海未「破廉恥DEATH症候群……?」

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海未-アイキャッチ30
1: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 02:11:37.79 ID:mHqV7UzJ.net
教室

穂乃果「それでね、アルパカのおちんちんがねー」

ことり「へえ、あの白いアルパカが雄だったんだぁ」

穂乃果「そうそう、ふと見たらぼろーんて垂れ下がってたから驚いたよ」

カラッ

海未「ふぅ」

穂乃果「海未ちゃんお帰り、遅かったね」

海未「トイレが混んでいまして。二人とも盛り上がっていたようですが、何の話を?」

元スレ: 海未「破廉恥DEATH症候群……?」

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2: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 02:14:58.97 ID:mHqV7UzJ.net
穂乃果「アルパカのおちんちんの話だよ!」

海未「おちんぽの話……!? ほ、穂乃果! 何を言ってるのですか!」

海未「昼下がりの教室でおちんぽなど、おちんぽなど!」

海未「おちんぽなんて恥ずかしい事言わないでください!」

ことり「海未ちゃん、やめて! 恥ずかしいよ!」

穂乃果「そ、そうだよ……私達、アルパカが雄で驚いたってだけだよ。おちんちんは実はそこまで重要じゃないんだよ」

穂乃果「アルパカが雄であるという結論に至るまでの、過程の一つでしかないよ!」

海未「そ、そうだったのですか……」
4: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 02:21:53.61 ID:mHqV7UzJ.net
ことり「海未ちゃんはこういうの全然駄目だよね」

海未「はい、幼い頃から清廉潔白になれと言われ育てられてきたもので、そういうものに耐性が無いんです」

穂乃果「ドラマのキスシーンとかも見れないくらいだもんね」

海未「き、キスなんて……昼下がりの教室で何てことを言うんですか!」

穂乃果「キスくらい普通だと思うけど……」

ことり「うん、キスくらいなら全然話しても大丈夫だと思うよ? 言葉狩りになっちゃうよ」

海未「そ、それでも……私は……」

穂乃果「まあ、こればっかりは仕方ないよね。海未ちゃんの前ではおちんちんとかキスは言わないでおくよ」

海未「ま、またそんなこと! 穂乃果、貴女は……『破廉恥』です!」

穂乃果「……? うっ、ぐうっ!?」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん……?」
5: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 02:26:21.06 ID:mHqV7UzJ.net
穂乃果「ぐお、おおうおっ! し、心臓が……」

穂乃果「痛いっ!」

海未「またそんな……吃驚させようとしたって、そうはいきませんよ?」

穂乃果「う、ぐうっううう!」

ことり「ま、待ってよ海未ちゃん、本当に様子がおかしいよ!?」

穂乃果「あああっ! ぎあああっ! 心臓が痛い、痛い!」

穂乃果「普通に痛い!」

海未「そ、そんな……本当なんですか!? だ、誰か先生を!」
6: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 02:30:05.29 ID:mHqV7UzJ.net
穂乃果「も、もう遅いよ! 手遅れだよ!」

海未「そんな、穂乃果! 今ヒデコが先生を呼びに行ってくれています、それまで耐えてください!」

ことり「そうだよ、AEDもあるから最悪心臓が止まっても大丈夫だよ!」

穂乃果「ぐうぁっ! うぎいっいぎいい! し、死ぬっ、死んじゃうっ!」

穂乃果「あ、駄目だ」

海未「う、嘘ですよね穂乃果……穂乃果!」

ことり「大変だよ海未ちゃん、脈が無いよ! 顔色も青いし息してない! 死んでるよ!」

海未「そんな、穂乃果……どうして……!」
7: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 02:35:14.44 ID:mHqV7UzJ.net
海未「穂乃果が……どうして!」

海未「どうして死ななければならないんですかっ!」

海未「穂乃果はまだ十七歳なんですよ!?」

海未「まだこれから、楽しい未来が待っていた筈なんですよ!?」

海未「なのに、何故……何故、こんなところで! こんな場所で!」

海未「アルパカの話をしながら死なねばならないんですか!」

海未「う、うおおっ! うああああっ!?」

海未「穂乃果、お願いです! 目を開けてください!」

海未「貴女は私達のリーダーなんですよ!?」
8: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 02:37:54.16 ID:mHqV7UzJ.net
海未「貴女がいなくなったら、私達は!」

ガシッ

海未「ッ! ……ことり」

ことり「もう、やめよう」

海未「でも!」

ことり「泣いたって、叫んだって、穂乃果ちゃんは帰ってこない」

ことり「そんなことは、海未ちゃんもとっくに気が付いているだろう?」

海未「それでも、それでも私は、穂乃果を……!」

ことり「私達に出来るのは、静かに見送ってあげることだけだよ」

ことり「……さようなら、穂乃果ちゃん」
9: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 02:43:02.01 ID:mHqV7UzJ.net
部室

海未(穂乃果が死んでから、もう一週間)

海未(部室内の空気は、最悪と言ってもいい状態でした)

にこ「……」

絵里「なんでよなんでよなんでよなんでよなんで穂乃果が死ななきゃならないのよなんでよどうしてよ私だけが生き残ってなんで穂乃果が死んでるのよなんでよ」

希「絵里ち、穂乃果ちゃんのことはもう忘れた方がええ」

絵里「なんでよ、なんでよ……」

にこ「……うるさいわねぇ、穂乃果穂乃果って」

絵里「ッ! にこ、貴女悲しくはないの? 仲間が死んだのよ!? 何も出来ず、何も残せず……虫けらのように!」

穂乃果「そうだよ! 私が死んだのにいつも通りなんて酷いよ!」

にこ「悲しんでないわけじゃないわよ。けど、いつまでも引きずっていても仕方ないじゃない」

にこ「現実、今この場所に穂乃果はいないのよ。これからも、私達の目の前に現れることはないの」
11: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 02:48:23.27 ID:mHqV7UzJ.net
凛「確かに、そうかもしれないね。けどにこちゃん、その言い方はあんまりにゃ」

にこ「じゃあ何? 絵里みたいに、気狂いのように穂乃果の死を悲しみ続けろっていうの?」

凛「そんなことは……ないけど……」

絵里「私だって、私だって分かってはいるのよ、けど……!」

絵里「ごめんなさい、今日はもう帰るわ。また、明日」

希「え、絵里ち! ちょっと待って……」

にこ「……」

希「にこっち、ウチは絵里ちもにこっちも、間違ってるとは思わんよ。それにほら、目の下……涙の跡が、残ってる」

にこ「!」ゴシゴシ

にこ「別にこれは……違うわよ。さっきゴミが入ったから」

希「素直じゃないなあ。あ、絵里ち待ってって言ってるやん!」ガラッ
12: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 02:51:37.10 ID:mHqV7UzJ.net
凛「凛も帰るにゃ、正直今ここに居たら……気分が悪くなる」

花陽「凛ちゃん……」

穂乃果「二人も帰っちゃうの?」

凛「うん、穂乃果ちゃんのいないこの部室にいるのは、何だか切ないよ……」

ことり「私も、帰る。私も凛ちゃんと同じだよ、ずっと引っ張ってくれた穂乃果ちゃんが、これからはいないなんて、悲しくて」

海未「皆……」
14: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 02:55:44.33 ID:mHqV7UzJ.net
海未「一気に人が減っちゃいましたね、部活再開の初日だって言うのに」

真姫「仕方ないんじゃない? あんなことがあったんだから」

にこ「真姫も、帰っていいのよ。これだけの人数じゃ、練習もままならないし」

真姫「私はいいわよ。正直、今のにこちゃんと海未を一人にしておくのは何か危なさそうだし」

海未「私はそこまで、落ち込んでたりしませんよ。少なくとも後追いするほどでは……」

にこ「私だってそうよ。これからスーパーアイドルにこちゃんとしてデビューしなきゃいけないのに」

真姫「別に自殺の心配してるわけじゃないわよ。精神が参らないかってのが、心配なの。二人とも、強がってるようにしか見えないから」
15: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 02:58:54.40 ID:mHqV7UzJ.net
穂乃果「そうだよー。特に海未ちゃん、今日朝ご飯食べてなかったでしょ?」

海未「? 食べましたよ?」

穂乃果「あ、そうなんだ……」

にこ「とにかく、私は平気よ。練習するならさっさとするし、しないならしない。どうするの?」

真姫「私はどっちでも。にこちゃんが部長なんだから、にこちゃんが決めてよ」

にこ「そうね、じゃあ練習しましょ。身体を動かしていたほうが、気分も紛れるわ」

海未「そうですね、このまま部屋に居ても意味は無いですし」

にこ「そうと決まったら、さっさと着替えて屋上に移動するわよ。いいわね?」
17: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:02:14.53 ID:mHqV7UzJ.net
屋上

にこ「風が気持ちいいわね」

真姫「いい……」

海未「それで、練習と言っても何をするんですか? 踊りを合わせるにしてもグループも楽曲もバラバラですし」

真姫「ストレッチと、全体曲のサビを合わせる練習とかどう?」

にこ「ここはにこにーにこちゃんの振り付けの練習を……」

真姫「却下」

にこ「にごぉ……いいじゃない、ちょっとくらい……」

海未「大体にこにーにこちゃんには曲も付いていないですしね」

真姫「付ける気もないわよ」
18: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:05:13.37 ID:mHqV7UzJ.net
にこ「ほらストレッチしましょ。二人組を作って」

真姫「海未、やりましょ」

海未「ええ……」

にこ「じゃあ、私は穂乃果とね? いい?」

穂乃果「普段は私と海未ちゃん、にこちゃんと真姫ちゃんなのに何か新鮮だね」

にこ「言われてみればそうね。半固定みたいになってたから、変えるに変えられなくなってたってのもあるわ」

穂乃果「ふうん。まあ、そういうものだよね」
19: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:09:16.74 ID:mHqV7UzJ.net
イチ ニ イチ ニ

海未「真姫、非常に言いにくいのですが」

真姫「何?」

海未「少し……その、太りましたか?」

真姫「えっ、何それは……そ、そんなことないわよ! 気のせいじゃない?」

海未「いえ、確かに一週間前よりも太ももの辺りがむっちりと……」

真姫「練習してなかったからかしら……って、それを言うなら海未も若干太ったわよ!」

海未「う、嘘ですそんな! 私が太っているわけありません!」

海未「日舞の稽古や弓道はちゃんとやっていたんですよ! だからいつも通り引き締まってる筈です!」
21: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:11:54.44 ID:mHqV7UzJ.net
真姫「いや、でもお腹周りが……」

海未「うっ……」

海未「実は、穂乃果が死んでからよく食べるようになってしまって……」

真姫「その食べた分、体重も増えたってわけね。ストレスが溜まるとやけ食いに走る人も多いって聞くけど、海未もそのタイプなのね」

海未「うう……お腹ばかり大きくなって、少し恥ずかしいです……」

真姫「お腹は大きくなったのに、胸は大きくならないってのも悲しい話よね。私、太れば胸も大きくなると思ってたわ」
27: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:17:02.87 ID:mHqV7UzJ.net
海未「む、胸ですか? 少しは大きくなってますよ」

真姫「ええ? 見た感じ一切変わってないわよ?」

海未「そんなことありませんよ、体重の増加に合わせて一……二センチは大きくなっています」

真姫「それは流石に嘘よね。二センチも大きくなってたらすぐ分かるわ」

海未「う、ううう……」

真姫「そう言えば、この前見た雑誌に胸は揉めば大きくなるって書かれてたわよ。気になるなら実践してみたら?」

海未「む、胸を揉……何を言っているのですか! 『破廉恥』ですよ!」

真姫「はは、冗談よ冗だ……? ぎいっ!?」
29: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:23:12.84 ID:mHqV7UzJ.net
海未「真姫、急に胸を押さえてどうしたんですか? こんなところで実践しようとしないでください!」

真姫「がっ、あがっ!? し、心臓が……!?」

にこ「ちょっとあんた達、サボってんじゃ……って真姫!? どうしたのよ!?」

海未「分からないんです、急に胸を押さえて……!」

海未「最初は豊胸マッサージかと思ったんです、でも違うみたいでして」

にこ「胸を!? ……押さえて?」

にこ「それって穂乃果と一緒じゃない! ま、まさか真姫まで!?」

穂乃果「あ、本当だ。これ私と同じ症状だよ、顔真っ青になってるもん」

海未「穂乃果が言うということは本当みたいですね。ど、どうすれば……!」

真姫「ぐああっ! ぎいあああっ!? し、心臓っ、やめっ、死んじゃう、死んじゃうからぁ!」
32: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:27:58.93 ID:mHqV7UzJ.net
にこ「真姫! 返事しなさいよ、ねえ!」

真姫「む、り……痛、い。ぐうあああっ!」

真姫「あっ、駄目だ」

にこ「真姫……? 真姫ぃぃいいいいいいいいいいいいっ!」

海未「そんな……穂乃果に続いて真姫まで……?」

海未「い、嫌です……こんなの嫌です!」

穂乃果「けどまあ、起きちゃったものはしょうがないよ。私だって死んじゃったんだし、割り切った方が心が幾分か楽になるよ」
36: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:32:16.86 ID:mHqV7UzJ.net
海未「うあああっ! ああああああっ!」

海未「何なんですか、これは……一体何なんですか!?」

海未「皆、心臓を押さえて死んでいく! 苦しみながら、何も残せず、別れの言葉も無いまま死んでいく!」

海未「これを誰かが仕組んだのだとしたら、私はそいつのことを一生許さないっ!」

海未「神がこれを望んだというなら、私は神を殺してやる!」

海未「真姫、戻ってきてください! もう一度目を開けてください!」

海未「ああああっ! うああああああっ!」
37: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:34:28.29 ID:mHqV7UzJ.net
海未「真姫、お願いです! まだ、まだ私は貴女に何も!」

ガシッ

海未「ッ! ……にこ」

にこ「もう、やめよう」

海未「でも!」

にこ「泣いたって、叫んだって、真姫は帰ってこない」

にこ「そんなことは、海未もとっくに気が付いているだろう?」

海未「それでも、それでも私は、真姫を……!」

にこ「私達に出来るのは、静かに見送ってあげることだけだよ」

にこ「……さようなら、真姫」
39: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:39:12.86 ID:mHqV7UzJ.net
海未(しかし、何故穂乃果と真姫は同様の死に方をしたのでしょう)

海未(この二人の共通点と言えば……何でしょうか。特に見つかりませんね)

海未(そういえば、二人とも死ぬ寸前に私に『破廉恥』と言われていました)

海未(まさか……いや、そんな馬鹿な話ある筈がない)

海未「……にこ」

にこ「……」フゥー

にこ「何よ、海未」

海未(そう、これは実験です……私の考えが事実ではないということを確認するための実験)

海未(実際に死ぬわけがないですからね、こんなことで)

海未「『破廉恥』」

にこ「急に何を言いだすのよ? 破廉恥だなんて、別にそんなこと言ってないじゃない」

にこ「バカなこと言ってないで、先生を呼んできましょ。真姫をこのままにしておけなぎいいぃぃいいあああああああっ!?」
43: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:47:14.13 ID:mHqV7UzJ.net
海未「にこ!?」

にこ「心臓がっ! し、心臓があっ!」

にこ「痛いっ!」

海未「そ、そんな……大丈夫ですか!? にこ、落ち着いてください!」

にこ「ぎいっ! ぐうぎいっ!?」

海未「う、嘘ですこんなの……こんなことで、死ぬなんて……」

にこ「がああっ!? ぜ、先生……呼んできてぇっ!?」

海未「は、はい! 今すぐ……!」

海未「ま、間に合わない……もう顔色も青くなっています!」
44: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:50:09.18 ID:mHqV7UzJ.net
にこ「わ、私はっ、私はあっ! スーパー、アイドルになるのっ!」

にこ「死にたくないっ! 死にたくないいっ! ぎいいっ!?」

海未「にこ!? にこっ! 死ぬな、馬鹿野郎ッ!」

にこ「スー、パー……アイド……」

にこ「あ、駄目だ」

海未「ああ……あああああっ!? に、にこまで!」

海未「嘘です、こんなの間違ってます! 夢なら早く目覚めてください!」
46: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:53:03.40 ID:mHqV7UzJ.net
海未「にこは、スーパーアイドルを目指す純朴な少女だったッ!」

海未「それは誰よりも尊く、輝いた夢だった!」

海未「それでいて、野に咲く花のように純朴な夢だった……」

海未「それを、刈り取った! 刈り取ってしまった!?」

海未「誰がこんなことを望んだ!? いいや、この世界の誰も、矢澤にこの死なんて望んではいないッ!」

海未「なのに、何故!? 世界は何故、私達を死に追いやる!?」

海未「うあっあああ! うあああああああああああああっ!」
47: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:56:00.79 ID:mHqV7UzJ.net
海未「お願いです! また貴女のにこにこにーを見たいんです」

ガシッ

海未「ッ! ……真姫」

真姫「もう、やめよう」

海未「でも!」

真姫「泣いたって、叫んだって、にこちゃんは帰ってこない」

真姫「そんなことは、海未ちゃんもとっくに気が付いているだろう?」

海未「それでも、それでも私は、にこを……!」

真姫「私達に出来るのは、静かに見送ってあげることだけだよ」

真姫「……さようなら、にこちゃん」
48: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 03:59:17.81 ID:mHqV7UzJ.net
海未の家

海未「……」

コンコン

『海未さん、また食事を食べてないんですね? ドアの前に、そのまま残っていますよ』

海未「……」

『その調子じゃ身体が持ちませんよ。せめて、部屋から出てきて……』

海未「……」

『友人が死んで悲しいのは分かりますよ、けれど……!』

海未「ッ! うるさいっ! 放っておいてください!」

『海未さん……』

海未(私は……人を殺した。手を下したわけではない、それでも言葉で、人を殺した)
49: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 04:04:32.01 ID:mHqV7UzJ.net
海未(穂乃果と真姫、そしてにこ)

海未(穂乃果と真姫の死に関しては、私も気が付いていなかったから事故だったとして、整理が出来る)

海未(けれど、にこは……私の身勝手な実験で、死んだ)

海未「うあ、うああああっ」

海未(自分が許せない、今迄味わった絶望よりも、深く、二度と引き返せないような暗闇)

海未(真実を知ればきっと、皆私のことを許してはくれないでしょうね。それを一番怖がっている、自分が嫌で仕方がない)

海未(結局は自分の身を守る為、怯えているのは自分の為。それに気付いてしまったからこそ、全てが嫌で仕方が無かった。際限のない自己嫌悪に、食事すらも取れない程に)
50: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 04:09:56.23 ID:mHqV7UzJ.net
海未「『破廉恥』」

海未(呟いて、苦笑しました。私は今まで、何度この言葉を使ったでしょうか)

海未(ちょっとしたことにも嫌悪し、憎悪し、吐き出すように破廉恥と呟いて)

海未(これはきっと、罰。他者の言葉に嫌悪した、私への罰)

海未(私はこの罰に、『破廉恥DEATH症候群』と名付けました。ふふっ、良い名称です)

海未(誰がこんな罰を下したのかは分かりませんが、きっと許されることはないのでしょうね)

コンコン

海未「……お母様、食事はいらないと」

『海未ちゃん……』

海未「ことり、ですか?」
51: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 04:15:56.46 ID:mHqV7UzJ.net
『部屋、入っていい?』

海未「申し訳ありませんが、入らないでください。四日前からお風呂に入っていませんから」

海未「……こんな時に、何を恥ずかしがっているんでしょうね、私は」

『ねえ、何があったの? 海未ちゃんのお母さんは、風邪だって言ってたけど』

海未「ふふ……何でもないのですよ。風邪なんかではありません」

海未「ただ、皆に合わせる顔が無いだけです。私は、ここでゆっくりと死んでいくのがお似合いなんです」

『真姫ちゃんとにこちゃんが死んじゃった時、海未ちゃん近くに居たんだよね?』

『あの時、何があったの?』
52: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 04:20:17.34 ID:mHqV7UzJ.net
海未「そ、れは……」

海未「言えません! 絶対に、言えません!」

海未「うあああああああっ!」

海未「聞かないでください! 聞かないでください!」

海未「普通に話したくないです」

『そう……何か、酷いことがあったんだね、話したくないようなことが』

『警察の人も、首を捻ってたよ。これだけ連続するからには何かある筈なのに、全く事件性が無いって』

海未「警察にも聞かれましたよ……けれど、本当に分からないんです。何故ああなったのか」

海未(親友に嘘を吐きました。ブラックコーヒーよりも苦い、苦痛にも似た味が口の中に広がっていく)
53: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 04:23:49.98 ID:mHqV7UzJ.net
海未「今日はもう帰ってください……」

『海未ちゃん……』

海未「心配せずとも、明日からはちゃんと学校に行きますから、ね?」

『うん、迎えにいくから。約束だよ?』

海未「はい……」

海未(ことりが帰ってから、私は三時間ほど寝ました)

海未(その後、お風呂に入り、母が用意してくれた食事をとりました。四日ぶりに食べるご飯は、涙が出るほど美味しかったです)

海未(母は私が出てきたことを喜び、泣いていました。父は私にカツオの叩きを取られて泣いていました)
54: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 04:28:38.15 ID:mHqV7UzJ.net
海未(約束したからには、学校に行かないと……)

『海未さん、ことりさんが迎えに来ていますよ』

海未「はい、今行きます」

ことり「……」

海未「お待たせしました、ことり」

ことり「海未ちゃん、おはよう。本当に大丈夫? 顔色、悪いけど」

海未「大丈夫ですよ、もう……さあ、学校に行きましょう?」

海未(この力、もう二度と使わなければいいんです。いつまでも自己嫌悪に陥っているわけにはいきませんからね)

海未(気にしていないと言えば嘘になりますが……こんな風にしていると、皆から疑われる可能性もありますし)
57: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 04:30:27.91 ID:mHqV7UzJ.net
通学路

海未「……」

ことり「……」

海未「会話、弾みませんね」

ことり「いつも静かになると、穂乃果ちゃんが何か話してくれたもんね」

海未「……」

ことり「穂乃果ちゃん、苦しんでたよね」

海未「ええ」

ことり「真姫ちゃんとにこちゃんも、苦しんでた?」

海未「ええ」

ことり「……そっか」
58: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 04:34:30.86 ID:mHqV7UzJ.net
不良「でよぉ、俺が三万円募金したら何て言ったと思う?」

不良「ありがとうございます! 貴方、良い人なんですねだってよお!」

不良2「ぎゃはははははっ! お、そこゴミ落ちてるぞ」

不良「おう、袋に入れとくぞ。学校着いたら捨てようぜ」

不良2「ったくよお、この前の休日町内清掃したばっかだってえのに」

海未「前から騒々しいのが来ますねえ」

ことり「ふ、不良だよ……怖いよ海未ちゃん」

海未「目を合わせず通り過ぎれば大丈夫ですよ……」
60: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 04:38:09.52 ID:mHqV7UzJ.net
不良「んでよぉ……」

ドンッ

海未「いつっ……」

不良「ああ? 大丈夫かてめえ、怪我なんかねえだろうな、ああ!?」

不良2「おい、どうしたんだよ」

不良「此方がよそ見してたせいでぶつかっちまったんだよ」

海未「け、怪我はありません。貴方こそ大丈夫ですか……?」

不良「ああん!? 俺は大丈夫に決まってんだろうが、心配してくれてありがとうな、ああ!?」

ことり「こ、怖いよ……」

不良2「ちっ、何かあったらこの番号に連絡しやがれ。後々痛くなったら治療費払わせてもらうからよぉ」

海未「は、はい……」
62: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 04:42:18.51 ID:mHqV7UzJ.net
不良「またビビられちまったぜ、ぎゃははははっ!」

不良2「俺達不良だからなあっ! じゃあなっ!」

海未「大丈夫ですか、ことり」

ことり「こ、怖かったよぉ……海未ちゃん、よく普通に喋れたね」

海未「私だって怖かったですよ……」

ことり「う、海未ちゃん! あれ見て、さっきの不良の人達、気弱そうな男の子に絡んでるよ!」

海未「本当ですね、何やらお金を巻き上げているようですが、カツアゲでしょうか」

海未(社会のゴミめ……本当に死ぬべきなのは、あいつらじゃないですか。あんな奴らが生きて、穂乃果達が死ぬなんて)

海未(許せない)
63: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 04:47:48.53 ID:mHqV7UzJ.net
気弱「あ、不良君達……この前はありがとう。何とかチロも良くなったよ」

不良「本当かぁ!? てめえが車に轢かれて死にかけてる捨て犬抱いてきた時は、どうなるかと思ったけどよお」

不良2「治ったんなら良かったじゃねえか、ああ!?」

気弱「二人が治療費貸してくれなかったらくれなかったらどうなってたか……本当にありがとう」

不良「いいんだっつうの! 俺達、募金と緑化活動くらいしか金使わねえから余ってんだよ!」

気弱「これ、バイトで稼いできたんだ。二人に返そうと思って」

不良2「少し多いけど、いいのか、ああ!?」

気弱「うん、貸してくれたお礼だよ。本当にありがとう、二人とも」

不良「気にすんなって言ってんだろうがボケぇ! よし、今日はこの金で、学校帰りにファミレス行くぞ!」
64: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 04:52:04.83 ID:mHqV7UzJ.net
気弱「あ、いや僕はお金がもう……」

不良「何言ってんだてめえはよ。てめえの分もこっから出すに決まってんだろうが」

不良2「元々は返ってこねえと思って貸した金だからよぉ」

気弱「二人とも、本当に良い人なんだね」

不良「ざけんなっ、俺は不良だ!」

海未「……カツアゲを、しましたね?」

不良「ああ?」

不良2「さっきの姉ちゃんか。まあ、そう見えたかもしれねえけど、違……」

海未「貴方達……『破廉恥』です」

海未「……」スタスタ

不良「な、なんだああいつ? やっぱり打ち所が悪かったのか?」

不良2「責任感じちまうよなあ……ぐうっ!?」
65: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 04:55:55.72 ID:mHqV7UzJ.net
ことり「う、海未ちゃん大丈夫だった?」

海未「ええ、びしっと言ってやりましたよ」

ことり「海未ちゃん、恰好いいんだね。私にはとても無理だよ」

海未(私だって普段なら無理ですよ。けど、この力があれば、誰にだって注意が出来ます)

海未(この『破廉恥』の力があれば……)

海未「さあ、学校に行きましょう?」

ことり「うん!」

ぐあっ、ぎああああっ!?

いぎいっ! ひああっ!

ぐああっ! あぎっ、いあぎあああっ!

ことり「? なんだろう、この声?」

海未「猫が喧嘩でもしているんじゃないですかね? そんな声です」
69: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 05:00:03.83 ID:mHqV7UzJ.net
海未「この力があれば、世界を取れます!」

海未「そうです、私が世界を変えるんです!」

海未「良い方向に……きっと穂乃果達もそれを望んでいる筈です!」

海未(私は最初、これを罰だと思いました。けど、違ったんです)

海未(これは、武器です。それも世界で最もすぐれた、防ぎようのない武器)

海未「私は、天下を取ってみせます!」

私達は登り始めたばかりだ、この長い音ノ木坂を……。


72: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/04/06(月) 05:01:03.88 ID:mHqV7UzJ.net
拙作お読み頂きありがとうございました
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『海未「破廉恥DEATH症候群……?」』へのコメント

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