真姫「にこちゃんの……ブログ?」

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真姫-アイキャッチ42
1: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/18(土) 21:25:56.96 ID:1m4dPYt9.net
覚悟してなさい、にこちゃん。

この西木野真姫があなたの秘密を暴いて……その鼻を明かしてやるんだから!



にこ「もしもこの世界に、神様なんてものがいるなら」
(http://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1426683180/l50)
絵里「にこと気まずいのよ」
(http://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1428582957/l50)
の世界観を引き継ぐ3作目になります。
設定はアニメ準拠、SID設定は踏襲できる部分のみ踏襲。



最後までお付き合い頂けると幸いです。

※ タイトルがクリック出来るものは当サイト内記事へのリンクです(管理人)

元スレ: 真姫「にこちゃんの……ブログ?」

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4: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/18(土) 21:42:11.83 ID:1m4dPYt9.net
真姫「……ありえない」


3日前にアップロードされたμ'sの最新PVを見ながら私──西木野真姫は、自室で一人呟く。


真姫「ありえないありえないありえない……」


曲が悪いわけではない。この歌詞を海未からもらった時には、あの海未からよくこんな歌詞が出たものだと感心したほどだ(海未曰く、『いつも真夏の太陽みたいな人が傍にいますからね』だそうだ)。

私も、その歌詞に負けないよう今までにないような曲を書いた。自分でも納得のいく、良い曲が書けたと思う。

エリーを中心にメンバー皆でつけた振り付けも、曲の魅力を十分に活かすものになった。

ここまでは何の問題もない。問題は、その曲につけられたPVだった。


真姫「ありえなーーーーーーいっ!」


曲名、『夏色えがおで1、2、Jump!』。

画面には、楽しそうに中央で踊る──水着姿の自分が映し出されていた。


真姫「もう、どうしてこんなことになってるのよー!」


発端は、夏休みが始まって数日後。

あの憎たらしい先輩が誕生日を迎え、『永遠の17歳』になった一週間後の出来事だった。
5: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/18(土) 22:00:53.42 ID:1m4dPYt9.net
〜一週間前・部室〜


にこ「アンタ達!この曲で……水着PVを撮るわよ!」


思えば、突然彼女が『サマーチューンはアイドルに必要不可欠よ!』と言い出した時から、私達はこの事態を想定しておくべきだったのかもしれない。

新曲を私と海未の二人で発表し、その振り付けが完成した途端のその発言に、私はとにかく呆気にとられるしかなかった。

その発言が予想外のものだったのは他のメンバーも同じだったようで、皆思い思いの反応を返す。


穂乃果「水着!?すごーい!本物のアイドルみたい!」

凛「やろうやろう!」

希「ほほー、面白そうやん?」

ことり「素敵!皆に似合う水着のアレンジ考えなくっちゃ!」


賛成派が目を輝かせる一方で、


海未「みみみみみ水着!?いけません!破廉恥です!」

花陽「私もちょっと恥ずかしい、かなぁ……」

絵里「あまり露出度が高すぎるものは、スクールアイドルとして相応しくないと思うわ。とりあえず、ルールは確認しないと」


三者三様の反応を示す反対派。そして、私は。


真姫「ありえないでしょ、水着PVなんて」


いつも通りの、どこか冷めたような言葉を返したのだった。
7: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/18(土) 22:14:58.28 ID:1m4dPYt9.net
皆の反応を一通り見たところで、にこちゃんはふっと笑った。


にこ「ま、アンタ達ならそう言うと思ったわ。そうね……じゃあまず、花陽」

花陽「はいっ!?」

にこ「アンタの好きなアイドルを、好きなだけ思い浮かべてみなさい」

花陽「えーっと……あの娘にあのグループ……それに……」

にこ「そのアイドル達の曲には、サマーチューンがあるかしら?」

花陽「えっと……あります!」

にこ「その曲のPV、どうなってる?」

花陽「どれも水着……だね……」

にこ「そうでしょ?いい、花陽。サマーチューンに水着PVと言えば、今やアイドルにとって欠かすことのできない組み合わせよ」

花陽「う、うん……」

にこ「その組み合わせを実践することで、私達はより真のアイドルに近づくことができるってわけ」

花陽「真のアイドル……!」

にこ「ここで一歩踏み出せば……花陽、それはアンタのアイドル道にとってとてつもない前進になるわ!」

花陽「!!」

にこ「それでもアンタは恥ずかしいなんて言えるのかしら?」

花陽「ううんにこちゃん、私が間違ってた!私進みます!アイドル道を!」

にこ「そうそう、その意気よ花陽!」


こうして、あっという間に反対派一人目が陥落した。
9: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/18(土) 22:40:39.37 ID:1m4dPYt9.net
にこ「さて、絵里と海未は強敵ね……だからこそ、対策はしてあるわ」


そう言うとにこちゃんはパソコンに向かい、動画ファイルがいくつか入ったフォルダを開く。


にこ「見てみなさい」

絵里「これは……他のスクールアイドルのPVかしら」

海未「って、水着じゃないですか彼女達!」

にこ「そうよ。スクールアイドルとはいえアイドルだもの。水着PVは、正統なアピールの手段として認められているわ」

絵里「次も水着PV、その次も……こんなに多いのね」

にこ「ルールの問題がないのも、これで分かってもらえたかしら?」

絵里「……ええ、そうね。それなら私に反対する理由はないわね」

にこ「うん、結構」

海未「何を言ってるんですか!学生の身でありながら水着でPV撮影なんて、彼女達は……」

にこ「おっと、その先を言うのは少しストップよ、海未」

海未「!?」

にこ「私が出したこの動画には、水着PVであること以外に共通点があるわ」

海未「共通点……それは一体?」

にこ「ここに挙げた全グループが……ラブライブ出場校よ」

海未「ラブライブ出場校……全てが、ですか!?」

にこ「ええ、その通りよ。辞退する前のランキングが19位だった私達にとって、その全てが格上」

海未「格上のグループが、このPVを……」

にこ「彼女達は私達にとって見習うべき存在。それをアンタ、何て言おうとしたのかしら?」

海未「うぐっ……!しかし、上位のアイドルが撮っているからといって、それを私達がやらなければならないということは……」

ことり「ねぇねぇ、海未ちゃん。私、皆の水着アレンジしてあげたいなぁ」

海未「ことり!?」

ことり「海未ちゃんの水着もぜーったい可愛くするから。ね、おねがぁい」

海未「くっ、それは卑怯ですことり……はぁ、わかりましたよ……今回だけですからね……」

ことり「うんっ!海未ちゃんありがとー!」


まったく、期待してたのに何をやってるのよあの先輩達は!

私が最後の砦になっちゃったじゃない!
10: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/18(土) 22:56:02.42 ID:1m4dPYt9.net
真姫「私は嫌よ」

にこ「水着PVなんてありえない、だったかしら。どうしてそう思うわけ?」

真姫「どうしてって、別に理由なんてないわよ。ありえないからありえないって言ってるの」

凛「えーっ、やろうよ真姫ちゃーん」

真姫「悪いけどパス。大体そんな気軽に人に見せるものじゃないでしょ、水着姿なんて」

凛「真姫ちゃん……」

にこ「まぁ、そんなに嫌だって言うんなら私だって無理に、とは言わないけどね」

真姫「そ。いつになく話がスムーズで助かるわ」

にこ「確かにー、このニコニーのパーフェクトボディと並んだら真姫ちゃんだって見劣りしちゃうしぃー、それが嫌だってのも無理はないと思うもーん」

真姫「……今、何て……?」

にこ「だからー、このニコニーのパーフェクト……」

真姫「そのお子様体型のどこがパーフェクトだって言うのよ!そんなわけないでしょ!?」

真姫「良いわ、やってやろうじゃない!水着で並んで後悔するのはあなたの方よ、にこちゃん!」

にこ「……決まりね」


私が我に返った時には、にこちゃんは『上手くいったわ』という笑みを浮かべていて。

何もかもが、手遅れだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
11: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/18(土) 23:10:25.43 ID:1m4dPYt9.net
思い出したら余計頭に来たわ……

まったく、なんで私はいつもあんな挑発に乗っちゃうのかしら……ま、それは置いておきましょう。

今は、私が──μ'sが置かれているこの状況のことを考えるべきだわ。

私だって覚悟を決めてPV撮影に臨んだんだし、今更その内容にどうこう言うつもりはない。

ただ、現状は私の想定を遥かに超えていた。このPVがアップロードされてから3日の間に──

まさか、今までのPVの最大再生数に届くほどのアクセスがあるなんて、ね……
12: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/18(土) 23:16:55.26 ID:1m4dPYt9.net
『とってもセクシーです!ファンになっちゃいました!』

『今までとのギャップが最高!』

『とにかく水着姿が素晴らしいです!』


真姫「はぁ……ほんと男って、バカばっかりなんだから」


動画に寄せられたコメントを見つつ、そう呟いてみても。


『水着のアレンジがとっても可愛いです!素敵!』

『モデルさんみたい!憧れちゃいます!』

『この夏の参考にします!ありがとうございます!』


女子からの反応もこの通り大好評なんだから、もう何も言えなくなってしまう。

とにかく、にこちゃんが企てたμ'sアピール作戦は大成功を収めていた。

……私としては、それが一番気に入らなかったりするんだけど。
14: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/18(土) 23:38:35.38 ID:1m4dPYt9.net
真姫「ああもう、やっぱり頭に来るー!」


大体何なのよ、あの先輩!

何かにかけて私にちょっかいかけてくるし、ばったり会うことがやけに多いし……

私のこと、ライバル視でもしてるのかしら?迷惑な話だわ……

こっちはそっちのこと、全然興味なんてないんだから!

……とはいえ、このまま終わるのも悔しいわね。

何とかにこちゃんに仕返しする方法はないのかしら……

そんなことを考えていた私が大量のコメントの中からそれを発見したのは、きっと偶然だったのだろう。

あるいは、神様の悪戯……かしら。


『これってニコニーですよね?昔ブログ読んでました』


真姫「にこちゃんの……ブログ?」
15: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/18(土) 23:50:11.41 ID:1m4dPYt9.net
にこちゃんがブログをやってるなんて話、聞いたことないわ。

そもそもμ'sにはスクールアイドル公式のPRページが用意されているわけだし、個人のブログなんて必要ないはず。

にも関わらず、個人でブログをやっているのなら。そこに書かれている内容は、私達に知られたくないこと……?


真姫「……うふふ」


思わず笑みがこぼれてしまった。

覚悟してなさい、にこちゃん。

この西木野真姫があなたの秘密を暴いて……その鼻を明かしてやるんだから!
22: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/19(日) 20:20:20.99 ID:KqnpdFYE.net
早速パソコンで検索をかけてみる。

『矢澤にこ ブログ』……うーん、ダメだわ。スクールアイドルファンのブログしか出ない……流石にそう簡単には見つからないか。

『にこ ブログ』……今度は候補が多すぎる……もう少し絞り込まないとダメね……

『ニコニー ブログ』……ああもう、どうして見つからないのよ!

この一連の行動さえにこちゃんにおちょくられているような気分になり、私のイライラは加速する一方だった。

脳内でお決まりのポーズを決めるにこちゃんを頭の中から追い出そうとして、ふと思いつく。

いや、まさか、ね……これで見つかったら流石に面白すぎるでしょ……

そう思いつつ、念のためその単語を検索ワードに打ち込んでみる。


真姫「……嘘、でしょ……」


『らぶ♡にこ わーるどあいどるぶろぐ♡』。

検索結果のトップにはそう表示されていた。


真姫「間違いない……これだわ……」


唖然としながらページを確認して、私は確信する。


真姫「流石と言うか、何と言うか……こんなワードでひっかかるようにしてあるなんて……」


検索ワード、『にっこにっこにー』。にこちゃんのキメ台詞である。
24: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/19(日) 20:47:04.77 ID:KqnpdFYE.net
真姫「って、何よこれ!」


悪戦苦闘の末発見したにこちゃんのブログを読み進めていた私は、今日何度目かわからない叫び声をあげることになった。

にこちゃんのアイドルモード全開で書かれた文章は読みづらいことこの上なかったけど、それ以上の問題はその内容だった。

私達のことを勝手にブログに書いてるし、何よりμ'sに入ったのは自分のステップアップのためとか、ニコニーがいちばんかわいいとか……好き勝手書いちゃって!

はぁ、頭痛くなってきたわ……とりあえず、このブログは携帯にURLを入れておきましょう。


真姫「やれやれ……」


溜息を吐き、ブログを閉じて私は心を落ち着かせる。


真姫「うふふ……ついに見つけたわよ、にこちゃん。あなたに仕返しする手段を」


ブログショックから立ち直った私は、怒りから一転して微笑みを浮かべる。

今までのちょっかいの分、このブログのことをたーっぷり問い詰めてあげる。

明日が楽しみね……ねぇ、にこちゃん?
25: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/19(日) 21:19:58.49 ID:KqnpdFYE.net
〜翌日〜


にこ「珍しいわね、アンタが私に相談なんて。しかもわざわざ帰り道でなんて、何か理由でもあるの?」

真姫「別に、理由なんてないわ。ただ、にこちゃんにしか相談できないことだから」

にこ「ふぅ〜ん?アンタにもやっとこの私の凄さが伝わったみたいね!何でも聞きなさい!」


ふふ、嬉しそうにしちゃって……その笑顔がいつまで保てるかしら?


真姫「あのね、にこちゃん」

真姫「私、ブログを始めようと思うのよ」

にこ「!」

真姫「けど、何から始めればいいかわからなくて……こういうの詳しそうなのって、μ'sではにこちゃんしかいないから」

にこ「そ、そうね……けど一体どうしたのよ、急にブログ始めたいだなんて」

真姫「もちろんスクールアイドルとしてのアピールよ。新曲はにこちゃんのおかげで大ヒットだったけど、多角的にアピールしていくのは大事でしょ?」

にこ「私の……そ、そういうことね!アンタもなかなか分かってきたじゃない!いいわ、教えてあげる。デザインとかはもう決まってるの?」

真姫「お手本と言うか、こんな風にしたいなってブログがあるわ。これなんだけどね」

にこ「どれどれ……」


私の携帯の画面を覗き込んだにこちゃんが、焦った顔でこっちを見る。


にこ「アンタ、これ……!」

真姫「どうかしら。とっても素敵なブログだと思わない?」
28: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/19(日) 21:53:48.55 ID:KqnpdFYE.net
にこ「アンタ、どうやって見つけたのよこれ……!」

真姫「新曲のPVに、昔ブログ見てたってコメントが来てたわよ。その様子だと見てなかったみたいね?」

にこ「っ……!」


焦ってる焦ってる……にこちゃんのことだからふざけてごまかしてくるかと思ったけど、予想以上に効果があったみたいね。

そんなにこのブログを見られたくなかったのかしら?


真姫「にこちゃん、どうして皆に黙ってたの?」

にこ「……言えるわけないでしょ、こんなこと」

真姫「ま、そうね。皆が知ったらどんな反応するかしら」

にこ「……あの娘達なら、何とも思わないでしょ」

真姫「そうかしら。少なくとも私は、頭に来たわよ?」

にこ「……そう、そんなに気に入らないわけ?」

真姫「何でそんなに不機嫌なのよ……悪いのはにこちゃんでしょ?」

にこ「悪いのはって何よ!2年間一人でいて、やっと仲間ができて、一緒に廃校を阻止して……それなのに今更何よ!」

真姫「ちょっと待ってにこちゃん、あなた何を言って……」

にこ「私がほんとは音ノ木坂に来たくなかったなんて……今更皆に言って何になるっていうのよ!」
29: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/19(日) 22:22:25.48 ID:KqnpdFYE.net
ちょっと待ってにこちゃん……どういうことよ、それ……

それが本当だとしたら、私とにこちゃんは……


真姫「……にこちゃん……それ、ほんとなの……?」

にこ「何言ってんのよ……見たんでしょ?昔の記事」

真姫「私が見たのは最近の記事だけよ……昔の記事は読んでないわ」

にこ「じゃあ何よ、あの言い方は……」

真姫「にこちゃん、私達のことブログに勝手に書いたあげく好き放題言ってたじゃない……私が言ってたのは、そっちのこと」

にこ「……はは……何よ、焦って損しちゃったわ……」

真姫「それより……本当なの?さっきの話」

にこ「……本当よ。私、中学生の頃はUTXに行きたかったの」

真姫「どうして……音ノ木坂に来たの?」

にこ「……アンタに言ってもしょうがないわ」

真姫「どうしてよ!だって私は……私も……!」

にこ「だってアンタ、お嬢様でしょ?」

真姫「……え?」

にこ「お金に困ったこともないアンタなんかに……私の気持ちなんて、わからないわよ」
31: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/19(日) 22:49:15.17 ID:KqnpdFYE.net
真姫「……にこちゃんの……」

真姫「にこちゃんのバカあっ!」


気づくと私は、そう叫んでいた。


にこ「真姫ちゃん!?なんで泣いて……」


そう言われて初めて、私は自分が涙を流していたことに気づく。

その場にいづらくなった私は、にこちゃんに背を向けて駆け出した。

……何よ、にこちゃんのバカ!

私が家のことで苦労したことなんて、何にも知らないくせに。

私がどんな想いで音ノ木坂に来たかなんて……知らないくせに。

同じ境遇だなんて思った私がバカだった!

ぐちゃぐちゃになった思考のまま、どれくらい走ったのだろう。

ふと私が周りを見渡すと、そこは知らない公園だった。


真姫「ここ……どこ?」
32: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/19(日) 23:06:45.80 ID:KqnpdFYE.net
真姫「はぁ……何してるのかしら、私……」


その公園の近くを調べた結果、そこは自分が全く知らない場所だということがわかった。

公園のベンチに腰掛け、空を見上げる。


真姫「あーあ、どうしようかしら……」


どうやら携帯をにこちゃんの手に残したまま駆け出してしまったらしく、誰かと連絡を取る手段もなかった。

とはいえ狭い町なんだし、歩いてれば知ってる場所に出るでしょ、きっと。

そう思って私が立ちあがった瞬間だった。


にこ「真姫ちゃんっ!」


息を切らしたにこちゃんが、公園の入口に姿を現した。
34: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/19(日) 23:41:36.92 ID:KqnpdFYE.net
真姫「にこ、ちゃん……」

にこ「はぁ、はぁ……アンタ……携帯、忘れてるわよ……」


そう言いながら携帯を私に差し出すにこちゃん。


真姫「……ありがと」

にこ「真姫ちゃ……っはぁ……あのね、真姫ちゃん……けほっ」

真姫「とりあえず息整えなさいよ」

にこ「そうするわ……はぁ……ふぅ……」

真姫「落ち着いた?」

にこ「ええ……あのね、真姫ちゃん……ごめんなさいっ!」

真姫「え、ええ!?どうしたの急に!?」

にこ「アンタがどうしてあんな風に走り出したのか、私にはわからない」

にこ「けど、私の言ったことでそうなったのは明らかだったもの」

にこ「……きっと、何か気に障る事を言っちゃったんだと思う」

にこ「だから……謝りに来たの」

真姫「別に良いわよ、そんなの……私だって、勝手に期待しただけだし……」

にこ「……私ね、真姫ちゃん。家、あんまりお金持ちじゃないのよ」

真姫「……何の話?」

にこ「私が音ノ木坂に来た理由。悪かったわね、アンタにはわからないなんて言っちゃって」

真姫「……だから良いって言ってるでしょ?」

にこ「そ、ありがと。……だから、あんまり家に負担のかかる習い事とかできなくてね。アイドルになりたくても、何もできなかった」

にこ「だからUTXに行きたかったの。結局、それもお金がなくてダメになっちゃったけどね」

にこ「だからずっと……アンタのことが羨ましかった。アンタの家くらいお金があれば私は今頃……なんて思ってた。酷い話よね」

真姫「そうね、酷い話だわ」

真姫「だって、私だって同じだもの」
42: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 22:30:03.24 ID:Mvl0IRIy.net
にこ「同じ?アンタと……私が?」

真姫「そうよ。私もね……音ノ木坂に来たかったわけじゃ、ないもの」

にこ「そう、なの?」

真姫「パパがね。医者の跡継ぎとして、地元の学校に入りなさい、って」

真姫「普段は優しいんだけどね。医者のことになると、厳しいから」

真姫「私は西木野総合病院の跡継ぎとして育てられた。だから自分でも医者になることに疑問なんて持たなかった」

真姫「きっと、だからなんでしょうね。自分が好きなことを見つけた時もそれを続けたいって、夢にしたいって……言い出せなかった」

にこ「何だったの?……アンタの、好きなことって」

真姫「ピアノ、よ。私、ピアノが大好きだったの」

真姫「けど、ピアニストになりたいだなんて言い出せなかった。パパの期待を……裏切ることなんて、できなかった」

真姫「だから私、ずっとμ'sの皆のこと、凄いと思ってたのよ。自分の想いを素直に口に出せる穂乃果も、学校を守るために精一杯な皆も」

真姫「夢に向かって真っ直ぐな……にこちゃんも。音ノ木坂に来たくもないのに入って、自分の夢なのかもわからない医者の道を歩いてる私なんかとは違うなって、思ってた」

真姫「ずっと……皆のことが、羨ましかった」
43: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 22:48:48.50 ID:Mvl0IRIy.net
こんな私の話を聞いたにこちゃんの反応は。


にこ「ふぅん……色々あるのね、お金持ちにも」


なんてものだった。


真姫「何よ、それ」

にこ「そう思ったからそう言っただけよ。……アンタのこと、ちょっと誤解してたみたい」

真姫「誤解?」

にこ「アンタ、どっか一歩引いてたとこあったでしょ?お高く止まっちゃって、なんて思ってたの。そんな風に考えてたのね」

真姫「悪かったわね、お高く止まってるような感じで」

にこ「あの娘達が、そんなこと気にすると思ってたの?」

真姫「それは……そんなわけ、ないけど。ずっとUTXに行きたかったことを隠してたにこちゃんには言われたくないわね」

にこ「言えてるわ」

真姫「ふふ。私達、似てるとこあるのかもね」

にこ「そうね。ほんとは、音ノ木坂に来たくなくて」

真姫「それをずっと、気にしてて」

にこ「自分のやりたいことを、家族に打ち明けられなくて」

真姫「ほんと……境遇は、まるで違うのにね」

にこ「不思議なものよね。ほんとに神様って、気紛れなんだから」
44: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 23:02:18.56 ID:Mvl0IRIy.net
にこ「ね、真姫ちゃん」


少しの沈黙の後、にこちゃんが切り出した。


にこ「私達が、ほんとは音ノ木坂に来たくなかったってこと……二人だけの秘密にしない?」

真姫「秘密?なんでまた……」

にこ「決まってるでしょ。その方がカッコいいからよ」

真姫「カッコいい……?」

にこ「入りたくもなかった音ノ木坂に入って、そこでスクールアイドルやって。学校を廃校から守って」

にこ「そして、いつかこの活動が終わるときに……音ノ木坂に来て良かったって、二人で笑うの。本気でね」

にこ「どう?素敵じゃない?」

真姫「……にこちゃんらしいわ。見栄っ張りで、意地っ張り」

にこ「何ですってぇ!?」

真姫「……乗るわ」

にこ「え?」

真姫「乗ってあげるわよ、二人だけの秘密。だってなんだかほら……」

真姫「……カッコいいじゃない?」

にこ「……分かってきたじゃない!」


こうして、私達は。少しだけ、他の皆には言えないことを言える間柄になった。
46: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 23:25:27.43 ID:Mvl0IRIy.net
〜翌日〜


真姫「おはよう、にこちゃん。偶然ね」

にこ「そうね、偶然だわ。おはよ──」

にこ「──真姫」

真姫「っ!?何よ、その呼び方!」

にこ「お嬢様扱いはやめることにしたの。何よ、気に入らなかった?」

真姫「気に入らなくなんて……別に、にこちゃんが私のことどう呼ぼうと興味なんてないもの!」

にこ「冷たいわねー。私達の仲だってのに」

真姫「へ、変な言い方しないで!」

にこ「ねぇ、真姫。昨日の二人だけの秘密のことだけど、ね」

真姫「な、何よ」


そう言いながら、私に近づいてくるにこちゃん。

い、一体何のつもりなの!?

そう考えている内に目の前に来ていたにこちゃんは、私の両手を握ってこう言った。


にこ「……ごめん。私がUTXに行きたかったこと、希も知ってた」

真姫「……え?」


な、何なのよこの先輩は!真剣な雰囲気出しといて言うことがそれ!?

って言うか!二人だけの秘密って、にこちゃんが言い出したことじゃない!

どういうことよそれ!ほんっとに……憎たらしい人なんだから!


真姫「何よそれ!昨日は二人だけの秘密、だなんて言っておいて!」

にこ「あー……それはほら、希に話したこと忘れてたって言うか……ほ、ほら、笑いなさいよ。にっこにっこにー!」

真姫「もういいっ!にこちゃんのブログのこと、皆にバラしてやるんだから!」

にこ「ちょっと真姫、それだけは勘弁して……真姫ぃー!」

真姫「何度も呼ばないで!」


その翌日から、にこちゃんのブログはμ'sの皆で更新することになったんだけど……

それはまた、別のお話。
47: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 23:31:14.70 ID:Mvl0IRIy.net
どっとはらい。

これにて完結です。


>>30で出していただいてましたが、SIDネタをアニメ次元に輸入しつつアニメの補完ができたらいいな、という感じで書いてます。

今回は2期で急ににこが真姫ちゃんを呼び捨てにした理由をSIDから真姫ちゃんのピアノネタとにこのブログネタを使って書いてみました。

楽しんで読んでいただけてましたら嬉しいです。

最後までお付き合いありがとうございました!
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