海未「ラブアロー仮面、参上!!」

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海未-アイキャッチ41
1: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:23:36.15 ID:ybj75E6k.net
……ワイワイ……ガヤガヤ……



穂乃果「あ! 海未ちゃんことりちゃん、お面が売ってるよ!」

ことり「ほんとだ、かわいい〜♪ 海未ちゃん、ひとつ買わない?」

海未「い、いえ、私は・・・・・・」



海未(今日は、神田明神のお祭の日)

海未(私は、穂乃果とことりと一緒に、浴衣姿で出店を回っていました)



ことり「色んな種類がある・・・・・・ことり、このキティちゃんにしよ〜♪」

穂乃果「じゃあ穂乃果は、こっちのリラックマ! ねえねえ、海未ちゃんも一緒に買おうよー!」

海未「そ、そうですか? それでは・・・・・・」

元スレ: 海未「ラブアロー仮面、参上!!」

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3: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:25:43.83 ID:ybj75E6k.net
海未(その時ふと、1枚のお面が、私の目に留まりました)

海未(それは、仮面ライバーのお面。私たちが小さい頃、放送していた番組のもの)

海未(なんだか、懐かしい気分になって・・・・・・)

海未「・・・・・・それでは私は、これにします」

穂乃果「これって・・・・・・仮面ライバー!? カッコいい〜!」

ことり「そう言えば海未ちゃん、小さい時、ちょっとだけハマってたよね」クスクス

海未「ちょっとことり、それは言わないでください///」
4: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:28:10.93 ID:ybj75E6k.net
海未(そう。小さい頃に、少しだけ私は、仮面ライバーに夢中になった時期がありました)

海未(女の子なのに、男の子向けの特撮番組が好きになるなんて、自分でも変だと思いました)

海未(ですが、その番組に登場するヒーロー――仮面ライバーは、本当にかっこ良かったのです)

海未(ただ正義と平和を守るために、か弱き市民を守り、悪を倒すヒーロー)

海未(そんな“正義の味方”は、当時の私の憧れでした)



海未(――そんな思い出もあってか)

海未(私は仮面ライバーのお面を買い、ちょっとだけ誇らしげな気持ちで、それを頭につけました)
5: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:30:19.14 ID:ybj75E6k.net
海未「ではことり、私はこの辺で」

ことり「うん。ありがとう海未ちゃん、送ってくれて」

ことり「気をつけてね、海未ちゃん」

海未「はい、ありがとうございます。それではまた明日」



海未(お祭の後、穂乃果とことりを家まで送り、私は帰路につきました)

海未(なんとなく昔から、こうして遅くなった時にふたりを送るのは、私の役目になっています)

海未(すっかり暗くなった道を、家に向かって少し足早に歩いていると――)



……チョット……ヤメテ!……

……イイジャン……チョットダケ……



海未(・・・・・・? 公園の方から、なにやら声が・・・・・・?)
6: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:32:45.74 ID:ybj75E6k.net
女の子「やめてください・・・・・・! 警察呼びますよ!」

おっさん「へへへ、いいじゃんちょっとぐらい付き合ってくれてもさあ・・・・・・」



海未(あれは・・・・・・若い女の人が、酔っ払いに絡まれているようです)

海未(どうしましょう、見てみぬふりをする訳にも・・・・・・警察を呼びましょうか)

海未(しかし・・・・・・なんだか、あんな風に自分勝手な人を見ていると、腹がたってきますね)ムカムカ



おっさん「おら、いい加減じたばたすんなってんだよ!」ドンッ

女の子「きゃっ!?」バタッ



海未(なっ!?)
7: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:35:08.60 ID:ybj75E6k.net
女の子「い、痛い・・・・・・」

おっさん「へっ、最初っから大人しくしてりゃいいんだよ、そうすりゃ・・・・・・」



海未「・・・・・・待ちなさいっ!!」



おっさん「あ?」

女の子「!?」



海未「そっ・・・・・・その人を離しなさい! ぼ、暴力を振るうなんて、最低です!!」バーン



女の子「・・・・・・え? お面?」

おっさん「な、なんだ・・・・・・?」
8: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:37:26.34 ID:ybj75E6k.net
海未(つ、つい勢いで飛び出してしまいました・・・・・・! 恥ずかしいので、咄嗟に仮面ライバーのお面を被りましたが・・・・・・///)

海未(・・・・・・しかし、見過ごせません。酔いに任せて、あんな風に暴力を振るうなどと!)ムカムカ



おっさん「あんだぁ、てめぇ・・・・・・」

海未「わ、私のことなどどうでもいいです! その人を離しなさい!」

おっさん「なに偉そうに指図してんだ? お面なんか被って、舐めてんのか、お?」フラフラ

海未「私は、何も間違ったことは言っていません」

おっさん「うっせえんだよ、コラ!!」ダッ

海未「――!」

海未(酔っ払いが、私につかみかかって来たので、私は咄嗟に、足元に落ちていた木の棒を手に取り――)

海未「せいっ!!」

ボゴッ

おっさん「ぐあっ!?」
9: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:40:31.19 ID:ybj75E6k.net
海未(脳天に一撃――のびてしまいましたか)

海未「ふ、口ほどにもないですね」

海未(仮面ライバーなら・・・・・・ここで、決め台詞を言うところですね)

海未(確か・・・・・・『正義執行、完了!』――でしたか)



女の子「あ、あの・・・・・・」

海未「!!」ギクッ

女の子「た、助けて頂いて、ありがとうございます・・・・・・」

海未「あ、いえ、そんな、当然のことをしたまでですよ!」アセアセ

女の子「あ、あの、貴方は一体・・・・・・?」

海未「わ、私は・・・・・・」

海未(ほ、本名を名乗る訳にもいきません・・・・・・!)

海未「私は、か、仮面ラ・・・・・・」

女の子「え?」

海未「・・・・・・いや!」



海未「私は、正義の使者、ラブアロー仮面です!!」
10: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:42:51.26 ID:ybj75E6k.net
女の子「ら・・・・・・ラブアロー、仮面・・・・・・?」

海未「・・・・・・・・・」

海未「///」ボッ

海未(い、言ってから猛烈に恥ずかしくなってきました・・・・・・!!)

女の子「えっと・・・・・・」

海未「そ、それでは私はこれで! 夜道のひとり歩きは注意してくださいね!」タタタ

女の子「あ、ちょっと!」



女の子「・・・・・・・・・???」
11: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:44:25.09 ID:ybj75E6k.net
海未(うう、なんであんなこと言ってしまったんでしょう、私・・・・・・!///)

海未(で、でも・・・・・・なんだか自分が、仮面ライバーになったみたいで・・・・・・)

海未(ちょっと・・・・・・気持ちよかったかも、しれません///)

海未(・・・・・・いいことしたんですよね? 私)

海未(人助けをするのも、いいものですね)フフッ
12: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:47:16.25 ID:ybj75E6k.net
〜次の日、生徒会室〜

海未「穂乃果、また字が間違っていますよ! こちらの承認の書類も早く提出してください!」

穂乃果「ははは、はい、海未ちゃん!」



〜屋上での練習〜

海未「凛、にこ! いつまで休憩しているのですか、準備してください!」

凛「ええ〜もう〜?」

にこ「にこ、もうちょっと休憩したいニコ〜☆」

海未「な・に・か・ふ・ま・ん・で・も?」ゴゴゴ

にこりん「「な、なんでもないです・・・・・・」」



穂乃果「・・・・・・なんだか海未ちゃん、今日はやけに気合入ってない?」

ことり「そうだよね。どうしちゃったんだろ・・・・・・?」
14: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:48:42.94 ID:ybj75E6k.net
〜帰り道〜

海未「生徒会活動に練習に弓道の稽古に・・・・・・今日は、充実した一日でした」

海未「やはり、いいことをした次の日というのは気分がいいですね」フフッ



コソコソ



海未「・・・・・・?」

海未(なんでしょう・・・・・・今、そこのアパートの軒下で、何か動いたような・・・・・・?)
15: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:51:13.93 ID:ybj75E6k.net
男「」ゴソゴソ



海未(サングラスにマスクに・・・・・・あからさまに怪しいですね・・・・・・)

海未(って、あの人が手に持ってるもの・・・・・・! し、下着じゃないですか!!)

海未(下着泥棒ですね・・・・・・! なんという不届き者! 許せません!!)

海未(警察に連絡しましょうか・・・・・・いや、そうこうしてる内に逃がしてしまうかもしれません・・・・・・!)



男「」ゴソゴソ

男「」ニヤッ



海未(いけません、逃げてしまいます! 何か・・・・・・)キョロキョロ

海未(・・・・・・! あそこのゴミ捨て場にあるのは、フルフェイスのヘルメットと、壊れた傘、ですね・・・・・・)

海未「・・・・・・よし」グッ
16: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:53:25.03 ID:ybj75E6k.net
男「」ソソクサ



海未「・・・・・・待ちなさい、そこのくせ者!!」



男「!?」ビクッ

海未「そこまでですよ、不審者!!」ドーン

男「・・・・・・は!? 不審者、って・・・・・・」

男「ヘルメット被って傘持ったお前も、十分不審者・・・・・・」

海未「黙りなさい!! か弱き女子の下着を盗む等という狼藉、見過ごすことは出来ません! 成敗します!!」

男「は、はあ!? な、なんなんだ、お前!?」

海未「わ、私は・・・・・・」



海未「正義の使者、ラブアロー仮面!!」
17: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:55:06.84 ID:ybj75E6k.net
海未(い、言ってしまいました・・・・・・!///)ドキドキ

海未(で、でも、今の私・・・・・・本当に、本物のヒーローみたいです///)ゾクゾク



男「は、はあ、馬鹿じゃねえのかお前!?」

海未「やかましい。逃がしはしませんよ」

海未(た、確か、仮面ライバーが悪の怪人を倒す時に言う、決め台詞が・・・・・・)



海未「――正義を、執行します」キリッ
18: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 15:57:41.76 ID:ybj75E6k.net
海未(き、決まった・・・・・・!)ジーン

男「つ、付き合ってられるか!!」ダダッ

海未「!! 逃がしません!!」ダッ

海未「てえい!!」

ガスッ

男「ぐわ!?」

海未「とどめです!!」

ボコッ

男「あべし!?」

パタッ

海未「・・・・・・またもや、口ほどにもないですね。うちの道場で剣の稽古をさせたいくらいです」

海未「正義執行、完了! ――です」フフッ
20: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 16:00:24.67 ID:ybj75E6k.net
海未(あ、目をさまして逃げたら困るので、そこにあったロープで縛っておきましょう)グルグル

海未(それから、そこの公衆電話から警察に連絡して・・・・・・)パピポ



海未(勿論、私は名乗らずに立ち去ります。ヒーローは、人知れず人助けをするものです)

海未「ヒーロー・・・・・・いいものですね」ゾクゾク
21: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 16:03:12.05 ID:ybj75E6k.net
〜次の日〜



ヤンキー「これっぽっちしかねー訳ねーだろ。ジャンプしろジャンプ」

ヒョロガリ「か、勘弁して・・・・・・もう1円も・・・・・・」

ヤンキー「うっせ口答えしてんじゃねーぞオタク野郎コラ!!」

ヒョロガリ「ひいぃぃ!」



海未「そこまでです!!」



ヤンキー「あん?」
22: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 16:05:10.96 ID:ybj75E6k.net
海未「ラブアロー仮面、参☆上!!」

ヤンキー「・・・・・・なんだテメー、ヘルメット被って、棒切れ持って・・・・・・」

海未「恐喝とは卑劣極まりない行為。見過ごす訳にはいきません」

海未「――正義を、執行します」

ヤンキー「は? なに訳わかんねーこと言って、」

海未「問答無用!! とあっ」

ドコッ

ヤンキー「ぐえ!?」

海未「そこっ!」

ボコッ

ヤンキー「ぽぺ!?」

バタッ
23: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 16:06:47.87 ID:ybj75E6k.net
海未「正義執行、完了、です」

海未(ふふ・・・・・・また人知れず、人助けをしてしまいました)

ヒョロガリ「へ・・・・・・ええ・・・・・・!?」

海未「大丈夫でしたか。危ないところでしたね」

ヒョロガリ「え・・・・・・あの・・・・・・」

海未「ふふ、礼には及びません。では!」タタタ



ヒョロガリ「な・・・・・・なんなんだ・・・・・・?」
33: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 19:21:24.85 ID:ybj75E6k.net
〜また次の日〜



海未「穂乃果、書類の書き方が間違っています! もう一度書き直しですよ!」

穂乃果「うええ、わ、わかったよ・・・・・・」

海未「ことりも、仕事が終わるまで穂乃果にお菓子を与えないでください!」

ことり「ちゅん!? ご、ごめん、海未ちゃん・・・・・・」



海未「凛、脱いだ練習着はその辺に投げ出しておかずに、きちんと自分の鞄にしまってください!」

凛「ご、ごめんにゃ、海未ちゃん」

海未「にこも、テーブルの上にDVDを出しっぱなしにせず、しっかり整理しないといけませんよ」

にこ「わ、わかったわよ・・・・・・」



希「・・・・・・なーんか、海未ちゃん、ちょっとピリピリしてるなあ・・・・・・」

絵里「ええ・・・・・・何かあったのかしら?」
34: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 19:23:47.58 ID:ybj75E6k.net
海未(いけませんね・・・・・・いつも以上に、きちんとしていないものが目についてしまいます)

海未(しかし・・・・・・このたった3日の間で、立て続けに悪事が働かれるところを目にしてしまいました)

海未(こんなに、普段は目につかないところで悪事が行われているなんて・・・・・・)

海未(世の中、間違っています!! 警察は何をしているのでしょうか)ムカムカ

海未(みんなが安心して暮らすためには、こういった悪事はひとつでも減らしていかなければ・・・・・・)

海未(・・・・・・・・・・・・)

海未(・・・・・・決めました。これから、毎日パトロールです!!)グッ
35: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 19:27:03.01 ID:ybj75E6k.net
海未(警察が頼りにならないなら、この私が、少しでも出来ることをしなければ・・・・・・)

海未(そうです。この街の平和を守るため、園田海未、いやラブアロー仮面の出番なのです!!)メラメラ

海未(・・・・・・ん?)



……ヒソヒソ……



凛「・・・・・・かよちん、それってほんとなの?」

花陽「うん・・・・・・ここ数日、お面とかヘルメット被った人が、痴漢や不良をやっつけてるんだって・・・・・・」

花陽「それで、その人、音ノ木坂の制服を着てたって噂があって・・・・・・」

真姫「・・・・・・じゃあ、その不審者はうちの生徒だっていうの? バカバカしい」



海未(・・・・・・・・・・・・)
36: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 19:32:28.47 ID:ybj75E6k.net
〜放課後、街中〜



海未(・・・・・・花陽たちの話を小耳に挟んで、ちょっと私は考えました)

海未(確かに、顔を隠しているとはいえ、制服のままというのはまずいでしょう)

海未(そこで、やや大きめのスクールバッグを用意しました)

海未(この中に、先日拾ったフルフェイスのヘルメットと、家にあった、黒いジャージを入れておきます)

海未(いざ何か事件が起こった時には、物陰で素早く、これに着替えるという訳です)

海未(ジャージなら、制服の上から着ても大丈夫でしょう)

海未(そして、木刀を1本、木刀袋に入れて持ってきています)

海未(いつまでも武器が、棒切れや傘では格好がつきませんからね)

海未(しかしこれで、一見すると部活帰りの女子高生にしか見えないはずです)

海未(でも、いざという時には着替えて・・・・・・ふふ、まるで本物の変身ヒーローのようですね)ワクワク
37: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 19:35:41.46 ID:ybj75E6k.net
海未(さて、この辺りは人通りも多いですが、何か変わったことは・・・・・・)キョロキョロ

海未(・・・・・・む?)



……ネーネーイージャン……

……デモ……エット……



海未(なにやら、いかにもガラの悪そうな男が、女の子に絡んで・・・・・・)

海未(ナンパ・・・・・・でしょうか? でも女の子の方は、明らかに嫌がっていますね)

海未(あの子が、大人しそうなのに目をつけて、強引に連れて行こうとしているのですね。許せません)メラッ
38: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 19:38:15.20 ID:ybj75E6k.net
男「」イーカラチョットダケ

女の子「」エ…ソノ…



海未(女の子の肩に手をかけて・・・・・・どこへ連れていくのでしょう)

海未(・・・・・・嫌な予感がします。こっそり、後を追いましょう)
40: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 19:43:07.85 ID:ybj75E6k.net
海未(男は、半ば強引に、気の弱そうな女の子を連れて歩いていきます)

海未(何度か道を曲がり、人通りは少なくなっていって)

海未(そして、薄暗い、ビルとビルの間の路地裏のような道を、曲がっていきました)



海未(いかにも、怪しい、ですね・・・・・・)コソッ

海未(そろそろ、でしょうか。ここの建物の陰で、着替えましょう)ゴソゴソ

スルスル スポッ

海未(・・・・・・これで、よし。黒ジャージにフルフェイスヘルメット、どこから見ても音ノ木の生徒には見えないはずです)

海未(急いで、後を追いましょう)コソコソ
41: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 19:46:10.76 ID:ybj75E6k.net
海未(私は、男たちが入っていった裏路地に、木刀を持って入りました)

海未(そこも、薄暗い道になっています。ふたりは、どこに・・・・・・?)



……イヤッ!!……

……オトナシクシロッ……

……コンナノ……キイテナイ!……



海未「――!?」
42: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 19:49:12.33 ID:ybj75E6k.net
海未(私は、声の聞こえた方向に走っていきました)

海未(薄暗い路地裏の角を曲がり――その時、見た光景は、)



女の子「いや、離して!! そんなことするなんて、聞いてな・・・・・・!!」

男「うっせえんだよ、いい加減黙れやッ!!」ドゴッ

女の子「ごぉっ・・・・・・!?」

男「腹一発殴るだけで息出来ねえだろ。女の癖に男の腕力に敵うと思ってんのかよ」

男「あー、めんどくせ。その辺に連れ込んでヤるつもりだったけど、もうここで一発ヤっちまうか」

女の子「・・・・・・っ!?」
43: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 19:51:48.28 ID:ybj75E6k.net
海未(その男は、私の見ている前で、)

海未(女の子の下着を、下ろして――)



ズルッ

女の子「やっ・・・・・・めっ・・・・・・!!」

男「うるせえよ、一発ヌくだけだっての。どうせここは誰も来ねえしな」

男「おら、大人しくヤらせろやっ!!」ドゴッ

女の子「うげっ・・・・・・」



海未(その、瞬間――)

海未(私の中で、何かが、ぷつりと切れました)
44: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 19:54:18.88 ID:ybj75E6k.net
海未「」タタッ

海未(私は、無言で飛び出すと――手に持った木刀を、背を向けた男の脳天めがけ、)



バキッ



男「ぐあっ!?」

海未(男が、咄嗟に振り返り、)

男「なんだテメェッ!!」

海未「――黙れ」

海未(黙れ。黙れ黙れ黙れ)



海未「正義を、執行します」
45: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 19:56:49.64 ID:ybj75E6k.net
海未(私は、手に持った木刀を――)

海未(男の顔面に、振り下ろす)



バキッ



男「ぎゃあああ!?」

海未(男は顔面を押さえ、四つん這いになって逃げようとするが、)

海未「逃がさない」

ドコッ

男「ぐげっ!?」

海未(男の腹めがけて、つま先で思い切り蹴りを入れる)

ドコッドコッ

男「がっ!! げぇっ!!」
47: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 19:59:41.52 ID:ybj75E6k.net
海未(こいつは悪だ。こいつは悪だ。許せない。許せない。絶対許せない)

ドゴッドコッ

男「げはっ!! ごぉっ!!」

海未(男の頭が無防備になったところを、私は再び、木刀を頭に振り下ろす)

バキッ

男「ぎゃあっ!!」

海未(何度も、何度も)

バキッゴキャッ

男「がっ・・・・・・えっ・・・・・・!!」

海未(何度も何度も何度も)
48: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 20:02:13.89 ID:ybj75E6k.net
海未(汚い汚い汚い汚らわしい汚らわしい汚らわしい)

海未(許せない許せない許せない)



ドカッバキッ



海未(こんな奴はこんな最低の奴はこんな悪党は人間じゃない)

海未(そうだ人間じゃない虫だ虫だ害虫だゴキブリだ)



ゴキッゴキャッ



海未(害虫はいなくなればいい駆除すればいい死んでしまえばいい)

海未(死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!)



ガコッゴカッ
50: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 20:04:27.25 ID:ybj75E6k.net
海未「」ハァハァ

海未(・・・・・・私は、木刀で滅多打ちにし、動かなくなった男の体を見下ろし――)

女の子「あ・・・・・・あ・・・・・・」ガクガク

海未(・・・・・・地面にうずくまっている、女の子に向き合いました)

海未「――大丈夫でしたか? 怪我などは・・・・・・」

女の子「い・・・・・・嫌・・・・・・」ブルブル

女の子「いやああああああ!!」ダダダッ

海未「あ――!」



海未(女の子は、叫んで――走り去ってしまいました)
51: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/05(日) 20:06:50.46 ID:ybj75E6k.net
海未(可哀想に・・・・・・余程、怖い思いをしたのですね)

海未(・・・・・・でも、これでわかりました。世の中には、どうしようもないクズがいる)

海未(世の中に害をなす、“悪”がいるのです)

海未(正義のため、平和のため――そんな“悪”は決して許さず、倒さなければならない)

海未(そして、そんな“悪”を倒すことこそ――私の――)

海未(――否、“ラブアロー仮面”の、役目だったのです)



海未(私は――)

海未(男の血で、べっとりと赤く染まった、木刀の刀身を見つめました)



海未「」ニヤッ

海未「――正義執行、完了」
69: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:11:03.77 ID:38OkSaN4.net
〜次の日〜



海未「ワン、ツー、スリー、フォー!」パンパン

海未「ファイブ、シックス、セブン、エイト!」パンパン

海未「花陽、今のステップ、ちょっと遅いです!」

花陽「は、はいっ!」

海未「穂乃果はちょっと早いです!」

穂乃果「うんっ!」

海未「そうです! みんな、いい感じですよ!」
70: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:12:39.23 ID:38OkSaN4.net
穂乃果「今日の海未ちゃんは、なんだか生き生きしてるね」

ことり「うん。何かいいこと、あったのかな?」



海未(“悪”を1匹倒して、なんだか清々しました。すがすがしい気分です)

海未(そう――この街にはびこる“悪”を倒す)

海未(それこそが、正義の味方たるラブアロー仮面の使命だと、はっきりわかりました)

海未(まだ、満足してはいられません。今日からも、しっかりパトロールし、“悪”を駆逐しなければ)メラメラ
71: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:15:32.52 ID:38OkSaN4.net
……ヒソヒソ……



花陽「・・・・・・知ってる? ゆうべ、この近くで、男の人が襲われたって・・・・・・」

真姫「聞いたわ。棒か何かで滅多打ちにされて、重症だって」

凛「怖いにゃー・・・・・・」



海未(・・・・・・・・・・・・)

海未(・・・・・・ゆうべのあの男は、命は取り留めましたか)

海未(まあ正直、あんな人の皮を被った悪魔は、死んでしまっても構わないとさえ思っていましたが)

海未(ですが、害虫相手とはいえ、殺めてしまっては私自身も害虫たちと同レベルに堕ちてしまいますからね)

海未(・・・・・・せいぜい、二度と悪さが出来ないように、痛めつけてやりましょう)ニヤ
72: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:17:43.46 ID:38OkSaN4.net
〜その日の夜〜



おばあさん「」テクテク

バイク男「・・・・・・・・・・・・」ブロロロ…

おばあさん「」テクテク

バイク男「」ブロロロ

バシッ

おばあさん「あ! バッグを・・・・・・! 泥棒!!」

バイク男「へっ、ちんたら歩いてるからだよババア! ――ん?」



海未「――待て」
73: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:19:03.07 ID:38OkSaN4.net
バキッ!!



バイク男「ぐあっ!?」

ガシャン!! ズザザザ

バイク男「ってえ・・・・・・てめぇ、いきなり何、」

海未「問答無用」



海未「正義を、執行します」
74: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:21:25.66 ID:38OkSaN4.net
ガキッ

男「ぎゃあ!?」

海未「ヘルメットが邪魔ですね・・・・・・では腹や背中を」

バコッ ガスッ

男「がっ・・・・・・げっ・・・・・・」

ドスッ ドコッ

バキッ ボゴッ

男「・・・・・・・・・・・・」ピクピク

海未「・・・・・・・・・・・・」



海未「正義執行、完了」
75: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:23:13.10 ID:38OkSaN4.net
〜夜の公園〜



ニャーニャー

中坊1「あんだ? きたねー猫だなー」

中坊2「ニャーニャーうっせえんだよっ!」ドカッ

ニ゙ャッ!?

中坊1「うわ、今すげえ変な声で鳴いたぜ、超ウケるww」

中坊2「こいつボールにしてサッカーしようぜww」

ボコッ バコッ

ニ゙ャッ ニ゙ャー…



海未「――それ以上動くな」
76: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:24:57.69 ID:38OkSaN4.net
中坊1「ああん?」クルッ

海未「」タタタ

バキッ!!

中坊1「ぐあ!?」

中坊2「な、なんだてめ、」

海未「喋るな」

ドグッ!!

中坊「あがっ!?」

海未「・・・・・・か弱い猫をいたぶる、貴方がたのようなゴミに情けは無用」



海未「正義を、執行します」
77: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:26:18.43 ID:38OkSaN4.net
〜また次の日〜



海未(どういうことですか・・・・・・!! 悪事は、一向になくなりません)

海未(本当に嘆かわしいことです。この国の人間たちは、正義の心を忘れてしまったのでしょうか)

海未(・・・・・・いや、だからこそ。この私が、人知れず、悪を退治していかなければならないのです)メラッ



穂乃果「・・・・・・・・・・・・」

ことり「・・・・・・・・・・・・」
78: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:28:49.51 ID:38OkSaN4.net
穂乃果「・・・・・・海未ちゃん」

海未「穂乃果? ことりも・・・・・・」

穂乃果「海未ちゃん・・・・・・何か、悩みでもあるの?」

海未「・・・・・・え!? な、なぜそのような・・・・・・」

ことり「だって海未ちゃん、なんだか考え込んでるみたいだったから・・・・・・」

海未(ラブアロー仮面の正体が、私だということがばれてはいけません・・・・・・!)

海未(仮面ライバーも、正体がばれることはご法度でした)

海未(しかし、下手に誤魔化してはかえって疑われるかもしれませんね)
79: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:30:31.23 ID:38OkSaN4.net
海未「・・・・・・その、最近、家での日舞や剣道の稽古が忙しくて」

海未「疲れが、少し顔に出てしまっていたのかもしれません」

ことり「そう・・・・・・なんだ。無理しないでね、海未ちゃん」

穂乃果「困ったことがあったら、なんでも相談に乗るからっ!」

海未「ふふ。ありがとうございます、ふたりとも」
80: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:32:26.13 ID:38OkSaN4.net
海未(穂乃果とことりは・・・・・・本当に優しい、素晴らしい友人ですね)

海未(でも――だからこそ。ふたりのような、優しく素晴らしい人たちがいるからこそ)

海未(私は、そんな人たちを“悪”から守らなければならないのです)

海未(穂乃果やことり、μ'sの仲間たちに危害を加えるような“悪”は、徹底的に叩き潰す)

海未(それが、私の“正義”です)
81: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:34:40.06 ID:38OkSaN4.net
〜その日の夜の街〜



ギャル1「お、そのアクセ、イケてるじゃん。ちょっと見せろよ」

JK「あ・・・・・・でもそれ、高かったから・・・・・・」

ギャル2「うっせーな、借りるだけだよ」

JK「か、返して・・・・・・」

ギャル1「それよかてめー、“今月の分”はどうしたんだよ」

JK「そ、それは・・・・・・もう、親の財布や口座から抜き出すのも難しくて・・・・・・」

ギャル2「てめーんとこの都合なんか知ったこっちゃねえんだよ!」バシッ

JK「きゃっ!」

ギャル1「金がねえんならその辺の奴からパクるでもなんでもしろよグズ!」バシッ

JK「あう・・・・・・!」



海未「・・・・・・・・・・・・」
82: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:36:17.94 ID:38OkSaN4.net
〜人通りの少ない道〜



ギャル1「これっぽちとか、あいつマジ使えねー」

ギャル2「まあでも金入ったし。どこ行く?」

ギャル1「とりあえず、タカシたちと合流して、バーでも入って・・・・・・」



海未「」スッ



ギャル2「・・・・・・!? なんだよお前」

ギャル1「ヘルメットとか被って、マジうけるんだけど」

ギャル2「変質者? どけよそこ」

海未「――うるさい」



海未「正義を、執行します」
83: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:38:28.78 ID:38OkSaN4.net
海未「」ブンッ

ギャル1「きゃっ!?」

ギャル2「あ、危ねーな!! なにすんだテメー!!」

海未「問答無用」

ギャル1「へ、変態!!」

ギャル2「テメー、ウチらに手ぇ出したらどうなるか・・・・・・!!」



男1「おい、どうしたんだよアユミ」ザッ



海未「――!?」

ギャル1「あ、タカシ!」

男2「なに? なんかモメてんの?」

男3「なによそいつ」ザッザッ



海未(しまった――うかつでした。仲間がいたとは――!)
84: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:40:14.63 ID:38OkSaN4.net
ギャル1「この変態が、いきなり殴りかかってきて・・・・・・!」

ギャル2「ぶっ殺してよ、そいつ!!」

男1「へー。人のツレに手ぇ出すとか、なめてんじゃん」ポキポキ

男2「なにヘルメットなんて被ってんだよ、変態ヤロー」

男3「ぶっ殺すぞコラ」



海未(・・・・・・どうせこいつらも、クズの仲間。まとめて成敗してやりましょう)

海未(とはいえ、3対1では私とて簡単には済まない)

海未(ここは――先手必勝!!)

ダッ

男1「!?」
85: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:42:14.46 ID:38OkSaN4.net
海未「たあ!!」ブンッ

男1「くっ!?」

ガッ

海未(――!? 腕で防いだ!?)

海未(少しは、“やる”ようですね――!)



男1「ってぇ!! クソ・・・・・・!!」

男2「なにしてんだコラァ!!」

男1「ヤロー・・・・・・〜〜!!」パチンッ

海未(――!! ナイフ!!)

男1「ぶっ殺すぞコラァ!!」

男2「」パチン

男3「」パチン
86: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:44:42.18 ID:38OkSaN4.net
海未(3対1で刃物・・・・・・! 落ち着いて、落ち着け、ラブアロー仮面・・・・・・!)

男1「おらァッ!!」シュッ

海未(くっ! 危なっ・・・・・・!)

男2「避けてんじゃねえよ!」シュッ



ザシュッ



海未「!!!」

海未(くっ・・・・・・左腕を、かすりましたか・・・・・・!!)



男3「ボケっとしてんじゃねえよ!!」ドカッ

海未「ぐっ!?」

海未(うう・・・・・・蹴りを・・・・・・!!)
87: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:46:36.56 ID:38OkSaN4.net
男1「おい、こんなもんで済むと思ってんじゃねーぞ? ぶっ殺してやんからよ」

海未(くっ・・・・・・!! 腕はかすり傷ですが、多勢に無勢・・・・・・!)

海未(このままでは・・・・・・)

グッ

ギャル1「――! ねえそいつ、手に何か持った!!」

バッ

男2「ぐあ!?」

男3「くそっ、目に砂が・・・・・・!!」

海未「――!!」ダッ

男1「てめぇ、待てっ!!」
88: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:48:40.45 ID:38OkSaN4.net
海未「・・・・・・・・・・・・」ハァハァ



……ヤロードコイキヤガッタ!!……

……サガシテブッコロセ!!……

バタバタ



海未「・・・・・・・・・・・・」ハァハァ

海未(私は――咄嗟に、廃墟の陰に隠れて、男達をやりすごしました)

海未(ナイフで切られた、左腕の痛みと共に、私の心に湧き上がってきたのは、言いようの無い悔しさと怒り――)



海未「」ギリッ 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
89: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:50:50.30 ID:38OkSaN4.net
海未(あんなクズなのに・・・・・・逃げるしかなかった)

海未(なんという未熟・・・・・・!! なんて情けない・・・・・・!!)

海未(許せない許せない許せない!! 未熟な自分と、あの害虫のような男達)

海未(絶対に許せない。正義は――ラブアロー仮面は、“悪”に敗れることなど、断じてあってはならない)

海未(絶対に許すものか――!!)ギリリッ
90: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:53:09.88 ID:38OkSaN4.net
〜数日後、園田邸〜



<アリガトーゴザイマシター



海未「・・・・・・・・・・・・」

海未(私は、父と母が家にいない時間帯を指定して、届いた段ボール箱を受け取り――)

海未(それを、自室に運んで開封しました)

海未(今は、便利な時代です。インターネットで少し調べれば、“こんなもの”でも、すぐに手に入る)

海未(本来であれば、武道家たる私が“こんなもの”に頼らざるをえないのは、忸怩たる思いもありますが――)

海未(こうしている間にも、“悪”はこの世にはびこっているのです。ぐずぐずしている余裕はありません)

ガサガサ
91: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:55:33.96 ID:38OkSaN4.net
海未(それに、仮面ライバーも、強力な敵と出会ってピンチに陥った際には、より強力な新武器や新必殺技を披露していたものです)

海未(ですから私、ラブアロー仮面が、“こういったもの”を手に入れることも――なんら、おかしいことではないのです)

海未(私は、少しわくわくしながら、ラブアロー仮面の“新たな武器”を、取り出しました)

ガサガサ

海未(まずは、武器が木刀だけというのも心許ないので、万が一相手に木刀を奪われた際に備えて――)

海未(伸縮式の、特殊警棒)

海未(次に、相手をひるませ、無力化するための――催涙スプレー)

海未(そして――)
92: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/07(火) 00:57:16.70 ID:38OkSaN4.net
海未(私が取り出し、手に持ったのは――黒っぽい小型の機械)

海未(高電圧型の、スタンガン――)



カチッ

バチバチッ



海未「―――」

海未「」ニヤッ
103: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:07:42.59 ID:H3951CNk.net
〜夜の公園〜



ギャハハハハ

デサーソイツガー



海未「」ザッザッ



男1「・・・・・・おっ?」

ギャル1「あ!! あの時の変態!!」



海未「――見つけましたよ」
104: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:08:56.04 ID:H3951CNk.net
男2「見つけた、だぁ!? こっちの台詞だボケ!!」

男3「よくもまあノコノコまた出てこれたもんだなあ、おい」

男1「今度こそぶっ殺してやるからよぉ、逃がさねぇぞてめぇ」

ギャル2「やっちゃえやっちゃえ」ギャハハ



海未(――男達が口々に何か言っていますが、クズの戯言など、私の耳には入りません)

海未(蝿を殺す際、憐憫の情が沸くのか? 仮面ライバーが雑魚の戦闘員を倒す時、何か感想を持つのか?)

海未(――答は、否、です)



海未「正義を、執行します」
105: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:10:17.22 ID:H3951CNk.net
海未「」ダッ

男達「!?」

海未(私は、男達の機先を制して、先に動きます。狙うは、リーダー格の男)

海未(こういった群れた連中は、最初に頭を叩けば脆く崩れやすいものです)

海未(・・・・・・まずは、これからいきましょうか)



海未(“ラブアロービーム”!!)

ブシュー



男1「っがあ!? いってえ!! 目がっ!!」

海未(カプサイシン――俗に言う“トウガラシスプレー”ですが、なるほど、よく効きます)

ガツッ

男1「がっ・・・・・・」

海未(脳天に一発、木刀を叩き込んで――まず、1匹)
106: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:12:04.84 ID:H3951CNk.net
男2「てっめぇ!!」

海未(ナイフを持って、向かってきた男に――)

ブシュウッ

男2「ぎやあぁっ!?」

海未(再び、“ラブアロービーム”をお見舞いしてやります。学習能力が無いのでしょうか)

バキャッ

海未(顔面に、木刀を思い切り叩き込んだら、ものも言わず昏倒しました。これで2匹)

海未(残るは――)
107: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:13:28.03 ID:H3951CNk.net
男3「なっ・・・・・・んなんだよ、てめぇっ・・・・・・」

海未(仲間がやられ、戦意を喪失した男)

男3「・・・・・・頭おかしいんじゃねぇのかっ!?」

海未(ナイフを握っていますが、所詮は素人。1対1なら、私の敵ではありません)

バシッ

男3「ってぇ!!」

海未(木刀でナイフを握った手を叩き、相手が丸腰になったところで――)

海未(次は、これでいきましょう)



海未(“ラブアローサンダー”!!)

バチバチッ



男「ごぉっ!?」
108: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:15:16.94 ID:H3951CNk.net
海未(スタンガンを押し当てると、男はびくんと体を痙攣させ、その場に倒れ、)

ドコッ

海未(とどめに、脳天に木刀を叩き込んでおきます)

海未(さて、これで3匹――)



男1「て・・・・・・めぇっ・・・・・・!!」プルプル



海未(・・・・・・おや、意外としぶといですね。気絶していませんでしたか)

男1「ぶっ・・・・・・ころ、す・・・・・・!!」

海未(性懲りもなく向かってくるので――仕方ありません、最後に“これ”を試しますか)



シャキンッ

海未(“ラブアローブレード2号”!!)

ガツンッ
109: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:17:09.49 ID:H3951CNk.net
男1「ぎゃっ!?」

海未(おお、流石は金属製の特殊警棒。一撃の強さは木刀以上ですね)

海未(念のため、あと2、3発入れておきましょう)

ガキッ ゴキッ



海未(すっかり動かなくなった、男達を見渡し――)

海未「・・・・・・・・・・・・」

海未「」ニヤッ

海未(・・・・・・素晴らしい威力です、ラブアロー仮面の“新武器”・・・・・・!)

海未(これらを使っていけば、さらに“悪”をたくさん滅ぼすことができる・・・・・・!)ゾクゾクッ
110: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:18:38.40 ID:H3951CNk.net
ギャル1「あ・・・・・・あ・・・・・・!」ガクガク

ギャル2「た・・・・・・たす、たすけ・・・・・・」ブルブル



海未(・・・・・・地面にへたりこみ、震えている女達の前に、歩み寄ります)

ギャル1「お、お願い・・・・・・! なんでもするから・・・・・・」

ギャル2「み、見逃して・・・・・・!」

海未「――安心してください」
111: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:20:15.99 ID:H3951CNk.net
海未「私は“悪”に対して、男女の差別をするつもりはありません」

海未「貴方がた“悪”は、人の皮を被った害虫なのですから、私は平等に駆除します」

ギャル1「は・・・・・・」

ギャル2「・・・・・・は!?」

海未(私は、ヘルメットの下で、にこりと笑いながら――)



海未「正義を、執行します」



海未(手に持った、木刀を――振り上げました)
112: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:22:03.33 ID:H3951CNk.net
〜数日後、昼休みの部室〜



海未(あれから、また何人かの“悪”を倒しましたが・・・・・・)

海未(やはり、“新武器”の威力は絶大です。この街から“悪”を殲滅できる日も、そう遠くないかもしれません)ニコニコ

海未(――いやでも、武器にばかり頼るのはいけませんね。私も武道家の端くれ、体もしっかりと鍛えて闘わなければ)

海未(それに、まだまだ“悪”は多くのさばっているのです。油断は出来ません)

海未(しかし、それにしても――)チラッ
113: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:24:28.58 ID:H3951CNk.net
凛「ねえねえ、かよちん、ニュース見た!?」

花陽「う、うん・・・・・・今、スマホで見てるよ」

花陽「“秋葉原周辺における、不審者の連続通り魔事件”――」

花陽「“犯人はフルフェイスのヘルメットに黒ずくめの服装で、鈍器や催涙スプレー、スタンガン等を用いて傷害行為を繰り返している”」

花陽「“襲われた被害者は、10名以上に上る模様”――」

真姫「うちの病院にも、この間襲われた人が運び込まれてきたわ。酷い有様だったみたいよ」

凛「こんな近くで、通り魔事件が起こるなんて・・・・・・しかも、犯人は捕まってないし・・・・・・」

花陽「なんだか怖いよ・・・・・・」



海未「・・・・・・・・・・・・」
114: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:25:57.71 ID:H3951CNk.net
海未(・・・・・・私は正しいことをしています。私が倒しているのは、善良な市民ではなく、どうしようもない“悪”だけです!!)

海未(なのに・・・・・・なぜ、正義と平和を守っている私の方が、まるで“悪”であるかのように扱われているのですか!!)ギリッ

海未(私の行動で、少なくとも平和は守られているはずです!! なぜマスコミは、被害者が“悪”であることを報道しないのですか!!)

海未(これは明らかな偏向報道です。所詮マスコミの内部にも、“悪”が多く入り込んでいるということですね)

海未(今後、何らかの形で制裁を加える必要もあるかもしれません・・・・・・)ムカムカ



ことり「海未ちゃん・・・・・・今日もなんだか、ちょっと変」

穂乃果「うん・・・・・・」
115: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:28:01.18 ID:H3951CNk.net
穂乃果「う〜みちゃん!」

ことり「一緒に、お弁当食べよっ!」

海未「え・・・・・・?」

穂乃果「海未ちゃん、今日も疲れてるの? なんだか顔がちょっと怖いよ〜」エヘヘ

海未「怖い!? ひ、ひどいです、穂乃果」

ことり「海未ちゃん、もし疲れてるなら、あんまり無理しないでね。お節介かもしれないけど・・・・・・」

海未「ことり・・・・・・穂乃果・・・・・・」

海未「・・・・・・ありがとうございます。それでは、お昼にしましょう」ニコッ

穂乃果「そうと決まれば、いただきま〜す! 今日もパンがうまいっ!」モグモグ

ことり「海未ちゃん、穂乃果ちゃん、マカロン作ってきたから、良かったら食べて〜♪」
116: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:31:00.20 ID:H3951CNk.net
ガチャッ

希「お、なんや、みんなそろってるやん」

絵里「みんなもお昼を食べに来たのね。ご一緒させてもらおうかしら」

にこ「まったく、9人も部室に入ってたら、せっかくのお昼なのに狭いったらないわ」モグモグ

花陽「まあまあ・・・・・・にこちゃん、今日もパンだけ?」

にこ「だ、ダイエットなのよ」

真姫「炭水化物だけ食べてたら、あんまりダイエットにならないわよ」

凛「凛、知ってるよ〜! にこちゃん、もうすぐこころちゃんとここあちゃんの誕生日だから、お金貯めてるんだよね!」

絵里「なるほど、それで節約を・・・・・・」

希「こころちゃんとここあちゃん、双子やもんね」

真姫「にこちゃんも、なかなか健気じゃない」

にこ「ちょ、ちょっと凛、あんたなんで知って・・・・・・! いいでしょ、別に!///」

アーニコチャンカオアカイニャー

ウルサーイ!!

アハハハ

海未「・・・・・・・・・・・・」
118: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 00:32:57.47 ID:H3951CNk.net
海未(実ににぎやかですが・・・・・・心地いいです。この、みんなの雰囲気が)

海未(穂乃果も、ことりも・・・・・・μ'sのみんなも。本当に、心から信頼できる友人たちであり、私の大切な仲間です)

海未(μ'sのみんなのような、心優しい人々の生活と平和を、“悪”がおびやかすことがないように・・・・・・)

海未(私は――ラブアロー仮面は、必ず“悪”を滅ぼします)

海未(この世から、“悪”は滅しなければならないのです)グッ
121: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 01:33:22.79 ID:H3951CNk.net
〜放課後、帰り道〜



海未(・・・・・・平和な街並です。今の所、目に付いて悪事を働いている輩もいませんね)

海未(これからも、このような平和が、続いてくれるといいのですが・・・・・・)

海未(・・・・・・ん?)



にこ「」テクテク



海未(前の方に歩いているのは、にこ・・・・・・ですね)

海未(帰り道が被ってしまいましたか)
122: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 01:35:20.39 ID:H3951CNk.net
おばさん「」テクテク

ポトッ

にこ「・・・・・・!」



海未(おや? にこの前を歩いている、ブランド物に身を固めた婦人が・・・・・・)

海未(何か・・・・・・落としましたね。財布・・・・・・でしょうか?)



にこ「」ヒョイ



海未(にこが拾いました。やはり、財布のようですね)

海未(流石はにこです。婦人は落としたことに気づいていないようですし、親切に拾ってあげるとは・・・・・・)



にこ「・・・・・・・・・・・・」



海未(・・・・・・にこ?)
123: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 01:37:30.77 ID:H3951CNk.net
おばさん「」タクシー!



海未(あ・・・・・・! 婦人が、タクシーに乗り込んで行ってしまいます!)

海未(何をしているのですか、にこ・・・・・・)



にこ「・・・・・・・・・・・・」

にこ「」スッ



海未「・・・・・・・・・・・・!?」



タクシー「」ブロロロロ…



海未(今・・・・・・にこは・・・・・・)

海未(自分の鞄に・・・・・・財布を、入れた・・・・・・?)

海未(まさか、にこ・・・・・・財布を・・・・・・)

海未(・・・・・・盗んだ?)
124: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 01:39:21.16 ID:H3951CNk.net
海未「」ギリッ

ダッ

海未(私は、込み上げてきた怒りに、一瞬頭が真っ白になり――)

ガシッ

にこ「!?」

海未(気づけば、にこの許に走り寄り、にこの腕をつかんでいました)



にこ「う、海未!? なによ、いきなり!」

海未「・・・・・・!」

海未(私は無言で、にこの腕を引っ張り、人通りの無い脇道ににこを連れ込みました)
125: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 01:41:19.67 ID:H3951CNk.net
にこ「ちょ、ちょっと海未、一体なに・・・・・・!」

ドンッ

海未(私は、ブロック塀を背にしたにこを前にし、逃げられないよう壁に手をつきました)



海未「・・・・・・今、何をしましたか」

にこ「はぁ!? べ、別になにも・・・・・・!」

海未「とぼけないでくださいっ!!」

にこ「!?」ビクッ

海未「・・・・・・貴方、前を歩いていたご婦人が落とした財布を、そのまま自分の鞄に入れましたね」

にこ「そ、そんなこと・・・・・・!」

海未「」グイッ

にこ「あ、ちょっと!!」

海未(とぼけるにこの鞄の中に、私は強引に手を突っ込み――そこから、出てきたのは・・・・・・)
126: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 01:43:33.42 ID:H3951CNk.net
海未「・・・・・・“これ”はなんですか?」

にこ「あ・・・・・・あ・・・・・・」

海未(私が、先刻の財布をにこの目の前につかみ出すと、にこは真っ青になり、)

にこ「ち・・・・・・違うの。誤解よ。確かに財布は拾ったけど、あのおばさんに返そうと思って・・・・・・)

海未「嘘をつきなさいっ!!」

にこ「!?」ビクッ

海未「あの婦人は、貴方の目の前にいた。貴方が財布を拾ってから、婦人がタクシーに乗るまで、多少の時間的余裕もあった」

海未「なのに貴方は、声をかけなかった!! 声をかけずに、そのまま財布を鞄に入れた!!」

海未「返すつもりなんてなかった!! 最初から盗むつもりだったのでしょう!!?」バンッ

にこ「・・・・・・っ!?」ビクッ
127: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 01:45:59.64 ID:H3951CNk.net
海未(にこは、涙目になり、声を震わせながら、)

にこ「ち・・・・・・違うの・・・・・・最初は、盗もうだなんて・・・・・・」

にこ「魔が・・・・・・魔が、差したの。だって・・・・・・うち、今、家計が苦しくて・・・・・・!」

にこ「このままじゃ、妹達の誕生日もまともに祝ってあげられないって・・・・・・」

にこ「そう思ったら、勝手に・・・・・・手が、鞄の中に・・・・・・!」

にこ「信じて・・・・・・にこは、最初から盗もうだなんて・・・・・・!」

海未「言い訳です!! それはっ・・・・・・言い訳ですっ!!」

にこ「ひいぃ・・・・・・!」

海未(激昂する私の剣幕に――にこはすっかり、縮こまってしまっていました)
128: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 01:47:29.31 ID:H3951CNk.net
にこ「う、海未・・・・・・お願い。みんなと、家族には、黙ってて・・・・・・」

にこ「この財布も、今から交番に届けるから。だから、海未・・・・・・!」グスッ

海未「・・・・・・・・・・・・!!」



海未(私の心は、悲しみと、それを上回る怒りに煮えくり返っていました)

海未(――μ'sのメンバーは、私の仲間達は、“悪”とは無縁の、素晴らしい人たちだと信じていた)

海未(なのに、裏切られた。どんな理由があれ、盗みなどという悪事に、にこは手を染めた)

海未(信じていたのに。にこの中には、“悪”の心があった。信じていたのに、裏切られた)

海未(裏切られた裏切られた裏切られた信じていたのに信じていたのに)



海未「――信じていたのにっ!!」ドンッ
129: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 01:49:29.95 ID:H3951CNk.net
にこ「ひぃっ!?」

海未「信じていたのに裏切った!! 私の正義を裏切った!! 貴方の中の“悪”が裏切った!!」バンバンッ

にこ「な・・・・・・なに言ってるのよ!? 意味わかんないわよ!!」

にこ「あんた・・・・・・おかしいんじゃないの!?」

海未(にこが、私の手を振り払い、逃げようとしたので――)



海未「待ちなさいっ!!」グイッ

ガンッ

にこ「っ・・・・・・!?」



海未(私が、咄嗟に腕を引っ張った拍子に、にこは後頭部を塀に打ちつけ――)

バタッ

海未(その場に――倒れました)
130: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 01:50:43.25 ID:H3951CNk.net
海未「」ハァハァ

海未「・・・・・・」

海未「・・・・・・・・・・・・」

海未「・・・・・・・・・・・・にこ?」



海未(にこの体は――ぴくりとも、動きません)



海未「にこ・・・・・・にこ?」ユサユサ

海未(体を揺すっても――反応は、ありません)

海未「―――!」
131: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/08(水) 01:52:15.15 ID:H3951CNk.net
海未(茹で上がった頭から―― 一気に、血の気が引くのを感じました)

海未(――“こんなこと”は、今まで何度もやってきた)

海未(“悪”を打ち倒し、駆除することに、一片の憐憫の情も浮かぶことはなかった)

海未(ですが――にこは。仲間です)

海未(“悪”に染まったとはいえ――同じμ'sの仲間を、私は、この手で――)



海未「・・・・・・・・・・・・!!」ダッ



海未(頭の中が、ミキサーでかき回されたかのように、訳がわからなくなって)

海未(悲しいのか、怒っているのか、焦っているのか、怖いのか、わからなくなって)

海未(私は――その場から、走り去りました)
147: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:12:35.10 ID:Knyk3djE.net
〜西木野総合病院〜



海未(・・・・・・病室のベッドの上で、目を閉じ、横たわるにこ)

海未(私を含め、集まったμ'sの8人は、病室のガラス越しに、その姿を見つめていました)



凛「にこちゃん・・・・・・」

花陽「なんで・・・・・・なんでこんなことに・・・・・・」グスッ

海未「・・・・・・・・・・・・」
148: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:14:47.28 ID:Knyk3djE.net
海未(あれから、無我夢中で私は家まで走り、自室に閉じこもりました)

海未(にこを昏倒させたという自覚。頭の中はぐちゃぐちゃで、自分の感情を上手く整理出来なくて)

海未(・・・・・・その時、私の携帯に、穂乃果から、にこが真姫の病院に運ばれたと連絡が入ったのでした)



真姫「・・・・・・にこちゃんは、後頭部に、強いショックを受けたみたい」

真姫「精密検査をして、深刻な脳内出血等は見られないけれど・・・・・・」

真姫「・・・・・・意識が、戻らないの」

ことり「そんな・・・・・・」

穂乃果「にこちゃん・・・・・・!」
149: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:16:41.52 ID:Knyk3djE.net
希「・・・・・・たまたま通りかかった人が、にこっちが倒れてるのを見つけて、救急車を呼んだそうや」

絵里「何かの事件に巻き込まれた可能性もあるからって、さっき、警察の人も来てたみたいね」

花陽「事件、って・・・・・・まさか・・・・・・」

凛「あの、通り魔に・・・・・・!?」

海未「・・・・・・・・・・・・!!」
150: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:19:22.44 ID:Knyk3djE.net
真姫「・・・・・・っ!!」ガンッ

海未(不意に真姫が、握り締めた手を、ガラスに打ち付けました)

花陽「真姫ちゃん・・・・・・!?」

真姫「・・・・・・許せない」

真姫「もし、誰かがにこちゃんをこんな目に遭わせたんだったら・・・・・・許せない・・・・・・!」

真姫「にこちゃんが、このまま目を覚まさなかったら・・・・・・どうするのよ・・・・・・!」

真姫「にこちゃんが、一体なにをしたっていうの!?」

真姫「許せない、絶対許せない・・・・・・!!」ギリッ
151: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:21:24.55 ID:Knyk3djE.net
海未(にこは・・・・・・悪事を働きました。財布を、盗もうとしました)

海未(たとえ一時の気の迷いとはいえ、彼女の心の中には、“悪”があった)

海未(だから、成敗しなければならない。“悪”は、例外なく滅しなければならない)

海未(にこを倒したことだって、おかしいことではない。今まで、散々やってきたことではないですか)

海未(私は正しい。私は正しい。私は正しい。私は正しい)

海未(正しい正しい正しい正しい正しい正しい正しい正しい正しい正しい正し)



穂乃果「・・・・・・海未ちゃん?」
152: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:22:23.42 ID:Knyk3djE.net
海未「え・・・・・・?」

穂乃果「海未ちゃん・・・・・・大丈夫?」

ことり「その・・・・・・怖い顔・・・・・・」

海未「・・・・・・・・・・・・」

海未「・・・・・・大丈夫です。にこのことが、心配で・・・・・・」
153: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:23:42.83 ID:Knyk3djE.net
海未(・・・・・・病院を去る時、目に入ってきた光景)

海未(薄暗い病院の廊下の長椅子に、顔を伏せ、力無く座り込んでいる、にこの母上)

海未(そこにすがりついて泣いている、にこの幼い、双子の妹たち・・・・・・)



海未(私は・・・・・・)

海未(・・・・・・正しい、のでしょうか?)
154: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:25:48.51 ID:Knyk3djE.net
〜翌日、放課後の帰り道〜



海未(・・・・・・翌日になっても、まだにこの意識は戻りませんでした)

海未(私たちμ'sのメンバーも、にこの一件のために、皆一様に沈鬱な表情を浮かべており)

海未(誰が言い出すともなく、その日の練習は休みとなり、解散になりました)



ことり「にこちゃん・・・・・・大丈夫なのかな・・・・・・」

穂乃果「・・・・・・でも、穂乃果たちがいつまでも暗くなってても仕方ないし」

穂乃果「にこちゃんが元気になることを信じて、にこちゃんを待ってようよ!」

ことり「うん・・・・・・」

海未「・・・・・・・・・・・・」
155: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:26:56.27 ID:Knyk3djE.net
海未(私は正義の味方。私はラブアロー仮面。私は“悪”を許さない。私は正しいことをしている)

海未(なのに――ゆうべ、病院で見た、横たわるにこの姿と、にこの家族の様子が、頭から離れない)

海未(私は正しいことをしている。どうしようもない“悪”を倒し、正義と平和を守っている)

海未(なのに――ゆうべ、病院で見た、横たわるにこの姿と、にこの家族の様子が、頭から離れない)

海未(・・・・・・仮面ライバーなら、こんな時、どうするのですか?)

海未(わからない。わからない。わからないわからないわからない)

海未(誰か教えてください。誰か。誰か。誰か誰か誰か誰か誰か誰か)
156: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:28:07.54 ID:Knyk3djE.net
ことり「――あ! ねえ、穂乃果ちゃん・・・・・・」

穂乃果「あれ・・・・・・うちの、生徒?」

海未(ふたりの言葉に、ふと顔を上げると)

海未(コンビニの前で、煙草らしきものをくわえている、ふたりの女子高生――)



海未「・・・・・・―――!!!」ダッ



穂乃果「あっ、海未ちゃん!?」
157: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:29:13.00 ID:Knyk3djE.net
海未(気づいた時には、私は女子高生のもとに駆け寄り――)

JK1「・・・・・・えっ!? μ'sの、園田海未・・・・・・!?」

JK2「じゃなくて、副会ちょ・・・・・・」

海未(次の瞬間、)



パアンッ!!

JK1「きゃっ!?」



海未(思い切り、平手打ちを食らわせました)
158: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:30:03.19 ID:Knyk3djE.net
JK2「い、いきなりなにす、」

パシイッ!!

JK2「っ!?」



海未「・・・・・・貴方がたは。音ノ木の生徒でありながら、こんな、こんな」ブルブル

海未「恥を知りなさいっ!!」バシッ

JK1「あう!?」
159: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:31:52.47 ID:Knyk3djE.net
海未(“悪”だ。“悪”だ。正しくないことは“悪”なんだ。この世はみんな“悪”でいっぱいなんだ)バシッ

海未(許しちゃ駄目なんだ。許しちゃ駄目だ。許さない許さない許さない)パンッ

海未(私は“悪”を倒す倒す倒すたおおおおおおおすすすすすすす)ビシッバシッパンッ



穂乃果「――海未ちゃんっ!!」ガシッ

ことり「やめてっ!!」ガシッ
160: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:33:10.22 ID:Knyk3djE.net
海未「・・・・・・・・・・・・!!」ハァハァ

海未(気づいた時には――穂乃果とことりが、私の腕と体を必死で抑え込んでいて)

海未(私の目の前には、私が何度も平手打ちをして、地面にうずくまるふたりの生徒――)



穂乃果「海未ちゃん!! やりすぎだよ!!」

ことり「どうしちゃったの・・・・・・? 海未ちゃん・・・・・・!」



JK1「う・・・・・・う・・・・・・」グスッ

JK2「ゆる、して・・・・・・」ヒグッ



海未「・・・・・・・・・・・・」
161: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:35:51.21 ID:Knyk3djE.net
海未(煙草を吸っている女生徒を見た瞬間、頭に血が上って、真っ白になって――)

海未(――気づいた時には、穂乃果とことりに押さえつけられていました)

海未(穂乃果とことりが、海未ちゃんはとにかく落ち着いて、一旦家に帰って――と言うので)

海未(私は、半ば呆然としたまま――ひとり、帰路につきました)



海未(あの女生徒たちは、“正しくない”ことをしていた。つまり、“悪事”を働いていた)

海未(そう思った瞬間、私の中から、言いようのない怒りがマグマのように噴き出していた)

海未(“正しくない”ことは“悪”です。だから私が怒るのは当然なのです)

海未(なのに、なぜ、穂乃果とことりは――私を、あんな怯えた目で、見たのですか?)

海未(私は正しい。私は正しい。私は正しい。私は正しい。正しい正しい正しい正しい・・・・・・」ブツブツ
162: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/09(木) 01:37:16.44 ID:Knyk3djE.net
※ ※ ※



LINE : ELI
――――――――――――――――――



「絵里ちゃん」>ほのか

「相談があるんだけれど・・・」>ほのか



ELI<「どうしたの? 穂乃果」

ELI<「・・・でも、薄々は察しがつくけど」



「うん。できれば希ちゃんも一緒に」>ほのか

「ことりちゃんも相談したいって」>ほのか



ELI<「相談したいことって、やっぱり・・・」



「うん」>ほのか

「海未ちゃんのこと」>ほのか





※ ※ ※
178: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:11:58.42 ID:3LOXoBJM.net
海未(大きめの、スクールバッグの中に入れるものを、ひとつずつ確認します)

海未(まずは、フルフェイスのヘルメット)

海未(次に、黒のジャージの上下)

海未(そして、伸縮式特殊警棒、催涙スプレー、スタンガン――)

海未(それらを詰め、チャックを閉めて)

海未(木刀袋に入れた、愛用の木刀と共に、肩から提げました)

海未(そう。いつもと同じ、です)
179: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:13:18.69 ID:3LOXoBJM.net
海未(私はひとり、そっと玄関を抜けて、すっかり日も落ちた夜の街に出ました)

海未(かき乱された頭。あれから日が落ちるまで、自室で、一向に頭の中を整理できないまま葛藤していましたが――)

海未(やがて、考えることに疲弊して――その中で浮かんできた、たったひとつの使命)

海未(――今晩も、“やらなければならない”)

海未(“悪”を倒す。“悪”を滅ぼす。それこそが私の役目。それこそが私の使命)

海未(頭の中に響き渡るような、えもいわれぬ使命感が、私の体を突き動かしていました)

海未(そうです。私は仮面ライバー。私はラブアロー仮面。私は正義の味方。私は正義と平和のために“悪”を倒す)

海未(――正義を執行する。正義を執行する。正義を執行する。正義を執行する――)
180: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:14:29.00 ID:3LOXoBJM.net
海未(ネオンが瞬く、夜の街を歩いていきます)

海未(下品な空気と、音と、視覚と、人にまみれた夜の街)

海未(どこに“悪”が潜んでいるか、わからない街)

海未(どこですか。どこにいる。倒す。壊す。滅する)

海未(道を曲がると――線路のガード下の、小さなトンネル状の通路が現れました)

海未(消えかかったオレンジ色の電灯が、ちかちかと点滅しているだけの、薄暗い通路――)



……プシュー……

……ヒャハハハ……



海未(いました――)

海未(――“悪”が)
181: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:15:39.37 ID:3LOXoBJM.net
海未(頭を、無個性な金髪に染めた、ふたりの若い男)

海未(笑いながら、通路の壁に、スプレーを吹き付けています)

海未(――まずは、“あいつら”を)



シュッ シュルッ

海未(物陰で、素早く私は“コスチューム”に身を包みました)

海未(これで私は、ラブアロー仮面)

海未(“悪”を倒す、正義の使者)
183: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:17:17.72 ID:3LOXoBJM.net
海未「正義を執行する・・・・・・正義を執行する・・・・・・正義を執行する・・・・・・」ブツブツ

ザッ ザッ

海未(手には木刀を持ち。懐にそれぞれの“武器”を忍ばせて)

海未(私は――)

海未(木刀を振り上げて)

ダッ

海未(男たちに斬りかかろうとした――)

海未(その時、)



???「そこまでや」
184: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:18:47.86 ID:3LOXoBJM.net
海未(不意にトンネルの向こうから姿を現し、声を発した――人影)

海未(それは――)



希「動いたらあかんで」



海未(――希!? なぜここに!?)

海未(咄嗟に後ずさろうとすると、)



絵里「逃がさないわよ」



海未(背後から現れたのは――)

海未(――絵里!?)
185: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:21:28.01 ID:3LOXoBJM.net
ダダッ

海未(希は素早く駆け寄り、私と、男たちとの間に体を入れました)

ヤンキー1「なっ・・・・・・なんだお前ら!?」

希「今回ばかしは見逃しといたる。いいからさっさと行き」

ヤンキー2「チッ」

タタタッ

海未(男たちも、ただならぬ異常な雰囲気を感じ取ったのか、黙ってその場から走り去りました)

海未(そして――ふつふつと、また私の体の奥底から、湧き上がってくる怒り)

ギリッ

海未(なぜ、希と絵里がここに――いや――)

海未(なぜ、私の邪魔をするのですか)

海未(私は“悪”を倒したいだけなのに。なぜ、“悪”をかばうような真似を――!?)
186: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:22:22.22 ID:3LOXoBJM.net
希「ここはトンネル。前にはウチ、後ろにはエリチ」

絵里「逃げ場は無いわよ」

海未「・・・・・・・・・・・・」

希「ウチらは――あんたを、止めに来たんや」

絵里「ね――」



絵里「海未――なんでしょう?」



海未「・・・・・・・・・・・・!!」
187: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:26:01.35 ID:3LOXoBJM.net
絵里「実はね。穂乃果とことりが、私たちに相談してきたの」

絵里「海未の様子が、おかしい――って」

海未(穂乃果と・・・・・・ことりが・・・・・・!?)

絵里「今日も、煙草を吸っていた音ノ木の生徒に、いきなり襲い掛かったそうね」

希「ウチとエリチも――海未ちゃんがここ最近、様子がおかしいのには気づいてた」

希「それで――“最悪の想像”もしてたんや。秋葉原に出没する通り魔。まさか――って」

絵里「穂乃果とことりの話を聞いて、私と希で、こっそり貴方の家の前で張ってたのよ」

絵里「そして、貴方が出てきて、気づかれないように後をつけていったら――」

希「――“最悪の想像”が、当たってもうた、って訳や」
188: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:26:57.04 ID:3LOXoBJM.net
海未(ばれた。正体を知られてしまった)

海未(正義の味方は――仮面ライバーは――ラブアロー仮面は、決して正体を知られてはならないのに)

海未(しかし――そんな焦燥感を押しのけて、私の中に湧き上がるのは――)

海未(――怒り)



海未「――なぜ」

海未「なぜ、邪魔をするのですか」
189: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:28:28.78 ID:3LOXoBJM.net
希「海未ちゃん。なんとなくウチらも、海未ちゃんがやろうとしていることはわかる」

希「海未ちゃんは、理由もなく人を襲うような子やない」

希「あまり報道はされてないけど、ネットで見たんよ。襲われた被害者は、窃盗や痴漢、暴行、恐喝をしていた疑いがある者が多いって」

希「――許せなかったんやろ? そういう人たちのことが」

海未「・・・・・・・・・・・・」



絵里「・・・・・・だから、襲った。制裁を加える目的で」

絵里「でも――海未」

絵里「貴方のやり方は、間違っているわ」

海未「・・・・・・・・・・・・!!」
190: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:30:26.33 ID:3LOXoBJM.net
希「海未ちゃん・・・・・・もうやめよ? これ以上は・・・・・・」

海未「・・・・・・・・・・・・違う」



海未「違う違う違う違う違う違う違う違う違う」

海未「違うっ!!」



絵里「海未・・・・・・!?」

海未「私は間違ったことはしていません!! 私は世の中に害をなす“悪”を倒しているだけです!!」

希「海未ちゃん、落ち着くんや」

海未「目の前で悪事が行われるのを黙って見過ごせというのですか!? どうしようもない“悪”を野放しにしろというのですか!?」

絵里「それがやりすぎていい理由にはならないわ」

海未「優しく諭せば改心するのですか!? 反省して善人に変わるのですか!? 犯罪はなくなるのですか!?」

海未「そんなことがありえないことは、理不尽な悪意にさらされて泣く人が一向に減らないことが物語っています!!」

希「海未ちゃん――!!」
191: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:34:25.39 ID:3LOXoBJM.net
海未「・・・・・・そうですか。こんなに言ってもわかってくれないのですか」

海未(わかってくれると思っていたのに)

海未「私の“正義”の、邪魔をするのですか」

海未(μ'sの仲間たちを、信じていたのに)

海未「ならば――」

海未(裏切られた。信じていたのに、裏切られた)



海未「貴方がたも、“悪”ですっ!!」



ダッ

希「―――っ!!」
192: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:36:08.90 ID:3LOXoBJM.net
海未(目の前の希に向かって、私が木刀で斬りかかった瞬間、)

希「そこ!!」パシッ

海未「!?」

グワッ

海未(希に木刀を握った手首をとられ、そのまま投げ返され――)

ドサッ カランッ

海未(地面に倒された拍子に、木刀が私の手を離れました)

希「ウチな、昔ちょっとだけ護身術かじってたんよ」

海未「・・・・・・っ!!」ギリッ

海未(油断――!! 何も考えずに斬りかかり、反撃されたばかりか木刀まで手放してしまうなんて、なんという未熟・・・・・・!!)

海未(ですが――!!)

シャキンッ



絵里「希、危ない!!」
193: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:37:53.36 ID:3LOXoBJM.net
バキッ

希「・・・・・・っ!?」

海未(咄嗟に懐から取り出し、伸ばした特殊警棒を、希の左上腕に打ち込み――希の顔が、苦痛に歪みました)

絵里「希!!」ダッ

海未「」ジャキッ

絵里「・・・・・・・・・・・・!!」

海未(すぐに起き上がった私は、駆け寄ろうとした絵里の眼前に、特殊警棒の先を突きつけます)

海未「――動かないでください」

希「つぅ・・・・・・海未、ちゃん・・・・・・」

絵里「こんなことはもうやめて――海未」

海未「黙ってください!!」
194: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 00:39:51.11 ID:3LOXoBJM.net
海未「この世にはどうしようもない“悪”がいるのです!! 理不尽に傷つけられる弱者を見捨てて、そんな“悪”は捨て置けとでも!?」

海未「ならば、誰かがやらなければならないのです! 世の中の人たちが少しでも心安らかに過ごせるよう、徹底的に“悪”を叩き潰さなければならないのです!!」

絵里「例え、そうであったとしても――」

絵里「誰かを勝手に裁く権利は、私たちにも無いわ」

海未「・・・・・・・・・・・・!!」

海未(警棒を握る手が、ぶるぶると震え――)

海未「ならば――貴方にもっ」ブンッ



海未「正義を――執行しますっ!!」



海未(絵里に向け、警棒を振り上げた――その瞬間、)



???「うああああっ!!」
195: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 01:40:54.62 ID:3LOXoBJM.net
バシッ

海未「っ!?」

海未(突然、希の背後の暗がりから、飛び出してきた誰かに――棒のようなもので、警棒を握る手を打たれ、)

カランッ

海未(私は、警棒をその場に取り落としました)

海未「く・・・・・・!!」

絵里「貴方は――」

希「――真姫ちゃん!? なんでここに――!?」

海未「・・・・・・!?」

海未(そこにいたのは、角材を両手で握り締め、息を切らせた真姫――)



真姫「・・・・・・・・・・・・」ハァハァ

真姫「やっぱり・・・・・・海未だったのね・・・・・・!」ギリッ
196: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 01:42:29.02 ID:3LOXoBJM.net
真姫「この間から、貴方の様子がおかしかったから・・・・・・にこちゃんが襲われた時、まさかと思って・・・・・・!」

真姫「今日、貴方の家に行ってみたら、家を出る貴方と、それをつけてる絵里と希がいるのを見たのよ」

真姫「そうしたら・・・・・・!!」ギリッ

海未(真姫は、こちらを怒りに満ちた目で睨みつけ、)

真姫「にこちゃんが、何をしたっていうのよ・・・・・・! あんたの都合なんて知らないわよ!!」

真姫「許せないっ・・・・・・海未っ!!」

ダッ

海未(丸腰の私に向かって、再び殴りかかってくる真姫)

海未(絵里と希だけでなく、真姫まで――!)

海未(怒りと悲しさで、頭の中がぐちゃぐちゃになった感覚の中、私が咄嗟に取り出したのは――)



バチッ



真姫「っ!!?」
197: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 01:44:15.82 ID:3LOXoBJM.net
海未(真姫の体が、びくんと痙攣し――その場に、ばったりと倒れました)

真姫「かっ・・・・・・は・・・・・・!!」

希「なっ・・・・・・スタンガン!?」

絵里「――海未っ!!」

ガシッ

海未(隙を突かれ、後ろから私の体につかみかかってきたのは、絵里)

絵里「これでわかったでしょう!? 暴力で解決しようとするだけじゃ、また別の恨みを買うことだってある!!」

海未「くっ・・・・・・!!」

絵里「それで、また新しい暴力が生まれたりしたら・・・・・・!!」

絵里「それは・・・・・・悲しいことじゃない!!」

海未(私のスタンガンを奪おうとする絵里と、揉み合っていましたが――)

海未(私は、絵里の腕を振り払った隙に、)



バチッ



絵里「ぐぅっ!!?」

海未(絵里の体に――スタンガンを押し当てました)
198: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 01:45:29.35 ID:3LOXoBJM.net
希「エリチぃ――!!」

海未(左腕を押さえながらも、向かってくる希に対し、私はスタンガンを構えますが――)

カチカチッ

海未(――電池切れ!? こんな時に――!!)

希「もうっ・・・・・・やめるんや! 海未ちゃん!!」

海未(つかみかかってくる希。私は、咄嗟に、足元に落ちていたガラス片を手に取り――)



ザクッ



希「いっ!!?」

海未(無我夢中で、希の腕を切りつけました)

希「う・・・・・・い・・・・・・た、」

海未(希の右腕から、みるみるあふれてくる、赤い血――)
199: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 01:47:23.70 ID:3LOXoBJM.net
海未「はぁっ・・・・・・はぁっ」

真姫「う・・・・・・うう・・・・・・!!」

絵里「う・・・・・・み・・・・・・」

希「もう・・・・・・やめて・・・・・・」

海未「・・・・・・・・・・・・!!」



海未(地面に横たわる、3人の姿を前にして)

海未(私の頭の中は、怒りなのか苛立ちなのか悲しみなのか、ぐちゃぐちゃになってわからなくなって、)



海未「なんでっ・・・・・・なんで!!」
200: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 01:48:08.89 ID:3LOXoBJM.net
海未「なんで私の邪魔をするんですか!! なんでわかってくれないんですか!?」

海未「私は“悪”が憎いだけなのに!! みんなを守りたいだけなのに!!」

海未「μ'sを信じていたのに!! 仲間を信じていたのに!!」

海未「誰もわかってくれないならっ・・・・・・私はっ!!」



???「――海未ちゃん!!」
201: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 01:50:04.96 ID:3LOXoBJM.net
海未(その時、響いた声に、私が振り返ると――)

海未(そこに、立っていたのは)



海未「・・・・・・穂乃果・・・・・・?」



穂乃果「海未ちゃん・・・・・・」

ことり「・・・・・・海未ちゃんっ!」



海未(穂乃果と――少し遅れて、姿を現した、ことり)



希「穂乃果、ちゃん・・・・・・ことり、ちゃん・・・・・・」

絵里「ふたり、は・・・・・・来ちゃ、駄目だって・・・・・・言ったじゃ、ない・・・・・・」
202: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 01:51:52.81 ID:3LOXoBJM.net
穂乃果「ごめん――でも、無理だよ」

穂乃果「海未ちゃんは――大事な、友だちだもの」

海未「――!」

ことり「海未ちゃん・・・・・・!」

穂乃果「ね、海未ちゃん・・・・・・」



穂乃果「もう・・・・・・やめよ・・・・・・?」



海未「・・・・・・・・・・・・!!」

ことり「お願い・・・・・・海未ちゃん・・・・・・!」

ことり「ことりたちは、いつもの、優しい海未ちゃんが大好きだから・・・・・・!」

穂乃果「だから・・・・・・帰ろうよ」

穂乃果「こんなこと、やめて・・・・・・一緒に・・・・・・」
203: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 01:53:10.36 ID:3LOXoBJM.net
海未(・・・・・・めて)

海未(やめて、ください)

海未(そんな、悲しい目で――私のことを、見ないでください)

海未(私は貴方たちのために優しいみんなを守りたくてμ'sの仲間が大好きで悪が許せなくて私は私は私は)

海未(やめてくださいやめてくださいやめてやめてやめややめてててややめめめててててあああああああああああ)



穂乃果「ね――海未ちゃん」



海未「あああああああっ!!」





ドスッ
205: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 01:56:02.84 ID:3LOXoBJM.net
ガタンガタンッ ガタンガタンッ



海未(トンネル状の通路の上の線路を、電車が通り過ぎ――)

海未(耳障りな音と共に、走る電車の影で、トンネルの外を照らすネオンの光が明滅する)



海未(手を――振り払おうとした、だけでした)

海未(両手を広げ――こちらに、ゆっくりと歩み寄ってきた、穂乃果の手を)

海未(ですが――私がその時、自分の手に握り締めていた“もの”)



穂乃果「――――」



海未(はっきりと、見えました)

海未(穂乃果の脇腹に、突き立った――)

海未(――ガラス片)
206: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 01:57:20.70 ID:3LOXoBJM.net
穂乃果「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、」



海未(穂乃果が、ゆっくりと、膝から崩れ落ち)

海未(その様は――スローモーションのように、私の目に映りました)



真姫「・・・・・・・・・・・・!?」

希「あ・・・・・・・・・・・・」

絵里「穂乃果っ・・・・・・!?」



ことり「ほ・・・・・・のか、ちゃ、」

ことり「嫌ああああああああああああああああっ!!!」
207: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/11(土) 01:58:20.22 ID:3LOXoBJM.net
 



……エーン……エーン……



海未(・・・・・・ああ)

海未(何処か遠くで、子供の泣き声が聞こえる――)





 
217: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:38:47.93 ID:QurrO/JS.net
海未「ぐすっ・・・・・・ひぐっ・・・・・・うえぇぇん・・・・・・」



海未(・・・・・・ああ、そうです)

海未(これは、幼い頃の、私――)



「反省しましたか――海未」

海未「はい・・・・・・ごめんなさいぃ・・・・・・」



海未(この時は――確か、父の大切にしていた壺を割ってしまって)

海未(怒られるのが怖かった私は、知らないと嘘をついて・・・・・・)
218: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:39:58.56 ID:QurrO/JS.net
「私が怒ったのは、海未が壺を割ったことではありません」

「海未が、嘘をついたことです」

海未「はい・・・・・・」



海未(私の前に座った父は、怒鳴るでもなく――じっと私の、目を見つめ続けていて)

海未(その、父の威圧感に耐えられなくなった私が――泣きながら、父に謝ったのでしたね)



「悪い嘘をつくのは、良くないことです。誰かが、傷ついたり悲しんだりすることもあります」

海未「・・・・・・はい」

「貴方の好きな、仮面ライバー風に言えば――正義に反する、ということです」



海未(そう言うと――父は、にこりと、笑いました)
219: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:40:51.00 ID:QurrO/JS.net
「“正義”とは、一言で言い表せるものではありません。人それぞれに、信じる正義がある」

「でも、本当の“正義”とは――決して、いたずらに誰かを傷つけるようなものであってはならない、と私は思います」

「海未――約束してください。この先も、“正義”を守り続けると」

「そして、本当の“正義”とはなんなのか――常に、考え続けると」

海未「――はいっ!」



海未(――本当の“正義”)

海未(それは一体、なんなのか)

海未(私は――いつの間にか)

海未(考えることを、やめてしまっていた――)
220: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:41:44.96 ID:QurrO/JS.net
ことり「嫌ああああああああああああああああっ!!!」



海未(穂乃果の体が、ゆっくりと崩れ落ちて)

海未(地面のアスファルトの上に、横向きに倒れました)



海未「ほ・・・・・・の、か・・・・・・?」



海未(――真っ白になった頭で)

海未(横たわる、穂乃果の体を、そっと触ると)

海未(私の手は、暖かい、真っ赤な血で濡れて――)
221: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:43:34.88 ID:QurrO/JS.net
ことり「穂乃果ちゃんっ・・・・・・穂乃果ちゃん!!」

絵里「穂乃果・・・・・・!!」

希「あかんっ・・・・・・救急車、呼ばな!!」



海未(周りの喚声が、どこか遠くに聞こえて)

海未(なんだかひどく、静かで)

海未(その時――)



穂乃果「・・・・・・う、み・・・・・・ちゃん・・・・・・」
222: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:44:28.87 ID:QurrO/JS.net
海未(地面に、横たわる穂乃果が――)

海未(私に、目を向けて、)



穂乃果「穂乃果、は・・・・・・だいじょう、ぶ、だから・・・・・・」

穂乃果「こわがら・・・・・・ないで・・・・・・」

穂乃果「いっしょに・・・・・・かえ、ろう・・・・・・?」



海未(蒼白になった顔で――)

海未(にこりと、笑いました)
223: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:45:16.53 ID:QurrO/JS.net
海未「あ・・・・・・あ、」



海未(笑いました。にこりと、笑いました。笑いました。笑いました)

海未(私は、私は、)



海未「あああああ」



海未(穂乃果を、穂乃果を、)

海未(この手で)



海未「あああああああああああ!!!」
224: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:46:10.41 ID:QurrO/JS.net
海未(私の心の中で。何かが破裂して。爆発して)

海未(目の前の光景に。現実に。耐えられなくて。耐えられなくて。耐えられなくて)



ダッ



ことり「海未ちゃんっ!?」



海未(叫ぶ声が聞こえた気がしましたが――私はただただ、耐えられなくて)

海未(走って。走って。走って走って走って)
225: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:47:11.07 ID:QurrO/JS.net
「海未――約束してください。この先も、“正義”を守り続けると」

「そして、本当の“正義”とはなんなのか――常に、考え続けると」



海未(私の正義。それは一体、なんだったのか)

海未(私は正しい。私は正しい。私は正しいことをしていると、信じていた)

海未(でも。目を閉じると、浮かぶのは。私の視界を埋めるのは)

海未(血。血。血。“悪”の血。ナイフで切られた、私の血。希の血。穂乃果の血――)



海未「うっ・・・・・・う・・・・・・うぇああぁぁぁぁ・・・・・・」



海未(わからない。もうわからない。私は正しい。私は正しくない)

海未(私は・・・・・・私は・・・・・・)
226: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:48:32.85 ID:QurrO/JS.net
ザーッ



海未(ああ・・・・・・)

海未(いつの間にか、雨が)



海未(あれ? 私、泣いていたのですか?)

海未(なんで、泣いていたんでしたっけ)



海未(ここは、どこでしょう)



海未(寒い。寒い)

海未(悲しい。切ない。心が、空っぽになったみたいな)



海未(こんな時は――そうです。歌です)

海未(元気の出る歌を。ヒーローの歌を――歌いましょう)
227: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:49:47.60 ID:QurrO/JS.net
海未「平気・・・・・・大丈夫よ。悲しくても・・・・・・そう、答えなきゃ」



海未(そう・・・・・・私は、正義の味方・・・・・・)

海未(大丈夫。大丈夫・・・・・・)



海未「みんな・・・・・・気がついて・・・・・・本当じゃない・・・・・・強がりだと」



海未(私は、正義の味方・・・・・・ラブアロー仮面・・・・・・)

海未(でも・・・・・・なんで、穂乃果は・・・・・・ことりは・・・・・・あんな、悲しい目を・・・・・・)



ザーッ



「おい」
228: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:51:05.19 ID:QurrO/JS.net
男「やっと見つけたぜ・・・・・・変態野郎がぁぁ・・・・・・!!」



海未(あれ・・・・・・誰でしたっけ? どこかで、見たような・・・・・・)

海未(他にも、何人もの男の人が。なぜ、皆さん、手にバットや鉄パイプを持っているのですか?)



――泣いてみようか 少し――



男「見ろよ、この包帯。てめぇにやられた顔の傷、一生モノになっちまったよ」



海未(傷? 私が?)

海未(私は・・・・・・私が・・・・・・)



――違う自分を出せば 変われる?――



男「ブッ殺してやるっ!!!」
229: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:52:14.44 ID:QurrO/JS.net
バキッ



海未(痛い。やめて。なんで、殴るのですか)

海未(皆が、一斉に)



――引いたり満ちたり 心の波が――



男「おい、こいつ、なんかブツブツ言ってるぞ」

男「知るかよ、ラリってんじゃねえのか!?」



海未(私は、正義の味方)

海未(平和を守りたくて。仲間のことが大切で。μ'sが大好きで)



――私を さらうの――
230: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:53:26.06 ID:QurrO/JS.net
バキャッ



海未(ヘルメットを殴られ、割れたシールドに、白い亀裂が入り)

海未(衝撃で口の中を切り、血の味が広がる)



――こんなに何かを 求める力が――



バキッ

ドカッ



海未(正義の味方。私は、そうなりたかった)

海未(ただ、悪いことが嫌いで。誰かを助けたくて)

海未(それだけだった、はずなのです――)



――私のなか 激しくなる Reason――



海未(私は――)

海未(“正義の味方”に、なれたのでしょうか?)
231: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:54:38.65 ID:QurrO/JS.net
ことり「やめてぇぇぇぇっっ!!!」



男「っ!?」



希「そこまでや!! 警察呼んだで!!」

希「すぐにここに来る!! あんたら、このままやったら全員捕まるで!!」



……パーポーパーポー……



男「――チッ!! 糞がっ!!」

ダダダダッ



海未「・・・・・・・・・・・・」
232: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:56:01.80 ID:QurrO/JS.net
ことり「海未ちゃんっ・・・・・・!!」



海未(駆け寄ったことりが――私のヘルメットを、そっと外し――)

海未(倒れた私の体を、優しく抱いてくれました)



希「酷い怪我や・・・・・・! こっちにも救急車回してもらうから!!」

希「穂乃果ちゃんの方は、エリチと真姫ちゃんと一緒に、もう搬送されてるはずやし・・・・・・!!」



海未「ことり・・・・・・どう、して・・・・・・」



ことり「・・・・・・当たり前じゃない」



海未(ぽたり、と、私の頬に、雫が落ちて、)



ことり「海未ちゃんは・・・・・・ことりの、大事な友だちだもの」
233: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:57:29.98 ID:QurrO/JS.net
海未「こ・・・・・・と、り・・・・・・」



海未(私を、まだ、友だちと呼んでくれるのですか)

海未(穂乃果を傷つけた、私を――)



海未「こ、とり・・・・・・」

海未「私は・・・・・・ヒーローに・・・・・・“正義の味方”に、なれたのでしょうか・・・・・・?」



ことり「海未ちゃんは・・・・・・」

ことり「ずっと、昔から・・・・・・ことりや穂乃果ちゃんにとっての、ヒーローだよ・・・・・・」

ことり「なのに・・・・・・バカ・・・・・・!」

ことり「バカだよ・・・・・・海未ちゃんは・・・・・・!」



海未(涙をこぼしながら――)

海未(私の体を、抱くことり)
234: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 03:58:46.01 ID:QurrO/JS.net
海未(ああ――そうだったのですか)

海未(私は――そのままで良かったのに)

海未(どこで、間違えたんでしょう。どこで、踏み外したんでしょう)

海未(私は――)



ことり「海未・・・・・・ちゃん?」



海未「ことり・・・・・・」

海未「ちょっと・・・・・・疲れました」

海未「少しだけ・・・・・・眠っても、良いですか・・・・・・?」



海未(小雨が、私たちの体を打つ中)

海未(ただ今は、抱きしめてくれることりの体だけが、温かい――)
235: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/12(日) 04:05:02.30 ID:QurrO/JS.net
※ ※ ※



ね、エリチ。

“ダーティハリー症候群”って、知ってる?

“ダーティハリー”っていう映画があるんやけど――

その映画の主人公みたいに、正義感にかられた人が、犯罪を憎む余り、過度な暴力行為に陥ってしまう精神状態のことなんよ。

アメリカみたいな銃社会では、特に警察官がこういう風になってまうことが多いんやって。

極端な話、悪党は死んで当然、みたいな――

そやね。決して、許されることやない。

でも、ウチ、思うんよ。頭ではわかっていても――

もし自分が、理不尽な悪意にさらされる罪のない人を、目の当たりにしたら。

自分の周りにいる大切な人が、傷つけられたら。

冷静でいられるのか。正気を保てるのか――って。

そう考えると――

もしかしたら、誰しも、そんな過ちを犯す可能性がある、ゆうことなんやないかな、って。



※ ※ ※
253: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 01:43:32.87 ID:YeZhgfrs.net
〜1週間後 西木野総合病院 病室〜



穂乃果「」



花陽「・・・・・・・・・・・・」

凛「穂乃果ちゃん・・・・・・」

真姫「穂乃果・・・・・・」



穂乃果「」パチッ



穂乃果「もう、寝てるの飽きたぁ〜!!」
254: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 01:44:52.16 ID:YeZhgfrs.net
にこ「うっさいわよ穂乃果! 本当に怪我人なの!?」

穂乃果「だってぇ、一日中寝てるだけなんて暇なんだもん」

真姫「あんまり騒いでると、塞がった傷がまた開くわよ」ハァ

穂乃果「はーい・・・・・・」



花陽「でも穂乃果ちゃんの怪我が軽くて、本当に良かったです・・・・・・」

凛「にこちゃんも、目を覚ましたしね!」

にこ「・・・・・・心配かけたわね、あんたたち」

真姫「もうにこちゃんも穂乃果も心配はないけれど、念のためふたりはもう少し入院よ」

真姫「それまでは大人しくしててよね」

穂乃果「はぁ〜い・・・・・・」シュン
255: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 01:45:59.40 ID:YeZhgfrs.net
にこ「まあ、私たちはとりあえずいいけれど・・・・・・その・・・・・・」

花陽「・・・・・・・・・・・・」

凛「・・・・・・・・・・・・」

真姫「・・・・・・海未のことね」

穂乃果「真姫ちゃん・・・・・・」

穂乃果「海未ちゃんは・・・・・・!」

真姫「・・・・・・・・・・・・」
256: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 01:47:08.62 ID:YeZhgfrs.net
〜海未の病室〜



海未「・・・・・・・・・・・・」



ことり「あ・・・・・・海未ちゃん。起きてたんだ」



海未「・・・・・・ことり・・・・・・?」



ことり「ね、海未ちゃん。今日は、いいお天気だよ」シャーッ

ことり「ほら。カーテン開くと、お日様がきれい」

ことり「今日はね、海未ちゃんのためにお花を買ってきたんだよ。どうかな?」



海未「・・・・・・・・・・・・」
257: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 01:48:34.08 ID:YeZhgfrs.net
海未「わあぁ・・・・・・!」パアァ

海未「おはな、きれいです! ありがとうございます、ことり!」



ことり「ふふ。喜んでくれて嬉しいよ、海未ちゃん」



海未「ことり・・・・・・わたしはいつ、おうちにかえれるのですか?」



ことり「・・・・・・・・・・・・」



海未「おかあさまと、おとうさまがきました。おかあさまは、ないていました」

海未「なにか、かなしいことがあったのでしょうか?」



ことり「・・・・・・・・・・・・」



海未「てれびがみたいです。こんしゅうのかめんらいばーは、どんなおはなしなんでしょう」ワクワク



ことり「海未ちゃん・・・・・・・・・・・・」
258: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 01:50:07.67 ID:YeZhgfrs.net
〜穂乃果とにこの病室〜



穂乃果「・・・・・・幼児退行?」

真姫「ええ。海未は、事件の記憶を一切なくして――」

真姫「その精神は、幼い頃に逆戻りしてしまっているわ」

花陽「・・・・・・・・・・・・」

真姫「・・・・・・海未は、自分が正しいことをしていると信じていた。いや、必死に信じようとしていた」

真姫「でも、それが否定され、さらに穂乃果を刺してしまったことで、自らが信じていた、自己の正当性が完全に崩壊してしまった」

凛「・・・・・・・・・・・・」

真姫「そして、暴漢に襲われて大ケガを負ったショックが重なって――海未の自我は、崩壊してしまったのよ」

にこ「・・・・・・・・・・・・」
259: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 01:51:41.51 ID:YeZhgfrs.net
穂乃果「私が会いに行ったときは・・・・・・私のことは、わかるみたいだった」

穂乃果「海未ちゃん、ほんとに子どもの時みたいに、無邪気に喜んでくれて・・・・・・」

にこ「・・・・・・・・・・・・」

穂乃果「・・・・・・ね、真姫ちゃん。海未ちゃんは、ずっとこのままなの?」

穂乃果「もう・・・・・・もとの海未ちゃんには、戻れないの?」

真姫「・・・・・・・・・・・・」

真姫「・・・・・・正直、それはわからないわ」

真姫「一生このままかもしれないし、ある日ふと、記憶を取り戻すかもしれない」

穂乃果「・・・・・・そっか・・・・・・」
260: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 01:53:53.17 ID:YeZhgfrs.net
〜学院の屋上〜



絵里「・・・・・・希。ここにいたのね」

希「・・・・・・エリチ」

絵里「事件のこと・・・・・・考えてたの?」

希「うん・・・・・・」



希「・・・・・・結局、海未ちゃんがああいう状態になって」

絵里「ええ。警察も、どういった形で処理するか、決めあぐねてるみたいね」

希「心神喪失が認められれば、保護観察処分になるやろうけど・・・・・・」

絵里「・・・・・・どういった形になるにせよ、海未にとって、この先はつらいものになるわね」

希「・・・・・・・・・・・・」

絵里「海未が、ああなってしまったのも・・・・・海未の行いに対する、罰なのかしら」
261: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 01:56:11.89 ID:YeZhgfrs.net
希「・・・・・・海未ちゃんは、間違ったことをした。だから海未ちゃんは、罰を受けなあかん」

希「それはわかってる。わかってるんやけど・・・・・・」

絵里「希・・・・・・」

希「エリチ・・・・・・エリチは海未ちゃんに、誰かを裁く権利はない、ってゆうたやん?」

希「確かに、その通りや。個人が、勝手に誰かを裁く権利はない」

希「でも・・・・・・」

希「たとえ、警察官や裁判官であっても。人が人を裁く権利って、あるのかな・・・・・・?」

絵里「・・・・・・・・・・・・」
262: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 01:57:46.35 ID:YeZhgfrs.net
〜病院の待合室〜



花陽「にこちゃんと穂乃果ちゃんは、大丈夫そうで安心したけど・・・・・・」

凛「・・・・・・うん。海未ちゃん・・・・・・これから、どうなるんだろう」

真姫「・・・・・・・・・・・・」

花陽「ねえ・・・・・・真姫ちゃん」

花陽「真姫ちゃんは・・・・・・まだ海未ちゃんのこと、許せない?」

真姫「・・・・・・許した――って言ったら、正直、嘘になるわね」

真姫「理由があったにせよ、にこちゃんや穂乃果に怪我を負わせたこと」

真姫「そして、私たちμ'sの今後のことだって――まだ許せない、って思ってる自分がいる」

真姫「でも――あんな、海未の姿を見ちゃうとね。やっぱり、割り切れないのよ」

凛「真姫ちゃん・・・・・・」
263: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 02:01:54.65 ID:YeZhgfrs.net
真姫「私も、つい頭に血が上って、海未に殴りかかったりしたけれど――」

真姫「海未にも、歪んだ形であったにせよ、自分が信じる理由、信念があった」

真姫「それにね・・・・・・やっぱり、思い出しちゃうの。パパに、スクールアイドルを辞めるよう言われた時――」

真姫「私の家に来て、涙ながらにパパを説得してくれた、海未のことを」

花陽「真姫ちゃん・・・・・・」

真姫「正義感が強すぎたからこそ、あんな行動に走ってしまった――」

真姫「そんな風に考えると・・・・・・海未のことを責めるなんて、できなくなるの」
264: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 02:03:42.61 ID:YeZhgfrs.net
〜学院の屋上〜



絵里「人が人を裁く権利があるのか。それは、私にだってわからないわ」

絵里「それでも、罪は償わなければならないし、法の下で、罪を犯した人を裁く立場の人間だって必要よ」

希「うん・・・・・わかってる」

希「だけど・・・・・海未ちゃんが言ってた通り。世の中には、理不尽な悪意が、いっぱいある」

希「それを裁こうとした海未ちゃんのことを・・・・・誰が、裁くのかな」

希「そして、表に見えない悪事は、誰が裁いてくれるのかな」

絵里「・・・・・・・・・・」

希「・・・・・・・・・・」

希「・・・・・ごめんな、エリチ。ウチ、答えを出しようもないこと、訊いちゃって」

絵里「・・・・・ううん。きっと、答えが出ないことが正解」

絵里「簡単に答えなんか出せない。今まで、そうやって悩んできた人は、たくさんいたはず」

絵里「私たちは、ずっと考えなければいけないのかもね。罪と罰について」
265: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 02:04:52.58 ID:YeZhgfrs.net
〜穂乃果とにこの病室〜



穂乃果「・・・・・ねえ、にこちゃん」

にこ「なによ」

穂乃果「にこちゃんは・・・・・海未ちゃんのこと、怒ってる?」

にこ「・・・・・・・・・・」

にこ「・・・・・もう、怒ってないわ。海未が、私のことを怒るのは、当然だしね」

にこ「私は、アイドルとしてあるまじき、悪いことをしたんだから・・・・・」

穂乃果「でも・・・・・にこちゃんは、ちゃんと反省して、お巡りさんやにこちゃんのお母さんに、正直に話したじゃない」

穂乃果「その後、病室に来てくれた、財布の持ち主のおばさんにも謝ったし・・・・・」

にこ「・・・・・それでも、ね。やっぱり、悪いことは、悪いことよ」

にこ「海未が怒るのだって、当然だわ」
266: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 02:06:15.92 ID:YeZhgfrs.net
にこ「だけど・・・・・ね。正直に言うと・・・・・なんだか、モヤモヤしてるの」

にこ「海未が事件を起こして、ああなって・・・・・もうμ'sは、きっと元のままじゃいられない」

にこ「そう思うと・・・・・なんだか、割り切れないところもあるのよ」

にこ「自分のことは棚に上げて、自分でもサイテーだって、わかってるんだけど・・・・・」

穂乃果「にこちゃん・・・・・」



にこ「ね・・・・・穂乃果」

にこ「海未は・・・・・もう、ずっとあのままだと思う?」

穂乃果「・・・・・・・・・・」

穂乃果「・・・・・ううん」
267: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 02:08:28.99 ID:YeZhgfrs.net
穂乃果「海未ちゃんがやったことは、確かに良くないことだと思う」

穂乃果「でも、海未ちゃんは、誰よりもまっすぐだから」

穂乃果「誰よりもまっすぐだからこそ、あんなことをしちゃったんだと思う」

穂乃果「そして、それと同じくらいに。海未ちゃんが、すごく強い心の持ち主だってことも、知ってる」

穂乃果「勿論、海未ちゃんにだって弱いところはあるよ。だから今は、きっと心が弱まってるんだと思う」

穂乃果「だけど、海未ちゃんは、そんな弱い心に負けてるだけの女の子じゃないって、穂乃果は知ってるから」

穂乃果「穂乃果やことりちゃんにとってのヒーロー、海未ちゃんは、きっと戻ってくるから」

にこ「穂乃果・・・・・」
268: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 02:10:01.39 ID:YeZhgfrs.net
穂乃果「私たちだって、今まで通りにはいかないかもしれない」

穂乃果「でも、ここまで諦めずに頑張ってきたんだもの。μ'sをここで終わりになんて、したくないよ」

にこ「そう・・・・・ね。その通りよね・・・・・」

穂乃果「海未ちゃんは、戻ってきた後も、ずっと自分がしちゃったことを償いながら、生きていかないといけないかもしれない」

穂乃果「でも・・・・・穂乃果と、ことりちゃんは・・・・・」

穂乃果「・・・・・いつか海未ちゃんが戻ってきたときに、迎えてあげられるように」

穂乃果「これからもずっと、海未ちゃんのそばにいてあげたい」

穂乃果「・・・・・きっと、ヒーローは、戻ってきてくれるから」
269: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 02:11:15.01 ID:YeZhgfrs.net
〜海未の病室〜



海未(・・・・・かめんらいばー?)

海未(なんでしょう・・・・・かめんらいばー、そのことばをきくと・・・・・)

ポロッ

海未(なんで・・・・・むねがぎゅっと、いたくなるんでしょう)

海未(なんで・・・・・かなしくなって、くるんでしょう)

海未(なんで・・・・・なみだが、でてくるんでしょう)



ことり「海未ちゃん・・・・・!」

ギュッ



海未「ことり・・・・・」ポロポロ



ことり「大丈夫だから。少しずつ――思い出していこう?」

ことり「ことりたちは・・・・・ずっと、待ってるから・・・・・!」
270: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 02:12:10.86 ID:YeZhgfrs.net
――泣いてたのは昨日

――今の自分は強くなれそう



海未(あたまのなかに、ふっとうかんできた、うた)

海未(あしたのわたしは、きょうのわたしよりも)

海未(つよく、なれるでしょうか)







海未「強くなります」

海未「次は、必ず――」
271: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 02:13:08.28 ID:YeZhgfrs.net
※ ※ ※



平成27年度の国内における犯罪総認知件数 1,098,969件

うち検挙件数 357,484件



年々減少傾向にあるものの、未だ年間100万を越す犯罪が発生し、

認知されていない事例も含めればその総数は未知数である。



〜警察庁資料より抜粋



※ ※ ※





〜 了 〜



 
272: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/06/14(火) 02:23:42.22 ID:YeZhgfrs.net
もしも、純粋で正義感が強くてまっすぐな性格の海未ちゃんが、
その正義感のみを暴走させてしまったら、という想定のもと書きました
アンチヒーロー的な話を書きたいと思いましたが難しい題材でした
海未ちゃんはやっぱり、もっと清く正しいヒーローの方が似合いますね
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『海未「ラブアロー仮面、参上!!」』へのコメント

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