花陽「優しい嘘」

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花陽-アイキャッチ32
1: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 21:44:05.36 ID:zJ1uhwmB.net
今日は4月1日。

私と凛ちゃんは、今日から音ノ木坂学院の1年生!

――のはず、なんですけど。

学校の入学式は4月6日なので、まだオトノキ生だっていう実感がありません。

だから、凛ちゃんと二人、こうやって。

タグを取ったばかりの青いリボンと、シワのないブラウス。

まだパリパリのプリーツスカートと、新品の匂いのするブレザー。

お気に入りの眼鏡をかければ――

じゃん♪

どこをどう見ても、立派な音ノ木坂学院の生徒ですっ!

昨日届いた音ノ木坂の制服を、どうしても着たくって。

凛ちゃんを私の部屋にお招きしてのプチファッションショー、です!

元スレ: 花陽「優しい嘘」

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4: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 21:50:36.22 ID:zJ1uhwmB.net
凛「わ〜!かよちん、すっごいかわいいにゃ〜!」

花陽「えへへ、そうかな?」

花陽「でもほら!凛ちゃんも、とっても似合ってるよ♪」

凛「照れるにゃー///」

花陽「うん、やっぱり凛ちゃんはスカートとか似合うよ」

凛「えー?凛より、かよちんのほうが似合ってるよー」

花陽「そうかなぁ?」

凛「そうだよそうだよ!」

凛「あ、高校生になったんだし、ついでに眼鏡も外しちゃえばいいんじゃない?」

花陽「――えっ?」

凛「凛は、眼鏡がないかよちんも好きだよ!」

花陽「だ、ダメだよぉ。きっと私には似合わないよ」
6: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 21:57:18.28 ID:zJ1uhwmB.net
凛「そんなことないってばー」

凛「かよちん、もともと可愛いんだから、眼鏡でその可愛さを隠しちゃダメ!」

凛「眼鏡外したら、きっともっと自信も付くよ!」

なんて、凛ちゃんにまくし立てられて――

なんにも言えなくなっちゃった。

そうかな、とも。

そんなことない、とも。

モジモジと視線を動かすと、ふと自分の姿が目に入りました。

鏡に映る私と、鏡の隣にいる凛ちゃん。

見比べても、やっぱり凛ちゃんのほうが似合ってると思うのに――

そんなことを思いながら鏡を見ていると、カレンダーが見えました。
8: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 22:03:37.82 ID:zJ1uhwmB.net
凛ちゃんとの約束事がある日は、全部赤いマルをつけています。

今月は今日と、4月6日の入学式。

今のところはこれしかマルがついてないの。

4月6日は、凛ちゃんと一緒に初登校しようね!って、約束している日です。

それ以外に赤いマルがついている日。

つまりそれは、4月1日、今日でした。

たった今まで忘れてたんだけど、そういえば今日はエイプリルフール。

嘘を吐いても許される日、だよね?

凛ちゃんはきっと、少しでも私が自分に自信を持てるように、って――

そういう嘘を吐いてるんだよね?

花陽「ねぇ、凛ちゃん?」

凛「にゃ?」

花陽「それ、嘘なんでしょ?」

凛「――どうして、そんな風に思うの?」
9: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 22:11:22.00 ID:zJ1uhwmB.net
花陽「だって今日は、エイプリルフールでしょ?」

花陽「だからきっと凛ちゃんは、優しい嘘で私を励ましてくれてるんだよね?」

凛「違うよ……」

花陽「そうじゃなきゃ、凛ちゃんが私のこと、可愛いだなんて――」

凛「違うよっ!」

ビクッ!

初めて聞いた、凛ちゃんの怒った声。

涙を溜めた目を吊り上げて、私を睨んでる――

凛「凛はっ!凛は思ったことを言っただけだよ!」

凛「嘘なんかじゃないもん!」

凛「かよちんはこんなに可愛いのに、どうして自分の可愛さに気がつかないの!?」

花陽「だ、だってそれは、全部、凛ちゃんの嘘――」
11: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 22:15:39.59 ID:zJ1uhwmB.net
凛「かよちんのバカ!」

花陽「――凛、ちゃ」

顔を真っ赤にして、大粒の涙をポロポロとこぼしながら。

凛「かよちんなんか――だーいっきらいっ!」

そう叫んで、制服のままで部屋を出て行きました。

凛「おじゃましましたっ!」

バタン。

ああ――。

どうしよう。

私、凛ちゃんに、大好きな親友に……嫌われちゃった。
12: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 22:21:01.12 ID:zJ1uhwmB.net
凛ちゃん……

なんて言って謝れば、許してくれるんだろう。

それとも、大好きな親友を「嘘つき」呼ばわりした私のことなんて、ずっと許してくれないのかな。

どうしよう。

――はぁ。

部屋の隅っこのほうで小さくなってると、メールが一通届きました。

もぞもぞと、イモムシとかナメクジとかと同じくらいのスピードで携帯まで這っていくと――

メールの送り主は。

花陽「――凛、ちゃん?」

絶交だよ、とか書いてあるのかな――?

なんてネガティブになりながら、恐る恐るメールを開きます。
13: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 22:28:23.38 ID:zJ1uhwmB.net
凛『時計台のある公園で待ってないからね』

普段は絵文字とか顔文字とかで賑やかな凛ちゃんからのメールだけど。

小さな携帯の小さな液晶に表示された、質素な2行の文章には、凛ちゃんが怒っているのが手に取るように分かりました。

これは……。

えっと、どう解釈したらいいのかな、って考えていると、また凛ちゃんからメールが来ました。

凛『絶対にお昼までに来ないでね』

そっか、今日はエイプリルフールだからって、逆のことを書いてるんだね。

お昼って、12時でいいのかな?

時間を確認すると、なんと11時43分。

あと15分しかないの!?

あ、凛ちゃんのお洋服とかどうしよう!

そういえば、私もまだ制服のままだった!

でも。

もし間に合わなかったら、本当に仲直りできないような――

そんな予感がして。
14: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 22:31:59.52 ID:zJ1uhwmB.net
とりあえず、これから行くよって意味をこめて、凛ちゃんにメールを返信します。

もちろん、逆のことを書いて。

花陽『わかりません。12時に間に合わないように行きません』

送信、っと。

ボタンを押してからふと思ったけど。

間に合わないように行かない、って、間に合うように行く、ってことかも?

あれ?それでいいのかな?あれ??あれ???

うぅ……頭がこんがらがっちゃった。

と、とにかく!

今は急いで、凛ちゃんの待ってる公園に行かなきゃっ!
15: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 22:36:52.66 ID:zJ1uhwmB.net
はぁ、はぁ……

公園に着いたけど、時間は間に合った?

凛ちゃん、どこにいるの――?

嘘つきって言ってごめんなさいって、謝りたい。

公園の中をざっと見渡すと……いた。

ベンチに座って、携帯を片手に首をひねっていました。

もしかして、私がさっき送ったメールで混乱させてる……の?

ごめんって言うときは、それも一緒に謝らなきゃね――

花陽「凛ちゃん!!!」

凛「……かよちん」

花陽「あの、凛ちゃん、」

ごめんなさいっ!と続ける前に。

凛「すとっぷ!」

言葉が遮られてしまいました。
16: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 22:40:02.01 ID:zJ1uhwmB.net
凛「凛知ってるよ」

凛「エイプリルフールって、午前だけ嘘を吐くことが許されてるんだって」

凛「だから――」

チラリと、私の後ろにある時計を見ます。

キーン、コーン、カーン、コーン……

正午を告げるチャイムが、公園中に響きました。

凛「ね?これで嘘はもう吐けないよ?」

にっこりと、いつもの笑顔でピースサインを作ってくれました。

花陽「……うんっ!」
18: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 22:45:25.35 ID:zJ1uhwmB.net
花陽「あの、ごめんね、凛ちゃん……」

凛「どうしてかよちんが謝るの?」

凛「勝手に怒って出て行ったのは、凛なんだよ?」

花陽「凛ちゃんのこと、嘘つき呼ばわりしちゃったから」

花陽「それで凛ちゃんは怒っちゃったんだよね」

花陽「だから、ごめんなさい」

凛「ううん、凛のほうこそ、ごめんなさい」

花陽「な、なんで凛ちゃんが謝るの!?」

凛「だって凛、かよちんに酷いこと言ったんだよ?」

凛「バカ、って」

凛「――だいっきらい、って」

凛「だから、ごめんなさい」
19: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 22:49:33.46 ID:zJ1uhwmB.net
花陽「それはちがうよ!」

花陽「私が嘘つきだなんて言わなければ、凛ちゃんは怒らなかったもん!」

凛「それでも、凛は怒っちゃったんだよ!?」

凛「かよちんに酷いこと言ったのは、変わらないんだよ!?」

凛「だから、凛がごめんなさいするの!」

花陽「怒る原因を作ったのは私だから、私がごめんなさいって言わなきゃダメだよ!」

凛「怒ったほうが悪いに決まってるもん!」

花陽「そんなことないよっ!」

凛「そんなことあるのっ!」
20: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 22:55:16.32 ID:zJ1uhwmB.net
なんだかこのままだと、お互いがごめんなさいし続けそうな気がして……

だから、凛ちゃんに提案してみる。

花陽「ねぇ、凛ちゃん?」

凛「ん?」

花陽「一つ提案なんだけどね」

凛ちゃんから教えてもらったこと。

『エイプリルフールって、午前だけ嘘を吐くことが許されてるんだって』

これを逆に捉えれば。

花陽「さっき、私と凛ちゃんが言ったことは、全部嘘にしちゃわない?」

凛ちゃんの大きな目が、更に大きく見開かれて。

すぐにハの字になっちゃった。

凛「……うん?今日のかよちん、なんか難しいことばっかり言ってるよ??」

花陽「えぇ?そうかなぁ……」
21: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 23:00:39.70 ID:zJ1uhwmB.net
花陽「私が凛ちゃんに言った、『嘘つき』っていうのは、嘘だったの」

花陽「凛ちゃんが私に言った、『大嫌い』っていうのも、嘘だったの」

花陽「そうすれば、ほら!」

ぎゅっ、と。

凛ちゃんの手を取り、思いっきり握り締めるの。

花陽「――ね?いつも通り、だよね?」

凛「かよちん……」

私にしては、なかなかいい案だと思ったけど。

――あれ?あんまり、反応が薄い???

と思った直後のこと。

ぎゅーっ!って、凛ちゃんに抱きしめられちゃった。
22: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 23:04:03.44 ID:zJ1uhwmB.net
凛「……いつも通りとは、少しだけ違うよ」

花陽「え?そう、かな?」

凛「えへへ、だって!」

凛「だって凛は、前よりもーっと!」

ぎゅーっと、力強く抱きしめられます。

そ、そろそろ苦しいよぉ……

凛「優しいかよちんのことが、だーいすきになっちゃったもん!」
23: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 23:09:56.79 ID:zJ1uhwmB.net
―――

真姫「ふぅん。一年前に、そんなことあったんだ」

真姫「あなたたちらしいっていうか、なんていうか」

花陽「それでね?この後、また花陽の家に行って、二人でごめんなさいして、仲直りしたんだよ」

凛「ねーっ!」

凛「で、それから、制服のままでお出かけしたんだよねー?」

真姫「だからなのね……」

はぁ。って、ため息を吐くがわかっちゃいました。

真姫「春休みだっていうのに制服で遊ぼうなんて、変だと思ったのよ」

真姫「……エイプリルフールの嘘だったら、絶交してたわよ?」

凛「あー、そういう嘘も面白かったかもしれないにゃー」

真姫「りーんー!?」

花陽「でもね?今日制服着るのには、ちゃんと意味があるんだよ?」

真姫「……そうなの?」
25: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 23:14:47.02 ID:zJ1uhwmB.net
凛「そうだよ!だって今日から凛たち、2年生なんだよ!」

真姫「そんなにこの赤いリボンが珍しいかしら?今まで散々見てたじゃない」

花陽「うん、穂乃果ちゃんたちの赤いリボンを見てたけど」

花陽「私たちが赤いリボンを付けるのは、今日が最初なんだよ?」

凛「ねぇねぇ真姫ちゃん!どうかな?凛に赤いリボン、似合う?」

真姫「ええ、似合うわよ。……なんか少し、違和感あるけどね」

花陽「今までずっと青いリボンだったからじゃないかな?」

凛「でも真姫ちゃん、赤いリボン似合うにゃー!」

真姫「そ、そう?ま、トーゼンよね?」

真姫「……意外だった、って言ったら失礼だけど、花陽も似合ってるわね。赤いリボン」

花陽「えへ、そうかな?ありがと、真姫ちゃん♪」

凛「そうだ、プリクラ撮ろうよプリクラ!2年生記念にゃー!」
26: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 23:19:27.44 ID:zJ1uhwmB.net
真姫「ちょっと、押さないでよぉ!」

花陽「わわっ、引っ張らないでぇ!」

凛「れっつごーにゃー!」

3人で秋葉原の街を歩いていると。

ふと視界に入る、音ノ木坂の制服を着た女の子二人。

まだパリパリのプリーツスカートと、新品の匂いのするブレザー。

シワのないブラウスと、白に映える青いリボン。

あぁ。彼女たちが、新しい音ノ木坂の新入生なんだね。

ちょうど一年前の私と凛ちゃんを見ているようで……

これから楽しいこと、いっぱいあるよ!がんばってね!

そんな風に、心の中で応援しちゃいました。




花陽「優しい嘘」 おわり
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