

穂乃果『耳かきしてくれるとしたら、ありったけのしあわせを流し込んでくれるんだろうなぁ……』

雪穂『おねーちゃん……。どんだけ好きなの、二人のコト』

穂乃果『好きなんてもんじゃないよ! できるコトなら結婚したい!!』

穂乃果『たくさんたくさんたーっくさん甘えたいっ!!』

雪穂『……うわぁ、もはやドン引き』

穂乃果『だから雪穂っ、海未ちゃんの代わりに耳かきしてぇー!』

雪穂『やんないよっ!!』
38: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:21:02.25 ID:7hYtZYGB.net
雪穂「──以上。すべて実話です」

海未「……」

ことり「……」

穂乃果「……」

海未「ふむ、私が穂乃果の母親ですか……」

ことり「穂乃果ちゃん、ことりの耳掃除も母性たっぷりだった〜?」

雪穂「え、なに、膝の心配してたくせに、ことりちゃんにも耳かきしてもらったの?」
39: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:22:01.53 ID:7hYtZYGB.net
海未「ええ、とても艶めかしい声を上げていましたよね、穂乃果?」

ことり「結婚したらいつでもしてあげられるね〜♪」

穂乃果「……〜〜〜、〜〜〜〜!!」

雪穂「す、すごい声でうなり始めた。こんなおねーちゃん見たコトないよ……」

海未「試しに三人で結婚してみましょうか?」

ことり「さんせ〜い♪」

雪穂「……あはは、本当にみんななかよしというか」

雪穂「なかよしを越えちゃってる、というか────」
40: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:24:00.79 ID:7hYtZYGB.net
   3部/全4部

凛「──ああ、かよちん、真姫ちゃん。凛はもうダメみたい……」

花陽「イヤだよ凛ちゃんッ! そんなコト言わないで!!」

真姫「リンノバカーヤメテーイカナイデー」

凛「きっと口付けをしすぎた罰だよね……」

花陽「そんなの! そんなのいくらでもさせてあげるからッ!!」

真姫「ソウヨーイマハイキルホウガダイジデショー」
41: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:25:07.36 ID:7hYtZYGB.net
凛「ふふ……。うれしい最期だ……、な……──」

花陽「凛ちゃん……! 凛ちゃーーーんッ!!」

真姫「ダメーリーン」

凛「……真姫ちゃん、ちょっと」

真姫「なに?」

凛「真剣にやってよー! 凛もかよちんも一生懸命なのにぃー!」

花陽「えへへ、結構たのしいかも」

真姫「……あのねぇ」
42: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:26:04.40 ID:7hYtZYGB.net
真姫「あの映画はとても良い出来だったし、今のシーンも感動したわ」

凛「うんうん! 思わず三人同じタイミングで泣いちゃったくらいだもんね!」

真姫「……そのシーンを再現してみたくなる気持ちもわかるけど」

花陽「あれほどの感動と興奮、しばらくは忘れられないよねっ」

真姫「……」

真姫「何も、帰り道でやらなくたっていいじゃない」

凛「ええー、別にセリフだけなのに。真姫ちゃんは恥ずかしがり屋さんだにゃー」
43: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:27:03.44 ID:7hYtZYGB.net
真姫「誰だって恥ずかしいに決まってるでしょ!」

花陽「そうかなぁ? わたしはそうでもないよ?」

凛「ほらっ、かよちんなんか凛よりも本気で演じてたんだよ。ぜんぜん恥ずかしくないって」

真姫「花陽までそっち側に行かれるとはね……」

花陽「ふふ、アイドル活動のおかげだね♪」

真姫「そういう問題じゃ──はぁ、もういいわ」

凛「それじゃあ気を取り直してもう一回っ」

真姫「凛と花陽の二人でね」

凛「真姫ちゃんそっけないにゃ……」
44: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:28:00.92 ID:7hYtZYGB.net
花陽「なら、お話しながら帰ろっか」

凛「しょうがないにゃぁ……」

真姫「何がしょうがないのよ。むしろ普通に話したかったっていうのに」

凛「じゃあじゃあ、真姫ちゃんはお気に入りのシーンとかある?」

真姫「そうね。個人的には──」

真姫「主人公が片膝をついて、ヒロインの手の甲にキスをする場面かしら」

花陽「あぁ〜。思い返してみれば、かなり大事な場面だったねっ」
45: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:29:02.21 ID:7hYtZYGB.net
凛「……?」

真姫「場面毎に数えると、確か主人公は物語中に三回ほどキスをしていたけれど」

真姫「最初のキスが手の甲なのよね。終わってみて、よく考えられてると感心したわ」

花陽「主人公の人って最初はかなり軽い雰囲気してるから、ただのあいさつ代わりなんだって思っちゃうんだよね」

凛「……??」

真姫「ええ、海外の文化だからこそ意識させられる上手な演出ね」

花陽「そういうさり気ない場面でも意味があったりするのはすごいよね〜」

凛「……???」
46: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:30:07.43 ID:7hYtZYGB.net
花陽「……凛ちゃん、どうしたの?」

凛「いや、えっと」

真姫「まさか、覚えてない──なんて言うんじゃないでしょうね」

凛「覚えてるよっ、ちゃんと見たもん! ……ただ、なんていうか」

凛「ちゅーするのって、そんなにすごいシーンなの?」

真姫「……私の話、聞いてた?」

花陽「あのシーンは、その瞬間がすごいっていうよりは、」

花陽「徐々に積み重ねていくコトで、はじめて意味が生まれるシーンなんだよ」
47: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:31:01.23 ID:7hYtZYGB.net
凛「うーん、そっかぁ」

真姫「まだ煮え切らない感じね」

凛「いまいちそのすごさがわかんなくて……」

凛「手にちゅーするくらいなら凛だって、かよちんと真姫ちゃんにいつもしてるし」

真姫「ある意味それも凄い事でしょ。……まあ、もう慣れちゃったけど」

花陽「キスしてる本人からしたら──意味がある行為なんだって、実感が湧かないのかもしれないね」

凛「そーなのかなぁ……」
48: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:32:01.94 ID:7hYtZYGB.net
真姫「で、花陽のお気に入りの部分は?」

花陽「わたしもね、やっぱり真姫ちゃんと同じ感じで」

花陽「ほっぺにキスするところかなぁ」

真姫「そこも良いわね。主人公とヒロインの、心の揺らぎが伝わってくる場面だったわ」

花陽「うん。パッと見たら、手にキスするより軽さを感じるんだけど、」

花陽「前よりもふたりの距離が近くなってて、見てるこっちがあわわ〜ってなっちゃうな〜」

真姫「何気ない日常の一部分でもあるし、あの映画の中では珍しく、優しいところよね」
49: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:33:00.28 ID:7hYtZYGB.net
花陽「うんうん♪」

真姫「……さて、一人沈黙してる訳だけど」

凛「あっ、凛のコトはおかまいなく」

真姫「お構いなく、じゃないわよ。さっきのテンションはどこに置いてきたの?」

花陽「凛ちゃん、このお話もよくわからない?」

凛「……うん。ほっぺにちゅーでしょ? ソレだっていつもかよちんと真姫ちゃんに──」

真姫「待った、私はやらせてないわよ。ギリギリのところでいつも食い止めてるんだから」

花陽「あはは……」
50: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:34:01.89 ID:7hYtZYGB.net
真姫「誰彼構わずキスしすぎなのよ、凛は」

凛「そ、そんなハレンチな子じゃないにゃ! 大切な友達にしかやらないよ!」

真姫「それを誰彼構わずって言ってるの!」

花陽「ちいさい頃からしてるもんね、凛ちゃん」

凛「かよちんは世界で一番の友達だし、ほっぺも世界一やわらかいからね!」

凛「あ、真姫ちゃんも世界で一番の友達だよ。一番中の二番!」

真姫「なにそれ、意味わかんない……」
51: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:35:00.82 ID:7hYtZYGB.net
花陽「わたしも大切なお友達だと思ってるよっ、真姫ちゃん、凛ちゃん♪」

真姫「……と、友達なのは、別にいいけど」

真姫「その友達に、キスをするっていうのはどうなのよ」

凛「んー、ちゅーはちゅーでも口にはしないし、やらしい意味でやってるワケじゃないし、」

凛「むしろ友達ならフツーだよ。絶対そうにゃ!」

真姫「……なんだか凛じゃ参考にならないわ。花陽はどう思う?」

花陽「え、えと、女の子だし、多少のスキンシップだと思えばいいんじゃないかなぁ?」

真姫「そういうものなのかしら……」
52: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:36:00.83 ID:7hYtZYGB.net
凛「真姫ちゃんはちゅーしたコトないからわからないんだよ」

真姫「べ、別にわかりたくもないわよ!」

凛「ふふん、真姫ちゃんにはちゅーできる友達いなかったもんねー」

花陽「り、凛ちゃんっ」

真姫「……そうよ」

真姫「高校の友達って、どういうものなのか知らなかったから──」

真姫「──凛と花陽で、知っていこうとしてるんでしょ。……わ、悪い?」
53: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:37:02.01 ID:7hYtZYGB.net
花陽「……真姫ちゃん」

凛「……」

真姫「……何か言いなさ」

凛「真姫ちゃん真姫ちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃーーーんっ!!」

真姫「うぇぇっ!? や、やっぱりこうなると思ったぁ!!」

花陽「ふふっ。本当に、大切なお友達だよ♪」

凛「真姫ちゃんっ、ちゅーさせてちゅーちゅー!!」

真姫「大切な友達ならこのドラ猫を止めなさいよぉっ!!?」
54: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:38:01.08 ID:7hYtZYGB.net
凛「あぅぅ。痛いよぉ、ふぇぇん……」

真姫「まきちゃんチョップは手加減知らずなのよ、覚えておきなさい」

真姫「……ま、私だって──キスくらいなら、パパに……」

花陽「真姫ちゃん?」

真姫「な、なんでもないっ」

花陽「んーと、何の話してたんだっけ?」

凛「ちゅーの話?」

真姫「違うわよ、お気に入りのシーンはどこかっていう話」
55: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:39:04.70 ID:7hYtZYGB.net
花陽「そういえば凛ちゃんだけ聞いてないね?」

凛「あっ、凛ね! あそこが好き!」

真姫「どこ?」

凛「主人公がたったひとりで侵略者と戦うコトになったところ!」

凛「一度ピンチになっちゃうけど、そのあとの逆転がすごかったよね!」

凛「画面がぐわんぐわん動いて、もー何がなにやらわかんなくて、とにかくスタイリッシュだったのは覚えてる!」

花陽「うん、カッコよかったねー♪ やっぱり映画館で観ると迫力満点だねっ」
56: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:40:01.89 ID:7hYtZYGB.net
真姫「……凛が言うと、途端にチープな物に思えてくるわね」

凛「あー! バカにしてる!!」

花陽「でも、あのCGはホントによくできてたよ?」

真姫「い、いやCGに関しては私も感心したけど」

凛「凛しってるよ〜? 真姫ちゃんたら小声で「いけいけっ」とか言ってたの〜」

真姫「それは凛でしょ!」

花陽「あははっ。ポップコーン手にしたまま、しばらく釘付けになってたね」

凛「あ、かよちんにもバレてたにゃ……」
57: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:41:01.27 ID:7hYtZYGB.net
真姫「──じゃなくって」

真姫「キスする場面が取り上げられてた流れから、いきなりアクションシーンを語り始めるのは、」

真姫「……凛らしいと思っただけよ」

凛「またバカにしてる!!」

真姫「してないわよ!!」

花陽「たしかに一回目と二回目のキスのお話をしてたら、ちょうど三回目でそのお話が出ても──あ」

凛「かよちん?」
59: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:42:13.16 ID:7hYtZYGB.net
花陽「う、ううん。気にしないでっ」

凛「顔が赤くなってるよ?」

真姫「花陽、気分が悪いならちゃんと言いなさい」

花陽「ちがうのっ」

花陽「……三回目のキス、思い出しちゃって」

凛「三回目? ──っ」

真姫「普通のキス、だったわよね。それが何?」
60: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:43:12.08 ID:7hYtZYGB.net
花陽「え。ふつう──なのぉ……?」

真姫「大人のキスなんだから普通のキスでしょ。さっきからどうしたのよ」

花陽「だってだって、真姫ちゃんは恥ずかしくないのっ?」

真姫「……どうして恥ずかしくなるの。さっきも話した通り、重要な場面じゃないの」

真姫「手の甲、頬と来て──最後に唇へキスをするのは、心から繋がり合う事が出来た証明でしょ? それもディープキ」

凛「にゃあああああああああああああ!!!!」

花陽「ぴゃあああああああああああああ!?!?」

真姫「きゃあああああああああああああ!!??」
61: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:44:03.22 ID:7hYtZYGB.net
凛「真姫ちゃんのバカ!! エッチ!!! スケベ!!!!」

真姫「なななっなんでそうなるのよっ!?」

花陽「ちょ、ちょっと過激かなぁ……」

真姫「きっ、キスの話してたじゃない。今更すぎよ!」

凛「もう今年の真姫ちゃんハウスには絶対カモナってもサンタさんやってこないからね!!!」

真姫「勝手に決めないで!! 来るに決まってるわよっ!!!」

花陽「……はぁ、はぁぁ……」
62: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:45:13.78 ID:7hYtZYGB.net
凛「にゃ、にゃぁぁ……。真姫ちゃんが変なコト言うからぁ……」

真姫「ぜぇ、……ぜぇ。知らない、わっ……」

花陽「……だって、まだオトナじゃないから……、は、恥ずかしいよぅ」

凛「さすがに凛も、あそこまでしないもん……」

真姫「そんなのされてたらとっくに友達の縁切ってるわよっ」

真姫「っていうか貴方達の経験どうこうは関係ないし、ただの映画なんだから落ち着いて観なさいよ」

凛「サンタさんには一途なのに真姫ちゃんはオトナだにゃー……」

真姫「子供すぎるの! 貴方達が!」
63: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:46:11.06 ID:7hYtZYGB.net
真姫「それに、今はそうして絵空事の様に恥ずかしがっていられるけど」

真姫「花陽なんかは特に、今にも貞操を奪われかねないのよ?」

花陽「えっ、て、ていそう?」

真姫「貴方のすぐ隣にいるんだから。……重度のキス魔がね」

凛「にゃぁぁぁぁぁッ!?! りっ、凛はっ、き、キス魔なんかじゃないし!! オトナの──なんかしないよ!!!」

花陽「オトナのぉ?! ……はうぅ」

真姫「ちょちょ、ちょっと!! 誰も大人のキスとは言ってないでしょっ!!?」
64: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:47:02.97 ID:7hYtZYGB.net
凛「お、オトナのじゃなかったら──」

花陽「────ソレ以上なのぉぉぉぉ!?!!!?」

真姫「ななななななんでよっっっ!!!??!?」

凛「真姫ちゃんのバカ!! トマト!!! ナス!!!! キュウリ!!!!! ニンジン!!!!!!」

真姫「意味わかんない!!!!!!」

凛「……あぅ、めまいが……」

花陽「凛ちゃんっ!!!」

真姫「凛!?」
65: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:48:02.15 ID:7hYtZYGB.net
凛「──ああ、かよちん、真姫ちゃん。凛はもうダメみたい……」

花陽「イヤだよ凛ちゃんッ! そんなコト言わないで!!」

真姫「……ん?」

凛「きっと口付けをしすぎた罰だよね……」

花陽「そんなの! そんなのいくらでもさせてあげるからッ!!」

真姫「……」
66: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:49:03.63 ID:7hYtZYGB.net
凛「ふふ……。うれしい最期だ……、な……──」

花陽「凛ちゃん……! 凛ちゃーーーんッ!!」

花陽「誰か────ダレカタスケテーーー!!」

真姫「……ねえ、」

真姫「なにこれ」

凛「秋葉の中心で愛を叫んだかよちん?」

真姫「……近所迷惑よ。まきちゃんチョップ!」

凛「あだっ」

花陽「あ痛ぁっ────」
67: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:51:26.36 ID:7hYtZYGB.net
   4部/全4部

絵里「にこの奢りのクレープはぁ、おいしいなー♪」

にこ「はいはい良かったわね」

希「エリちのそういうしたたかでかしこいところ、ウチはキライやないよ」

絵里「ん? うん、ありがとう?」

にこ「あまり褒められてないわよ」

希「人に向かってレズレズ言うかしこくないエリちはキライやけどね」

絵里「──ぶふっ!? ぐふ、ごほっ!!」
68: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:53:00.84 ID:7hYtZYGB.net
にこ「あー、コーヒー飲んでる最中なんだから……。あーもー、ほら大丈夫?」

希「ウチをいじくり回した罰やもん」

絵里「げほ、げほっ。ちっ、違うわよっ」

希「なにが違うん?」

絵里「希が来る前にそういった話をにことしてて、」

希「ソレはもうにこっちから聞いた」

にこ「……かいつまんで説明しただけよ」
69: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:54:01.09 ID:7hYtZYGB.net
絵里「なら話が早いじゃない。私は考察をしていただけなの」

希「考察?」

絵里「レズと百合と、友情の考察を」

にこ「……そんな収拾つかなくなりそうな話だった?」

絵里「そもそもね、にこにも言ってなかったけれど」

絵里「これはちゃんとした理由があって振った話なのよ」

希「ふーん?」
70: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:55:04.71 ID:7hYtZYGB.net
絵里「まず、レズ営業という言葉が持つ意味」

にこ「百合営業。……いい加減覚えたらどうなの」

絵里「そうね、そろそろその件についても話しておきたいわね。──とりあえず」

絵里「百合営業ってどういう意味なのかおさらいしない?」

にこ「え、話が勝手に進んじゃってるけど。またこの話題に戻るワケ?」

希「ウチは別にええよ? ……どうにかしてエリちに反撃しておきたいし、ね」

絵里「ま、まあ話に乗ってくれるなら何でもいいわ」

にこ「いやいや、なんかヤバめの黒いカード取り出してるし! 今のうちに謝っときなさいよ!」
71: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:56:02.34 ID:7hYtZYGB.net
希「や、このカードはメモするためのモノやから。気にせんといて?」

にこ「明らかに怪しいんだけど……」

絵里「じゃあにこ、百合営業の説明をお願い」

にこ「わたし!? ……はぁ、しょうがないわね」

にこ「──昨今の業界──アイドルはもちろん、タレントや芸能人、特に若手の声優なんかが筆頭かしら」

にこ「それらの業界人達が広報活動をするに当たって、その道のファン層を最も手早く、わかりやすく取り入れられる方法」

にこ「ソレが百合営業。仲が悪いところを見せつけるよりかは、仲の良さを見せつけた方が断然いい──」
72: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 20:59:04.80 ID:7hYtZYGB.net
にこ「そして、女性同士のスキンシップ──つまり百合に該当する行為を選ぶ理由は、異性との浮いた話よりも同性の話ならば後々」

絵里「にこ、希が眠くなってるからもっと易しめに喋ってくれる?」

希「すやすや……」

にこ「ホントに寝てんじゃないわよぉ!? メモはどうしたのメモは!!」

にこ「……ったく。百合営業なんてね、しょせん造語なの」
73: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 21:00:12.21 ID:7hYtZYGB.net
にこ「使う人によって意味は変わってくるし、100%正しい意味なんてないも同然なのよ」

絵里「とにかく──百合文化は角が立ちにくい物だから、それを盾にして売っていくやり方の事──という認識でいいの?」

にこ「かなり端的に言えばそういうコト。……なによ、絵里が説明すれば良かったじゃない」
74: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 21:01:20.73 ID:7hYtZYGB.net
絵里「百合営業は悪い事なのかしら?」

にこ「一概に悪いとは言えないわね」

にこ「需要があるからやっている、という見方もできるワケだし」

絵里「ふむ……」

絵里「それを踏まえた上で、もう一つ確認しておきたい事があるの」

にこ「なに?」
75: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 21:05:11.74 ID:7hYtZYGB.net
絵里「あくまでも、百合営業というのはファン側が勝手に名付けた物であって、」

絵里「その業界の人達が、これは百合営業だと公言している訳ではないのよね?」

にこ「ええ、公言してるパターンがあるかは知らないけど……」
76: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 21:06:10.00 ID:7hYtZYGB.net
にこ「大抵は憶測で使われる言葉ね。レッテル貼りのようなモノよ」

絵里「オッケー、理解したわ。ようやく本題に移れるわね」

にこ「ま、まだ本題じゃなかったのぉ?」
77: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 21:07:07.25 ID:7hYtZYGB.net
にこ「ってかメモ係! 黒いカードのメモ係!!」

希「……んぁ? うん、聞いとる聞いとる……」

にこ「マジで寝てどうすんのよ! 結局ニコに押しつけてあとはポイすんじゃないわよぉ!?」
80: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:13:09.94 ID:7hYtZYGB.net
希「んー、参加しといて言うのもアレなんやけど、バイトが結構しんどくて……」

絵里「あら、希が疲労を訴えるなんて珍しいわね?」

希「なんだかね、今日は肩に響きまくりで大変やったよ」

にこ「力仕事? 重いモノでも運んでたの?」

希「うん、重かった。ウチの豊満なバスト」

にこ「自慢かっ!!!」

絵里「何コントしてるのよ……。話、続けてもいい?」

希「眠くならない程度のやわらかい雰囲気で話してな。ウチの豊満なバストみたいに」

にこ「だから自慢かっ!!!!」

絵里「確かにちょっと堅苦しかったかもね、わかったわ」

絵里「どうして私が百合営業の話をしたかというとね、」

絵里「いずれμ'sに矛先が向けられるんじゃないか──って思ったからなの」

希「レズだとか百合営業だって言われるんじゃないか、って?」

絵里「そう。こう言うと気恥ずかしいけど、私達は9人もいながら、みんな奇跡的なほど仲が良いじゃない?」

にこ「……改めて言われると否定したくなるわね。しないけど」
82: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:15:59.40 ID:7hYtZYGB.net
絵里「それを茶化すファンの方も、いつか必ず出てくると思うの」

絵里「人気が出てきてからいろんな事に挑戦して、その分いろんなファンも増えてきた訳だから」

希「いろいろやったねー。PV撮ったりブログやったり」

にこ「……どれもただのパフォーマンスなんだから、茶化されたって気にしなけりゃいいのよ」

にこ「ファンの目には、素の私達は届いてないはずだし」

希「そう? にっこにっこにー♪ってヤツ、既にキャラ作りだってバレとるよ?」

にこ「うるさいわね、ほっときなさい!」

希「ソレに、ウチらが仲いいコトは事実であって」

希「……パフォーマンスではないやん?」

にこ「……ふん」

絵里「そうよ、希の言うとおり」

絵里「私達の友情は百合営業の一言で片付けていい物じゃない」

絵里「いつかやってくる未来の為に、私達が取れる手段は何かないのかしら」

希「手段かー」

にこ「……とは言ってもね」
83: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:18:39.84 ID:7hYtZYGB.net
にこ「波風も煙も、立つのがつきものなのよ」

にこ「立たせる人が現れて、治める人が現れて、眺める人が現れる」

にこ「たったソレだけのコト。私達が気にする必要なんてないの」

希「でもウチ、さっきのエリちみたいにレズレズ言われたくはないなぁ」

にこ「まずアンタはワシワシの頻度を減らしなさいよ……」

絵里「もう、そんな根に持つ事ないじゃない」

絵里「レズって言葉に関しては、私は悪い物じゃないと思ってるわよ?」

希「エリちがそう思っててもウチが気にするの! それじゃ百合営業だって言葉を使うのと一緒やん!」

にこ「……ねえ絵里、アンタひょっとして、」

にこ「レズの意味を履き違えてない?」

絵里「え?」

絵里「レズ、っていうのは────」

絵里「──同性に対して、物凄くスキンシップが激しい女性の事でしょう?」

希「……えっ?」

にこ「……」
84: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:22:10.70 ID:7hYtZYGB.net
絵里「え、間違ってる?」

にこ「……なんか違和感あったのよ。妙に会話が成立しなかったり、頑なにレズ営業って言ってたり」

希「ちなみに百合はどんな意味だと思ってるん?」

絵里「レズとほぼ同じ意味じゃないの?」

にこ「……ダメだわこりゃ、今までの話が台無し」

希「……エリち、レズは女性の同性愛のコトなんよ」

絵里「ええっ、聞いてないわよ!」

にこ「言ったでしょうが!! アンタがこの話を振ってきたすぐ後に!!」

希「つまりエリちはウチに向かって同性愛者だと言い放ったってコト」

絵里「そ、そんなつもりはなかったのに……。そうだったのね、ごめんなさい」

にこ「ワシワシはそう言われても仕方ない行為だけどね……」

絵里「じゃあ百合はどういう意味なの?」

希「軽めのスキンシップを多めにする人のコトで──仲良しよりもちょっと上の意味、かな」

絵里「ハラショー……、なるほどなるほど」

にこ「……──んん?」
85: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:24:04.00 ID:7hYtZYGB.net
にこ「ちょっと待って希」

にこ「仲良しよりもちょっと上──の意味? 百合が?」

希「うん。……へ? 他に意味あるん?」

にこ「……ってない」

絵里「にこ?」

にこ「なってないわよアンタらあぁぁぁ!!!」

絵里「ひぃっ!?」

希「ど、どしたんにこっち」

にこ「レズは個人!! 百合は二人以上の絡みを指すの!!」

にこ「個人に対して、あなたは百合ですね、なんて使い方はしないでしょ!!」

絵里「そうなの……?」

希「しっ、知らんよー。そもそもどっちの言葉もまったく使わんもん……」

にこ「加えて言うなら百合は恋愛的に葛藤が生まれるプラトニックなモノで、」

にこ「レズはその葛藤を乗り越えた果てに発生する感情!!」

希「あかん、変なスイッチ押してもーた……」
86: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:27:12.90 ID:7hYtZYGB.net
にこ「つまるところ葛藤が──背徳感があるかないかなのよ! わかった!?」

希「しょ、精進します……」

絵里「……けれど、ちょっとそれは違うんじゃないかしら」

にこ「ああん!?」

絵里「私は同性愛者じゃないし、同性愛者の知り合いがいる訳でもないから詳しい事はわからない」

絵里「だけど同性愛者の人ならば、必ず誰だって葛藤するはずよ。しない人なんていないわ」

絵里「そういった意味では、百合もレズも同じなんじゃない?」

希「おー、エリちがなんだかかしこい」

にこ「……なによ突然」

絵里「間違って覚えていた私が言うのも何だけど、」

絵里「言葉の意味を、素人目線で勝手に分別しようとするのって良い行いとは言えないし」

絵里「何よりも実際の同性愛者の方達に失礼だと思うの」

にこ「うっ……」

希「ソレこそ──素人にしか見えない、ってヤツやね」

絵里「希、今その台詞はやめてくれる?」
87: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:29:15.80 ID:7hYtZYGB.net
絵里「いろいろ説明していたけど、にこの言ってた事だってネットの知識か何かでしょう?」

にこ「べ、別にいいでしょ、ネットでも!」

絵里「それも百合営業って言葉の使われ方と同じじゃないの?」

絵里「にこが言っていたように、人の使い方次第で言葉の持つ意味が変わってくるなら、」

絵里「定義されていない──百合という言葉だって、ネットの海に揉まれて変形しまくってるはずよ」

希「海未は私ですが?」

絵里「……ちゃんと構ってあげるから、リリホワみたいなコントモードは封印しといて」

にこ「はぁ、こんな時だけかしこくなっちゃって……」

にこ「まあ──同性愛を貶すのは良くないし、意味を偏らせるのも、たしかにね」

にこ「あれこれはこういう意味だ、っていう押しつけは不毛だったわ。……ごめん」

絵里「ふふ、気にしないで」

絵里「にこが奢ってくれたクレープ、おいしいもの」

にこ「……は?」

希「ナニソレ、イミワカンナイ」

絵里「うぇ!? だ、だから、あれよ。借りは既に返してもらってるから、謝る必要はないって事で、つまり……!」
88: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:32:07.76 ID:7hYtZYGB.net
希「とりあえずエリちのカッコつけは置いとくとして」

絵里「か、カッコつけっ!?」

希「元の話がなんだったか、そろそろ忘れてる頃合いやない?」

にこ「あー……、なんだったっけ」

絵里「あれよ、あれ。あの、あれを言われない為に対策を講じておこうっていうあれ!」

希「あんまりアレアレゆーとるとボケるよ、エリち」

絵里「希、さっきから酷くない……?」

にこ「そういやメモしてなかった? 黒いカードのヤツ」

希「よくぞ聞いてくれたにこっち! こんな時こそ、のんちゃん特製不思議アイテムの出番なのだ!」

にこ「どんなテンションよ。ってか、ただのメモ帳でしょ」

希「むふふん、ようやくウチにスポットが当たる瞬間やからね。たんと盛り上げておかんと!」

絵里「の、希? バイトで疲れてるのに、無理してない?」

希「エリちは黙ってて」

絵里「……ふぇぇぇん、希が怖いぃ……」

にこ「ああ、反撃ってこういうコトね。……はいはい泣かないの」
89: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:34:01.43 ID:7hYtZYGB.net
希「さあさあ、飛び出しまするは幸か不幸か!」

にこ「だからどんなテンションだっての」

希「その正体は黒いカードのみが知っている──」

希「────あれれ?」

絵里「……どうしたの?」

希「えと、ウチのカード知らん? そっちに落ちてない?」

にこ「ないわね。なに、無くしたの?」

希「どっかいっちゃったっぽい……。せっかく作ったのになぁ」

絵里「お、お手製だったのね」

にこ「啖呵切っといてこんなオチって。……とにかく、近くにはあるはずだから探してみ──」

「────ダレカタスケテーーー!!」

絵里「ひっ!?」

希「……今のは外から?」

にこ「というかあの声って、」

にこ「──花陽ぉ!?!?」
90: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:37:11.73 ID:7hYtZYGB.net
希「コレは──事件の匂いやね。はやいとこ見に行こ!」

絵里「えっ、カードはいいの?」

希「そんなん家にいくらでも作り置いてあるからええの! 今は花陽ちゃん!」

絵里「ちょっ待っ、まだクレープとコーヒーが残って……」

にこ「同時にかっ込んどきなさい!」

絵里「むっ、無理よぉ! チョットマッテテーーー!!」



凛「──もぉ。最近の真姫ちゃんは暴力的だにゃっ」

真姫「こんな道のど真ん中で変な茶番するからでしょうが……」

花陽「で、でも、花陽たちにはまだ早いよぅ」

花陽「……お、オトナの、キスとか。……そ、そ、ソレ以上のコト、とか」

真姫「だからぁ! そこまでは言ってないってば!」

凛「もっもういいよかよちん。真姫ちゃんがエッチってコトで終わりにしよ!」

真姫「なんでよっ!!」

「花陽ーーーっ!!」
91: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:39:16.38 ID:7hYtZYGB.net
真姫「ん? 誰──ってにこちゃん?」

凛「え? あっ、ホントだーにこちゃん……、と希ちゃんも!」

希「やっほー」

にこ「アンタ達もいたのね。花陽は大丈夫? なんともないのっ?」

花陽「ふぇ? ええとっ、えっとぉ……?」

凛「かよちんに何かあったの?」

にこ「こっちが聞いてんのよ! 誰か助けてって叫んでたじゃない!」

凛「……あ」

真姫「……言ったでしょ、近所迷惑だって」

花陽「に、にこちゃんっ。──ごめんなさいっ!!」

にこ「は? 状況が読めないんだけど……」

絵里「──はぁ、ちょっとぉ、ふぅ、待っててってぇ、ぜはっ、言ったのにぃ……」

真姫「エリーもいるの? ……そっちこそ何があったのよ」

希「いろいろあったんよ、いろいろね」

絵里「はひぃ、お腹が……、こ、コーヒー戻しそ……」
92: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:42:10.58 ID:7hYtZYGB.net
にこ「────ふぅーーーん」

にこ「映画を観てぇ? 感動したからぁ? その再現をしてたぁ?」

花陽「う、うぅ、すみませんでした……」

凛「ゴメンなさい……」

絵里「公衆の面前で、訳もなく大声を出すのは良くないわね」

にこ「まったく。アンタ達はμ'sの一員なんだから、アイドルとしての自覚を持ちなさい」

希「ソレもそうだし──にこっちなんか目の色変えて、すっごい速さで飛び出していったんよ」

真姫「にこちゃんが?」

絵里「ええ、花陽の事が心配だったんでしょうね。可愛い後輩だもの」

花陽「ゴメンね、にこちゃん」

にこ「だ、だって希が事件の匂いとか言うから──ってか、希」

にこ「あんなに焚きつけといて、どうしてそんなに落ち着いてんのよ」

希「焚きつけただなんて、人聞きの悪いコト言わんといてよ」

希「まあ、ホントに何かあったらダレカタスケテーなんて出てこんやろーし、大したコトやないと思ってたのはたしかかな」

真姫「……正に希、って感じね」
93: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:44:15.84 ID:7hYtZYGB.net
希「三人がアキバで映画を観に行くコトは知ってたしね」

にこ「なによソレ、カードが告げてた的な?」

凛「あ、凛もにこちゃん達がアキバで遊ぶっていうのは聞いてたよ!」

花陽「あれ、わたしは知らないよ?」

真姫「私も。……どうでもいいけど」

希「ウチと凛ちゃんだけが知っている、リリホワネットワークの情報なのだ」

絵里「海未がいないじゃないの」

希「海未ちゃんはなかなかライン開かんから、ぜんぜん共有できなくて……」

にこ「既に分裂の危機じゃない、リリホワネットワーク。しかもラインかいっ!」

凛「そうだ、聞いて希ちゃんっ。真姫ちゃんがエッチなんだよ!」

真姫「だーかーら! え、エッチな事なんて一言も言ってないでしょ!」

凛「エッチだもん! 真姫ちゃんは、トマトでナスでキュウリでニンジンなんだもん!!」

希「ほほう、なにやらワケありのようやね? ちょっと卑猥なラインナップやし」

花陽「ひ、ヒワイなのぉ……?」

絵里「……その発言は認められないわね、希」
94: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:47:12.35 ID:7hYtZYGB.net
希「──ふむ。凛ちゃんがキス魔だから、」

絵里「映画のようなキスを、」

にこ「……花陽にやりかねない、ねぇ」

花陽「はぅ……」

凛「ちがうの! 凛はそんなのなんかじゃないのーっ!!」

希「うーん、ウチも服越しで胸にされたような覚えが……」

にこ「ニコもしがみつかれた時に首の辺りを……」

絵里「私も抱きつかれて……、直接ではないけど、背中だったかしら?」

真姫「──えっ、凛。貴方……?」

凛「ちがう! ちがうちがうちがうよぉ!! ソレはほっぺを押し当てただけっ!!」

凛「なんで、なんで凛をいじめるのぉ……。うぅ、ぐすっ……」

花陽「り、凛ちゃん」

にこ「ああもう真姫ちゃんのせいで。ハンカチ貸してあげるから、ほら」

真姫「わ、私のせい!?」

絵里「……寄ってたかって言い過ぎたのよ。ごめんね、凛」
95: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:49:14.07 ID:7hYtZYGB.net
花陽「……凛ちゃんはね、甘えんぼなだけだと思う」

凛「かよちん……」

花陽「みんなのコトを、ホントに──本当に大切な仲間だと思っているから」

花陽「全力の愛情表現として、自分自身を押しつけたくなっちゃうんじゃないかな」

花陽「まるでネコみたいに……」

真姫「……」

希「そうやね。愛情表現といえばウチもよくワシワシするし、ソレと一緒なんやろね」

にこ「いや、アンタのワシワシはただのセクハラだから」

絵里「だけど、凛。一線は越えちゃダメよ? 相手が嫌がってたら尚更ね?」

凛「う、うん。……みんな、凛の大好きな友達だもん」

花陽「──だって。真姫ちゃん」

真姫「……へぁっ? え、私っ?」

にこ「真姫ちゃんも愛情表現が上手ならいいのにねぇ〜?」

真姫「な、なんなのっ」

真姫「……くっ、わかったわよ!」
96: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:52:08.57 ID:7hYtZYGB.net
真姫「凛。私は、その」

真姫「凛を拒んでた訳じゃないの。そりゃあキスは、相手を選んだ方が良いとは思うけど」

真姫「……キス魔って言うのは、良くなかったわね。ごめんなさい、凛」

凛「……うん。凛も、トマトなんて言ってゴメンね」

にこ「ぷぷっ、トマトは間違ってないんじゃない?」

絵里「にこ、茶化さないの」

希「うんうん。ケンカするほど仲が良い──やね!」

真姫「べっ、別にケンカしてたんじゃないから!」

希「仲良しなのは否定しないの?」

真姫「……否定する要素が、ない、もの」

凛「……っ! ────まっきちゃーーーーーん!!!!」

真姫「うぇぇぇぇ!? 今日で何回目なのよぉぉぉ!!」

花陽「……ふふ」

絵里「花陽?」

花陽「ううん、なんでもないっ」
97: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:54:09.92 ID:7hYtZYGB.net
凛「──みんなまたねーっ。凛たちはこれから真姫ちゃんハウスにゃ!」

真姫「いつの間に決めたのよ。……構わないけど」

花陽「それじゃあ行こっか♪」



にこ「……進んでるわね、いろいろと」

絵里「進むわよ、一年生だもの」

にこ「そういうコトじゃなくて。……いや、そうでもあるかもね」

希「にこっちも進んでいいんよ? 一年生みたいなモノやし」

にこ「JK離れしてる乳袋に言われたくないわ!!」

絵里「はいはいそこまで。私達はこの後どうする?」

希「どうする──って、帰る流れなん?」

にこ「んー、まあ結構遊んだしねー」

絵里「少なくとも私とにこは、希が来る前から秋葉をふらふらしてたから、割と充実感のある一日だったわね」

希「えー、ウチ途中参加やから充実も何も──ふわあぁ……」

にこ「めっちゃ眠そうなあくびしてるじゃないの」
98: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:57:33.83 ID:7hYtZYGB.net
希「眠くないワケではないけども、まだまだ満足感が足りんよぉ……」

絵里「ダメよ、目こすっちゃ」

にこ「気持ちはわかるけどここらで解散かしらねー」

希「ええー……」

絵里「あ、じゃあこうしましょ」

絵里「私、穂むらに寄りたかったの。そこまで付き合ってくれる?」

希「穂むら? 穂乃果ちゃんとこの?」

にこ「穂乃果に用でもあるの?」

絵里「ううん、普通にお買い物していきたくて」

絵里「最近ね、私も亜里沙もほむまんにハマってるのよ」

にこ「あー、いいわね。ニコもマ──親と妹たちのために買ってこーかな」

希「ウチもウチのために買う買うー」

にこ「一人だけずいぶん我欲的ね。……太るわよ」

希「ふっふっふ、糖分はすべてお胸に蓄えられていくから心配のんのん」

絵里「とか言って、海未に贅肉絞られる事になっても知らないわよ。とにかく決まりね」
99: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 22:59:38.76 ID:7hYtZYGB.net
雪穂「……あーぁ、ヒマだなぁ」

雪穂「おねーちゃん、店番変わってくんないかなー」

雪穂「はぁ、わたしも亜里沙と遊びた──」

絵里「こんにちはー。あら、今日は雪穂なの?」

雪穂「──ぅえりさん!? いい、いらっしゃいませっ!!」

にこ「一人きりだからって完っ全にダラけてたわね」

希「驚き方もどことなく穂乃果ちゃんっぽいし、やっぱり姉妹やなぁ」

雪穂「に、にこちゃんと希さんまで。やめてくださいよー」

雪穂「えっと、おねーちゃんに用ですか? 呼んできましょうか?」

絵里「あ、ううん、お買い物しに来ただけよ」

雪穂「そうですか、いつもいつもありがとうございます!」

希「奥にいるなら一声くらい掛けてもいいんやない?」

絵里「それもそうね。あと、雪穂? 少し気になったんだけど……」

雪穂「はいっ」

絵里「にこだけ『ちゃん』付けなの?」
100: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:01:45.27 ID:7hYtZYGB.net
雪穂「あ、ソレは、」

希「一人だけちっちゃいから?」

雪穂「いえいえいえいえ! そんな理由じゃないですよ!?」

にこ「……わたしがそう呼ぶように言ったの」

絵里「え、そうなの!? な、なんか意外だわ」

希「むしろにこっちなら敬称を付けさせたり、変な呼び方を強制したりしてるモノなんかと」

にこ「アンタらの中でニコはどんだけ傍若無人なのよっ!?」

雪穂「矢澤さんとか、にこさんとか呼ばれるのはむず痒いから──って」

絵里「……にこさん」

希「……にこさん」

にこ「真顔で連呼すんのやめなさいっ!!」

雪穂「わ、わたしとしてはにこさんの方がしっくりくるかな……」

希「後輩いびりはアカンよ、にこさん」

絵里「未来の有力スクールアイドルなんだからね、矢澤のにこさん?」

にこ「やめなさいっつってるでしょうが!? 矢澤のにこさんってどこのメーカーよ!!」
101: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:03:21.40 ID:7hYtZYGB.net
絵里「なら、この際──私の事も絵里ちゃんって呼んでみない?」

雪穂「えぇぇぇ!? おそ、恐れ多くてそんなのできっこないですよっ!」

絵里「え……」

希「じゃあウチは? のんちゃんって呼ぶのはどう?」

雪穂「い、いえソレは。……希ちゃん、くらいなら」

希「やった、交渉成功♪」

にこ「……失敗したヤツはひどく落ち込んでるみたいだけど」

絵里「……うぅ、どうして私は……」

希「やっぱりエリちはトゲトゲしかった生徒会長のイメージが未だに抜け切らんのやろねー」

雪穂「あわわっ。あの、別に恐いとかじゃないんです!」

雪穂「絵里さんはすごく美人で、とってもクールな女性だから、あんまり馴れ馴れしいとダメな気がして……!」

希「そんな美人がほむまん目当てで和菓子屋に足繁く通う姿は──」

にこ「クールというかシュールよね」

絵里「なによ……、どうせ私はポンコツよぉ……!」

雪穂「ぜ、善処します! 善処しますからっ!?」
102: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:05:30.03 ID:7hYtZYGB.net
雪穂「──はい、おつりです。え、ぇり……、ちゃん」

絵里「ふふ、ありがと♪」

にこ「……年下の子に気を使わせる典型的なダメOGね」

希「キューティーパンサーは伊達やないね」

絵里「にこも希も人の事言えないでしょう!?」

雪穂「あ、あはは……。それじゃあ、上がっていきますか?」

絵里「ええ、挨拶だけしていくわ」

雪穂「──そうだ、海未ちゃんとことりちゃんも遊びに来てるんですよ」

絵里「二人もいるのね」

希「ちょうどいいやん。行こ行こー」

にこ「あー……。それならわたしは待ってるわ」

絵里「あら、どうして? ここまで来て無愛想になる事なんてないのに」

にこ「違うわよ。そんなに大勢の人は入らないでしょ、穂乃果の部屋は」

希「宿題を忘れたにこっちだけ廊下で立ってるっていうのは?」

にこ「学校かっ!!」
103: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:07:29.58 ID:7hYtZYGB.net
にこ「その間、雪穂の話し相手になってあげようかと思ってね」

雪穂「そんな、わたしのコトは気にしなくてもっ」

にこ「正直、ヒマだったんじゃないの?」

雪穂「ひ、ヒマでしたけども……」

希「後輩いびりはアカンよ、にこさん」

絵里「未来の有力スクールアイドルなんだからね、矢澤のにこさん?」

にこ「ソレはもういいわっ!」



「──えへへ〜、海未ちゃんはやっぱり気持ちよくって落ち着くなあ……」

「あとでことりにもしてね、海未ちゃんっ♪」

「じゅ、順番ですからねっ。もう、なぜ私がこのような事を……」

絵里「……ね、ねえ希。あの子達、扉の向こうで何をやっているのかしら……?」

希「……ナニって、ソレは、あんなコトやこんなコト……?」

絵里「……ダメよ、ダメなんだから、そんなの……!」

絵里「──認められないわっ!!!!」
104: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:09:34.06 ID:7hYtZYGB.net
海未「──貴方は一体何を考えているのですか!!!!」

絵里「……誠に申し訳ありませんでした」

海未「耳掃除をしているんですよ!? それなのに、大声を張り上げるなどと!!」

海未「あと少しでも!! 私のリアクションが大きい物だったら……!!」

ことり「海未ちゃん、せっかく来てくれたんだからちょっと落ち着こう? ね?」

海未「穂乃果の耳を、耳をっ……! ぅおーいおいおいおぃ……!」

穂乃果「あらら、泣いちゃった」

絵里「……誠に申し訳ありませんでした」

希「や、ウチが悪いんやけどね、ふしだらなコトしとるなーと勘違いして。ゴメンね?」

穂乃果「ううん、またほのかが紛らわしい声出しちゃってたのかも! こっちこそゴメンねっ」

希「ソレで、なんで耳かきしてもらってたん?」

ことり「海未ちゃんと一緒にね、穂乃果ちゃんと結婚したんだ〜♪」

穂乃果「ことりちゃぁん!? い、言わないでよお……」

希「……これまたぷわぷわしててよくわからんコトになっとるね」

ことり「うーん、どこから話そっか?」
105: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:11:43.08 ID:7hYtZYGB.net
絵里「──み、耳かきで喧嘩……?」

海未「みっともない事とは自覚していますが、心のすれ違いが起きてしまったのは事実ですから……」

絵里「……穂乃果、海未に甘えすぎじゃない?」

穂乃果「だってぇ! 気持ちいいんだもん!」

海未「り、理由になっていません!」

希「でもちょっと嬉しそうやね、海未ちゃん」

ことり「でね、甘えたくてしょうがない穂乃果ちゃんと結婚するコトにしたの♪」

絵里「本当に貴方達って、脳が溶けてしまいそうなほど仲良しなのね……」

穂乃果「幼なじみだもんね〜」

ことり「ね〜♪」

海未「客観的に指摘されると、やや恥ずかしい気もします……」

希「……羨ましいな、幼なじみ」

希「ねねエリち、ウチらもこれから幼なじみの設定で過ごしてみない?」

絵里「何よ設定って、いろいろと雑すぎよ……」

穂乃果「希ちゃんと絵里ちゃんは、今のままでも充分トクベツな関係に見えるけどな〜」
106: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:14:08.93 ID:7hYtZYGB.net
希「ウチとエリちが?」

穂乃果「うん。ふたりを見てるとね、仲の良さは年月がすべてじゃないんだって感じるの」

穂乃果「ホントの親友ってね──そーゆーモノなんだよ、きっと!」

絵里「……もう、穂乃果ったら」

海未「ですが、穂乃果。普通の親友は耳掃除なんてしてくれませんからね?」

穂乃果「わわ、わかってるよお!」

ことり「そこは幼なじみだからね〜♪」

希「……ちょこっと訂正させてもらおかな」

絵里「ん、何を?」

希「トクベツな関係なのは、ウチとエリちの二人だけじゃなくて──」

希「──三人や、にこっちを入れて」

穂乃果「……あ、にこちゃん忘れてた。てへへ」

希「って忘れてたんかい! せっかくカッコつけたのに、いつものにこっちみたいなオチやん!!」

絵里「ふふ。そうね、にこもいないとね」

ことり「そういえば、にこちゃん今日はいないんだね?」
107: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:16:10.04 ID:7hYtZYGB.net
絵里「ううん、にこも一緒よ」

希「ウチらの心の中で生き続けとるよ……」

穂乃果「にこちゃん死んじゃったのっ!?」

海未「そんな訳ないでしょう……」

絵里「希、変な事言わないの。下で雪穂とお話してるみたい」

穂乃果「そうなんだ、遊びに来てくれたんだから挨拶しとかないとねっ。行ってくる!」

ことり「ことりも行くっ、待って待って穂乃果ちゃんっ」

絵里「いや遊びに来たんじゃなくてお買い物に──ああ、行っちゃった」

海未「わざわざ来て頂いたのに、ドタバタしててすみません」

希「海未ちゃん、お母さんみたいやねー」

絵里「ふふ、言えてるかも」

海未「おかっ……!? の、希までそんな事を!」

希「おやおや、やっぱり満更でもなさそうな感じかなぁ?」

絵里「これからもμ'sを支えてね、おかーぁさん♪」

海未「絵里も! かっ、からかわないでくださいっ!!」
108: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:18:10.18 ID:7hYtZYGB.net
雪穂「──で、おねーちゃんたらことりちゃんの膝まくらにしがみついて、うつぶせになったまま」

雪穂「足バタバタさせて恥ずかしがってるんですよ。その時点で既に恥ずかしいのに!」

雪穂「ホント羨ま──いや、ホントダメなおねーちゃんですよね!」

にこ「そうね、穂乃果には自尊心ってモノが足りないのよ」

にこ「ダメなヤツだけど、ダメなヤツだから──」

にこ「ほっとけないヤツなのよね」

雪穂「は、はいっ? え、その」

にこ「……ま、穂乃果に限った話じゃないけど」

雪穂「……にこちゃんにも、わかります?」

にこ「μ'sにはそーゆー子がたくさんいるからね」

にこ「みんなそれぞれ個性の殴り合い状態で、統率も何もあったもんじゃないわよ」

雪穂「ふふ……。わたしもμ'sはほっとけないと思ってるんです」

雪穂「なんて言うんだろ──目を離しちゃいけない!って気持ちになるというか……」

にこ「……マジメねー」

雪穂「そうですか? すみません……?」
109: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:20:17.58 ID:7hYtZYGB.net
にこ「マジメっていうか誠実かしら。一応褒めてるつもりだからね」

雪穂「あ、ありがとうございます」

にこ「雪穂も、スクールアイドルやるんでしょ?」

雪穂「はいっ、亜里沙と一緒に!」

にこ「雪穂の誠実さは、プラスにもマイナスにもなると思うわ」

にこ「イヤなコトに直面した時は、一人で抱え込まないで」

にこ「仲間を──親友を頼って、支え合いながら進んでいくコト」

雪穂「はい、もちろんです!」

にこ「そうすれば、たとえ空白の時期があったって──」

にこ「キセキが、必ず埋めてくれるんだから……」

雪穂「……?」

にこ「……あと! キャラ作りも怠っちゃダメよ!」

雪穂「きゃ、キャラ作り、ですか」

にこ「今のうちに練習しときなさい。にっこにっこにー♪ってね!」

雪穂「う、ソレは若干キツいような──いえ! がんばりますっ!!」
110: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:22:14.01 ID:7hYtZYGB.net
穂乃果「あ! いたいたっ、にこちゃーーーんっ!」

にこ「ひゃあ!? なな、なんなの急に!!」

穂乃果「うん、生きてるね! 本物だよねっ!」

にこ「ぬぁんで死んだコトになってんのよ! こらっ頭撫でない!」

ことり「あ〜、にこちゃんっ。ことりもナデナデさせて〜♪」

にこ「ちょっ、いくら撫でたって何のご利益も出ないわよ!!」

にこ「──せっかくカッコいい先輩演じてたのにアンタらはぁぁ!!!」

雪穂「……ね、おねーちゃん」

穂乃果「ん、なーに? 雪穂も撫でる?」

雪穂「ううん。にこちゃんって……、いい先輩だね!」

穂乃果「うん! みんなの自慢の先輩!」

ことり「でも穂乃果ちゃん、さっきはにこちゃんのコト忘れてたよね?」

穂乃果「そそそソレは今言わなくてもっ!? 今日のことりちゃん爆弾発言多すぎっ!!」

にこ「……穂乃果ぁ、今日という今日こそは──希直伝のワシワシを叩き込んでやるわっ!!」

穂乃果「わ、ワシワシはやめてーっ!?」
111: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:24:18.96 ID:7hYtZYGB.net
絵里「もう、穂乃果とにこが引き合うとすぐ騒がしくなるんだから」

海未「そうですよ、ここはお店だという事を忘れていませんか?」

穂乃果「うぅ、相変わらず説教の仕方もお母さんだよぉ……」

にこ「どうしてニコも怒られるのよぉ……」

雪穂「あれ、みんな集まっちゃったけど。もう帰っちゃうんですか?」

希「本来の目的はお買い物やからね」

ことり「もっとゆっくりしていけばいいのに〜。ぜんぜんおもてなしできなかったし……」

海未「それは穂乃果が言うべき台詞でしょう?」

穂乃果「そうだよっ、ことりちゃんに耳かきしてもらった方がいいよ!」

雪穂「あくまでもおねーちゃんは動かないんだね……」

希「今のウチにそんな魅力的なコトされると、永遠の眠りについてしまいそうやん……」

にこ「もはや凶器ね、ことりの膝まくら」

絵里「……何故かしら、否定してあげられないわ」

ことり「えぇ!? まだ犠牲者は出たコトないよぉ!」

海未「まだ、ってどういう事ですか……」
112: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:28:03.24 ID:7hYtZYGB.net
穂乃果「──ばいばーい! 次はみんなで遊ぼうねっ!」

ことり「その時はたくさんご奉仕させてね〜♪」

海未「完全に職業病ですね、ことり……」

ほのパパ「……」

雪穂「……えっ、おとーさんいたんだ」



にこ「もー、あほのかのせいでドッと疲れたわ……」

絵里「……耳かきで喧嘩してたっていうのは、ちょっと驚いたわね」
113: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 23:30:17.79 ID:7hYtZYGB.net
にこ「いつものコトでしょ。あの子達は、ほっとけばすぐ仲直りしてベタベタし合ってるんだから」

希「にこっち、耳かきの件について知ってたん?」

にこ「だいたい雪穂から聞いたのよ。……よくわからんわね、幼なじみってヤツは」

希「にこっちも羨ましいと思う?」

にこ「はぁ? なんでよ」

絵里「希ね、幼馴染の関係に憧れてるみたい」

希「い、いやいや、違うから。違うからね?」
116: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 00:33:36.11 ID:g+x9y0AB.net
希「ただ、なんていうかね──」

希「長年付き合ってる幼なじみでも、些細なコトでケンカするんやなぁって」

にこ「そりゃあするでしょ。穂乃果と海未なんだし」

絵里「ことりが鎮めてくれるからこそ成り立つ関係よね」

絵里「あと幼馴染と言えば、凛と花陽はいがみ合う事なさそうだけど……」

希「わからんよー? 花陽ちゃんが大切にとっといたおにぎりを、凛ちゃんがうっかり食べちゃったりしたら──」

にこ「凛のコトだから既に経験済みでしょ、ソレくらい」

絵里「……もしもその一件が起きてたとしたら、それ以降喧嘩する事はなくなりそうね」

にこ「とりあえず真姫ちゃんが側にいる間は安泰なんじゃない?」

希「端っこで髪クルクルしてるだけのように見えて、かなり全体を見てるもんね」

にこ「そして面倒事がキライな割には、面倒事に自ら首を突っ込んで自爆するタイプね」

絵里「……まるでにこみたい」

にこ「ニコぉ!? ど、どこも似てないでしょ、意味わかんないわね!」

希「ソレ、ツッコミ待ちなん?」

絵里「ふふ、ほんとにね」
117: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 00:36:56.07 ID:g+x9y0AB.net
希「でも……。うん、幼なじみはいいモノだけど、」

希「今を輝く高校生活の──この瞬間にこそ、ウチは」

希「────私は、この瞬間の二人に出会えて良かったよ」

絵里「……ええ。穂乃果も言ってたけれど、仲の良さは年月がすべてじゃない」

絵里「希とにこだから、自信を持ってその言葉を受け入れられるの」

にこ「……」

希「にこっちもそう思わん?」

にこ「虫が良すぎんのよ、アンタ達は」

にこ「ニコの二年間を見てなかったとでも言うつもり?」

絵里「にこ……」

にこ「──まあ、アイドル研究部が潰れなかったのは、元生徒会長サマがずっと見張ってくれてたからだし」

にこ「最終的に九人を繋ぎ合わせて、念願の奇跡を叶えてくれたどっかの女神サマには感謝してるわ」

希「……ふふっ」

にこ「……一年生が進んでいくように、わたしもまた三年生として」

にこ「絵里と希と一緒に卒業を迎えられるコトは、誇りに思ってる」
118: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 00:39:15.45 ID:g+x9y0AB.net
にこ「……ってなに言わせてんのよ! ドラマの撮影ならマネージャーを通しなさい!」

希「にこっちはどんなふうに起用されるかなぁ? やっぱり三枚目?」

絵里「どうかしら。最後に崖の淵で自白する役とか向いてたりするんじゃない?」

にこ「まさかのサスペンスドラマ!? しかもソレ犯人じゃないの!!」

絵里「……刺すがにこね」

希「……え?」

にこ「……座布団持っていっていいわよ、希」

絵里「──ごほん! はいはい、もうくだらない事言ってないで帰るわよ!」

希「あ、逃げた」

にこ「一番くだらないコト言った張本人が逃げたわね」

絵里「聞こえません。このままここで解散にする?」

にこ「そうねー、その方が手っ取り早いし」

希「そっか、もう終わりなんやねー……」

にこ「まだ名残惜しいの? 眠気はどうしたのよ眠気は」

希「んー、逆に覚めてきちゃった」
119: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 00:42:18.40 ID:g+x9y0AB.net
希「けど普通に解散でええと思うよ。エリちは亜里沙ちゃんのためにほむまん持ち帰らなアカンし」

希「にこっちも今日は家にママさんがいるんよね?」

にこ「ええ、ママとチビ達がいるけど……」

希「あ、ホントにいたんや、お母さん」

にこ「……なっ!? ゆ、誘導尋問するんじゃないわよっ!!」

絵里「ママ、だって。にこったらかわいいー♪」

にこ「ううぅ、うるさーーーい!!」

希「うんうん。みんな待っててくれてるから帰ろーか」

絵里「ええ、そうしま────……」

希「エリち?」

絵里「私はもうちょっとだけ、最後に希の家でゆっくりしていこうかな」

希「へ?」

にこ「……」

にこ「あー、たしかにそんな気分かも。高めのお茶でも振る舞ってもらおうかしら」

希「えっ? う、ウチの家?」
120: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 00:44:22.92 ID:g+x9y0AB.net
希「ウチの家になにか用でもあるん?」

絵里「特にないけれど、理由が必要なの?」

希「だ、だって……」

にこ「花陽達は真姫ちゃんハウスにいて、海未達は穂むらにいる」

にこ「それなら──そーゆーコトよね?」

希「そーゆーコトって言われても──」

絵里「希、一度だけ言うから、聞き漏らさないでね」

希「え……」

絵里「親友、でしょう?」

希「……」

にこ「わかった? そーゆーコトだから、アンタに拒否権はないわよ」

絵里「その言い方じゃ親友じゃなくて悪友になっちゃうでしょ……」

にこ「ま、押し掛けに行くようなモノだし間違ってないわね」

絵里「じゃあ──行きましょ、希?」

希「……うん」
121: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 00:47:29.88 ID:g+x9y0AB.net
にこ「いやーホントがっつり遊んだわね」

絵里「そうねー。……それにしても、何か忘れてるような気が……」

にこ「そう? もーいろいろありすぎて覚えてらんないわ。希んちで少しずつ話しましょ」

希「エリち、にこっち」

絵里「ん?」

希「──ありがとね」

にこ「なんのコトだか知らないけど、どういたしまして」

絵里「……希、」

絵里「泣いてるの?」

にこ「……え、泣いてる? 希が?」

希「あれ、ホントだ。涙──出てるね、あはは」

絵里「あははって、思いっきりボロボロ出てるじゃないの!」

にこ「に、ニコのせいじゃないからね! 先に言っておくけど!」

絵里「えっと、私何か悲しませるような事言ったかしら。い、言ってないわよね?」

希「ふふ、なんでやろ……。スピリチュアルやね────」
122: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 00:49:39.65 ID:g+x9y0AB.net
   終

英玲奈「まだ決まらないのか、あんじゅ」

あんじゅ「えっとぉ、今日はホイップパンケーキの気分なのよ」

あんじゅ「でもコーヒーゼリーも疲れた身体を癒してくれるのに最適だと思うの」

あんじゅ「英玲奈だったらどっちにする?」

英玲奈「私は既にカスクートと決めている」

あんじゅ「ああん、そうじゃなくってぇ!」

ツバサ「……ねえ、まだ?」

英玲奈「まだ掛かりそうだな、先に席を取ってくるか」

あんじゅ「待って待って! わたしの二択を決めてもらわなきゃいけないし!」

英玲奈「断る」

あんじゅ「ホント一個だけ決めてくれればいいのよ。ホイップパンケーキとコーヒーゼリーと焼きプリンの中から」

英玲奈「すまないツバサ、あんじゅに二択の意味を植え付けておくから、先に行っててくれないか」

あんじゅ「あ、いつもの席ね〜」

ツバサ「はいはい……」
123: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 00:52:50.69 ID:g+x9y0AB.net
ツバサ「最近の私、使い走りにされてないかしら」

ツバサ「一応A-RISEのリーダーなのに、もぉ……」

ツバサ「──良かった、空いてる」

ツバサ「ん? ……何か置いて……?」

ツバサ「……これって」

ツバサ「黒い、模様の付いた──」



 これらのカードに書かれた文章は T.Kira さんへ宛てたものです。

 それ以外の優しい誰かが目にした時は、ゴミ箱への投下をお願いします。

 もっと優しい誰かが目にしたならば、そのままひっそりと置いといてください。

 かしこみかしこみ〜。

  N.Toujou より



ツバサ「……くす」

ツバサ「女神様は回りくどい事が好きなのね」
124: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 00:55:38.88 ID:g+x9y0AB.net
 九人のキズナの在り方について考えてみました。

 良い意味でも悪い意味でも、全員が個性豊かであること。

 やや穿ったような見方をすれば、我が強いとも言いますね。

 当然ですが、個性が強すぎる九人は、最初はバラバラだったんです。

 バラバラの九人は衝突を繰り返しました。

 衝突とは言っても、口汚い罵り合いや、暑苦しい殴り合いではありません。

 分かり合うための衝突だったんです。

 何度も何度も分かり合って、お互いのキズを知りながら、強くなって。

 強くなり、分かり合うことを終えた九人は、相手を尊重すること、支え合うことを覚えました。

 そうして九人は、元気の温度が下がらないまま一つになったんです。

 何も言わなくたって、九人の気持ちは一つの波紋となって浸透していくようになりました。

 分かり合う、支え合う。

 分かり合うことを一期とするなら、支え合うことは二期と言うのでしょう。

 二つの時期があったから今の私達があるのだと思います。

 まず、以上がキズナの解釈です。
125: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 00:58:40.71 ID:g+x9y0AB.net
 さて、たった今この文章を書いている最中の出来事を、一つだけ書かせてください。

 友人の二人が、レズだとか百合だとか百合営業なんちゅうケッタイな言葉について話し合っています。

 ここではそれらの言葉の説明は省きますが。

 その言葉を九人のキズナに当てはめられたくない、ということで話が進んでいます。

 ぶっちゃけると、かなりどーでもいい話ですね。

 ですが無視できる話ではありません、私としても何とかしたい気持ちはありますから。

 でも、Nっちは言いました。「無視すればいい」

 というのは脚色で、実際のセリフは「気にする必要なんてない」

 冷静に考えてみれば、その通りなのかもしれません。

 気にしたところでキズナにヒビが入るわけでもないですし。

 むしろ九人の中には、最初から気になってない子や、気にする余裕がない子だっていることを忘れていました。

 悪く言えば無防備で無頓着、良く言えば度胸のある連中に何を言っても、キズナが変わることはありえません。

 きっとこれからも九人は九人のやり方で、どう言われたってブレずにノーチェンジを貫き通します。

 いつかまた、それぞれが衝突することになったとしても、その度にキズナは強くなっていくと信じています。

 以上がキズナの在り方の解釈です。
126: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:01:15.61 ID:g+x9y0AB.net
 唐突ですが、私はカメラが好きです。

 時間を切り取り、思い出を飾ることが大好きです。

 写真は楽しかった最高の時を射止めてくれて、動画はその瞬間が確実に進んでいたことを証明してくれる。

 一人の時間をとっておけるし、九人の時間さえとっておける。

 私は、スクールアイドルの、九人のキセキをたくさん残しました。

 九人のキズに名を付けて、みんながそこにいた瞬間をたくさん収めました。

 このメモだって時間を形にする物の一つです。

 書き物をする癖は元生徒会長のELちから教わったことなんですよ。

 あ、ELちのLは、Rではないので忘れないようにしてくださいね。

 九人のキズナはキセキの塊ですが、やはり私は、それを運命だとは考えていません。

 嬉しいことも悲しいことも乗り越えてこれたのは、この瞬間の九人だったから。

 もしも運命だったなら、子どもの頃にでも、好きな友達を選べたのかもしれないけど。

 だって、出会いは選べません、偶然なんです。

 以上がキズナの在り方に対する私の答えです。

 ────
127: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:03:52.66 ID:g+x9y0AB.net
 そして最後に。

 結構大事なことなので、この場で書かせてください。

 あなた達がいなければ九人は始まりませんでした。

 スクールアイドルの素晴らしさを教えてくれたから、一人の女の子が走り始めたんです。

 キズナを生むきっかけを作ってくれて、本当に感謝しています。

 ありがとう。

 では、またお会いしましょうね。

 ウチのスピリチュアルパワーであなたの元へ届いていますように。



ツバサ「……」

ツバサ「そっか──」

あんじゅ「──あっ、ちゃんと席取っといてくれたのね。ありがとツバサ♪」

ツバサ「……額を撫でないで。って、結局それにしたの?」

あんじゅ「レッスン終わりにはやっぱりコレよね〜♪」

英玲奈「急遽カスタードワッフルを口にしたくなったそうだ。……本当に骨が折れる」
128: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:07:15.16 ID:g+x9y0AB.net
あんじゅ「──はぁぁ、糖分が五臓六腑を駆けめぐるわぁ……」

英玲奈「見た目は女子だが、発言が中年のそれだな。みっともない」

あんじゅ「誰も見てないからいいの〜。もークッタクタなんだから」

ツバサ「休日なのに、無理を言って悪かったわね」

英玲奈「いいや、ツバサの誘いがなくても一人でトレーニングをしていたに違いない。同じ事だ」

あんじゅ「ホントにぃ? 今日のレッスン、運動不足だったのかすぐにヘバってたみたいだけどー?」

英玲奈「……その発言、そのまま返してやる」

ツバサ「ねえ、英玲奈、あんじゅ」

あんじゅ「んー? ワッフル欲しくなった? ……ちょっとだけよ♪」

英玲奈「古い」

ツバサ「……──」

ツバサ「私達A-RISEは、選ばれた三人だった」

ツバサ「これは──運命だったのかしら」

あんじゅ「……またメンドーな話〜? わたしはパスねー」

英玲奈「……ツバサ」
129: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:09:21.75 ID:g+x9y0AB.net
英玲奈「私達が今こうして集まっていられるのは、実力があったからだ」

英玲奈「そして、どんな誰よりも努力を積み重ねてきたという意味でもある」

英玲奈「運命などは、人の努力には介入できない、させやしない」

ツバサ「……その通りね、英玲奈」

ツバサ「ひた向きにやってきたおかげで、私達は一度、頂点を掴んでいる」

ツバサ「──だけど二度目はなかった。自信があったのに、確信を持てたのに……」

英玲奈「だからと言って呪うのは運命じゃない」

英玲奈「あの舞台に立てるだけの、相応しい存在になりきれなかった。……それだけだ」

あんじゅ「……はぁ、いつまでもそのコトばっかり」

英玲奈「悔しくはないのか?」

あんじゅ「悔しいわ」

あんじゅ「悔しいから今日のわたしがいるの」

ツバサ「……ええ。わかってる、あんじゅの気持ち」

あんじゅ「運命を乗り越えられるくらい、相応しくなればいいじゃない」

あんじゅ「また違う舞台であっても、完っ全に──フルハウスを体現すればいいだけのコト。でしょ?」
130: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:12:05.36 ID:g+x9y0AB.net
ツバサ「……」

ツバサ「ありがとう、二人の気持ちが聞けて良かったわ」

英玲奈「ああ、いつだって話を聞こう」

英玲奈「我々は一つなのだから」

あんじゅ「ツバサ〜。はい、あーん♪」

英玲奈「……少しは空気を読めないのか、あんじゅ」

ツバサ「あんじゅったら──またそうやって子ども扱いする……」

あんじゅ「ツバサちゃんはいっぱい食べて大きくならないとね〜♪ 別にいらなければ食べなくても──」

ツバサ「はむっ」

あんじゅ「──えっっっ、ホントに食べるのっっ!?」

英玲奈「だったら何の為に差し出した」

ツバサ「うん、カスタードもたまにはいいわね」

あんじゅ「いつもだったら嫌がるのに! わたしのワッフルなのにぃ……!」

英玲奈「この性悪め」

ツバサ「……ふふっ」
131: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:14:04.84 ID:g+x9y0AB.net
英玲奈「ツバサ、聞きたかったのだが」

ツバサ「ええ、何?」

英玲奈「休憩中、神田明神では何をしてきたんだ?」

あんじゅ「あ、たしかに聞きたいかも。ツバサにしては珍しい所よね〜」

ツバサ「普通にお参りをしてたの」

あんじゅ「ちゃんと世界一の美貌を手にしたい──ってお願い事は済ませてきた?」

英玲奈「自分の願望をツバサに押し付けるんじゃない」

ツバサ「お願い事も──そうね、もちろん済ませたわ」

あんじゅ「どんなお願い?」

ツバサ「……んー」

ツバサ「ヒミツ、かな」

あんじゅ「ええー、つまんないわねぇ」

英玲奈「当然だろう……」

ツバサ「叶った時が来たら教えてあげる」

ツバサ「たった今だって、既にみんなと叶えているのかもしれないけれど、ね────」



   おしまい
132: 名無しで叶える物語(関東・甲信越)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:15:07.71 ID:g+x9y0AB.net
ごちゃごちゃだらだらしててごめんね
ではお付き合いありがとー
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