花陽(26)「夏のはなよ酒」

シェアする

花陽-アイキャッチ32
1: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/11(月) 15:00:29.06 ID:WngPFQVz.net
ガチャッ

花陽「ただいま〜・・・今日も暑かったね・・・」

仕事が終わり午後8時、ようやく安らぎの我が家に帰宅です♪

花陽「とりあえずエアコンつけてっと、ご飯が炊けるまでには・・・、まだ時間がありますね」

なら、やることはひとつ!
もちろん、仕事終わりの一杯です!

元スレ: 花陽(26)「夏のはなよ酒」

スポンサーリンク
2: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/11(月) 15:01:17.08 ID:WngPFQVz.net
花陽「夏真っ盛り、今年も暑い季節になりましたね!」

連日の真夏日に熱帯夜、テレビのお天気コーナーの背景は海。
絶賛夏本番です。

花陽「暑い夜にはやっぱり冷酒が一番だよね」

日本の夏、日本酒の夏です!
火照った体を冷やすにはやっぱりよく冷えた冷酒がもってこいだね。
というわけで、今日はこの一本!

花陽「『屋守 純米中取り 無調整生 仕込み十九号』近年話題の屋守です!」

この屋守、なんと東京都のお酒なんです!
使用米は広島県産の八反錦だけど、東京で造られたお酒って考えるとなんだか親近感が湧いちゃいます。
3: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/11(月) 15:04:41.81 ID:WngPFQVz.net
花陽「あわせるおつまみはアオリイカのイカゲソにしましょう♪」

魚屋さんの見切り品コーナーにアオリイカがあったので買ってきちゃいました。
さすがに本体は入ってなかったけど、大きなゲソとエンペラで300円!お買い得です。
焼くのもいいけど鮮度的に問題無さそうだし・・・ここは湯引きだね。

花陽「さっと湯通ししてから、氷水でしっかりと締めて・・・」

それから叩いた小葱とおろし生姜を混ぜ合わせて・・・薬味も完成!

うん!今日も楽しい晩酌になりそうです♪
5: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/11(月) 15:16:33.91 ID:WngPFQVz.net
花陽「さあ、準備できましたよ!」

すこし汗をかいた酒瓶に、可愛らしい硝子のお猪口。
やっぱり日本の夏には硝子の酒器がよく似合います。
そのお猪口に慎重にお酒を注げば、キラキラと輝いて・・・。

花陽「あぁ・・・すてき・・・」

いつまでも眺めていたいくらいです。
でも、それだと温くなっちゃうもんね。

花陽「やっぱり冷酒は冷たいうちに!それではさっそく・・・いただきます♪」チビリ

花陽「いいですね・・・柑橘のような爽やかな香りにバランスの取れた甘みと酸味、それから最後にちょびっと感じる渋み・・・やっぱり最近流行の甘旨系だね」チビチビ

口に含むとピリピリと舌を刺激するガス感も爽やかで好印象です。
純米と表示されてはいるけど、麹米50%で掛米は55%・・・

花陽「この味とスペックで純米を名乗るところに、なんとなく男らしいこだわりを感じるね」チビリ

純米吟醸相当の内容で、あえて純米と名乗る。
高みを目指して修行を続ける武人のような、男らしさを感じます。
最近の人気銘柄は表示にこだわる傾向が強いよね。
6: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/11(月) 15:19:47.67 ID:WngPFQVz.net
花陽「さてさて、お次はイカゲソちゃんです」

アオリイカといえば、イカの中でも最高級!
本体はないけれど、きっとゲソだけでも美味しいに違いありません。
ゲソに薬味を乗っけて、ちょこんと醤油をつけて・・・

花陽「いっただきま〜す♪」パクッ

花陽「う〜ん!美味しい♪適度な歯ごたえとイカ特有の甘み、生姜と葱でサッパリとした後味・・・」チビリ

これぞ日本酒の肴・・・といった感じでしょうか?
やっぱり生でも乾物でも、イカさんはお酒に合います。

花陽「エンペラのパツンとした歯切れの良い食感もたまらないね」チビチビ

ゲソとエンペラの歯ごたえや味の違いも楽しい、とてもいい肴だね。

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」
7: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/11(月) 15:27:28.74 ID:WngPFQVz.net
花陽「・・・そういえば、今日も課長ったらもう・・・」

私の課の課長は、理不尽でいい加減で自由人で・・・非常識な人なんだよね・・・。

花陽「別の課の人たちから聞いたんだけど、課長ったら私がいない場所で後輩をいじめてるらしいんですよ!」

ついにうちの課にも新人さんが入って、私は後輩が出来たって喜んでたんだけど・・・。
そんなかわいい後輩をいじめるなんて・・・許せません!

花陽「私も経験があるけど、課長の言うことはとにかく理不尽なんです!わけのわからないことで文句を言われるんだよね・・・」

それを見かねた人たちが「極力一緒に行動したほうがいいよ」と言ってくれましたが・・・

花陽「一緒に行動するにしても限界があるし・・・でも私が頑張らなくちゃだよね!」

先輩なんだもん!後輩を守るためにも、私頑張ります!

花陽「課長になんて負けません・・・!」ゴクゴク

はぁ・・・荒んだ心にお酒が染みます・・・。
10: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/11(月) 15:36:48.96 ID:WngPFQVz.net
なんとなくテレビの電源を入れてみると、レジャー施設のプール開きのニュース。
いかにも夏らしいです。

花陽「夏・・・もう夏かぁ・・・」

夏といえば、やっぱりお盆商戦。
営業担当としては、気合の入る季節です。
でもやっぱり、今年はそれ以上に気がかりなことがひとつ・・・。

花陽「凛ちゃん・・・」

凛ちゃん、私の幼馴染、大切な友達
・・・そしてこの夏は恋人。

花陽「期間限定の恋・・・かぁ・・・」

きっと凛ちゃんもいろいろ考えたんだと思う。

花陽「だったら、私は何も言うことなんてない・・・」

それで凛ちゃんが満足できるのなら・・・
11: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/11(月) 15:39:31.99 ID:WngPFQVz.net
花陽「そうだよ、何も言うことなんて・・・ない」

その思いは確かに本心のはずなのに、なぜか胸の中の変な気持ちは晴れないままだった。

花陽「・・・こんなことばかり考えていても仕方ないよね!もっと楽しいことを考えなくちゃ」

変な気持ちを洗い流すように残ったお酒を飲み下す。
そう、今考えるべきはもっと楽しいことだよね。

花陽「週末には花火大会もあるし、二人で海に行く約束だってしてるし、今年の夏は思い切り楽しむんです!」

頭の中のスケジュール帳には、たくさんの予定が書き込まれていて、そのどれもが楽しみなものです。

花陽「めいっぱい夏を楽しむためにも、しっかり日々のお仕事も頑張らなくちゃだね。よぉし、しっかりご飯を食べて明日も頑張りましょう!」

窓の外、霞んだ空で輝く夏の星座たちを眺めながら、私の夜はすぎていくのでした・・・。
52: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/12(火) 20:56:18.00 ID:UH85kkg7.net
ガチャッ

凛「ただいま〜、今日も疲れたにゃ・・・」

仕事帰りにラーメン屋さんに寄って、部屋に着いたのが午後8時。
セットの餃子で軽くビールを飲んできたけど、まだまだ夜はこれからだもんね!

凛「いいお酒もあるし、もう一杯飲んじゃっと♪」

もう少し飲んじゃってるけど、仕事終わりの一杯だにゃ!
53: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/12(火) 20:57:25.22 ID:UH85kkg7.net
凛「夏といえばやっぱり爽やかな炭酸飲料だよね」

運動した後のコーラとか、仕事終わりのビールとか、暑い夏には他の季節よりも美味しく感じるもん。

凛「実は日本酒にもスパークリングっていうのがあるらしいんだ」

夏にピッタリのスパークリング!これは飲むしかないよね!
そんなわけで今日のお酒は・・・

凛「『一ノ蔵 発泡清酒 すず音』それと『上善如水 スパークリング』今日はこの二本を飲んでみるよ!」

両方ともスーパーで買えるし、お手ごろ価格で低アルコール。
日本酒初心者の凛でも手を出しやすいよね。

凛「おつまみはどうしよっかなぁ〜?」

ゴソゴソと戸棚をあさると、出てきたのは缶詰が数個・・・。
焼き鳥の塩味に、みかんの缶詰、それからキノコのアヒージョ。

凛「この中なら、やっぱりアヒージョかな」

おつまみも決まったし、さっそくお酒を飲んでみるにゃ!
55: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/12(火) 21:05:22.54 ID:UH85kkg7.net
グラスとお酒、それから缶詰をテーブルに並べて準備完了!

凛「それじゃ、まずはすず音から飲んでみようかな」

栓を開けてグラスにお酒を注ぐと、白く濁ったお酒が泡を立てる。
ピチピチとはじける泡の音が、なんだか美味しそう!

凛「それじゃ、いっただっきまーす!」チビリ

凛「・・・甘くて美味しい!・・・けどこれってお酒?確かにお米の味は感じるんだけど・・・」ゴクゴク

お酒をゴクゴクと飲みながら、瓶の表示に目をやるとアルコール分は5%。

凛「にゃるほど・・・5%じゃビールと変わらないもんね」ゴクゴク

どうりでお酒感が無いと思ったにゃ。
でも、美味しくないわけじゃなくて、大人のカルピスソーダって言うか・・・乳酸菌系?って感じで美味しいんだよ?
お酒が苦手な人でも、これなら絶対に飲めるって感じ。

凛「でも、この度数じゃすぐになくなっちゃうよね・・・」ゴクゴク

ビールと変わらないペースで飲み進めれば、300mlなんてあっという間で・・・

凛「・・・もうなくなっちゃった。美味しかったんだけどなぁ・・・」

確かに美味しかったんだけど、この軽さは考え物かもしれない。

凛「はぁ、まだ缶詰も開けてないし次のお酒にいってみようかな」

缶詰も開けてないし、まだまだ夜はこれから!
もう一本のお酒で第二ラウンドだにゃ!
56: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/12(火) 21:10:14.55 ID:UH85kkg7.net
凛「そんなわけで、次は上善如水だよっ」

冷蔵庫から出してきた瓶の表示を見てみると、今度はアルコール度数11〜12%の表示。

凛「こっちは飲み応えありそう・・・」

でもやっぱりお酒は味が肝心だよね。
早速グラスに注いで飲んでみちゃおう。

凛「二本目、いただきます♪」チビリ

凛「あっ、お酒だ!すっごく飲みやすいけど、ちゃんと日本酒の味がする!」

甘酸っぱいけれど、炭酸のおかげでなんだかドライな感じもして・・・

凛「なんかシャンパンみたい・・・」チビチビ

・・・シャンパンなんて飲んだことないんだけどね。

凛「これだったらアヒージョとも合うかも・・・!」

日本酒なんだけど日本酒っぽくない、これって洋風なおつまみにもきっと合うよね!
さっそく缶詰の蓋を開けて、芳しい香りのするキノコを口に運ぶ。

凛「ん〜!これいい!すっごく合うよ!日本酒なのになんだかワインを飲んでるみたいにお洒落な感じ!」チビチビ

・・・ワインなんて飲んだことないんだけどね。
57: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/12(火) 21:14:48.96 ID:UH85kkg7.net
凛「凛もかよちんのことをかっこよくエスコートできたらなぁ・・・」チビリ

ワインなんて全然わからないけど、お洒落なレストランで「このワイン美味しいよ」とかおススメしちゃったりしたら、ちょっといい感じじゃないかにゃ?

凛「まあ、凛には無理だけど・・・」

ワインの知識なんて全く無いし、それ以前にかよちんを前にしてそんなかっこつけたセリフなんて言えっこない。

凛「でも、今は恋人・・・かよちんは凛の恋人なんだもん」

そうだよ、期間限定だって恋人なんだもん!
せっかくかよちんが頷いてくれたんだ、しっかりと楽しまなくちゃ。

凛「・・・凛は凛らしく、精一杯楽しむんだ・・・」

かっこよくエスコートなんて凛にはできやしない、でも頑張って楽しい時間にすることはできる・・・と思う。

凛「かよちんにも楽しんでもらえるといいなぁ・・・」

いや、楽しんでもらえるといいな、じゃない。かよちんにもきっと楽しんでもらうんだ。
そう決意しながら、凛の夜は過ぎていくのでした・・・。
65: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/13(水) 16:56:03.94 ID:jr1khwLG.net
ガチャッ

花陽「ただいま〜・・・今日も暑かったね・・・」

仕事が終わり午後8時、ようやく安らぎの我が家に帰宅です♪

花陽「とりあえずエアコンつけてっと、ご飯が炊けるまでには・・・、まだ時間がありますね」

なら、やることはひとつ!
もちろん、仕事終わりの一杯です!
67: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/13(水) 16:57:53.51 ID:jr1khwLG.net
花陽「絶好の冷酒日和、今晩も元気にお酒を飲みましょう!」

暑い夏のお仕事で疲れた体には、やっぱりお酒が一番。
仕事の後にのんびりお酒を飲んで疲れを癒す・・・これは働く大人の特権です。
そして、疲れには甘いものと昔から相場は決まっています。
そんなわけで、今日飲むのはこのお酒・・・

花陽「『花陽浴 純米吟醸 雄町 直汲み』夏の花陽浴、第二段だね」

花陽浴は夏の時期は青い瓶で直汲みシリーズを発売しています。
美山錦の純米大吟醸に続き、この雄町の純吟が第二段です。

花陽「合わせるおつまみは水ナスのお刺身にしましょう」

水ナスといえば関西の名物だけど、最近は関東のスーパーでも見かけるようになりました。
普通のナスと違って灰汁が少なくて、生で食べても美味しいんだよね。

花陽「皮付きでもいいけど、今日は皮を剥いてみようかな・・・」

包丁で水ナスの皮を剥いて、食べやすい厚さにスライス・・・
小皿にはお醤油ではなく、石垣島の海塩を盛ります。

うん!今日も楽しい晩酌になりそうです♪
68: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/13(水) 17:05:59.05 ID:jr1khwLG.net
花陽「さぁ、準備できましたよ♪」

青い瓶、硝子の酒器、ナスのお刺身!
涼しげでとても良い感じです。

花陽「さてと、それではお酒から・・・いただきます♪」チビリ

花陽「う〜ん、やっぱり美味しい!パイナップルのような含み香と濃厚な甘み、でも甘いだけじゃなくて雄町らしい渋みもちゃんとある・・・」チビチビ

花陽浴らしくいかにもカプエチ系といった香りを感じるけど、後から来る渋みと苦味が全体像を引き締めてとてもいい仕事をしています。
前回の美山錦と同様に、フレッシュ感やガス感は春の新酒の頃と比べて少なくなっていて、ちょっと落ち着いた印象です。

花陽「この甘さと苦味、春に飲んだときも思ったけど、やっぱり雄町は花陽浴の中では男性的な感じだね」チビチビ

甘さと苦味、大人と子供の間で揺れているような・・・
例えるなら、普段は笑顔の好青年なんだけど、ちょっと影を感じさせるような男の子・・・そんなお酒だね。

花陽「春の生原酒と同じように数日経つと渋みが消えて、甘さメインのまろやかな味わいになるんだろうなぁ・・・」チビチビ

お酒の楽しみ方のひとつとして、開栓後の味の変化を楽しむのも面白いと思います。
最初はイマイチだったお酒が美味しくなることもあるし、逆に味が落ちることもあるし・・・そういった部分でも日本酒って面白いんです。
69: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/13(水) 17:13:47.38 ID:jr1khwLG.net
花陽「さてさて、このあたりで水ナスさんも食べてみましょうか!」

ナスの旬はもちろん夏。
旬の肴で季節のお酒を飲む・・・酒飲みとしてはこの上ない贅沢だね。

花陽「お塩をちょこっとつけて・・・いただきます♪」ぱくっ

花陽「はぁ・・・これは正解ですよ。歯切れの良い食感、お塩で引き立つ甘み、そしてお酒の邪魔は全然しない・・・」チビリ

ほのかに感じるリンゴのような甘みは、花陽浴と良く合っていると思います。
でも、味や主張の強さはお酒の方が上なので、あくまでお酒を主役として引き立てる、名脇役な感じだね。

花陽「お財布にも優しいし、作るのも簡単だし、今年の夏は水ナスさんにお世話になることも多そうです・・・」チビチビ

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」
70: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/13(水) 17:18:56.54 ID:jr1khwLG.net
花陽「そういえば、今日の課長はいつにも増しておかしかったです・・・」

課長がおかしいのはいつものことなんだけど、それでもなかなか今日ほどおかしかったことはありません。

花陽「今日も仕事中に課長が行方不明になったんですよ」

それだけなら珍しいことじゃない・・・むしろいつものことなんです。
きっとまた社員食堂あたりで寝てるんだろうと思って探してみたんだけど、全然見つからなくて・・・。

花陽「そうこうしているうちに商談に行かなくちゃいけない時間になっちゃって、仕方なく私は会社を出たんです。そしたら・・・」

・・・会社前の公道を課長がお掃除してました。

花陽「悪いことじゃないんです、むしろ立派な行いだと思います。でも、なんで仕事を放り出してお掃除なんてしてるんですか!机の上の書類の処理とか、もっとやるべきことが他にありますよね・・・?」

はぁ、思い出したらなんだかイライラしてきました・・・。

花陽「もう!こういう時こそお酒ですよね!課長のことなんて忘れましょう!」ゴクゴク

ああ、荒んだ心にお酒が染みる・・・。
71: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/13(水) 17:26:14.89 ID:jr1khwLG.net
花陽「はぁ・・・花陽浴はおいしい・・・このお酒は私の癒しです」チビチビ

どのスペックでもしっかりと甘く旨く、甘旨系のお酒が飲みたいときには信頼して飲めるお酒。
それが花陽浴だと思います。

花陽「でも最近は人気も出てきちゃって、なかなか買えないんだよね・・・」

生産数が少ないこともあり、発売日から数日すれば売切れてしまう酒屋さんも珍しくありません。

花陽「いまはこうやって楽しむことが出来てるけど、いつかは十四代みたいに入手困難になる時が来るかもしれないね」チビリ

日本酒に限らず、酒類は人気に火がつくと手に入れることが困難になります。
よく行く酒屋さんでも予約制になってたりするし、こうやって花陽浴を気軽に楽しめるのも、そう長くは続かないかもしれません。

花陽「でも今は今を・・・こうして飲めるお酒を楽しみましょう・・・」チビチビ

私たちには今しかないんです。
一秒先のこともわからなければ、学生の頃の青春の日々に戻ることも出来ません。

花陽「私も今は今を頑張らなくちゃだよね・・・。よし!ご飯を食べて、明日もお仕事頑張っちゃいます!」

窓の外、霞んだ空で輝く夏の星座たちを眺めながら、私の夜はすぎていくのでした・・・。
81: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/14(木) 17:44:00.78 ID:YWnrNNzY.net
ガチャッ

花陽「ただいま〜・・・今日も暑かったね・・・」

仕事が終わり午後8時、ようやく安らぎの我が家に帰宅です♪

花陽「とりあえずエアコンつけてっと、ご飯が炊けるまでには・・・、まだ時間がありますね」

なら、やることはひとつ!
もちろん、仕事終わりの一杯です!
82: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/14(木) 17:45:26.10 ID:YWnrNNzY.net
花陽「今日も元気に晩酌です!」

お仕事で疲れて帰って来て、寝るまでの間のこの時間。
一日の疲れを吹き飛ばす、かけがえの無い時間です。

花陽「帰りに酒屋さんで買ってきたお酒があるから、早速それを飲んじゃおっかな・・・」

鞄から取り出したのは、緑の瓶、メタリックグリーンのラベルのお酒。
緑の瓶自体は珍しくないんだけど、青い瓶の多い夏酒の中でこのお酒が目立って見えたんだよね。
そんなわけで、今日飲むのはこのお酒。

花陽「『豊醇無盡たかちよ 扁平精米無調整 生原酒 おりがらみ本生 SEVEN』酒屋のお姉さんによると、今年からのたかちよの新色らしいです」

グリーンのラベルで、メロンを意識した味なんだとか。
よく見てみるとラベルの下側、Sの字にメロンの茎みたいなのが付いてます。

花陽「あわせるおつまみはだしやっこにしましょう」

だしといえば、お野菜たっぷりの山形県の夏の名物です。
たっぷりのキュウリとナス、そして大葉やミョウガなどの香味野菜をお好みで加えて、オクラやメカブで粘りを出します。

花陽「味付けはお酒と出汁醤油で・・・」

刻んだ材料にお酒と出汁醤油を回しかけ、ザックリと混ぜ合わせます。
・・・あ、使う出汁醤油はカツオ系よりも、私は昆布系をおススメします。
出来上がっただしを、お豆腐の上にたっぷりと乗せて・・・。

うん!今日も楽しい晩酌になりそうです♪
83: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/14(木) 17:50:12.52 ID:YWnrNNzY.net
花陽「さぁ、準備できましたよ♪」

さっそくグラスにお酒を注いで匂いをかいでみます。

花陽「結構麹の香りが強いね・・・それにお酒のフルーティーな香りが合わさって・・・」

意識していると確かにメロンのようにも感じます。
さてさて、お味のほうはどうなんでしょう・・・?

花陽「それでは、いただきます♪」チビリ

花陽「・・・あ、想像してたのとはちょっと違うけど美味しいですね!味も含み香も、メインになるのは滓のまろやかな甘さ。果実っぽさも感じるけど、滓の裏に隠れてる感じかな?最後に感じる苦味も滓の味だね」チビチビ

かなり濃い目おりがらみなので、滓の味わい、麹の香りが色濃く出ていて、にごり酒のような印象。
フルーティー系とはすこし違うけど、これはこれで美味しいと思います。
84: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/14(木) 17:51:17.12 ID:YWnrNNzY.net
花陽「次はだしやっこと合わせてみましょうか・・・」

お豆腐に箸を入れて、たっぷりのだしと一緒に口に運びます・・・

花陽「う〜ん!美味しい♪サッパリしてて旨みもあって、今日みたいな暑い夜にピッタリだね」チビチビ

お野菜の瑞々しさと爽やかな香り、そしてお出汁の甘みがたまりません!

花陽「どんなお酒でも合いそうだし、これはいいですね・・・」チビリ

そして何よりお野菜たっぷりでヘルシーです!
ダイエットにも良さそうな感じだし・・・

花陽「また明日も作りましょう・・・」

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」
85: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/14(木) 17:53:48.02 ID:YWnrNNzY.net
花陽「そうそう、今日も課長はありえなかったんですよ!」

今日の課長は珍しくちゃんと事務所にいたんだけど、その間ずっと険しい顔で携帯を見てるんです。

花陽「機械に弱い課長のことだから、何かトラブルでもあったのかと思って声をかけたんだけど・・・」

すると、課長はすこし躊躇いながらも私に携帯の画面を見せてくれました。
そこに映っていたのは・・・

花陽「どっからどうみても、アダルトサイトの架空請求のメールだったんですよね・・・」

追加料金が・・・とか、払わなかった場合は訴訟だ・・・とか、勤務先に連絡する・・・とか
ニュースでよく見る典型的な文面でした。

花陽「架空請求だから無視すればいいですよって言ったら、すごく安心した様子だったけど、あれだけ動揺するってことはきっとやましいことがあるからだよね・・・」

まったく、会社の携帯で何してるんでしょう・・・

はぁ、思い出したらなんだかイライラしてきました・・・。

花陽「もう!こういう時こそお酒ですよね!課長のことなんて忘れましょう!」ゴクゴク

ああ、荒んだ心にお酒が染みる・・・。
86: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/14(木) 17:55:45.70 ID:YWnrNNzY.net
花陽「今週もあと少しで終わり、そしたら連休だし、もう一踏ん張りだね・・・」チビチビ

今週末は海未の日・・・じゃなくて海の日があるから連休だよね。

花陽「学生なら夏休みに入るし、本当に夏本番だね・・・」チビリ

この海の日から夏休みに入る学生さんも多いことでしょう。
夏休みが無いのは悲しいけど、大人には大人の夏の楽しみ方があるもんね。

花陽「こうやってお酒を飲むのもそのひとつ・・・」チビチビ

暑い夏に良く冷えた冷酒・・・これぞ大人の夏の楽しみ方です。

花陽「・・・さてと、お酒を飲んで英気も養ったし、今週もあと少し!しっかりご飯を食べて頑張っていきましょう!」

窓の外、霞んだ空で輝く夏の星座たちを眺めながら、私の夜はすぎていくのでした・・・。
98: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/16(土) 15:42:45.31 ID:Unw2COnF.net
凛「うわぁ、やっぱり人多いね」

花陽「連休だし、遠出してきてる人たちも多そうだよね」

かよちんと一緒に地下鉄を乗り継いで、やってきたのは海の近くのデートスポットとしても有名な公園。
今日はこの一帯でいろんなイベントが行われていて、夜には打ち上げ花火もあるみたいなんだ。
そんなわけで、花火を観に公園にやってきたんだけど・・・

花陽「ちょっと考えが甘かったかな・・・?」

凛「どこも人でいっぱいだにゃ・・・」

公園の広場はとにかく人だらけ。
この中で落ち着ける場所を確保するのは、かなり大変そう。
・・・でも、せっかく二人でデートなんだもん!かよちんにいい所を見せなくっちゃ!

凛「凛、ちょっと場所探してくるね!良い場所見つけたら電話するから!」

花陽「えっ?私も行くよ」

凛「いいからいいから、かよちんは出店でも見て待ってて」

そう言い残して、凛は人ごみの中へと飛び込んだのでした。
99: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/16(土) 15:43:29.38 ID:Unw2COnF.net
〜〜〜〜〜〜

あれからしばらく歩き回って・・・結局メインの広場から少し離れた場所でスペースを確保することが出来た。
花火は見づらいかもしれないけど、人も少ないし、夜景も良く見える場所だった。

凛「あっ!かよちーん、こっちこっち〜!」

人混みの中にかよちんを見つけて、大きな声で名前を呼ぶ。
するとこっちに気付いたかよちんが小走りに駆け寄ってきて

花陽「ごめんね、場所取り任せちゃって・・・出店で美味しそうなの買ってきたから二人で食べよ?」

すこし申し訳無さそうに笑いながらそう言った。
ああ・・・可愛いなぁ・・・。

花陽「良く冷えたビールも買ってきたよ。凛ちゃん最初はビールでいいんだよね?まだ花火まで時間もあるし、私も最初はビールにしようかな・・・」

シートに座るとすぐにかよちんは準備を始めてくれて・・・
そんなかよちんを見ていたら、考えたくも無いことだけど、もし、仮に、万が一、将来かよちんをお嫁に貰うような男がいたりしたら、そいつはきっと幸せ者なんだろうな・・・なんて思ってしまった。
100: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/16(土) 15:44:06.74 ID:Unw2COnF.net
花陽「はい、凛ちゃんの分」

りん「あ、ありがと」

そんなことを考えているうちに、シートの上には焼き鳥や焼きラーメンといったおつまみが並べられていた。
かよちんから手渡された缶ビールはよく冷えていて、生ぬるい夜風で火照った体に心地よかった。

二人でプシュッ!っとプルタブを開けて・・・

りんぱな「かんぱ〜い!」

まだ花火は始まってないけれど、いつか約束した花火酒の始まりだにゃ!
101: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/16(土) 15:44:41.27 ID:Unw2COnF.net
凛「んっ・・・ぷはぁっ!う〜ん、外で飲むビールはまた格別だね!」ゴクゴク

花陽「お外で飲むといつもより美味しく感じるよね・・・」ゴクゴク

前にも同じようなことを話した気がするけど、今回は夏!
他の季節では味わえない、夏だけのビールの美味しさがあるよね。

花陽「普段は日本酒ばかり飲んでるけど、これを飲むと夏場のビールには敵わないなぁって思っちゃうよね」ゴクゴク

凛「そうにゃそうにゃ、夏場のビールは最強だもん」ゴクゴク

夏の暑さで渇いた体を、爽やかな喉越しで潤してくれる。
これはビールだからできることだよね。
102: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/16(土) 17:35:30.67 ID:Unw2COnF.net
花陽「でも、雨が降らなくてよかったよね。昨日の夕方は凄い雨だったもんね」

凛「うん、ゲリラ豪雨凄かったよね。携帯の警報が鳴ったときビックリしちゃったよ・・・あ、焼きラーメン美味しい!」モグモグ

普通のラーメンも好きだけど、こっちの方がお酒には合うよね。

花陽「私、あの警報の音って恐い感じで苦手なんだよね・・・ほんとだ、これ美味しいね」モグモグ

かよちんが恐い思いをしてるときに、もし傍にいられてたらなぁ・・・。

『まもなくスパークリングナイト花火の打ち上げを開始いたします。提供は○○商工会ならびに・・・』

花陽「もうすぐ花火始まるみたいだね。私は日本酒にするけど、凛ちゃんはどうする?」

アナウンスを聞いたかよちんが鞄から酒瓶を取り出しながらそう尋ねてきた。
103: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/16(土) 17:40:35.13 ID:Unw2COnF.net
凛「今日はどんなお酒なの?」

花陽「甘いけどベタベタしてない感じのお酒・・・かな?」

凛「うーん・・・」

正直、まだビールを飲んでいたい気分だけど、どうせならかよちんと同じものを飲みながら、同じ景色が見たい・・・。

凛「せっかくだから凛も日本酒飲もうかな」

凛の言葉にかよちんの表情はパアッと明るくなって。

花陽「うん!じゃあ二人分用意するね!」

その笑顔があまりに可愛くて、数秒前までビールを飲みたいと思ってたことなんて忘れてしまうほどだった。
104: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/16(土) 17:48:32.36 ID:Unw2COnF.net
花陽「今日のお酒は『五橋 five ブルー 純米吟醸生酒』五橋、夏の限定酒だね」

そう言いながらかよちんがプラコップにお酒を注いで、片方を手渡してくれた。
きっと保冷材を用意してあったのだろう、手渡されたコップは程よくひんやりとしていた。

りんぱな「・・・かんぱい」

会場のアナウンスと周りの喧騒を聞きながら、かよちんと静かに乾杯してお酒を口に含む。
華やかな香り、南国の果実のような甘酸っぱい味わい・・・そして最後はほのかな苦味あるけど嫌な感じじゃない。
微かなガス感もあって、凛みたいな日本酒初心者にも飲みやすいお酒だった。

凛「おいしい・・・」

花陽「うん、おいしいね・・・」

かよちんとそう言葉を交わしたとき、大きな爆発音と共に暗い夜空に花が咲いた。

花陽「えへへ・・・お花見のときに約束したとおり、二人で花火酒だね」

鮮やかな花火の光に照らされながら、かよちんはそう言って微笑んだ。
105: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/16(土) 17:54:10.92 ID:Unw2COnF.net
〜〜〜〜〜〜

花火が始まってから数十分経ち、凛たちは時折言葉を交わしながら花火に見入っていた。
綺麗な花火を見ながら飲むお酒はとても美味しくて・・・四合瓶はもう空、お互いの手にあるコップに残るのみとなっていた。

凛(かよちん、綺麗・・・)

そんな中凛は時折、横で花火を見つめるかよちんに見入っていた。
酔いのせいもあるかもしれないけど、薄暗い中、花火の光に照らされたかよちんはなんだか艶っぽく見えて・・・とても綺麗に思えた。

凛(キス、してみたいなぁ・・・)

かよちんの横顔を見つめながらそんなことを思ってたときのことだった

花陽「え?」

凛「・・・へ?」

今まで花火に見入っていたはずのかよちんが急にこっちを向いて・・・目が合った。
も、ももももしかして・・・口に出ちゃってた・・・?

花陽「凛ちゃん・・・今何か言った?」

凛「な、何でもないにゃ!は、花火綺麗だよね!」

花陽「うん、綺麗だけど・・・どうしたの?そんなに慌てて」

キョトンとした顔でそう尋ねてくるかよちんに、凛はそっと胸を撫で下ろしたのでした。
106: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/16(土) 18:05:03.33 ID:Unw2COnF.net
〜〜〜〜〜〜

凛「ん〜!今日は楽しかったね!」

花陽「うん!リフレッシュできて良い休日だったね」

あれからは良いのか悪いのか結局何事も無く・・・
今は最寄り駅まで戻ってきて、駅前の居酒屋で軽く飲みなおしてから帰路に着いたところだった。

花陽「凛ちゃん、明日か明後日は暇?」

凛「明日はちょっと予定があるけど、明後日は空いてるよ」

花陽「じゃあ、うちに飲みに来ない?スペシャルなお酒が手に入ったんだ!」

凛「かよちんと一緒ならどんなお酒だってスペシャルだよ・・・」ボソッ

花陽「え?何?」

凛「なんでもない・・・」

・・・かよちんのにぶちん。
107: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/16(土) 18:14:53.10 ID:Unw2COnF.net
花陽「それで、どうかな?明後日一緒にお酒飲まない?」

凛の気も知らないで、かよちんは涼しい顔でそう尋ねる。
ずっと一緒にいて、今は付き合ってるっていっても、結局かよちんの気持ちはわからない。

凛「うん、もちろん!じゃあ夕方にかよちんの部屋に行くね」

・・・なんか悔しい気もするけど、凛の答えなんて最初から決まってるんだもん。
これも惚れた弱みってやつかもしれない。

そうこうしているうちに、目の前はT字路。
それは凛とかよちん、それぞれの部屋への分かれ道だった。

凛「じゃあ明後日、そっち行く前にメールするね」

花陽「うん、待ってるね」

お互いに手を振ってから、かよちんに背を向けて歩き出す。
108: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/16(土) 18:19:48.09 ID:Unw2COnF.net
花陽「凛ちゃん!」

数歩歩いたときだった、後ろからかよちんが呼ぶ声が聞えて・・・
振り返ったら、かよちんの顔が目の前にあった。

凛「え・・・?」

花陽「・・・」

かよちんの手が頬に触れたと思ったら、覗き込むようにしてかよちんの顔が近づいてきて・・・

凛「ん・・・」

何が起こったのかわからなかった。
ただ、自分の唇に柔らかいものが触れた・・・そんな感じがした。

凛「かよ・・・ちん?」

花陽「・・・ま、また明後日!」

あっけにとられているうちに、かよちんはすぐに走り去ってしまって・・・
凛はただ呆然と遠くなる背中を眺めているだけだった。

凛「今のって・・・キス?」

自分の唇を指でなぞりながら凛がそう気付いたのは、かよちんの背中が見えなくなってからのことだった。
109: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/16(土) 18:20:42.25 ID:Unw2COnF.net
〜〜〜〜〜〜

花陽「はぁ・・・はぁ・・・」

凛ちゃんと分かれて、結構な距離を思い切り走ってきた。
酔いどれで急に走ったこともあって息も絶え絶え・・・頭もふらふらとしていた。

花陽「なんで・・・私、あんなこと・・・」

きっと凛ちゃんのせいだ。
だって、凛ちゃんが花火を見ながら変なことを言ったりするから・・・だからずっと意識しちゃって・・・。

花陽「でも、こんなの・・・」

凛ちゃんに失礼だ。
凛ちゃんは本気で好きだって言ってくれたのに、私は今も自分の気持ちなんてわからない・・・。

花陽「私、ひどい子だ・・・」

そう呟きながら思い出した唇の感触はとても柔らかく、この年になって経験したファーストキスは甘酸っぱくて、だけど苦かった。
126: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/18(月) 15:01:43.34 ID:K6k4Txdn.net
花陽「はぁ・・・気が重いなぁ・・・」

台所で二人分のおつまみを作りながら、私はため息をついていました。
気が重い理由は・・・なんていうか自業自得としか言いようの無いことで

花陽「自分から誘っておいて、やっぱり今日はナシなんて言えないし・・・」

昨日もほとんど丸一日、自分がどうしてあんなことをしてしまったのかと考えていました。
だけど、やっぱり答えは出なくて・・・そんな自分が嫌になっちゃうよ・・・。

ピンポーン!

そんなことを考えているうちに呼び鈴が鳴らされた。
覚悟、決めなくちゃ・・・だよね。

花陽「いつも通り・・・いつも通り・・・」

自分に言い聞かせるように玄関に向かって

花陽「いらっしゃい、凛ちゃん!」

精一杯の笑顔で凛ちゃんを出迎えた。
127: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/18(月) 15:02:24.66 ID:K6k4Txdn.net
〜〜〜〜〜〜

凛ちゃんを部屋に迎え入れてしばらくして・・・おつまみも出来上がって準備完了!
幸いなことに凛ちゃんもいつも通りな感じで、私にはそれがありがたかった。

花陽「これでよしっと・・・凛ちゃん、一杯目は何にする?」

テーブルに最後のお皿を並べながら凛ちゃんにそう問いかける。

凛「今日は最初から日本酒にするにゃ」

花陽「え?ビールも用意してあるけど、いいの?」

ビール好きの凛ちゃんがこんなことを言うなんて珍しいです。

凛「だってスペシャルなお酒があるんでしょ?だったら飲まなきゃもったいないもん!それに・・・」

花陽「それに・・・?」

すると凛ちゃんはすこしモジモジしながら、上目遣いにこっちを見て・・・

凛「そんな良いお酒があるなら、かよちんは最初から日本酒なんだよね?凛もかよちんと同じのを一緒に飲みたいんだもん」

ドキッとしてしまった。
もう、せっかくいつも通りに出来そうだったのにそんな顔で私を見ないでよ・・・

花陽「・・・うん、じゃあさっそくお酒出しちゃうね」

そんな気持ちを悟られないように平静を装いながら、私は冷蔵庫に向かいました。
128: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/18(月) 15:03:05.56 ID:K6k4Txdn.net
花陽「じゃあ、本日のお酒のお披露目です!」

凛「わ〜!」パチパチ

どうにか心を落ち着けて、お酒を持って凛ちゃんの待つテーブルに戻ってきました。
そして、後ろ手に隠していた一升瓶をテーブルに置きます。

花陽「『十四代 純米吟醸 播州白鶴錦』これが今日の主役だよ!」

凛「あ、これ知ってる!すごい有名なやつだよね」

花陽「うん、今現在最も手に入りにくい銘柄のひとつだね。ちょっとした縁があって一本譲ってもらったんだけど、私も家で十四代を飲むのは初めてかな?」

十四代といえば、近年の芳醇甘口日本酒ブームの火付け役とも言われるお酒です。
その人気は凄まじく、ネットオークションでは定価の数倍の値段で取引されています。
129: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/18(月) 15:04:00.43 ID:K6k4Txdn.net
花陽「白鶴錦っていうのは、その名の通り白鶴酒造さんが開発した酒米で、山田錦の兄弟にあたるみたいだね。そのお米を使って造ったのがこのお酒なんだ」

お酒の説明をしながら、凛ちゃんのグラスにお酒を注ぎます。

凛「かよちんの分は凛が注ぐよ」

花陽「そう?じゃあお願いしようかな」

そして、凛ちゃんにお酌してもらって、二人でグラスを持って・・・

花陽「それじゃ・・・」

凛「さっそく・・・」

りんぱな「かんぱーい!」

十四代、飲んじゃいます!
130: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/18(月) 15:19:25.63 ID:K6k4Txdn.net
花陽「白鶴錦・・・どんな味なんでしょう・・・」チビリ

口に含むと感じられるのは、砂糖を溶かし込んだような雑味のないとても上品な甘み、それからバニラのような爽やかで甘い香り・・・。
苦味や渋味は少なく、非常に透き通った酒質です。

凛「これ、美味しい!なんかよくわかんないけど、水みたいに飲めちゃうね」チビチビ

凛ちゃんの言うとおり、とてもスッキリとしていて水のような感覚で飲めてしまいます。
他の十四代のようなメロンを思わせる果実感は少ないけれど、これは・・・

花陽「うん、美味しい・・・」チビチビ

誰でも飲めてしまうような、素直で綺麗なお酒だね。
131: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/18(月) 15:23:00.01 ID:K6k4Txdn.net
花陽「凛ちゃん、よければおつまみも食べてみて」

凛「うん。かよちん的にはこのお酒なら、どれがおススメ?」

今日用意したおつまみは4種類ほど。
どれも合わせて作ったつもりだけど、あえてひとつを選ぶなら・・・

花陽「うーん・・・これかな?」

凛「これって・・・?」

花陽「蒸したささみのとりわさ風・・・っていえばいいかな。多分、このお酒に合うと思うよ」

私が選んだのは、蒸した鶏ささみを、刻んだ大葉、千切りのキュウリと合わせて出汁醤油とわさびで味付けしたもの。
手軽だけど美味しいし、味付けを変えてアレンジもできる、いいおつまみだよね。

凛「じゃあ、まずはこれから・・・」

そう言って凛ちゃんがささみを口に運びます。

凛「うん!美味しい!大葉の香りが爽やかで、これ合うよ!」チビチビ

花陽「そう?よかった♪」

凛ちゃんの言葉を聞いてから、自分でも一口・・・。
大葉とキュウリが爽やかで、ささみの硬さも良い感じ。

花陽「えへへ、我ながら美味しいです・・・」チビリ

それからしばらく二人で楽しく話しながらお酒を飲んで、とても楽しい時間をすごすことが出来ました・・・。
132: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/18(月) 15:24:06.37 ID:K6k4Txdn.net
〜〜〜〜〜〜

花陽「けっこう飲んだねぇ・・・」

凛「うん・・・なんだか頭がくらくらする・・・」

二人でお酒を飲むこと3時間・・・一升瓶はほとんど空になっていた。
頭も体もふわふわとした感じがして、もう完全に酔っ払いです・・・。

花陽「こんなんじゃ帰るのもつらいよね、今日は泊まっていく?」

ふらつきながら椅子から立ち上がってベッドに向かいながら凛ちゃんにそう尋ねます。

凛「うん・・・そうしたいところなんだけど・・・」

あれ・・・?いつもの凛ちゃんなら、即答のはずなんだけど・・・

花陽「泊まっていきなよ、早めに起きて二人で出勤すればいいんだし」

凛「かよちん・・・自分が何言ってるかわかってる・・・?」

そう言いながら、ゆっくりと凛ちゃんは立ち上がって
133: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/18(月) 15:25:12.17 ID:K6k4Txdn.net
ドンッ!

花陽「え?・・・え?」

体に衝撃が走ったと思ったら、私は仰向けになっていて・・・
私は凛ちゃんに押し倒されていました。

凛「ねえかよちん、かよちんはもっと自覚持ったほうがいいよ。泊まっていけばいいなんて・・・凛がかよちんのこと好きだって知ってるよね・・・?」

押し倒された私の真上、とても近い距離に辛そうな凛ちゃんの顔があった。

凛「一昨日もいきなりキスしたりして・・・凛、期待しちゃうよ・・・」

花陽「ごめん・・・」

後ろめたいような気持ちになって、凛ちゃんをまっすぐ見れなくて、目を逸らした。
134: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/18(月) 15:25:54.65 ID:K6k4Txdn.net
凛「・・・ねえ、キスしていい?」

花陽「えっ!?で、でも・・・」

凛「この前はかよちんからしてくれたよね?」

花陽「あ、あれは・・・」

酔いのせいだとか、気の迷いだとか・・・そんなので逃げられる状況じゃないよね・・・。

花陽「・・・ごめんね、凛ちゃん。自分でもどうしてあんなことしちゃったか、わからないの・・・」

自己嫌悪に潰されそうになりながら、搾り出すようにそう言葉にする。

花陽「最低・・・だよね・・・。これじゃ、凛ちゃんの気持ちをもてあそんでるみたい・・・」

凛「かよちん・・・」

自分の気持ちすらわからないのに、あんなことをしたりして・・・嫌われても当然だよね・・・。
135: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/18(月) 15:28:20.62 ID:K6k4Txdn.net
凛「いいよ・・・」

花陽「え・・・?」

凛「それでもいい・・・。最初に言ったよね?告白するのも、かよちんのことが好きなのも全部凛のわがままだって」

見上げた凛ちゃんの瞳には涙がたまっていて・・・

凛「でも・・・少しの間だけでも・・・夢を見させてほしい・・・」

凛ちゃんの涙が、私の頬に落ちた。

花陽「凛ちゃん・・・」

その泣き顔がたまらなく愛おしく感じて・・・私は凛ちゃんの頬に手を伸ばした。
これはきっといけないことだ、また凛ちゃんを傷つけてしまう・・・そう心では思っていても止められなかった。
136: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/18(月) 15:29:14.08 ID:K6k4Txdn.net
凛「かよちん・・・大好き・・・」

花陽「うん・・・」

そして私たちは2回目の口付けをした。
軽く触れるだけの、臆病なキス。

凛「えへへ・・・なんだかしょっぱいね・・・」

そして唇を離した凛ちゃんは、泣いてるんだか笑ってるんだかわからない顔でそう言った。

花陽「もう・・・しょっぱいのは凛ちゃんのせいだよ・・・」

凛「ねえ・・・もう一回してもいい?」

花陽「うん・・・いいよ・・・」

私たちはそれから何回も唇を重ね、そして互いを抱きしめるようにして眠りに着いた・・・。
145: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/19(火) 17:47:55.80 ID:MTc96ck3.net
ガチャッ

花陽「・・・」

仕事が終わり、部屋に戻ってきました。
電気をつけると、テーブルにはそのままになった食器、そして床には脱ぎ捨てられた自分の服が散乱していた。

花陽「そっか・・・今朝寝坊したから・・・」

結局今朝の私たちは、二人仲良く盛大に寝坊をしてしまいました。
急いで準備をして部屋を出たんだけど、会社に着いたのは10時過ぎ・・・今日は一日中課長にそのことでイジられて散々でした。

花陽「とりあえず片付けなくちゃ・・・」

テーブルの上をこのままにしておくわけにもいかないし、まずはお方付けから始めましょう。
146: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/19(火) 17:50:31.60 ID:MTc96ck3.net
花陽「これで一通り・・・かな?」

食器を洗い、服も片付けて、すっかりお部屋は元通り。

花陽「ご飯は・・・今日はいいや・・・」

いつもなら出社前にタイマーをセットしておくんだけど、今日はそんな暇もありませんでした。

花陽「お酒飲んで・・・寝ちゃおう」

私はそう呟きながら、戸棚からお酒を取り出しました。
147: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/19(火) 17:53:56.61 ID:MTc96ck3.net
花陽「・・・」

電気を消して、ベッドに腰をかける。
日本酒の入ったビールジョッキが窓から差し込む光を受けて、キラキラと輝きます。

花陽「こんな飲み方・・・バチが当たっちゃうかな?」

ジョッキの中のお酒は『雪の茅舎 大吟醸』
秋田を代表する名杜氏、高橋藤一杜氏が醸すお酒です。
ビールジョッキでこのお酒を飲むなんて・・・もし杜氏さんに知られたら怒られてしまうかもしれません。

花陽「ごめんなさい・・・いただきます・・・」チビリ

すこし杜氏さんに申し訳ない気持ちになりながら、お酒を口に含みます。
148: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/19(火) 17:55:10.44 ID:MTc96ck3.net
花陽「おいしい・・・」

上立ち香は大吟醸らしく華やかながら軽やかなもの、含むと舌先に若いメロンのような淡い甘みを感じます。
そして、最後はやはり大吟醸らしく、スッキリとキレていく・・・。

花陽「冷やで飲んで正解だね、冷酒じゃこのお酒の良さはわかりません」チビチビ

とても淡く、綺麗なお酒。
きっと冷やした状態では、この味を感じきれずただの辛口のお酒になってしまうでしょう。

花陽「まるで新雪みたいなお酒です・・・」チビリ

新雪のように透き通っていて、とても綺麗・・・きっと私なんかとは違うお酒だ。

花陽「とても綺麗で・・・私なんかと違う・・・」

考えないようにしていたのに・・・考えたくなかったのに・・・
けれど、この部屋でそれを考えずにいられるわけもなくて・・・

花陽「最低だよ・・・私は・・・」

お酒を飲みながら、私が感じたのは結局昨日の後悔だった。
149: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/19(火) 17:58:03.29 ID:MTc96ck3.net
〜〜〜〜〜〜

花陽「お酒・・・なくなっちゃった・・・」

ジョッキに入っていたはずのお酒も、気付けばなくなっていて・・・私はずっと凛ちゃんのことを考えていました。

花陽「凛ちゃん・・・」

お酒を飲むと人肌恋しくなるっていうのは本当のことで、私は枕を抱きしめながら凛ちゃんの感触を思い出しました。
華奢で柔らかくて、力を入れたら壊れてしまいそうな、そんな凛ちゃんの感触・・・。
記憶の中にあるその感触を確かに愛おしく感じるのに、それでも私は自分の気持ちがわからなかった。

花陽「私は、凛ちゃんが好き・・・なの?」

そう言葉にしてみても、なんだか現実味の無いもののように感じた。
女の子同士なんてやっぱりおかしい・・・そう考えてしまう自分が凛ちゃんを否定してるように思えて嫌になった。

花陽「わからないよ・・・」

それでも、体は凛ちゃんを求めていて、枕を抱きしめる腕に力が入る。
そんな自分が嫌で嫌でたまらなかった。
150: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/19(火) 18:00:07.42 ID:MTc96ck3.net
もう、限界だった。
一人で気持ちを抱え込めなくて、誰かの声を聞きたくて・・・私は携帯電話に手を伸ばす。

花陽「・・・」

最初に電話帳から呼び出したのは凛ちゃんの番号。
でも、かけられるわけ・・・ないよね。

花陽「誰か・・・」

しばらく電話帳をスクロールして、結局私が電話をかけたのは、私が変わるきっかけを作ってくれた人だった。
数回のコールで、その人は電話に出てくれて・・・。

穂乃果『かよちゃん久しぶり〜!かよちゃんから電話くれるなんて珍しいね、元気してる?』

電話越しに聞える、昔と変わらない元気で明るい声。
そう、私が電話をかけたのは穂乃果ちゃんだった。
162: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/20(水) 17:48:17.51 ID:4FBuU1lV.net
穂乃果「かよちゃんは・・・まだ来てないのかな?」

残った仕事を雪穂とお母さんに任せて、私は駅前へと出てきていた。
昨日かよちゃんから電話がかかってきて、どうせなら直接会おうってことになったんだ。

穂乃果(『なんだか声が聞きたくて・・・』って言ってたけど、きっと何かあったんだよね)

電話越しに聞えたかよちゃんの声は、すこし震えていて・・・私でも様子がおかしいのがわかった。
その原因が仕事のこととかだったら、きっと問題ない。
でも、そうじゃなかったとしたら・・・

穂乃果(私も、無関係じゃないもんね・・・)

花陽「あっ!穂乃果ちゃ〜ん」

そんなことを考えていると、改札の方からスーツ姿の花陽ちゃんが駆け寄ってきた。
見慣れない格好のせいか、年下なのになんだか自分よりも大人っぽく見える。
163: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/20(水) 17:53:43.15 ID:4FBuU1lV.net
花陽「ごめんね、待たせちゃったかな?」

穂乃果「お疲れ様〜、私もさっき来たところだから大丈夫だよ。それより、かよちゃんスーツ似合うねぇ」

花陽「えへへ・・・そ、そうかな?」

私の言葉にかよちゃんは照れくさそうに笑う。
少しはにかんだように笑うその顔は、私がよく知っているかよちゃんで、なんだか安心した。

穂乃果「さてと、どうしよっか?どこかいいお店ある?」

花陽「時々真姫ちゃんたちと行くお店が近くにあるんだけど、そこでどうかな?」

穂乃果「うん、じゃあそこにしよう」

そして私はかよちゃんに連れられて、私は歩き出した。
そんなわけで、今晩はかよちゃんと二人酒だよ!
164: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/20(水) 18:05:46.92 ID:4FBuU1lV.net
〜〜〜〜〜〜

穂乃果(もしかしてって思ったけど・・・やっぱり似たもの同士だよね)

かよちゃんに連れられて歩くこと数分・・・着いたのは以前凛ちゃんと入ったお店だった。
ビールとお料理を注文して、今は運ばれてくるのを待っているところ。

花陽「このお店、結構落ち着いてるしお酒の種類も多いからお気に入りなんだ」

穂乃果「ほんとだ、日本酒も焼酎もたくさんあるね」

花陽「うん!それに管理状態も悪くないから安心して飲めるんだよ」

楽しそうに話すかよちゃん。
歩いている間もいつもと変わらない様子だったよね・・・

「お待たせしました、お先にお通しと生ビールになります」

花陽「ありがとうございます♪」

少ししてから、お通しとビールが運ばれてきた。
そしてかよちゃんはそれを見て目を輝かせている。

花陽「それじゃあ早速」

穂乃果「うん!」

色々気になることはあるけど、かよちゃんも楽しそうにしてることだし・・・

ほのぱな「かんぱ〜い♪」

今はとりあえず、お酒だよねっ
165: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/20(水) 18:17:03.98 ID:4FBuU1lV.net
穂乃果「ぷっはぁぁ!やっぱり真夏のビールって最っ高!」ゴクゴク

花陽「うん!夏に飲む一杯目のビールってどうしてこんなに美味しいんだろう」ゴクゴク

夏の暑さで渇いた体に、よく冷えたビールを流し込む。
それだけで生きててよかったって思えたりするよね。

花陽「・・・ふぅ、美味しかったぁ♪」

穂乃果「え、ええぇ!?かよちゃん、もう飲んじゃったの!?」

飲み始めてものの数十秒、気付けばかよちゃんのジョッキは空になっていた。

花陽「うん、なんか今日のビールは特に美味しくて・・・」

いやいやいや、それにしても早すぎでしょ・・・

花陽「さてと、次は日本酒にしましょう・・・どのお酒がいいかなぁ」

そして店内のポップや、メニューから日本酒を吟味し始めるかよちゃん。
かよちゃんがお酒好きなのは知ってたけど、もっとゆっくり飲むタイプだった・・・よね?
やっぱり今日のかよちゃんはちょっとおかしい・・・。
166: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/20(水) 18:22:03.08 ID:4FBuU1lV.net
花陽「あっ、これにしようかな・・・。『紀土 -KID- 純米大吟醸』これ飲んでみたかったんだよね!」

そうやって考えてみると、いつも通りに見える笑顔もなんだか空元気のように思えてしまって・・・
私にできるのなら、力になりたい。そう感じた。
私だって色々な人に助けられて、ここまでやってきたんだ。
だから、もし大切な後輩の元気が無かったら、もし何かに悩んでいるのなら、私は力になってあげたかった。

穂乃果「それなら私も同じのを飲もっかな」

『同じ仕草をしたり、同じものを食べたりするのって、相手との距離を縮めるのに効果的なんやて』
前に希ちゃんがそんなことを言っていたのを思い出して、私はそう口にした。

花陽「でも穂乃果ちゃん、まだビールが・・・」

穂乃果「こんなのすぐ飲み終わっちゃうって!」ゴクゴク

ジョッキにはビールが半分以上残っていたけど、私はそれを一気に飲み干した。
美味しいけど・・・ちょっとキツいね。

穂乃果「ん・・・ぷはぁ!・・・ね?すぐだったでしょ?」

花陽「もう・・・そんな無理しなくてもいいのに」

穂乃果「あはは、せっかくだからかよちゃんと同じお酒が飲みたいなぁって思ってさ」

そう言って私がおどけてみせると、かよちゃんも仕方ないなぁって感じに笑って・・・。

花陽「私もちょっと急いで飲みすぎちゃったし・・・ここからは二人でゆっくり飲も?」

穂乃果「うん、そうだね!」

穂乃果、ここからが頑張りどころだよっ!
自分で自分にエールを送りながら、私は二人分の日本酒を注文した。
169: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/21(木) 17:50:23.03 ID:gtwzgdxb.net
「お待たせいたしました、こちら紀土です」

ほどなくしてお酒が運ばれてきた。
2合徳利にお猪口は2つ、そのお猪口にお互いにお酌して・・・。

ほのぱな「いただきます♪」チビリ

香りは甘くフローラルな感じ、口に含むとやっぱり優しい甘みがあって飲みやすい。
家でお父さんと一緒に飲む日本酒とは全然違う味だった。

花陽「う〜ん、美味しい♪果物みたいにジューシーな甘みがたまらないね、これは人気出るのもわかります・・・」チビチビ

穂乃果「へぇ、このお酒人気あるんだね」チビリ

花陽「うん、若者や女性を中心に人気が高いお酒のひとつ、じゃないかな?最近は若い蔵元さんもかなり増えてて、このお酒みたいに若者を意識したものが結構多いんだ」

穂乃果「じゃあ、私たちと同じ年代の人たちが造ってるお酒もあったりするの?」

花陽「もちろん!この紀土は確か蔵元も杜氏さんも30代だったかな?岩手の赤武の蔵元なんて、私よりも年下だって聞いたことあるよ」

穂乃果「日本酒ってすっごいベテランの人たちが造って、おじいちゃんたちが飲んでるイメージがあったんだけど、そうじゃないんだね」

花陽「うん、今は新しい日本酒ブームの時代だって言われてるし、お酒も人もやっぱり変わってるんです」

そっか、お酒も人も変わってる・・・それは私たちだって同じ。
どれだけ変わらずにいたいと思っても変わってしまう事だってある、頑張って変わろうとすることだってある。
170: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/21(木) 17:54:04.42 ID:gtwzgdxb.net
穂乃果「・・・ねえ、かよちゃん」

凛ちゃんは変わろうとした、私はその背中を押した。

花陽「なに?」

凛ちゃんの背中を押したのは私、もしそれが原因でかよちゃんが悩んでいるのなら、私にだって原因はある。

穂乃果「凛ちゃんと・・・何かあった?」

もしそうだとしたら、悩んでいるかよちゃんを放っておくことなんて、できないよね?

花陽「・・・い、いきなりどうしたの?なんで凛ちゃんの話が・・・」

私が凛ちゃんのことを尋ねた瞬間、かよちゃんが動揺したのがわかった。
やっぱり、そうだったんだね・・・。

穂乃果「私、知ってたから・・・凛ちゃんがかよちゃんのこと、好きだって・・・」

花陽「そう・・・だったんだ・・・」

穂乃果「もしよかったら、聞かせてくれないかな?人に話すだけで、気持ちが軽くなったりすることもあるって言うし・・・」

花陽「穂乃果ちゃん・・・」

花陽「・・・もしかしたら、私も穂乃果ちゃんに話を聞いてもらいたかったのかもしれない・・・昨日いきなり電話しちゃったのも多分そのせい・・・」

そう言ってかよちゃんは俯いて・・・私は次の言葉を待っていた。

花陽「実は私・・・凛ちゃんと付き合ってるんです・・・」

そしてかよちゃんは、俯いたまま静かにそう口にした。
171: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/21(木) 17:59:06.99 ID:gtwzgdxb.net
〜〜〜〜〜〜

あれから、かよちゃんに色々な話を聞いた。
凛ちゃんに告白されたこと
そしてそれを受け入れたこと
かよちゃんは自分の気持ちがわからないこと
でも、凛ちゃんのことを求めてしまうこと
それから、二人の関係は夏の間だけだってこと・・・

花陽「私、どうしたらいいのかわからなくて・・・」

穂乃果「そっか・・・」

そんな中でも一番の問題は、やっぱりかよちゃんが自分の気持ちを理解していないことだと思う。
私から見たら、もうなんていうか相思相愛にしか見えないんだけど・・・それも当人が気持ちを理解していないんだったらどうしようもないよ。

穂乃果「ねぇ、恋愛とか関係なくさ、かよちゃんは凛ちゃんのこと、好き?」

全部のことで、私が力になってあげられるわけじゃない。
だから、このことだけでも・・・そう思った。
172: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/21(木) 18:05:40.70 ID:gtwzgdxb.net
花陽「その・・・関係なかったら、もちろん大好きなんだけど・・・」

穂乃果「でも、女の子として好きかどうかは『わからない』んだよね?」

花陽「うん・・・」

穂乃果「じゃあさ、その答えを探してみようよ」

花陽「でも、探したって答えなんて・・・」

見つからない。そう言いたそうな顔で、かよちゃんは私のことを見る。

穂乃果「かよちゃんが凛ちゃんとの時間を楽しむことが出来れば、穂乃果は見つかると思うよ」

花陽「楽しむ・・・?」

穂乃果「うん!だって、恋愛が関係なければ、かよちゃんは凛ちゃんのこと好きなんでしょ?それに、凛ちゃんとチューしたりするのも嫌じゃないんでしょ?だったら楽しんじゃえばいいんだよ」

花陽「そんな!そんなの凛ちゃんに失礼だよ!凛ちゃんは本気で・・・」

私の言葉を聞いた、かよちゃんは少し怒ったような様子だった。

穂乃果「私は、今のかよちゃんの方が凛ちゃんに失礼だと思うよ?」

花陽「そんなこと・・・!」

穂乃果「だって、私が凛ちゃんだったら、かよちゃんにそんなことで悩んでほしくないもん」

花陽「・・・」

穂乃果「相談されたときさ、凛ちゃんは自分が告白したらかよちゃんに迷惑がかかっちゃうって言ってた。女の子同士なんておかしいってわかってるとも言ってた。でも、それでも凛ちゃんはかよちゃんに告白したんだよね?」

花陽「うん・・・」

そんな凛ちゃんがもしもかよちゃんが今悩んでることを知ったら・・・きっと、もう二度とかよちゃんのことを好きだなんて言えなくなる。
173: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/21(木) 18:15:00.72 ID:gtwzgdxb.net
穂乃果「きっと凛ちゃんは、かよちゃんに恋愛対象として見られてないってわかってるよ。でも、かよちゃんと一緒に楽しく夏を過ごしたくて、必死に頑張ってるんじゃないかな?」

花陽「・・・」

私の言葉を聞きながら、かよちゃんは俯いて唇を噛んだ。

穂乃果「かよちゃんが悩んじゃうのもわかるよ?でも、凛ちゃんのためのも、かよちゃんが自分の気持ちを見つけるためにも、今は楽しまなくちゃ!答えなんてその中で探せばいいんだよ」

花陽「・・・それでいいのかな?」

花陽「それで本当に・・・答えは見つかるのかな?」

やっぱりかよちゃんは俯いたまま、か細い声でそう言った。

穂乃果「・・・」

穂乃果「見つかるよ。だって私たちは、思い切り楽しみながら、いろんな答えを見つけてきたんだから!」

花陽「穂乃果ちゃん・・・」

穂乃果「大丈夫、かよちゃんなら大丈夫だよ!だからかよちゃん・・・ファイトだよっ!穂乃果、応援するから!」

わたしはかよちゃんの手を握って、凛ちゃんの背中を押したときのように、そう言った。
174: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/21(木) 18:19:29.60 ID:gtwzgdxb.net
〜〜〜〜〜〜

穂乃果「はぁ・・・結構飲んじゃったなぁ・・・」

あの後、お酒を飲みながらかよちゃんからいろんな相談を受けること3時間・・・
ようやく帰路に着いたところだった。

穂乃果「でも、これで凛ちゃんとかよちゃんの力になれたなら、いっか」

私だって、たまには先輩らしいこともしないとね。

穂乃果「ん〜!でも、相談役なんてなれないことするとやっぱり疲れちゃうな」

大きく伸びをすると、頭上には私でも知っているような夏の星座が輝いていた。

穂乃果「大丈夫・・・二人なら大丈夫だよ・・・」

夏の星座に願いを込めるように、私はそう呟いた・・・。
180: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/22(金) 16:34:04.37 ID:M2G8/z/j.net
ガチャッ

花陽「ただいま〜・・・今日も暑かったね・・・」

仕事が終わり午後8時、ようやく安らぎの我が家に帰宅です♪

花陽「とりあえずエアコンつけてっと、ご飯が炊けるまでには・・・、まだ時間がありますね」

なら、やることはひとつ!
もちろん、仕事終わりの一杯です!
181: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/22(金) 16:34:36.58 ID:M2G8/z/j.net
花陽「今日は低精米のお酒を飲んでみようと思います」

精米歩合は玄米を100%としてお米をどれだけ磨いたかを示す数値です。
その数字が小さくなればなるほど、精米歩合は高くなります。
今日のお酒は低精米・・・つまり、お米をあまり磨かずに造ったお酒だね。

花陽「『五橋 純米生原酒白麹 96』なんと96%精米のお酒です!」

一般的な食用白米の精米歩合は約90%、つまりこのお酒は白米よりも玄米に近いお米で出来てるってことになるよね。

花陽「ある意味では、白米以上にお米そのものを味わえるかもしれません・・・」

そう考えるとなんだかワクワクしちゃうよね。

花陽「あわせるおつまみは万願寺とうがらしの丸焼きにしましょう」

万願寺とうがらしは京野菜の一種で、とても大きいのが特徴です。
とうがらしとはいっても、いわゆる甘味種なので辛くはありません。
ピーマンやししとうみたいな感じかな?

花陽「包丁で適当に穴を開けて、魚焼きグリルでじっくり焼いちゃいます!」

火加減は弱火。
じっくりじっくり火を通して、甘味を引き出して・・・

うん!今日も楽しい晩酌になりそうです♪
182: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/22(金) 16:49:10.07 ID:M2G8/z/j.net
花陽「さあ、準備できましたよ!」

瓶の底に溜まった滓を攪拌して、早速グラスにお酒を注ぎます。

花陽「けっこう濁ってるんだね・・・美味しそうです・・・」

グラスに注がれたお酒は白く濁っていて、おりがらみや薄濁りと同じくらいかもしれません。

花陽「96%精米・・・どんな味なんだろう・・・それでは、いただきます♪」チビリ

花陽「・・・あ、甘酸っぱい!苦味や渋味は少ないし、思ったより飲みやすい!もっと癖があるかと思ったけど、普通に美味しいじゃないですか」チビチビ

香りはセメダインを思わせる酢酸イソアミルのもの、甘酸っぱさは多分白麹由来のものだよね。
それから微発泡でピチピチとした刺激があって・・・風の森なんかに近い味かな?

花陽「この精米歩合でこの味のお酒を造るなんて、五橋さんおそるべしですね・・・」チビリ

一般的に日本酒はお米を磨けば磨くほど、いわゆる「きれい」で「透き通った」雑味のないお酒が出来上がります。
つまり低精米のお酒は、高精米のお酒と比べて雑味が多くなるはずなんです。

花陽「でも、このお酒はそんな嫌な味は感じない・・・普通の純米酒って言われたら間違いなく信じちゃうね」

元来、低精米で美味しい日本酒を造ることは難しいと言われていましたが・・・
これも技術の進歩と、蔵元の情熱が成せる技なのかもしれないね。
183: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/22(金) 17:05:47.35 ID:M2G8/z/j.net
花陽「次は万願寺とうがらしも食べちゃおうかな」

こんがりと焼けた万願寺とうがらしにたっぷりの鰹節をかけて、生醤油をたらします。

花陽「いっただっきま〜す♪」ぱくっ

花陽「う〜ん!美味しい♪肉厚で食べ応えもあるし、甘味と苦味がたまらないね」チビチビ

焼いて、鰹節とお醤油をかけるだけ・・・なのにどうしてこんなに美味しいんでしょう?

花陽「ご飯だって炊き立てをそのまま食べるのが一番美味しいもんね。やっぱり食材を活かすにはシンプルな調理法が一番だね」

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」
184: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/22(金) 17:29:45.00 ID:M2G8/z/j.net
花陽「・・・そういえば、今日も課長ったらもう・・・」

今日の課長は珍しく機嫌も悪くなくて、午前中は割と真面目にお仕事してたんです。
でも、お昼前あたりからなんだか一生懸命スマホをいじり始めて・・・

花陽「いきなり立ち上がったと思ったら『ちょっとポケ○ン捕まえてくる!』って言って会社から出て行っちゃったんです!」

後からニュースを見て知ったんだけど、今日が某人気ゲームの配信日だったんですね・・・

花陽「気持ちはわかるけど、仕事を放り出してポケ○ンマスターを目指すのはどうかと思います・・・」

はぁ、思い出したらなんだかイライラしてきました・・・。

花陽「もう!こういう時こそお酒ですよね!課長のことなんて忘れましょう!」ゴクゴク

ああ、荒んだ心にお酒が染みる・・・。
185: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/22(金) 17:35:24.12 ID:M2G8/z/j.net
花陽「はぁ・・・楽しむ、かぁ・・・」チビリ

お酒を飲みながら、穂乃果ちゃんの言葉を思い出す。
あの日、砂浜で凛ちゃんの気持ちを受け入れたとき、二人で思い出をたくさん作るって決めたはずだったのに・・・。

花陽「私、全然わかってなかった・・・」

そう、私はわかったつもりでいただけなんだ。
凛ちゃんがどんな気持ちで私に想いを告げたのかも、それに応えることの意味も・・・

花陽「私、恐がってばかりいた・・・」

そう、きっと私は恐いんだ。
凛ちゃんのことを傷つけてしまうのが恐い、凛ちゃんに傷つけられるのが恐い、そして凛ちゃんのことを好きになってしまうのが恐い・・・

花陽「でも、それじゃいけない。このままじゃいけないんだ・・・だから・・・」

全部受け入れて、凛ちゃんとの時間を楽しもう・・・そう思った。
穂乃果ちゃんの言うとおり、きっと答えはその先に待ってる・・・今まで私たちがそうやって答えを見つけてきたように。

花陽「次のお休みは海に行く約束だったっけ・・・」

次の休日、カレンダーには凛ちゃんが赤ペンで書いた大きな丸があった。

花陽「傷つけることも、傷つけられることも、好きになることも・・・もう恐がったりしない!楽しむんだ、思い切り!」

窓の外で輝く夏の星座にそう決意を込めて、私の夜はすぎていった・・・。
204: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/25(月) 17:52:15.68 ID:/JdRjwVn.net
凛「かよちん見て見て!海だよっ!」

花陽「うん、海だねぇ」

一時間ちょっと電車に乗って、それからバスを乗り継いで・・・今日はかよちんと泊まりで海にやってきたんだよ!
予約したのは西伊豆のコテージ。
ホテルと違ってご飯は付かないし温泉もないけれど、安さと自由な点が魅力だった。

花陽「とりあえず、チェックインして荷物を置いて・・・それから泳ご?」

凛「うん!受付ってあの建物だよね?早速行ってくるにゃ!」

花陽「もう、凛ちゃん待ってよぉ」

お互いのお家でお泊りならいつものことだけど、外で一晩二人きりなんて久しぶりで・・・しかも海!
海といえば夏の恋人たちのイベントでは欠かせないものだもんね!
凛は浮かれた足つきで受付へと駆け出した。
205: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/25(月) 18:14:42.26 ID:/JdRjwVn.net
〜〜〜〜〜〜

凛「・・・」そわそわ

受付を済ませて、コテージに荷物を置いて、服の下に水着を着ていた凛は一足先に砂浜に来ていた。
この砂浜はコテージに付随したいわゆるプライベートビーチみたいなものらしくて、先客は数組の家族客とカップルだけだった。

凛「かよちん、まだかなぁ・・・」

こんなことなら、水着を着てこないほうがよかったかな・・・?
いや、でもこうやってかよちんの水着を想像しながら待つのもなかなか・・・

凛「どんな水着かな?確か、前にみんなでプールに行ったときはオレンジのビキニだったっけ?」

漫画とかで男の子がヒロインの着替えを待ってるときの気持ちが、なんとなくわかった気がする。
そういえば、昔ドラマだか歌で、彼女が水着にきがえたらってのもあったよね?やっぱり彼女のお着替えは重大イベントなんだね。

花陽「凛ちゃ〜ん!ごめんね、待たせちゃって」

そんなことを考えていると、コテージの方から着替えを終えたかよちんがこっちに駆け寄ってきた。
206: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/25(月) 18:20:55.53 ID:/JdRjwVn.net
凛「かよちん・・・」

可愛らしいライトグリーンのビキニ、腰に巻いてあるパレオには少し落ち着いた色合いのハイビスカスが描かれている。
久しぶりに水着姿を見たけれど、良くも悪くも大人っぽくなってて・・・

凛「・・・」ゴクリ

花陽「・・・凛ちゃん?なんか目がちょっとえっちだよ・・・?」

『まだ』そんなやましいことは考えてないよ!

凛「そ、そんなことないにゃ!」

花陽「えへへ、冗談だよ。さ、行こう?」

慌てて取り繕う凛を見たかよちんは、悪戯っぽく笑いながらこっちに手を差し出してくれた。

凛「・・・うん!」

その手を取って、二人で砂浜へと歩き出す。
熱い日差しの下なのに、繋いだ手の暖かさがなんだか心地よく感じられた。
207: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/25(月) 18:30:44.95 ID:/JdRjwVn.net
〜〜〜〜〜〜

あれからしばらく二人で海で遊んで・・・気が付けば日は傾いてきていた。

花陽「うぅ・・・ちょっと寒くなってきちゃった」

さっきまで青く光っていた海も、すこし暗い色になり、温度も心なしかひんやりしてきたように感じる。
少し遊び足りない気もしたけど、かよちんが風邪ひいちゃったりしたら大変だもん。

凛「じゃあ、そろそろ戻ろう?凛もお腹すいてきちゃったよ」

花陽「うん、上がってシャワー浴びたらスーパーまで買出しに行こっか?」

凛「うん!ラーメンとビール買ってこなきゃ!」

そんなことを話しながら、二人で岸に向かって歩いていたときのことだった。
近くを大きな船が通ったりしたのかもしれない。
いきなり大きな波が後ろからやってきて・・・

花陽「きゃぁっ!」

凛「かよちん!!」

その波に足をすくわれてバランスを崩したかよちんを、間一髪凛は抱きとめることができた。

花陽「・・・あ、ありがと・・・」

凛「うん・・・」

気付けばかよちんの腰に手を回して、体は密着していて・・・
お互いの顔は吐息を感じられるほど、近い位置にあって・・・

凛「かよちん・・・」

花陽「ん・・・」

吸い寄せられるようにかよちんの唇に奪う。
柔らかくて、すこし塩辛い・・・
208: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/25(月) 18:32:00.93 ID:/JdRjwVn.net
それだけで幸せだったはずなのに・・・それだけで我慢しとけばよかったのに・・・

凛(かよちんの体、柔らかい・・・)

腰にまわした手から直に伝わるかよちんの感触に、つい魔が差してしまったのだろう。

花陽「ぴゃあ!?り、凛ちゃん・・・どこ触ってるの?」

驚いたかよちんは、凛を押しのけるようにして唇を離す。
自分でも、下だか上だか、どこを触ってしまったのか覚えていないんだけど・・・きっと触ってはいけないところを触っちゃったんだね。

凛「あ・・・えっとその・・・」

花陽「・・・」

かよちんは少し怒ったような、恥ずかしそうな顔でこっちを見ていて・・・

凛「・・・かよちん、ちょっと太った?」

素直に謝っておけばいいのに、そんな軽口を叩いちゃったりして・・・

花陽「・・・ちゃんの・・・」

凛「かよ・・・ちん?」

花陽「・・・凛ちゃんのばかぁ!」

夕日に照らされていてもわかるくらい赤くなったかよちんに、凛は思い切り海へと突き飛ばされた。
体が海に沈む前、一瞬見えた空の色がとてもきれいだった。
216: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/26(火) 15:11:29.76 ID:sgyJ7VM5.net
〜〜〜〜〜〜

凛「かよち〜ん・・・かよち〜ん・・・」

花陽「・・・」

コテージの台所、食事の準備をしているかよちんの背中に声をかける。

凛「もう・・・いい加減機嫌なおしてよぉ・・・」

花陽「・・・別に私は普通です」

返ってきたのはやっぱり素っ気無い声。
買い物の間もずっとこんな感じだったんだよね。

凛「そりゃ悪かったのは凛だけどさ、そんなに怒らなくてもいいじゃん・・・」

花陽「だから怒ってません。・・・はい、できたよ」

そう言ってかよちんは少し荒っぽくテーブルにお皿を置いた。
217: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/26(火) 15:21:01.25 ID:sgyJ7VM5.net
凛「・・・やっぱりまだ怒ってるじゃん」

花陽「あまりしつこいと先に食べちゃうよ・・・?」

凛「ちょ、ちょっと待ってよ!今ビールも出すから!」

冷蔵庫から二人分のビールを取り出して、急いでテーブルに着く。

花陽「いただきます」

凛「いただきます・・・」

静かに手を合わせて、かよちんは黙々とご飯を食べ始めてしまった。
二人して黙ったままご飯を食べて、ビールを飲んで・・・
一時の欲望に身を任せた結果、こんなことになるなんて知っていたら絶対に手を出さなかったにゃ。

花陽「・・・」

どうにかして、この状況を打開しないといけない。
でも、いくら謝ってもかよちんは聞く耳を持ってくれないし・・・

凛(こうなったら奥の手・・・お酒の力を借りるしかないね)

かよちんのビールの減り具合をひそかに確認して、凛は冷蔵庫からお酒を取り出した。
218: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/26(火) 15:28:22.08 ID:sgyJ7VM5.net
凛「ね、かよちん。凛、日本酒持ってきてるんだけど・・・」

花陽「・・・私、今日はいいや」

凛「『花陽浴 純米吟醸 山田錦 直汲み』かよちん、これ好きでしょ?」

テーブルに花陽浴の瓶を置くと、なんだかかよちんの目つきが少し変わったように見えた。
よし、かかった!
魚釣りなんてやったことないけれど、大物がかかったときの漁師さんはきっとこんな気持ちだと思う。

凛「でも、飲みたくないのに無理して飲ませたりしたら、アルハラになっちゃうもんね・・・かよちんと一緒に飲みたくて持ってきたのに残念だにゃ・・・」

花陽「・・・」

迷ってる、迷ってる。
あと、一押し・・・かな?

凛「凛だけじゃ飲みきれないし、持って帰ってまたの機会に・・・」

花陽「ま、待って!・・・そこまで言うなら・・・一緒に飲んであげても・・・いいけど・・・」

凛「うん!じゃあコップ持って来るね!」

今日の釣果はかよちん一匹だにゃ。
219: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/26(火) 15:31:24.47 ID:sgyJ7VM5.net
凛「はい、かよちん」

花陽「ありがと・・・」

備え付けの小さなコップにお酒を注いで、片方をかよちんに手渡す。

凛「じゃあ、かんぱ〜い♪」

花陽「か、かんぱ〜い」

ばつの悪そうな顔をしたかよちんと、少し無理やりに乾杯してお酒を口に含む。
やっぱりパイナップルやリンゴみたいな甘い味だけど、これは前に飲んだのよりもちょっぴり果実感が薄い・・・円い感じの味だね。
酸味も程よくて、飲み下した後はすっきりとキレる。

凛「やっぱり美味しいね、このお酒」チビリ

花陽「うん・・・美味しいね」チビチビ

しばらく二人静かにお酒を飲んで、もう雰囲気は悪くない・・・と思う。
220: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/26(火) 15:32:34.21 ID:sgyJ7VM5.net
凛「もう何度目かわからないけど・・・かよちん、さっきはごめんね。かよちんが嫌がることをしたかったわけじゃないんだ・・・」

花陽「・・・」

凛「でも、その・・・それくらいかよちんが魅力的だったといいますか・・・あ、もちろんあの時言っちゃったことは冗談で・・・」

このタイミングを逃したら、きっと明日まで機嫌をなおしてくれない・・・

凛「だから・・・その・・・ごめんなさい!」

凛は畳み掛けるようにそう口にして、頭を下げた。

花陽「・・・ううん、こっちこそごめんね」

凛「・・・なんでかよちんが謝るの?」

花陽「本当はね、もうずっと前から怒ってなんてなかったんだよ?」

凛「えっ?嘘?」

花陽「怒ってないって何度も言ったよ?」
221: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/26(火) 15:38:33.29 ID:sgyJ7VM5.net
凛「じゃあ、どうしてあんな素っ気無い態度取ったりしたのさ!」

花陽「それは・・・」

かよちんの答えが納得いかなくて、ちょっと強く詰め寄ってみた。
するとかよちんは・・・

花陽「あんな、痴漢さんみたいなことして、見苦しい言い訳をしちゃう悪い凛ちゃんを、ちょっと懲らしめてあげようと思ったの。それに、あたふたしてる凛ちゃんもちょっと可愛かったから、つい・・・」

そう言って、悪戯っぽく微笑んだ。

凛「そ、そんなぁ・・・」

花陽「でも、いきなりあんなところ触ったりして、しかも太っただなんて・・・次やったら本当に怒るからね」

凛「はい!凛はもうかよちんの嫌がることはしないと約束するにゃ!」

花陽「よろしい!じゃあ、今度はちゃんとお話しながらお酒飲もう?」

凛「うん!」

仲直りしてから飲んだお酒は、さっきよりも何倍も美味しいものでした・・・。
222: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/26(火) 15:39:35.51 ID:sgyJ7VM5.net
〜〜〜〜〜〜

それからは二人で楽しくお酒を飲んで、時々ちょっとしたスキンシップもあって・・・

それだけで幸せだったはずなのに・・・それだけで我慢しとけばよかったのに・・・
・・・一応、弁解させてもらうと、今回はきっとアルコールのせいだにゃ。うん、間違いない。

花陽「・・・凛ちゃんのばかぁ!」

かよちんの声がコテージに響いたのは、あれからたった2時間後のことでした。
235: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/28(木) 16:08:05.14 ID:5wIaBeEO.net
ガチャッ

花陽「ただいま〜・・・今日も暑かったね・・・」

仕事が終わり午後8時、ようやく安らぎの我が家に帰宅です♪

花陽「とりあえずエアコンつけてっと、ご飯が炊けるまでには・・・、まだ時間がありますね」

なら、やることはひとつ!
もちろん、仕事終わりの一杯です!
236: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/28(木) 16:10:28.96 ID:5wIaBeEO.net
花陽「今日はうなぎを食べようと思います!」

もうすぐ土用の丑の日、すこし早いけどうなぎで一杯やりましょう。

花陽「そんなわけで、白焼きを買ってきました〜♪やっぱりお酒と合わせるなら白焼きだよね」

うなぎでもあなごでも、ご飯には蒲焼き、お酒には白焼きが合うんじゃないかと思います。

花陽「うなぎに合わせるお酒なら、やっぱり辛口がいいよね・・・なにか良いお酒あったかな・・・?」

ストックしてあるお酒を思い浮かべてみると・・・あるじゃないですか!
たしか冷蔵庫の中にちょうど良いのが一本・・・

花陽「『刈穂 山廃純米 無濾過生原酒 超弩級 気魄の辛口』なんと日本酒度+25の超辛口なお酒です!」

超辛口のお酒として有名な、越乃景虎の超辛口が+15、くどき上手のばくれんですら+20・・・そう考えるとこのお酒の日本酒度がいかに高いかがわかります。
超弩級と名乗るのも納得の日本酒度です。

花陽「これならうなぎにもきっと合うよね!さてと、準備しちゃいましょうか・・・」

白焼きは軽くお酒にくぐらせてからオーブンで温めて、皮目をバーナーでパリッと炙ります。
小皿にはお塩とわさびを用意して・・・

うん!今日も楽しい晩酌になりそうです♪
238: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/28(木) 16:27:21.33 ID:5wIaBeEO.net
花陽「さあ、準備できましたよ!」

汗をかいた酒瓶、そしてうなぎの香ばしい匂い・・・
これだけでも日本人に生まれてよかったと思っちゃいますよね。
よく冷えた酒瓶から、グラスにお酒を注いで・・・

花陽「それではさっそく・・・いただきます♪」チビリ

花陽「う〜ん!甘みはほとんど感じない、さすがの辛さです!でも、ただ辛いだけじゃなくて、旨みもあるんだよね・・・」チビチビ

超辛口のお酒は常温が美味しいというのが持論でしたが、これは冷えた状態でも十分美味しいね。
山廃特有の力強く一癖ある味わいが、このお酒をただのつまらない辛口酒ではなく、味わい深く面白いお酒にしています。

花陽「喉を抜けるときに感じる、いかにも酒っぽい香りとコク・・・いいですねぇ・・・」チビリ

すっきりドライでありながら、重厚な味・・・いいお酒だね。
冷酒としてだけでなく、冷や、燗と温度を変えても楽しめると思います。
240: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/28(木) 16:36:16.33 ID:5wIaBeEO.net
花陽「さて、今度はうなぎさんを食べてみましょう・・・」

箸で一口サイズに切って、わさびとお塩を付けて口に運びます。

花陽「う〜ん、やっぱり合います♪うなぎの旨みと香ばしさを、お塩とわさびでサッパリいただく・・・最高です」チビリ

ふわっとした身、パリッと香ばしい皮目、そしてそれを辛口の日本酒で流す。

花陽「ちょっと贅沢すぎる気もするけど、一年に一回だもん、これくらいいいよね?」チビチビ

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」
242: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/28(木) 16:43:29.52 ID:5wIaBeEO.net
花陽「そういえば、土用の丑の日って、元々はうなぎを食べる日ではなかったらしいですね」

諸説ありますが、丑の日にうなぎが食べられるようになったのは、江戸時代中期からであると言われています。
最も有力な説は、夏場にうなぎが売れないことに悩んでいた鰻屋に、平賀源内が店先に丑の日の張り紙を張ることを勧めた、というものだね。

花陽「もともと丑の日は「う」の付く食べ物を食べる風習があったみたいで、うなぎはそれに乗っかったみたいだね。それ以前は、うどんや瓜が主に食べられていたらしいです」

今では丑の日といえばうなぎ、うなぎといえば丑の日。
旬である冬以上に、うなぎは夏場に食される食材になってしまいました。

花陽「夏場のうなぎも美味しいけれど、旬のうなぎも美味しそうですよね・・・」

養殖技術の発展で、食材の旬が無くなりつつあるとはいえ、夏場でこの味だもんね。
冬場、脂の乗ったうなぎはきっと美味しいです・・・

花陽「冬になったらうなぎと燗酒で一杯やりたいなぁ・・・」チビリ

夏以外にも土用の丑の日はあるわけだし、機会があれば寒い時期のうなぎを食べるのもいいかもしれないね。
243: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/28(木) 16:48:45.34 ID:5wIaBeEO.net
花陽「今週末は凛ちゃんと一緒に夏祭り・・・」

他にも、一緒にお出かけしたり、映画を見に行ったり・・・この夏は予定が一杯です。

花陽「この前の旅行も楽しかったし、あれでよかったんだよね・・・」

いろいろあったけど・・・この前の海も楽しかった。
まだ答えは見つからないけれど、日に日に凛ちゃんの存在が自分の中で大きくなっているのは確かだった。

花陽「もう少し・・・あと少し・・・」

手を伸ばしたら届きそうなところに、答えはある・・・そんな気がしました。
きっと見つけられる・・・だから今を楽しみたい。

花陽「よぉし!お仕事はしっかり片付けて、すっきりした気持ちで週末を迎えないとですよね!そろそろいい時間だし、ご飯を食べて明日も頑張りましょう♪」

窓の外、霞んだ空で輝く夏の星座たちを眺めながら、私の夜はすぎていくのでした・・・。
266: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/30(土) 14:35:11.19 ID:1zG6wDKK.net
花陽「・・・」

人が行きかう公園の入り口、私は凛ちゃんのことを待っていました。
今日は地元のお祭りで、この小さな公園にもたくさんの人たちが集まっています。

凛「かよち〜ん!」

花陽「あっ、凛ちゃん」

凛「ごめんね、浴衣なんて久しぶりだから手間取っちゃって・・・」

待ち合わせの時間から送れること5分、凛ちゃんがやってきました。

凛「ねぇ・・・これ、おかしくないかな・・・?」

少し不安そうな顔で、凛ちゃんが尋ねます。
パステルイエローに、大きな向日葵が描かれた可愛らしい浴衣。
大人になってもこういう浴衣を着こなせちゃうんだからすごいよね。
267: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/30(土) 14:42:50.61 ID:1zG6wDKK.net
花陽「私は凛ちゃんらしくて、とっても似合ってると思うよ♪」

凛「そ、そう?えへへ・・・」

私の言葉に、凛ちゃんは頬をかきながらはにかんだように笑う。

凛「かよちんも浴衣似合ってるよ!なんだか大人っぽい感じだにゃ」

花陽「ふふ、ありがと」

対して私の浴衣は、藍色を基調とした落ち着いた色合いのもので、帯も暗い朱色です。
私は凛ちゃんみたいな可愛いのはちょっと着こなせそうにないし、年相応なデザインのものを選びました。
浴衣に合わせてメイクも大人っぽい感じ・・・ちょっぴりおめかししちゃってます。

花陽「いつまでもここにいても仕方ないから、そろそろ中に入ろっか?」

凛「うん!行こ行こ♪」

入り口でのお話もそこそこに、私たちは炭坑節の流れる公園の中へと入っていきました。
268: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/30(土) 14:56:22.35 ID:1zG6wDKK.net
〜〜〜〜〜〜

凛「ねえ、かよちんは子供の頃って何の屋台が好きだった?」

中に入り、二人で屋台を見て周っていると、凛ちゃんがふとそんなことを尋ねてきました。

花陽「う〜ん・・・やっぱり綿飴かなぁ?」

凛「そういえば、お祭りのとき、かよちんよく綿飴食べてたもんね」

花陽「うん、お祭りって感じがして好きなんだ。凛ちゃんは何が好き?」

凛「えっとねぇ・・・綿飴も好きだし、リンゴ飴も好き・・・あと射的とか!」

好きな屋台を思い浮かべながら、指折り数える凛ちゃんは、なんだか子供みたいで微笑ましい。

凛「ほら、あそこ!射的あるからやってこうよ!」

そして、数ある屋台の中から自分の好きな射的を見つけた凛ちゃんが、指を差します。

花陽「えぇっ!私は・・・いいかな」

凛「えぇ〜、いいじゃんやろうよ〜」

花陽「だって・・・私が撃ったって当たらないんだもん・・・」

子供の頃に何度かやったことあるけど、射的とか輪投げとか苦手なんです・・・。
いくらやっても景品が取れなくて、悔しい思いをするくらいならやらないほうが良いって思っちゃいます。

凛「じゃあさ、かよちんが欲しいやつを凛が取ってあげる」

花陽「え?そんな、悪いよ・・・」

凛「凛がそうしたいんだからいいの!ほら、行こ?」

少し強引に凛ちゃんに引っ張られ、私は景品の中から欲しいものを選ぶことになったのでした・・・。
269: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/30(土) 15:07:59.48 ID:1zG6wDKK.net
〜〜〜〜〜〜

凛「ふぅ・・・ちょっと一休みだにゃ」

花陽「やっぱり、人ごみの中を歩くとけっこう疲れるね」

あれから出店で遊んだり、食べ歩きをしたりして、私たちは公園の隅のベンチに腰をかけました。
メイン会場のグラウンドからは少し離れていて、目の前の遊具では提灯の灯りに照らされながら、子供たちが元気に遊んでいた。

花陽「せっかくのお祭りだから、一杯飲んじゃう?」

凛「もちろん。どうせかよちんのことだから、お酒持ってきてるんでしょ?」

花陽「えへへ、ばれちゃってるね・・・今日のお酒はこれです」

凛ちゃんに完全に見抜かれていたことに、少しの恥ずかしさを感じながら、手元のポーチからお酒を取り出します。

花陽「『るみ子の酒 きもと仕込み純米貴醸酒 おめかし』無濾過あらしぼり生原酒な、ちょっぴり贅沢仕様の貴醸酒です♪」

るみ子の酒は、三重県の森喜酒造場で醸され、漫画「夏子の酒」の作者である尾瀬あきら氏によって命名されたお酒です。
森喜酒造場の女性杜氏である森喜るみ子氏が、夏子の酒のファンであったことから生まれたお酒みたいだね。
そんな中でも、全く手を加えていないお酒をすっぴん、手間をかけて造った貴醸酒をおめかしとしているみたいです。
270: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/30(土) 15:21:15.82 ID:1zG6wDKK.net
花陽「はい、凛ちゃんの分」

凛「ありがと〜♪」

そんなお酒をプラコップに注いで、片方を凛ちゃんに差し出します。

花陽「それじゃ・・・」

凛「さっそく・・・」

りんぱな「かんぱーい♪」

凛ちゃんと乾杯して、飴色に輝くお酒を口に含みます。

凛「うわぁ・・・甘くて美味しい・・・」チビチビ

花陽「夏祭りってやっぱり綿飴とか甘いお菓子のイメージで・・・それで甘いこのお酒にしてみたんだ」チビリ

口当たりはとろりとまろやか、貴醸酒特有の蜂蜜みたいな濃厚な甘さがあるお酒です。

凛「でも、甘い割にはスッキリしてるっていうか・・・酸味があるのかな?」チビリ

凛ちゃんの言うとおり、濃厚な甘味の割りに後味はスッキリとしています。
それは、ほのかに柑橘を感じさせるような強い酸味のおかげでしょう。

花陽「うん、蜜のような濃厚な甘味を、酸味でスッキリと流す・・・そんなお酒だよね」チビチビ

凛「なんだか林檎飴みたいな感じだにゃ」

花陽「ふふ、林檎飴かぁ・・・確かにそんな感じかも」

夏祭りの夜に、こんな甘いお酒はとても合っていて・・・私たちは話に花を咲かせながらチビチビとお酒を飲んでいました。
271: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/30(土) 15:35:41.15 ID:1zG6wDKK.net
凛「ねえ、かよちん。本当にそんなのでよかったの?」

二人でお酒を飲み始めてからしばらくして、凛ちゃんが私の膝元を見ながらそう訪ねます。
目線の先、私の膝の上に乗っかっているのは、小さな子猫ちゃんのぬいぐるみ。

凛「凛ならもっと大きなやつだって取ってあげられたのに」

そう、これはさっき凛ちゃんに射的の屋台で取ってもらったものなんです。
もっと大きなぬいぐるみもあったけど、私はこれが欲しくて凛ちゃんにとってもらったんだ。

花陽「ううん、これがよかったの・・・」

そう言いながら、猫ちゃんの頭を撫でていると、凛ちゃんはちょっと不機嫌そうな感じで・・・

凛「ふ〜ん、かよちんがいいなら別に構わないけど・・・」

なんてぼやいていました。
272: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/30(土) 15:48:50.46 ID:1zG6wDKK.net
そんな時のことです。
私たちの座っているベンチめがけて、ころころとひとつのサッカーボールが飛んできました。

花陽「ボール・・・?」

凛「きっと、遊んでる子達が間違ってこっちに蹴っちゃったんだね」

凛ちゃんはそう言いながら立ち上がって、器用に足先でボールを転がしてみせます。
すると遊具の方から小さな二人の男の子が駆け寄ってきて・・・

「おねえさん、ごめんなさい!」

一人はきっとクラブチームにでも入っているのでしょう、サッカーのユニフォームを着た活発そうで礼儀正しい子。

「ご・・・ごめんなさい・・・」

もう一人の子は、その子の後ろに隠れるちょっと内気そうな子。

凛「いっぱい人がいるから、気をつけて遊ばないとダメだよ?」

「うん!ほら、続きやろうぜ!」

「う、うん・・・!」

そして、凛ちゃんから受け取ったその子たちは仲良く遊具の裏に消えていきました。
273: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/07/30(土) 15:56:20.25 ID:1zG6wDKK.net
花陽「・・・なんだか、昔の私たちみたいだね」

内気だった私はいつも凛ちゃんに引っ張ってもらっていて・・・そんな子でした。
きっと、さっきのあの子たちみたいな関係。

凛「ううん・・・あの子達は凛たちとは違うよ」

けれど、凛ちゃんはそれを否定しました。
立ち上がったまま、私に背を向けて発されたその言葉はなんだか冷たいもののように感じられた。

凛「凛たちは・・・違うよ・・・」

花陽「凛ちゃん・・・?」

凛「ねぇ、夏が終わって、恋人じゃなくなっても・・・かよちんは前みたいに凛と一緒にいてくれる?」

背を向けて私にそう問いかける凛ちゃんの声は、少し無理をして明るく振舞っているようでした。

花陽「そんなの・・・当たり前だよ」

凛「そっか・・・ならよかったにゃ」

私の答えにそう呟く凛ちゃんが、なんだか遠くにいるように思えて・・・

花陽「今は花陽が凛ちゃんの恋人・・・だよ?そんな悲しいこと言わないでよ・・・」

私は立ち上がって、凛ちゃんの浴衣の袖を掴んでそう言った。
これ以上、凛ちゃんが遠くに行ってしまわないように・・・。

凛「えへへ、そうだったね・・・」

凛ちゃんはそんな私の手に手を重ねて、微笑んだ。
その微笑みは、やっぱりどこか遠く感じて、でも重ねた手の温度は暖かくて・・・
その時、ようやく気付いたんだ。

私は、凛ちゃんのことが好きだって・・・。

夏祭り編 おわり
284: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/01(月) 16:56:22.08 ID:dfWvvUko.net
穂乃果「〜〜♪」

もうすぐ8月も終わろうかという今日この頃。
私は居間で一人寝転がって、テレビを見ていました。

雪穂「・・・お姉ちゃん、まだ起きてたんだ」

すると廊下から、雪穂が顔を出した。
無地のTシャツにラフなパンツ姿、髪も濡れてるからお風呂上りみたい。

穂乃果「あっ、雪穂おつかれ〜。もう片付け終わったの?」

雪穂「うん、さっき終わらせて、いまシャワー浴びてきたとこ。あぁ〜、今日も疲れた〜」

今日は私が早番で、雪穂が遅番。
遅番だとお店の片付けに、翌日の準備、清算業務もあるから結構遅くなっちゃうんだよね。

雪穂「お母さんたちは?」

寝転がっている私の上を跨いで台所に向かった雪穂は、お鍋に残った魚の煮付けを温めながらそう尋ねた。

穂乃果「もう寝ちゃったよ〜、夜遅くまで起きてられないんだから、二人とももう年だよね」

雪穂「まぁ、こうして私たちが働いてるくらいだしね」

自分の中では、お父さんもお母さんも、昔から変わらず私のお父さんとお母さん。
だけどそう考えたら、お母さんたちが年をとるのも当たり前のことだ。
285: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/01(月) 17:01:22.39 ID:dfWvvUko.net
雪穂「そだ、常連のおばあちゃんからお酒貰ったんだけど、お姉ちゃん飲む?」

穂乃果「お酒って、日本酒?」

雪穂「う〜ん、多分日本酒だと思うんだけど・・・なんか変わった瓶なんだよね」

そう言いながら、雪穂が冷蔵庫からそのお酒を取り出して、持って来てくれた。

雪穂「これなんだけど・・・」

穂乃果「こ、これって・・・」

雪穂の手にあるのは、普通の酒瓶とは違って角ばった瓶。

穂乃果「それ、絶対高いやつだよ!酒屋さんで見たことある!」

雪穂「そ、そうなの?『正雪 大吟醸 斗瓶取』・・・だってさ」

穂乃果「雪穂、こんなのどこで手に入れてきたの!?」

雪穂「いや、だから常連さんにもらったんだって・・・ほんとお姉ちゃんって人の話聞かないよね」

私のリアクションに雪穂は呆れ顔でそう言った。
286: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/01(月) 17:07:45.67 ID:dfWvvUko.net
雪穂「でも、そんなに良いお酒だったら、今度の休みにみんなで飲む?」

穂乃果「う〜ん、そうだねぇ・・・」

いや、これって4合瓶だよね?
てことは、お父さん、お母さん、雪穂に私で飲んだら一人一合だよね?

穂乃果「・・・」

雪穂「お姉ちゃん?」

多分このお酒、自腹じゃ買えないよね?
そもそも、出会うことすら出来ないかも・・・

穂乃果「・・・ゆきちゃん」

雪穂「うわっ、気色悪い!いきなりどうしたの?」

そして私は怪訝そうな顔の雪穂から、強引に瓶を奪い取って・・・

穂乃果「二人だけの秘密だよっ♪」

一気にキャップを開けてしまいました。
287: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/01(月) 17:11:54.33 ID:dfWvvUko.net
雪穂「うわ、開けちゃったよ・・・お姉ちゃん最低・・・」

まるで痛々しいものを見るような目で、私を見る雪穂。
いくらなんでも、それは実の姉を見る目じゃないよ・・・お姉ちゃん泣いちゃうよ?

穂乃果「だって、こんなお酒めったに飲めるものじゃないんだよ?みんなで飲めば一合だけど、二人なら二合も飲めるんだよ?」

雪穂「あ、私も頭数に入ってるんだ・・・」

相変わらずジト目でこっちを見る雪穂の視線を感じながら、私はいそいそと棚からお猪口を取り出す。

穂乃果「とりあえず飲んでみようよ!話はそれから!」

雪穂「もう、しょうがないなぁ・・・」

そんなわけで、二人でお酒を飲むことになったよ!
288: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/01(月) 17:17:26.90 ID:dfWvvUko.net
穂乃果「慎重に・・・こぼさないようにね・・・」

雪穂「わ、わかってるって・・・」

高いお酒だもん、こぼさないように二人で慎重にお酒を注いで・・・

穂乃果「よし、じゃあ乾杯しよう!」

雪穂「えぇ〜、普通にいただきますでいいじゃん。飲み会とかじゃないんだし」

穂乃果「雪穂はわかってないなぁ、こういうのは気分が大事なんだよ!ほら、お猪口持って」

雪穂「う、うん」

乗り気じゃない雪穂にお猪口を持たせて・・・

ほのゆき「かんぱ〜い♪」

そして、二人で乾杯して、二人でお酒を口に含む。
289: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/01(月) 17:22:32.43 ID:dfWvvUko.net
穂乃果「う〜ん!美味しい♪」チビリ

雪穂「美味しい・・・凄く良い香り・・・」チビチビ

バナナとメロンを合わせたような甘い香り、含むとやっぱり同じような香りと甘さがあって・・・
でも、飲み下す頃には、その香りや甘さもすっかり口から消えていて・・・とてもきれいなお酒。

雪穂「私、この香り好きかも・・・」チビリ

穂乃果「私も。味ももちろんいいんだけど、それ以上に香りが良いお酒だね」チビチビ

雪穂「日本酒がこんなに美味しいなんて思わなかった」チビリ

穂乃果「私も最近知ったんだけど、若者向けのお酒も増えてきてるんだって。これみたいに高いのは無理だけど・・・今度二人で買ってきて一緒に飲んでみようよ」

雪穂「うん、そうだね。・・・あ」

そこでお酒を飲む雪穂の手が止まった。

雪穂「ねえ、お姉ちゃん・・・」

穂乃果「どうしたの?」

雪穂「もう一杯・・・いい?」

雪穂のお猪口を覗き込んでみると、中は空っぽになっていて・・・

穂乃果「もちろん!ふふ、これで雪穂も共犯者だからね?」

そのお猪口にお酒を注ぎながら、私はニヤリと笑ったのでした。
290: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/01(月) 17:27:21.59 ID:dfWvvUko.net
〜〜〜〜〜〜

二人でお話しながらお酒を飲んで、お酒の残りが少なくなってきた頃のことでした。

雪穂「お姉ちゃん、携帯光ってるよ?」

穂乃果「え?あっ、ほんとだ」

雪穂にそう言われて、居間に置きっぱなしになっていた携帯を見るとランプが点滅していた。
・・・誰かからのメールかな?
立ち上がって、携帯を持って雪穂が待つテーブルへと戻る。

雪穂「メール?」

穂乃果「うん。凛ちゃんと・・・かよちゃんから」

画面に表示されたメールは2件。
凛ちゃんとかよちゃんからだった。

雪穂「やっぱり元μ'sだと連絡あったりするんだね。凛さんと花陽さん、元気にしてるの?」

穂乃果「うん、ちょっと前に会ったけど二人とも元気そうだったよ」

内容はどちらも「今週、一緒に飲みに行きませんか?」とのお誘い。
でも、二人別々にメールが来るってことは・・・

雪穂「いいなぁ・・・私も久しぶりに先輩たちに会いたいかも」

二人一緒ってわけじゃないんだよね。
これでも私にだって仕事があるし、両方と会うのはちょっと難しいかも・・・

雪穂「ねぇ、私も亜里沙たちを誘ってくるから、今度みんなで飲み会しようよ!」

穂乃果「うん・・・そうだね」

雪穂が何か楽しそうに話していたけれど、私は上の空だった。
凛ちゃんとかよちゃん、私の大切な後輩・・・でも、どちらかの誘いを断らなくちゃならない。
私は、どちらを選べばいいんだろう・・・。

高坂姉妹編 おわり
298: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/02(火) 16:04:58.26 ID:BGGqWPFW.net
ほのりん「かんぱ〜い♪」

8月もあと一週間で終わりを迎えようかという頃。
凛は穂乃果ちゃんを誘って、居酒屋さんにやってきていました。

穂乃果「ぷっはあぁ!やっぱり真夏のビールって最高っ!」ゴクゴク

凛「さっすが穂乃果ちゃん、いい飲みっぷりだにゃ!今日は凛のおごりだから思う存分飲んでね」

今日の目的は他でもない、穂乃果ちゃんへのお礼だった。
かよちんに告白する前にたくさんアドバイスを貰ったし、せめてもの凛の気持ちだった。

穂乃果「おごってもらえるのは嬉しいんだけど・・・本当にいいの?やっぱり割り勘に・・・」

凛「凛がいいって言ってるんだからいいの!穂乃果ちゃんはおとなしくおごられておけばいいの!」

穂乃果「それで凛ちゃんの気が済むなら・・・ありがたくごちそうになります!」

そんなわけで、二人での飲み会が始まったにゃ
299: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/02(火) 16:05:45.68 ID:BGGqWPFW.net
〜〜〜〜〜〜

凛「・・・って感じで、無事かよちんとお付き合いできることになったんだ」

しばらく二人でビールを飲んでいたんだけど、やっぱり穂乃果ちゃんからはかよちんとその後どうなったかを聞かれて、凛はその質問に答えていた。

穂乃果「へぇ・・・じゃあうまくいったんだね!」

凛「うん♪それもこれも穂乃果ちゃんのおかげだにゃ」

ほとんど本当のことを話したんだけど、付き合うのは夏の間だけってことは話さなかった。
穂乃果ちゃんには余計な心配をかけたくないし、話す必要もないことだったから。

凛「あっ、穂乃果ちゃんのジョッキ空になってる。ねえねえ、次は何飲む?」

ふと穂乃果ちゃんのジョッキに目を向けると、すっかり中身はなくなっていた。

穂乃果「ほんとだ。う〜ん・・・次は日本酒にしようかな」

凛「じゃあ、凛も日本酒にしよーっと」ゴクゴク

凛もジョッキに少しだけ残っていたビールを飲み干して、穂乃果ちゃんの言葉に乗っかることにした。

穂乃果「だったら、二人で選ぼっか?」

凛「うん♪」

そして、凛たちは二人でメニューを見ながらお酒を吟味しだしたのでした。
300: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/02(火) 16:07:25.21 ID:BGGqWPFW.net
「おまたせいたしました、こちら五橋のにごりです」

注文から程なくして、頼んだ日本酒が運ばれてきた。
選んだのは『五橋 純米 桃色にごり』
本当は春のお酒らしいんだけど、夏にも味わって欲しいと思った店長さんが冷蔵庫で寝かせておいたみたい。

穂乃果「うわぁ、日本酒なのに本当にピンクなんだ」

透明な徳利に入ったお酒は、桜のような淡いピンク色をしていてとてもきれい。
見た目は完全に春向きのお酒だけど、味はどうなんだろう?

穂乃果ちゃんとお互いのお猪口にお酒を注いで・・・

ほのりん「かんぱ〜い♪」

にごり酒で第2ラウンドだよっ
301: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/02(火) 16:29:26.61 ID:BGGqWPFW.net
凛「・・・」チビリ

穂乃果ちゃんと乾杯して、お酒に口を付ける。
とろりとした口当たり、それから甘酸っぱい味・・・

穂乃果「・・・なにこれ美味しい!お酒じゃないよ、イチゴミルクだよ!」チビチビ

凛「うん、甘酸っぱくてほんとにイチゴみたい!」チビリ

強い酸味とフルーティな甘味が合わさって、まるで若いイチゴみたいな味。
それににごりのまろやかさが加わって、イチゴミルクを飲んでるような感じだった。

穂乃果「こんなお酒があるなんて知らなかったよ・・・これ春限定だっけ?来年は絶対買わなくちゃ・・・」チビチビ

凛「穂乃果ちゃん、イチゴ好きだもんね」

穂乃果「うん!来年はイチゴをおつまみにして、このお酒を飲むんだ!」チビチビ

イチゴ好きの穂乃果ちゃんはこのお酒が気に入ったようで、嬉しそうに杯を進めていた。

凛「でも、穂乃果ちゃんが気に入るのもわかるなぁ。すっごく甘酸っぱくて美味しいよね」チビリ

初恋はレモン味なんて言葉をよく聞くけど、このお酒の方が初恋の味に近いんじゃないかって思っちゃう。

穂乃果「うんうん、この甘酸っぱさがたまらないよねぇ。かよちゃんとのキスとどっちが甘酸っぱい?」

凛「そりゃもちろんかよちんの方が・・・って、いきなり何言わせるにゃ!」

凛の反応を見て、穂乃果ちゃんが楽しそうに笑う。
ちょっと不本意だけどそんな穂乃果ちゃんを見ていたら、こんな時間も悪くないかな・・・なんて思ってしまったのでした。
302: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/02(火) 16:35:53.23 ID:BGGqWPFW.net
〜〜〜〜〜〜

穂乃果「はぁ〜、けっこう飲んだねぇ。今日はごちそうさま」

あれからしばらく穂乃果ちゃんにからかわれながらお酒を飲んで、今は二人夜道を歩いているところだった。

凛「どういたしまして。でも、気にしないでね?これはあくまで、凛から穂乃果ちゃんへのお礼なんだから」

穂乃果「・・・」

凛「穂乃果ちゃんには勇気を貰ったし、おかげでかよちんに告白も出来た。凛、感謝してるんだ」

街灯が照らす先には誰もいない。
二人きりで歩きながら、凛はそう話していた。

穂乃果「・・・じゃあさ、お礼ついでにひとつ気になることがあるんだけど・・・聞いてもいい?」

凛「うん!なんでも聞いてよ」

穂乃果「凛ちゃん・・・穂乃果に隠してること、あるよね?」

その言葉に、思わず足を止めて穂乃果ちゃんを見た。
303: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/02(火) 16:40:03.71 ID:BGGqWPFW.net
凛「・・・え?隠してることなんて何も・・・」

穂乃果「恋人でいるのは、夏の間だけなんでしょ?」

凛「なんで穂乃果ちゃんがそれを・・・」

考えるまでもない。
これは凛とかよちんしか知らないことだ。

凛「そっか・・・かよちんに聞いたんだね」

穂乃果「うん、実はかよちゃんからもいろいろ相談されてて・・・二人が付き合ってることも知ってたの」

凛「そうだったんだ・・・」

同じ人を相談相手に選ぶなんて・・・凛たちは案外似たもの同士なのかもしれない。

穂乃果「ねえ、凛ちゃん。どうして夏の間だけなんて、そんなこと・・・」

凛「・・・」

こんなことなら最初から全部話しておけばよかった・・・。
少しの間、黙りながら凛が感じていたのはそんな後悔だった。
304: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/02(火) 16:41:52.87 ID:BGGqWPFW.net
凛「・・・前に相談したとき、凛の気持ちはおかしくなんてないって言ってくれたよね?」

穂乃果「うん・・・」

凛「穂乃果ちゃんにそう言ってもらえて、凛嬉しかったんだ。嬉しかったし、勇気ももらえた・・・でもね」

本当にこの先の言葉を口にしてもいいのだろうか?
一瞬、そんな躊躇いが胸をよぎったけれど、言葉を止めることはできなかった。

凛「やっぱり、普通じゃないんだよ・・・女の子同士なんて・・・」

穂乃果「凛ちゃん・・・」

凛「そんなことに、いつまでもかよちんを巻き込んだりできないよ・・・」

穂乃果「そんな・・・」

凛の言葉を聞いて、穂乃果ちゃんは悲しそうな表情を見せる。
さっきまで楽しくお酒を飲んでいたのが嘘のようだった。

凛「だから、凛たちは夏が終わったら友達に戻るんだ。凛はかよちんにいっぱい思い出をもらったもん、もう満足だよ」

穂乃果「ほんとうに・・・凛ちゃんは本当にそれでいいの?」

凛「うん、これは凛が自分で考えて決めたことだから・・・」

抱きしめたときの柔らかさも、唇の感触も、きっと一生忘れない。
これだけの思い出があれば、凛は満足なんだ・・・。

凛「だからね、これでいいんだよ・・・」


凛編「桃色にごり」 おわり
310: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/03(水) 16:01:20.73 ID:hDLPLJeL.net
ガチャッ

凛「ただいま〜・・・すっかり遅くなっちゃった」

もう暗くなってからしばらく経つのに、ドアを開けると部屋には熱気がこもっていた。

凛「とりあえずエアコンつけて・・・一杯やっちゃおう!」

そんなわけで、晩酌のお時間だにゃ!
311: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/03(水) 16:02:48.37 ID:hDLPLJeL.net
凛「さっそく今日買ってきたお酒を飲んじゃうよ!」

実は、今日はすこし遠出してお酒を買いに行ってたんだ。
買ってきたのは2本。
片方は自分用で、もう片方は今度かよちんと二人で飲むつもりだった。

凛「『風の森 純米大吟醸 ALPHA TYPE2』お気に入りの風の森だにゃ」

風の森はリーズナブルで、しゅわしゅわしてて、日本酒を飲むようになってからは気に入って買ってる銘柄なんだ。
これはそんななかでもちょっぴりお高いお酒だね。

凛「おつまみはいつも通り枝豆でいっか」

冷凍庫から枝豆を取り出して、解凍していると、ふと以前かよちんに教わった食べ方を思い出した。

凛「・・・たしか、昆布出汁って言ってたっけ?」

ちゃんとした昆布はないけど、粉末なら確かあったはずだよね。
試しに作ってみようかな・・・

凛「顆粒出汁を水で溶いて、氷で冷やして・・・」

そこに鞘から出した、枝豆を入れればもう完成!

うん、楽しい晩酌になりそうだね!
312: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/03(水) 16:11:41.35 ID:hDLPLJeL.net
おつまみとお酒をテーブルに並べて、準備OK!

凛「さっそくお酒を開けなくちゃね」

注意書きにある通り、栓が飛ばないように慎重に開栓してお酒をグラスに注ぐ。
グラスの中でしゅわしゅわと踊る気泡が、とても綺麗でおいしそう・・・

凛「それじゃ、いただきます♪」チビリ

凛「う〜ん、やっぱり美味しい♪この炭酸と甘酸っぱさがたまらないにゃ」チビチビ

香りはやっぱりほんのりセメダイン、そして味は爽やかな甘旨炭酸。

凛「でも、他の風の森と比べて、線が細いっていうか・・・優しい感じがする」チビリ

炭酸があるからパンチのあるお酒に感じるけど、味自体は繊細で優しい感じ。
かよちんが「TYPE2は高精米で発酵期間の長いお酒」って言ってたけど、それと関係あるのかな?

凛「秋津穂22%精米って書いてあるけど・・・よくわかんないや」

とにかく飲んだら美味しい!
お酒はやっぱりそれが一番だよね。
313: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/03(水) 16:16:40.64 ID:hDLPLJeL.net
凛「よぉし、今度は枝豆を食べてみよっかな」

スプーンでお出汁と枝豆をすくったところで、重要なことを思い出した。
そうだよ、最後の一手間を忘れちゃいけないね。

凛「お出汁に風の森をちょっぴりたらして・・・これでよし!」

最後の一手間は、お出汁にお酒を混ぜることなんだ。
なんでも、これでお酒との相性がぐっとよくなるんだとか・・・

凛「本当にこれで変わるのかな?とりあえず、食べてみよっ」ぱくっ

凛「美味しい・・・お出汁と枝豆って相性いいんだね。あっさりしてて、ほんのりお酒の香りもして、大人な感じ・・・」チビチビ

お酒の邪魔になるどころか自然と馴染む味・・・日本酒との相性は抜群だね。

凛「これはお酒が進むにゃ」チビリ

夜更けの部屋で一人、凛はチビチビとお酒を飲みすすめていきました。
314: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/03(水) 16:18:46.19 ID:hDLPLJeL.net
〜〜〜〜〜〜

凛「はあぁ・・・結構飲んじゃった・・・。残りはまた今度にしよ」

一人お酒を飲むこと一時間・・・瓶の中のお酒は残り少なくなっていた。
風の森の楽しみ方のひとつとして、炭酸が抜けた後の味を楽しむっていうのもあると思うんだよね。
飲もうと思えば飲みきれちゃうけど・・・やっぱり次の楽しみに取っておこう。
そう思って、凛は瓶を持って冷蔵庫へと向かいました。

凛「・・・」

冷蔵庫を開けて目に入ったのは、今日このお酒と一緒に買ってきたお酒の瓶。
それは、かよちんと恋人でいられる最後の夜に飲もうと思って選んだものだった。

凛「このお酒を一緒に飲んで・・・」

夏が終われば、かよちんとの関係も終わり。
口に出して穂乃果ちゃんに告げたことで、決意も覚悟も強くなっていた。

凛「それで終わり・・・」

壁に張られたカレンダーの日付を見ると、もうその日は目の前に迫っていた。


凛編「ALPHA TYPE2」 おわり
321: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/04(木) 16:02:16.51 ID:5A/LCvvV.net
もうすぐ夏も終わろうという日の夕方。
茜色の空を背に、凛はかよちんの部屋の前に立っていた。

凛「・・・よし!」

ピンポーン!

覚悟を決めて、呼び鈴を鳴らす。
すると『はーい』という声と一緒に、足音が近づいてきた。

ガチャッ

花陽「いらっしゃい、凛ちゃん!さ、入って入って」

エプロン姿のかよちんがお出迎え。
そんなかよちんを見て胸が締め付けられるような感覚がした。
その感覚の原因は、考えるまでも無い。

そう、今日が最後の夜だった。
322: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/04(木) 16:02:54.45 ID:5A/LCvvV.net
部屋に入ると、美味しそうなお料理の匂い。

凛「ねえ、かよちん。何か凛も手伝えることある?」

花陽「こっちはもう仕上げだから、大丈夫だよ。でも、グラスとお皿を出してもらえると助かるかな」

凛「了解だにゃ!」

そんな会話をして、戸棚から食器を出していると、なんだか新婚さんみたいに思えてきた。

花陽「こうしてるとなんだか、新婚さん・・・みたいだね」

凛「そ、そうだね・・・」

かよちんも同じことを考えてくれていたのが、なんだか嬉しくて・・・
凛はふわふわとした手つきで、テーブルに食器を並べました。
323: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/04(木) 16:09:30.50 ID:5A/LCvvV.net
〜〜〜〜〜〜

花陽「うん!これで準備できたね」

全部のお料理をテーブルに並べて、準備完了だね。

花陽「あとはお酒だけど・・・凛ちゃんはビール?」

凛「ううん、今日は最初から日本酒にするよ」

かよちんの言葉に、最初から決めていた答えを返す。

花陽「じゃあ、お酒出しちゃうね」

凛「ちょっと待って!一本お酒持ってきてるから、それを一緒に飲まない?」

花陽「そうなんだ、ならまずは凛ちゃんのお酒からだね」

凛「うん、どうしても二人で飲みたいお酒があったんだ・・・」

そう話しながら、トートバックから布に包まれた四合瓶を取り出した。
瓶の口の部分だけ布を外して、キャップを開けて二人分のグラスにお酒を注ぐ。
324: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/04(木) 16:12:49.38 ID:5A/LCvvV.net
花陽「あれ?布は外さないの?」

凛「うん、飲み終わったらラベルを見せるね」

するとかよちんはなんだかわくわくした様子・・・

花陽「それってワインなんかでよくやる、ブラインドってやつだよね?銘柄を当てればいいの?」

凛「いや・・・そういうわけじゃ・・・」

単純にお酒の名前を見せたくなかっただけなんだけど・・・

花陽「でもせっかくブラインドなんだから、出来れば当てたいかも。よぉし、頑張ります!」

凛「あはは・・・」

でも楽しそうなかよちんを見ていたら、それでもいいかと思ってしまったのでした。
325: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/04(木) 16:19:25.19 ID:5A/LCvvV.net
花陽「じゃあさっそく」

りんぱな「かんぱーい♪」

そして、二人で席についてまずは乾杯。
凛はすぐにお酒を飲んじゃったんだけど、かよちんは一生懸命匂いを嗅いでいました。

花陽「バナナ・・・ラムネ・・・イソアミル系だよね・・・」

凛「そんな必死にならなくてもいいのに・・・」チビチビ

でも、これはこれでなんだか可愛いからいっか。

花陽「味はどうなんだろう・・・」チビリ

そして凛に遅れること30秒ほど・・・ようやくかよちんがお酒に口を付けた。

花陽「・・・あれ?思ったより酸味が強い・・・甘味は酸味を引き立てる程度かな?香りは正雪の吟醸かと思ったんだけど・・・違うよね」チビチビ

そしてかよちんは悩みながら、一口、二口とお酒を飲み進めていく。

花陽「残草蓬莱、咲耶美はもっと甘いし・・・」チビリ

花陽「悔しいけどわかりません・・・」

グラスに入ったお酒を飲みきったところで、かよちんは肩を落とした。
かよちんがわからないのも当然だった。飲んだことがあるかもわからないし、何より夏限定のお酒で、味も主張が強いわけじゃない。
たとえ、飲んだことがあったとしても、一年以上前の記憶じゃ思い出せないだろう。
326: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/04(木) 16:25:18.47 ID:5A/LCvvV.net
花陽「ねえ、凛ちゃん。このお酒って・・・」

凛「答え合わせはこの瓶が空になってからだにゃ」

花陽「う〜、凛ちゃんの意地悪・・・」

そう言ってかよちんは柔らかそうなほっぺたを膨らませた。
・・・ちょっとかわいそうだけど、まだこの瓶を見せるわけにはいかないんだ。

凛「名前がわからなくても、このお酒が美味しいのは変わらないでしょ?」

花陽「それは、そうだけど・・・」

凛「ならこのままでもいいじゃん」チビチビ

花陽「凛ちゃんの意地悪・・・」チビリ

ちょっぴりふてくされながらチビチビとお酒を飲むかよちんは、なんだか子供みたいで可愛かった。
327: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/04(木) 16:30:14.37 ID:5A/LCvvV.net
〜〜〜〜〜〜

花陽「・・・これで、おわりっ!」

あれから二人でおしゃべりしながらお酒を飲んで・・・
ついにかよちんが最後の一口を飲み干した。

花陽「さぁ、凛ちゃん。ラベルを見せて」

楽しそうなかよちんとは裏腹に、凛の気持ちは晴れないものだった。

凛「うん・・・このお酒はね・・・」

そして、瓶に巻かれた布を取って、ラベルをかよちんに見せる。

花陽「このお酒・・・」

今ならまだ引き返せる、言い訳もできる。
覚悟を決めたつもりだったけれど、かよちんの前では心はまだ揺れていた。

凛「『愛宕の松 純米吟醸 ひと夏の恋』最後に二人でこのお酒を飲みたかったんだ・・・」

けれど、最後だって言ってしまった・・・
もう引き返すことは・・・できない。
328: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/04(木) 16:34:12.71 ID:5A/LCvvV.net
花陽「最後って・・・」

凛「恋人でいるのは夏の間だけ・・・かよちんだってわかってたでしょ?」

花陽「それは・・・そうだけど・・・」

凛「だからね、このお酒を飲んで、それでおしまい」

凛の言葉に、かよちんは呆然とした様子だった。

花陽「ちょっと待ってよ・・・まだお料理だって残ってるし・・・」

凛「・・・」

花陽「お酒だって・・・用意してて・・・」

凛「ごめん、でも今日はもう帰るよ」

そう言いながら、椅子から立ち上がる。
こんな状況なのに、心は自分でも信じられないくらい覚めていた。
329: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/04(木) 16:37:48.23 ID:5A/LCvvV.net
凛「今まで凛のわがままに付き合ってくれて、ほんとうにありがとう・・・楽しかったし、嬉しかった・・・」

花陽「凛ちゃん・・・」

凛「こんな凛だけど、これからも友達でいてくれると嬉しいにゃ」

トートバックを持って、玄関に向かい靴を履く。

花陽「凛ちゃん!待って!待ってよ!」

そしてドアノブに手をかけた所で、後ろからかよちんに引き寄せられた。

花陽「待ってよ・・・いくらなんでも勝手すぎるよ・・・」

目の前にはかよちんの泣き顔があって、掴まれた手から伝わる温もりに心が痛んだ。

花陽「私、凛ちゃんに伝えなきゃいけないことがあるの・・・」

凛「・・・」

花陽「私ね・・・凛ちゃんのこと・・・っ!?」

必死に言葉を紡ごうとするかよちんの唇を、自分の唇で塞ぐ。
柔らかくて、温かくて・・・これがきっと最後のキス。
唇を重ねている間に、凛のことを掴んでいたかよちんの手は離れていた。
330: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/04(木) 16:42:41.19 ID:5A/LCvvV.net
凛「ごめん、かよちん・・・その先は聞けない」

花陽「凛ちゃん・・・なんで・・・」

呆然と立ち尽くすかよちんに背を向けて、ドアノブを回す。

凛「その気持ちはね、間違ってるんだよ。きっと幸せになんてなれない」

力を込めてドアを開ける。
後ろ髪を引かれているのか、いつもよりその扉は重く感じられた。

凛「ごめんね、ありがとう・・・ばいばい」

そう言って、凛は部屋から走り去った。
後ろからかよちんが呼ぶ声が聞えた気がしたけれど、足を止めることは無かった。
331: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/04(木) 16:50:33.93 ID:5A/LCvvV.net
〜〜〜〜〜〜

凛「はぁ・・・はぁ・・・」

当ても無く走り回って、公園のベンチに倒れこんだ。
夏祭りのときはあんなに賑やかだったこの公園も、今は誰もいない・・・。

凛「これで・・・これでよかったんだ・・・」

凛は酷い子だ。きっとかよちんを傷つけた。
でも、これでよかったんだ。

凛「大好きだよ・・・これからも、ずっと・・・」

だって、この思いの先に幸せは無いんだから。


凛編 最終回「ひと夏の恋」 おわり
351: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 15:28:45.63 ID:ke+IH1ou.net
>>290
高坂姉妹編からの分岐です。



花陽「〜〜♪」

夕方の台所、私は鼻歌を混じりにお料理を作っていました。
お皿はどれも二人分。
今日は一人ぼっちの晩酌じゃないんです。

ピンポーン

花陽「あっ、は〜い」

そうこうしているうちに部屋の呼び鈴が鳴らされて、私は玄関へと向かいます。

花陽「いらっしゃい穂乃果ちゃん!さぁ、入って」

穂乃果「久しぶり〜。それじゃ、おじゃまするね〜」

今日は穂乃果ちゃんと二人で晩酌です♪
352: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 15:30:26.54 ID:ke+IH1ou.net
花陽「ごめんね、わざわざ家まで来てもらっちゃって・・・」

穂乃果「ご馳走になる立場なんだもん、そんなこと気にしないでよ」

今日穂乃果ちゃんを呼んだのは他でもない、以前相談に乗ってもらったことへのお礼なんだ。

花陽「もうすぐ準備できるから・・・冷蔵庫に入ってるお酒から好きなの選んで待ってて」

穂乃果「え?穂乃果が選んでいいの?」

花陽「うん、どれでも好きなやつでいいよ」

穂乃果「やった!」

私の提案に、穂乃果ちゃんは嬉しそうに冷蔵庫を開けてお酒選びを始めました。
今日は穂乃果ちゃんを出迎えるために、いろんなお酒を用意したんです!
甘口、辛口、それから少し変わったお酒まで・・・下手な居酒屋より多分うちの冷蔵庫の方が豪華じゃないかな?
353: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 15:31:48.80 ID:ke+IH1ou.net
穂乃果「う〜ん・・・最初はこれ!」

花陽「どれにしたの?」

そう言いながら穂乃果ちゃんの手にしたお酒に目をやると・・・

穂乃果「これかよちゃんの名前が入ってるんだね!ラベルもカッコよくていい感じ!」

花陽浴山田錦純大の火入れ・・・今冷蔵庫に入ってる中では高額のお酒です。
まさか最初にこのお酒を選ぶなんて・・・4合瓶だし絶対飲みきっちゃうよね・・・。

花陽「・・・」

穂乃果「かよちゃん・・・?どうかした?」

花陽「な、なんでもないよっ」

一瞬だけ、本当に一瞬だけ穂乃果ちゃんに選ばせてしまったことに後悔を感じちゃいました・・・。
354: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 15:38:20.90 ID:ke+IH1ou.net
〜〜〜〜〜〜

テーブルにお料理を並べて、お互いにお酌して、グラスを持って穂乃果ちゃんと向き合います。

花陽「それでは・・・」

ほのぱな「かんぱ〜い♪」

二人で乾杯して、晩酌開始です♪

穂乃果「なにこれ美味しい!パイナップル?リンゴ?すっごくフルーティー!」チビチビ

そりゃそうだよ、花陽浴の最高峰だもん。

穂乃果「これならいくらでも飲めちゃうね〜♪」チビチビ

上機嫌な様子でどんどんお酒を飲み進める穂乃果ちゃん。

花陽「私も負けてられません・・・!」

飲みきってしまうとしても、せめてきっちり2合は飲まないと・・・
そう思って、私もお酒を口に含みます。

花陽「うぅ・・・やっぱり美味しい・・・」チビリ

生酒の時のようなフレッシュさ、鮮烈な甘さは無いけれど、やっぱり美味しい・・・
穂乃果ちゃんに負けじと、私もどんどんお酒を飲み進めていったのでした。
355: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 15:39:58.13 ID:ke+IH1ou.net
〜〜〜〜〜〜

あれからすぐに花陽浴は空になり、2本目は黒龍の大吟、そして今は3本目の腰古井の純大を飲んでいるところ・・・

穂乃果「う〜ん!これも美味しい♪スッキリしてるけど、ほんのり甘くてきれいな感じだね」チビリ

花陽「あはは・・・それはよかったよ・・・」チビリ

まさかストックしてあった高級酒を全部開けることになるとは思いませんでした・・・。
穂乃果ちゃん、もしかして結構お酒に詳しかったりするのかな?

穂乃果「さてさて、場の空気も温まってきたことだし・・・」

私のお財布は寒くなったけどね・・・。

穂乃果「そろそろかよちゃんの話でも聞かせてもらおうかな」

花陽「えっ、私の話?」

穂乃果「そりゃそうだよ、だって気になるもん!」

そして穂乃果ちゃんは

穂乃果「ねぇ、答え・・・見つかった?」

私にそう問いかけた。
356: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 15:45:22.52 ID:ke+IH1ou.net
花陽「・・・うん、見つかったよ」

穂乃果「そっか・・・それならよかった」

私の言葉に、穂乃果ちゃんはまるでその答えを知っているかのように穏やかな表情で微笑んだ。

花陽「この気持ちに気が付いてから、毎日が楽しいの。まるで白黒だった景色に、色が付いたみたいに感じるんだ」

寝ても醒めても、それこそ四六時中、考えているのは凛ちゃんのこと。
時々それで困っちゃうこともあるけれど、それも少し楽しく感じたりして・・・

花陽「こんな気持ち、初めてで・・・どうしてもっと早く気付けなかったんだろうって思っちゃう」

本当は最初から気付いていたのかもしれない。
臆病な自分は、それを見ようとしなかっただけなのかもしれない。

花陽「穂乃果ちゃん、私ね・・・」

穂乃果「うん」

穂乃果ちゃんは絶対に私の気持ちを馬鹿にしたりなんてしない。
そうわかっていても、その先の言葉はなかなか出てこなくて・・・
あの日、凛ちゃんがどんな気持ちで思いを言葉にしたのか、今ならわかる気がしました。

花陽「私・・・凛ちゃんのことが、好き・・・」

穂乃果「うん・・・よく頑張ったね、かよちゃん」

やっとの思いで言葉を搾り出した私の頭を、穂乃果ちゃんは優しく撫でてくれました。
357: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 15:48:42.51 ID:ke+IH1ou.net
〜〜〜〜〜〜

その後、穂乃果ちゃんには根掘り葉掘り凛ちゃんとのことを聞かれ・・・
気が付けば腰古井の瓶も空になっていました。

穂乃果「ふぅ・・・結構飲んだねぇ・・・」

花陽「うん・・・穂乃果ちゃんがこんなに飲むなんて思いませんでした」

また近いうちにお酒を買い足さないとなぁ・・・
なんて考えていたら、冷蔵庫に入っているとあるお酒の存在を思い出しました。

花陽「ねえ、穂乃果ちゃん。もうちょっと飲める?」

穂乃果「うん!まだまだいけるよ〜」

穂乃果ちゃんは拳を突き上げながら、そう答えます。
結構酔っ払ってるように見えるけど・・・ちょっとだけならいっか。

花陽「じゃあ、デザート代わりにこのお酒を飲みましょう!」

そう言いながら、私が冷蔵庫から取り出したのは、一風変わったこのお酒。
358: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 15:49:40.10 ID:ke+IH1ou.net
花陽「『玉川 Time Machine 1712』江戸時代の造り方を現代に復活させたお酒なんだ」

このお酒は、タイムマシーンの名の通り、時を越えて江戸時代の造り方で醸したお酒です。
山田穂や亀の尾が復活したり、速醸を廃止しきもと造りにこだわる蔵元が多くなったりと、昔の造りに近づけるのは現代日本酒のひとつのトレンドと言えるかもしれないね。

穂乃果「江戸時代のお酒って・・・なんだか渋くて美味しくなさそう・・・」

穂乃果ちゃんは疑いの目でこっちを見てるけど、きっとそんなことはありません!
日本酒は本来甘いもので、淡麗辛口は近代になって登場したものなんです。
なら、このお酒はしっかり甘いはず!

花陽「そんなこと言わないで、騙されたとおもって飲んでみて」

穂乃果「かよちゃんがそう言うなら・・・」

あまり乗り気じゃなさそうな穂乃果ちゃんのグラスに、琥珀色のお酒を注ぎます。
359: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 15:50:53.52 ID:ke+IH1ou.net
穂乃果「ほんとうに美味しいのかな・・・?」チビリ

恐る恐るといった感じで、お酒に口を付ける穂乃果ちゃん。
その表情が驚きに変わる瞬間を私は見逃しませんでした。

穂乃果「なにこれ・・・甘じょっぱくて美味しい!」チビチビ

花陽「・・・ね?美味しいでしょ?」チビリ

穂乃果ちゃんに続いて、私もお酒を飲む。
貴醸酒に近いカラメルのような濃厚な甘味、そして多量のアミノ酸から生まれる旨み。
その旨みはどこかお醤油のようにも感じられ、穂乃果ちゃんが甘じょっぱいと言うのも納得です。

穂乃果「これが江戸時代のお酒なんだね・・・ちょっと意外」チビリ

花陽「今でも十分通用するお酒だよね」チビチビ

そんな甘旨なお酒をチビチビと飲みながら、私たちの夜は過ぎていきました・・・。
360: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 15:52:04.88 ID:ke+IH1ou.net
〜〜〜〜〜〜

穂乃果「今日はごちそうさま〜、お酒もご飯も美味しかったよ」

花陽「ほんとうに大丈夫?一人で帰れる?」

結局あれからもう一本お酒を開けて・・・
穂乃果ちゃんは帰るって言ってるけど・・・大丈夫なのかな?

花陽「無理しないで泊まっていっても・・・」

穂乃果「心配してくれるのは嬉しいけど、さすがに泊まるわけにはいかないよ」

凛ちゃんのことを気にしてくれているのだろう、穂乃果ちゃんは靴を履きながらそう言って微笑んだ。

花陽「気をつけてね?夜道は危ないからね?」

穂乃果「大丈夫だって、もうかよちゃんは心配性だなぁ」

そう言いながらドアノブに手をかけた穂乃果ちゃん。
でも、何かを思い出したかのような表情でこっちを見て・・・
361: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 15:56:31.22 ID:ke+IH1ou.net
穂乃果「すっかり聞き忘れてたんだけど・・・かよちゃん、凛ちゃんに好きだって言った?」

花陽「え・・・?」

穂乃果「もしかして・・・」

ドアノブに手をかけたまま、ジトーっとした目でこっちを見る穂乃果ちゃん。

花陽「い、言ってないです・・・」

穂乃果「・・・かよちゃん、やっぱり今日は泊まっていくよ・・・」

花陽「う、うん・・・」

その後私は、「気持ちは言葉にしないと伝わらないんだよ!凛ちゃんの気持ちも考えてあげなきゃ!」
と、酔っ払った穂乃果ちゃんに小一時間お説教されることになったのでした・・・。


花陽編「タイムマシーン」 おわり
377: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 10:22:08.83 ID:G88e+mdH.net
花陽「はぁ・・・」

会社帰り、電車に揺られながら、私はため息を吐いていました。

穂乃果ちゃんに言われて気がついた。
そう、どんなに仲が良くたって、思いが通じ合っていると思っていたって、気持ちは言葉にしないと伝わらないんです。
そのことを、忘れていました。
自分の気持ちに気がついて、毎日が楽しくて・・・私は浮かれていたのかもしれません。

私の気持ちを凛ちゃんに伝える。
そう考えたときに、問題となる点はいくつかあって・・・

花陽(例え両思いだとしても、凛ちゃんが私の気持ちを受け入れてくれるとは限らない・・・)

凛ちゃんは私のことを好きでいてくれてる。それは間違いないことだと思います。
でも、だからといって、ずっと一緒にいられるかと言われれば、それは別の話なんです。

私も凛ちゃんも、女の子同士で・・・それは普通じゃないことだから。
そして、凛ちゃんはきっとそれをかなり重く受け止めている。

花陽(恋って、難しいな・・・)

なんて考えている間に、電車は最寄り駅に到着して
私は人並みに流されるように改札に向かっていきました。
378: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 10:23:21.88 ID:G88e+mdH.net
花陽「一杯、飲んで帰ろうかな・・・」

改札を抜けて階段を下りながら、そんなことを考えていました。
頭の中は悩みがグルグルと渦巻いていて、なんだか一人ではいたくない気分でした。

そして、結局私はこうして、このお店の前に立ってるわけで・・・

花陽「・・・心配かけちゃいけないもん!笑顔、笑顔!」

そう自分に言い聞かせて扉を開けると

「おう嬢ちゃん、久しぶりだな。今日も一人かい?」

花陽「あはは、いつも一人で来るのにそんな嫌味言わないでくださいよ」

カウンターの向こう側から笑顔の大将が出迎えてくれました。
なんとなく、このやりとりだけでも心が和らいだ気がして・・・
今日はこの居酒屋さんで一杯です。
379: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 10:26:08.68 ID:G88e+mdH.net
ここはお年を召した大将が一人で切り盛りしている小さな居酒屋さんで、最近よく通ってるお店なんです。
大将の出身地山形のお酒を中心に日本酒の種類も多いし、お料理も美味しいんだ。
・・・大将がマイペースだから、お客さんが多いとなかなか料理が出てこないこともあったりするんだけど、そこも含めてアットホームないいお店です。

「ほら、お通しだ」

大将がカウンター越しに大き目のお椀を差し出してくれます。

花陽「これは・・・」

「自家製のカラスミだ。ボチボチ使わないと新物の時期に在庫になっちまうからな、真空にして冷凍しといたのを出してみた」

花陽「カラスミなんて、季節外れですね」

「小娘が生意気言うな」

そう言いながら大将は子供みたいに笑います。
やっぱり誰かと一緒にいられて、話ができるって心地いい・・・
たったこれだけの、他愛の無い会話だけで、そう思ったりしました。
380: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 10:27:15.97 ID:G88e+mdH.net
〜〜〜〜〜〜

「嬢ちゃん、こいつは俺からのサービスだ」

花陽「え?サービス・・・ですか?」

お通しのカラスミをつまみに、秀鳳の純大超辛口を飲んでいたときのことです。
そう言って、大将がお酒の入った大振りのグラスを差し出してきました。

「ああ、なんだか元気がないように見えたからな・・・そいつを飲んで元気出せ」

花陽「私、そんな風に見えました・・・?」

おかしいな、ちゃんといつも通りのつもりだったのに・・・

「年寄りを舐めるんじゃねえよ。いいから、そいつ飲んでみろ」

花陽「じゃあ、いただきます・・・」チビリ

大将に促されるがまま、手渡されたお酒を口に含みます。
381: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 10:29:32.79 ID:G88e+mdH.net
花陽「これ・・・十四代、ですよね?でも、この味なんだか・・・」

感じられるのは、間違いなく十四代だと言える、メロンを彷彿させる甘い香りと旨み。
けれど、今まで飲んだことのある十四代のどれよりも優しくて深い味・・・。

「ああ、十四代だ。『十四代 純米吟醸 備前雄町 中取り』旨いだろ?」

そう言いながら大将は酒瓶を見せてくれます。
でも、雄町というのは少し意外で・・・

花陽「これ、雄町だったんですか?なんか私の思ってた十四代の雄町とは違うような・・・」

雄町は独特の渋味、そしてふくよかさのあるお米です。
その雄町らしさが、このお酒には感じられませんでした。

「実はな、こいつは1年寝かせた酒なんだ。今風に言うなら26BYってやつだな」

なるほど、雄町の渋味は寝かせることで旨みに変わる・・・
そういうことだったんですね。
382: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 10:31:11.13 ID:G88e+mdH.net
「なあ、嬢ちゃんよ。悩みがあるなら俺でも話し相手くらいにはなれる」

花陽「え・・・?」

珍しく大将が真面目な顔で私にそう言います。

「俺だって客商売してる身なんだ、常連に元気がなけりゃわかるもんさ」

花陽「そうなんですか・・・」

「俺もこう見えて嬢ちゃんよりも何年も長く生きてるんだ、他に客もいねえし、もしよければ相談には乗ってやる」

こう見えてって・・・どう見たっておじいちゃんじゃないですか。
なんて思いながら、私は自分の思いを話し始めていました。

花陽「私、好きな人がいるんです・・・」
383: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 10:32:10.10 ID:G88e+mdH.net
〜〜〜〜〜〜

それから私は、相手が女の子ということ以外、ほとんどのことを話していました。
きっと、自分自身ではどうしていいのかわからず、誰かに話を聞いて欲しかったんです。

「なるほどな・・・嬢ちゃんも恋するお年頃になったか・・・」

花陽「もう、私だって20代半ばなんですよ?」

まるで孫娘を見るような目で私を見る大将に、私は不満げにそういいます。

「はは、悪かったよ。だが嬢ちゃんがなぁ・・・あはは」

花陽「むぅ・・・」

それでも大将は笑ってて・・・もう、私は本気なのに・・・

花陽「茶化さないでください!これでも、私は本気で悩んでるんですよ!」

「はは、すまなかったな。でもな嬢ちゃん・・・」

「色恋に障害ってのはつき物なんじゃないのか?」

やっぱり笑いながら大将は私にそういいました。
384: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 10:34:38.06 ID:G88e+mdH.net
「昔の話になるけどな、俺もサラリーマンだったんだ。そして、脱サラして自分のやりたいことをやるために始めたのがこの店だ」

花陽「そうだったんですか・・・」

「そんでもって、今のかみさんにプロポーズしたのがその頃でな・・・そりゃ相手方には散々反対されたもんさ」

昔を懐かしむような表情で大将は話す。

「でもな、だからって離れられるわけじゃない。最後に大事なのは自分の気持ちなんだ」

花陽「自分の気持ち・・・」

「だから、嬢ちゃんがそいつのことを好きなら、どんなに周りが反対したって離しちゃいけねえ。いいか嬢ちゃん、大事なのは世間体なんかじゃない、相手の気持ちでもない、そいつを幸せにするって自分の気持ちなんだよ」

世間体も相手の気持ちも関係ないんだ、大事なのは自分の気持ち・・・
そう思ったら、心が軽くなった気がした。

「それで上手くいったら、ここに連れて来い。俺が直々に嬢ちゃんに見合うかどうか、品定めしてやる」

そう言いながら笑う大将は、お爺ちゃんなのになんだかかっこよく見えた。

花陽「うん、きっとその子をここに連れてくるね」

「ああ、俺はここで楽しみに待ってるさ。ふられたら慰めてやるから、また飲みに来い」

そう言いながら、大将は私のグラスにお酒を注ぎ足してくれた。
すこしこのお店の経営状況が心配になりながら、いつか凛ちゃんと一緒にここに飲みに来たいなと思ったのでした。


花陽編「十四代」 おわり
403: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 16:04:39.15 ID:xszQ65Ji.net
ガチャッ

花陽「ただいま〜・・・今日も暑かったね・・・」

仕事が終わり午後8時、ようやく安らぎの我が家に帰宅です♪

花陽「とりあえずエアコンつけてっと、ご飯が炊けるまでには・・・、まだ時間がありますね」

なら、やることはひとつ!
もちろん、仕事終わりの一杯です!
404: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 16:05:28.36 ID:xszQ65Ji.net
花陽「さて、今日も夏らしいお酒を飲もうと思います!」

もうすぐ夏も終わろうという、今日この頃・・・
やっぱり、夏酒は夏のうちに飲んじゃいましょう。
そんなわけで、今日はこの一本。

花陽「『花陽浴 純米大吟醸 さけ武蔵 直汲み』直汲みシリーズ最後のお酒だね」

美山錦、雄町、山田錦と続いた花陽浴直汲みシリーズも、このさけ武蔵の純大で最後になります。
来月からは火入れになるので、生の花陽浴は新酒の時期までお預けになるね。

花陽「あわせるおつまみは新子の酢締めです」

新子というのは、夏場に出回るコノシロの幼魚のことです。
コノシロは出世魚で、シンコ、コハダ、ナカズミ、コノシロと大きさによって呼び名が変わります。
スーパーで見かけることはほとんどないお魚だけど、外回りで築地の近くにいったので、買って来ちゃいました。

花陽「さて、さっそく下ろしていきましょう!」

小出刃を使って、ちっちゃな新子を丁寧に下ろしていきます。
これがなかなか難しいんですよね・・・

花陽「ふぅ、こんなもんでいいかな?」

全部開き終わったら、冷蔵庫で冷やしたお酢に飽和状態になるまでお塩を入れて、5〜8分ほど締めちゃいます。
本当は立て塩で締めてからお酢に漬けるんだけど、今日は失敗しにくいお手軽版でいっちゃいましょう。

うん!今日も楽しい晩酌になりそうです♪
405: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 16:12:11.90 ID:xszQ65Ji.net
花陽「さぁ、準備できましたよ♪」

青い酒瓶、綺麗に締まった新子、夏らしくていい感じだね。

花陽「このさけ武蔵の直汲みは夏向けに工夫して造られたみたいだね」

いつもの花陽浴とどう違うのか・・・ちょっと楽しみです。

花陽「それではお酒から・・・いただきます♪」チビリ

花陽「う〜ん!爽やかで美味しい!いつもの花陽浴よりもかなり酸味が強くなってるんだね。なるほど、これは確かに夏っぽい・・・」チビチビ

花陽浴はパイナップルに例えられることが多いけど、これは若いリンゴにみかんを一搾り・・・ってイメージです。
甘味よりも酸味が強く、すっきりした味わい・・・もしかしたら今までの花陽浴で一番酸っぱいんじゃないかな?

花陽「いつもの甘旨な花陽浴もいいけど、この酸味の立った甘酸っぱい花陽浴もいいですね・・・」チビチビ

違った魅力があって、どちらも捨てがたい味だと思います。
406: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 16:20:43.92 ID:xszQ65Ji.net
花陽「さてさて、今度は新子ちゃんも食べてみましょう!」

お箸で3枚ほどの新子を摘んで、ちょこんと山葵醤油を付けて口に運びます。

花陽「はぁ、いいですね・・・。魚とは思えないような口溶けの良さ、ほんのり感じるはかなげな旨み・・・江戸の人たちが夢中になるのも納得です」チビリ

新子はその昔、江戸っ子たちに大人気だったお魚なんです。
現在でも初夏の新物の時期には非常に高値で取引され、大間のマグロも真っ青な値が付くこともあるんだとか・・・。

花陽「もうこの時期になれば、値段も下がって庶民でも手の届く、コスパの良いおつまみだよね」

夏にしか味わえない、ちっちゃくて可愛いこのお魚。
年に一度は味わっておきたいですね。

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」
408: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 16:26:10.85 ID:xszQ65Ji.net
花陽「そういえば、今日も課長はひどかったです・・・」

私の課では、それぞれ担当している物品が違って、もちろん私と課長も違う品物を担当しています。

花陽「もちろん、自分で仕入れから売りまで全部管理してるんだけど・・・」

パソコンで在庫をチェックしていたら、自分の在庫に見覚えのないものが増えてるんですよね・・・。

花陽「おかしいと思って課長を問い詰めてみたら、仕入れたけど売れなかったから私のところに突っ込んだらしいんですよ・・・」

せめて一声かけてくれればいいのに・・・もう、ありえないですよ!

花陽「まぁ、仕方ないから私が売ったんですけどね・・・」

はぁ、思い出したらなんだかイライラしてきました・・・。

花陽「もう!こういう時こそお酒ですよね!課長のことなんて忘れましょう!」ゴクゴク

ああ、荒んだ心にお酒が染みる・・・。
409: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 16:28:03.54 ID:xszQ65Ji.net
花陽「はぁ、もうすぐ夏も終わりかぁ・・・」

気がつけばもうすぐ夏も終わり、残る予定は私の部屋で二人でお酒を飲むのみでした。

花陽「世間体よりも、相手の気持ちよりも、大事なのは自分の気持ち・・・」

凛ちゃんとの関係を、夏の間だけで終わらせないためにも、私はもう逃げるわけにはいかないんです。

花陽「待っているだけじゃダメなんだ、自分で気持ちを伝えなきゃ・・・」

そんな決意を持って、携帯電話を手にしました。

花陽「・・・あ、もしもし凛ちゃん?うん、あのね・・・週末のことなんだけど・・・」

臆病な自分には、もう負けない。

花陽「私の部屋じゃなくてね、凛ちゃんの部屋に行っても・・・いいかな?」


花陽編「花陽浴」 おわり
434: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:27:32.76 ID:HiSWa9ld.net
もうすぐ夏も終わろうという日の夕方。
視界の片隅に沈む夕日を感じながら、私は凛ちゃんの部屋の前に立っていました。

花陽「・・・大丈夫、きっと大丈夫」

ピンポーン!

そう自分に言い聞かせながら、呼び鈴を鳴らします。
するとバタバタと足音が近づいてきて・・・

ガチャッ

凛「かよちん、いらっしゃい!さ、入って〜」

勢いよく玄関のドアを開けて、凛ちゃんが出迎えてくれました。

そう、今日は二人で晩酌、夏の最後の夜です。
435: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:28:06.90 ID:HiSWa9ld.net
花陽「さっそくだけど、台所借りるね〜」

凛「どうぞどうぞ〜、何でも好きに使って」

部屋に入ると、早速お料理の準備です。
ほとんどのものは下処理を済ませてあるから、あとは切ったり焼いたり、簡単な作業だけだね。

花陽「やっぱり人の家の台所って新鮮な感じ・・・」

何回かここでお料理をしたこともあるけれど、やっぱりなんだか不思議な感じがします。
ガスの加減も、フライパンの重さも、包丁の切れ味も、何もかもが自分のものとは違うんです。

花陽「なんだかこうしていると、通い妻って感じでいいかも・・・」

こうして慣れない台所でお料理をしていたら、そんなことを考えてしまったりして・・・
一人、包丁を握りながら頬が緩んでしまったのでした。
436: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:29:01.98 ID:HiSWa9ld.net
〜〜〜〜〜〜

花陽「うん、これでお料理は全部できたよ」

凛「こっちも準備できたにゃ〜♪」

凛ちゃんの声につられてテーブルを見ると、そこには以前私がプレゼントした青い硝子の酒器が並べられていました。
ビールグラスも缶も出てないし、今日は凛ちゃん最初から日本酒なのかな?

凛「ねえ、かよちん。凛、お酒用意してあるんだけど・・・最初はこれを飲んでもいい?」

そう言いながら、凛ちゃんが冷蔵庫から酒瓶を取り出します。
その酒瓶はなぜか布に包まれていて・・・

花陽「いいけど・・・布は外さないの?」

凛「うん、銘柄は後のお楽しみだよ」
437: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:29:57.34 ID:HiSWa9ld.net
ブラインドテイスティング、ワインなどでよく使われるテイスティングの手法です。
主に、銘柄当て勝負や、複数銘柄の順位付けに用いられますが、メッセージ性の強いお酒の名前を意図的に隠すということもあります。
日本酒はワインとは違って、銘柄や産地におけるエピソードは多くありません。
でも、もしかしたらこのお酒に凛ちゃんの真意が隠されてるかもしれない・・・そう思ったら提案に乗ってみたくなりました。

花陽「ブラインドってやつだね。銘柄を当てればいいの?」

凛「いや・・・そういうわけじゃないんだけど・・・」

私の言葉に、少し戸惑った表情の凛ちゃん。
その顔を見て、俄然このお酒の正体に興味がわきました。

花陽「でもせっかくブラインドなんだから、出来れば当てたいかも。よぉし、頑張ります!」

凛「あはは・・・」

がんばるぞ!とポーズをとる私を見ながら苦笑いの凛ちゃん。
絶対にこのお酒の銘柄を当ててみせるからね!
438: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:30:52.48 ID:HiSWa9ld.net
花陽「じゃあさっそく」

りんぱな「かんぱーい♪」

そして、二人で席についてまずは乾杯。
利き酒の基本、まずは香りから・・・。

花陽「バナナ・・・ラムネ・・・イソアミル系だよね・・・」

凛「そんな必死にならなくてもいいのに・・・」チビチビ

バナナ系の香りにほんのりラムネの爽やかさ・・・酢酸イソアミルのものです。
最近飲んだお酒で最も近いのは、正雪・・・だよね。

花陽「味はどうなんだろう・・・」チビリ

口に含んで感じられるのは、かなり強めの酸味、甘味は控えめで、スッキリきれる辛口。

花陽「・・・あれ?思ったより酸味が強い・・・甘味は酸味を引き立てる程度かな?香りは正雪の吟醸かと思ったんだけど・・・違うよね」チビチビ

正雪はもっと甘味と酸味のバランスがよかったよね・・・でもこのお酒は違う。

花陽「残草蓬莱、咲耶美はもっと甘いし・・・」チビリ

なにより頭に浮かんだどのお酒にも、わざわざブラインドで飲ませるようなメッセージ性は思い当たりませんでした。
439: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:31:30.53 ID:HiSWa9ld.net
メッセージという面で、最初に思い浮かんだのは、賀茂金秀夏の想い出。
でもあのお酒はもっと甘かったはず・・・。

花陽「・・・」チビチビ

そんなことを考えながらお酒を飲んでいたときのことでした。
テーブルの上に置かれたままの、スクリューキャップの絵柄が目に入りました。
ちょっと卑怯かもしれないけど、それを見たらわかっちゃったんです。

花陽(そっか・・・それが凛ちゃんの気持ちなんだね)

銀のキャップに描かれた松の絵柄。
確かにこのお酒は、私たちにぴったりのものかもしれません。
440: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:32:37.63 ID:HiSWa9ld.net
花陽「凛ちゃん・・・これが凛ちゃんの気持ちなの?」

凛「え・・・?」

花陽「ひと夏の恋・・・それが凛ちゃんの答えなの?」

私の言葉に、凛ちゃんは驚いたような表情だった。

凛「・・・すごいね、こんなのがわかるなんて思わなかったよ」

そして、凛ちゃんが瓶に巻かれた布を外します。
やっぱり、その布に隠されていたのは愛宕の松ひと夏の恋。

凛「これが、凛の気持ち。恋人でいられるのも今日で終わり・・・」

花陽「・・・」

それが凛ちゃんの本心なら・・・
きっと以前の私ならそう思っていたことでしょう。
でも、今日は・・・今日だけは・・・

花陽「ねえ、凛ちゃん。最後に私のわがまま・・・聞いてもらってもいいかな?」

凛「わがまま・・・?」

花陽「うん、凛ちゃんと一緒に、飲みたいお酒があるの」
441: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:33:27.26 ID:HiSWa9ld.net
〜〜〜〜〜〜

花陽「『AKABU SEA 純米』これが凛ちゃんと一緒に飲みたかったお酒」

私が鞄から取り出したのは、とても綺麗な青い瓶。
ラベルのデザインもお洒落な感じで、まるでワインのように見えるボトルだった。

凛「きれいな瓶だね」

花陽「でしょ?私もこの瓶に一目惚れして買ってきたんだ」

そう言いながら、二人分のグラスにお酒を注ぐ。

花陽「それじゃあ・・・」

りんぱな「かんぱい・・・」

二人で静かに乾杯して、お酒を飲みます。
透明感のある甘味、ほんのり感じるパイナップルのような果実感、そして微かに感じるガス・・・美味しいお酒です。

凛「美味しいね・・・」

花陽「うん。美味しいよね」

凛「でも、どうしてこのお酒を・・・」

こうして飲んだだけでは、ただの美味しいお酒。
凛ちゃんが疑問を感じるのは普通のことでした。
442: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:33:59.45 ID:HiSWa9ld.net
花陽「このお酒を造る赤武酒造さんはね、もともと岩手県の沿岸部、大槌町にあった酒蔵さんなんだ」

凛「岩手の沿岸ってことは・・・」

花陽「うん、東日本大震災のときの津波で、被害を受けた場所だね」

このお酒を造る赤武酒造さんも、津波で蔵を流され壊滅的な被害を受けたそうです。

花陽「でも、その被害から立ち直って、いろんな人たちの協力を得ながら、盛岡で醸したのがこのお酒なんだ」

盛岡復活蔵、大きな困難に打ち勝って復活を遂げた現在の赤武酒造さんの象徴とも言える場所です。
その蔵での生産も軌道に乗り、主力銘柄である浜娘は以前と変わらず全国のファンを楽しませています。

凛「すごいお酒なんだね・・・」

花陽「うん、すごいよね。逆境に打ち勝って、こうしてまたお酒を造ってる・・・でもね、それだけじゃないの」

そう、このお酒の一番の凄いところ。
それはもっと別のことなんです。
443: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:34:57.15 ID:HiSWa9ld.net
花陽「ねえ、凛ちゃんは日本酒ってどんな人たちが造ってると思う?」

凛「日本酒を造ってる人?やっぱり、腕利きの職人さんなんじゃないの?」

花陽「やっぱりそう思うよね。でもね、このお酒は違うんだ。大学卒業からまもなく蔵元杜氏となった、私たちよりも年下の子が造ってるお酒なんだよ」

このお酒の蔵元杜氏は、若干24歳、そしてその蔵元を中心としたこのお酒を醸すチームは、平均年齢20代なんです。

花陽「いくら才能があるとはいっても、やっぱり日本酒業界は職人の世界だから・・・きっと普通じゃないことだと思う」

凛「確かに、普通じゃないよね」

花陽「でもね、だから私はこのお酒を選んだの・・・その人たちが造った挑戦のお酒、このお酒には勇気をもらえる気がしたから・・・」

常識から外れたことをする、新しい挑戦をする、それはとても強い決意と、そして勇気のいることです。
きっとこのお酒は、それを乗り越えて・・・いいえ、乗り越えようとしながら造られたものだと思います。

花陽「ねえ、凛ちゃん」

凛「何・・・?」

私がこのお酒に込めたのは、自分自身へのメッセージ

花陽「私、凛ちゃんのことが好き」

普通じゃなくても、こんなに素晴らしいものを造れるんだって・・・。
444: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:36:13.92 ID:HiSWa9ld.net
凛「かよちん・・・」

花陽「凛ちゃんのことが好き。ずっと一緒にいたいの、夏だけなんて嫌なの!」

凛ちゃんを見つめて、そう気持ちを言葉にします。
ようやく気付けて、やっと言うことができた・・・これが私の気持ち。

凛「・・・帰って」

でも、凛ちゃんから返ってきたのは、暗くて冷たい声。

花陽「帰らないよ」

凛「かよちん、きっと疲れてるんだよ・・・」

花陽「そんなことないよ、私まだまだ元気だもん」

凛「かよちんは優しいから、きっと凛に同情してそんなこと言ってるんだよ」

花陽「ううん、これが私の本当の気持ち。気の迷いでも同情でもないよ」

凛「だから一度帰って頭冷やしたほうがいいよ。きっとそしたら考えも変わるって」

花陽「変わらないよ。だって私は・・・」

凛「帰ってって言ってるの!!」

凛ちゃんの激しい口調に、足が竦む思いだった。
445: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:36:52.09 ID:HiSWa9ld.net
花陽「・・・」

でも、ここで逃げ出してしまったら、何も変わらない。
決めたんだ、臆病な自分からはもう逃げないって。

花陽「帰らないよ。凛ちゃんにちゃんと話を聞いてもらうまでは」

だから、ここで退くわけにはいかないんだ。

凛「かよちんはわかってないんだよ・・・たとえ両思いだって、きっと幸せになんてなれっこないんだよ?」

花陽「私が凛ちゃんを幸せにするよ」

凛「きっと・・・たくさん辛い思いをすることになるんだよ?」

花陽「凛ちゃんと一緒だったら、大丈夫」

凛「凛もかよちんも・・・普通じゃないって、言われちゃうよ?」

花陽「私は構わないよ、普通じゃなくても」

私にそう反論しながら、凛ちゃんの瞳からは今にも涙が溢れそうだった。
446: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:37:34.01 ID:HiSWa9ld.net
花陽「なにがあったって、どんなに辛くたって構わない・・・私はそれでも凛ちゃんと一緒にいたいの」

そしてついに溢れたその涙を、私は手を伸ばして拭う。

花陽「だって、私は凛ちゃんが大好きだから」

緊張も、不安も、なにも無い。
自分の中にあるのは、凛ちゃんのことを好きと思う気持ち、そしてそれを伝えたいと思う気持ち。
私は笑顔で、自分の気持ちを言葉に出来ました。

凛「・・・たくさん、甘えちゃうかもしれないよ?」

花陽「むしろ大歓迎だよ」

凛「・・・毎日、泊まりに行ってもいい?」

花陽「うん、私も毎日凛ちゃんと一緒がいい」

凛「仕事中も電話しちゃうかも」

花陽「それはちょっと困るけど・・・少しだけなら」

凛「・・・やっぱり帰って」

涙でクシャクシャになりながらも、どこかふてくされた顔をする凛ちゃんがたまらなく可愛くて・・・私は思わず凛ちゃんを抱き寄せた。
447: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:38:07.94 ID:HiSWa9ld.net
花陽「ごめんね・・・でも、帰らない」

凛「かよちんのいじわる・・・」

そう言いながら背中に回された凛ちゃんの腕は、痛いくらいに締め付けてきて・・・
こんな華奢な体のどこにそんな力があるんだろうって思っちゃう位だった。

花陽「もう、凛ちゃん・・・ちょっと痛いよ・・・」

凛「ごめん・・・でも、こうしたくて・・・」

花陽「うん・・・いいよ・・・」

凛「絶対・・・ずっと一緒にいてね?勝手にいなくなったりしたら、凛泣いちゃうから・・・」

花陽「うん、凛ちゃんこそ、ずっと一緒にいてくれなきゃ嫌だよ?」

そう耳元で言葉を交わしあいながら、私たちはしばらく互いを抱きしめあっていました・・・。
448: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:38:36.56 ID:HiSWa9ld.net
〜〜〜〜〜〜

いくら好き同士でも、いつまでも抱き合ってるわけにはいかないもので・・・
あれからしばらくして、私たちは離れたわけだけど・・・。

凛「・・・」

花陽「・・・」

凛ちゃんの頬には涙の跡、私も自分の言っちゃった言葉を考えるとちょっと恥ずかしかったりして・・・
なんだかとっても照れくさくて、気まずい雰囲気でした。

花陽「・・・ねぇ、凛ちゃん」

凛「・・・なに?かよちん」

こんな気まずい雰囲気を取っ払うには、やっぱりあれが一番だよね・・・?
そう思って私が手にしたのは、テーブルの上に置かれたままになっていた、まだ中身の残った青い瓶。

花陽「とりあえず・・・もう一杯、お酒飲まない?」

そう言っておどけてみせる私を見て、凛ちゃんは仕方ないといった感じの笑顔を見せてくれました。
こうして、私たちの夏の最後の夜は過ぎ、新しい季節を迎えることになったのでした・・・。


おわり
449: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:39:06.73 ID:HiSWa9ld.net
凛編後日談


穂乃果「じゃあ、凛ちゃんまたね〜」

凛「うん、またね〜」

日曜日の明け方、始発間際の時間。
改札に入り逆方向のホームに向かう穂乃果ちゃんに別れを告げる。

凛「これからまた遊びに行くなんて・・・穂乃果ちゃんは凄いにゃ」

昨日の夜から今まで・・・つまりは一晩中、穂乃果ちゃんと一緒にお店を梯子してお酒を飲んでいた。
酔いと眠気で体はふらふらとしていて・・・とても凛にはこれからどこかに遊びに行く元気なんて残ってない。
部屋に戻れば、シャワーも浴びずにベッドに一直線だと思う。

そんなことを考えながらホームへの階段を上っていると、始発列車はやってきていて・・・凛は慌てて電車に乗り込んだのでした。
450: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:40:01.38 ID:HiSWa9ld.net
凛「座ると寝ちゃうから立ってなくちゃ・・・」

そう思って、締まったドアに背を預けながら窓の外の景色に目を向ける。

凛「もう夏だなぁ・・・」

この間まで寒い季節だと思っていたのに、気がつけばもうすっかり日が昇るのも早くなり、夏目前といった感じだった。
かよちんと一緒に過ごしたあの夏から、もう一年が経とうとしていた。
あれから凛たちがどうなったかというと・・・もう半年以上も顔を合わせていない。

あの後すぐにかよちんの転勤が決まり、送別会で顔を合わせたのが最後だった。
今でも月に一度は近況報告のメールが来るけれど、返信をしたことは一度も無かった。

凛「あれから一年かぁ・・・」

今でもあの日のことを思い出すと、胸が痛む。
けれど、自分の選んだ答えが間違っていたとは思わなかった。
451: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:40:40.69 ID:HiSWa9ld.net
〜〜〜〜〜〜

電車に揺られること数十分、最寄の駅に到着して、電車を降りる。

電車の中で考えていたのはかよちんのこと・・・。
抱きしめたときの柔らかい感触も、唇から漏れる吐息も、思い出してしまったのはきっとお酒を飲みすぎたせいだろう。

「凛ちゃん」

ふら付く足で改札を抜けたとき、かよちんの呼ぶ声が聞えた気がした。

凛「あはは・・・ほんと飲みすぎちゃったみたい・・・」

幻聴が聞えるなんて、これからはお酒を控えなきゃ・・・
なんて思いながら足を進めていると、後ろから腕を誰かに掴まれた。

「もう、凛ちゃん!無視するなんて酷いよ」

凛「かよ・・・ちん?」

振り返ると、凛の腕を掴んでいたのはここにいるはずのないかよちんだった。
452: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:41:32.81 ID:HiSWa9ld.net
凛「え?なんで?なんでかよちんがいるの?」

まさか幻覚でも見てるのかな・・・なんて思ってそう口にするけれど、目の前にいるのは紛れも無くかよちん本人だった。

花陽「穂乃果ちゃんから電話があったの、凛ちゃんが始発で帰るから迎えにいってあげてって」

凛「そうだったんだ・・・いやいや、そうじゃなくて・・・」

そうだよ、かよちんは転勤になって、もう東京にはいないはずで・・・

花陽「実はね、夏の間の助っ人でこっちに呼ばれたんだ。だから、繁忙期が終わるまでは、また東京勤務だよ」

凛「そうなんだ・・・」

花陽「ねぇ、凛ちゃん。去年、私は凛ちゃんのわがままに付き合ったよね?」

凛「う、うん・・・」

花陽「だったら、この夏は私のわがままに付き合ってもらうから・・・」

酔いで朦朧とした意識の中で、これだけはたしかにわかることがあった。
また、二人で一緒にいられる夏が始まるんだ・・・。


凛編後日談 おわり
453: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:43:40.12 ID:HiSWa9ld.net
かよちん達に飲んでもらったお酒のまとめです。
味の分類はかなりいい加減ですがご容赦ください。


日本酒

辛口
北雪 超大辛口清酒
土佐鶴 特別本醸造 超辛口
大信州 純米吟醸 超辛口
くどき上手 黒ばくれん
越乃景虎 超辛口
花泉 本醸造 辛口
人気一 ウルトラマン基金 純米総攻撃
秀鳳 特別純米 美山錦 超辛口
千代寿 大虎 大辛口純米
夏子物語 吟醸
黒龍 純米大吟醸酒 吟風
磯自慢 中澄み 大吟醸
雪の茅舎 大吟醸
刈穂 山廃純米 無濾過生原酒 超弩級 気魄の辛口
正雪 大吟醸 斗瓶取
愛宕の松 純米吟醸 ひと夏の恋
454: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:44:06.69 ID:HiSWa9ld.net
普通
奥の松 特別純米
凛 生原酒
まんさくの花 特別純米
醸し人九平次 human 純米大吟醸 2014
五凛 山田錦 純米酒(火入れ)
獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分
十四代 純米吟醸 愛山 中取り
十四代 純米吟醸 播州白鶴錦
出羽桜 桜花吟醸 さらさらにごり
越乃景虎 本醸造 にごり酒
玉乃光 酒魂 純米吟醸
腰古井 米香る純米 呑呑 無濾過生原酒
ひこ孫 純米吟醸 小鳥のさえずり
新政 瑠璃 2015
羽根屋 純米吟醸プリズム Pink Label 究極しぼりたて
五橋 純米 生酒
青煌 純米吟醸 山田錦
屋守 純米中取り 無調整生 仕込み十九号
455: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:45:49.96 ID:HiSWa9ld.net
やや甘口〜甘口
花陽浴 純米吟醸 さけ武蔵(飲み比べセットより)
花陽浴 純米吟醸 八反錦 おりがらみ
花陽浴 純米吟醸 八反錦 瓶囲無濾過生原酒
花陽浴 純米吟醸 雄町 おりがらみ
花陽浴 純米吟醸 雄町 直汲み
花陽浴 純米吟醸 山田錦 瓶囲無濾過生原酒
花陽浴 純米吟醸 山田錦 おりがらみ
花陽浴 純米吟醸 山田錦 直汲み
花陽浴 純米大吟醸 美山錦 瓶囲無濾過生原酒
花陽浴 純米大吟醸 美山錦 直汲み
花陽浴 純米大吟醸 山田錦 瓶囲無濾過生原酒
花陽浴 純米大吟醸 山田錦 おりがらみ
花陽浴 純米大吟醸 さけ武蔵 瓶囲無濾過生原酒
花陽浴 純米大吟醸 さけ武蔵 直汲み
正雪 純米吟醸
正雪 純米大吟醸 吟ぎんが 生原酒
風の森 純米 夏のALPHA
風の森 純米大吟醸 ALPHA TYPE2
豊醇無盡たかちよ 扁平精米無調整夏生原酒 純米大吟醸 Summer Blue
豊醇無盡たかちよ 扁平精米無調整 生原酒 おりがらみ本生 SEVEN
十四代 角新 純米吟醸 本生
十四代 純米吟醸 備前雄町 中取り
新政 貴醸酒 陽乃鳥
新政 白麹仕込純米酒 亜麻猫
五橋 five ブルー 純米吟醸生酒
五橋 純米生原酒白麹 96
五橋 純米 桃色にごり
上善如水 純米 白こうじ
上善如水 スパークリング
雪ほのか 純米吟醸 初しぼり 無濾過本生 おりがらみ
賀茂鶴 純米吟醸 にごり
尾瀬の雪どけ 純米大吟醸 桃色にごり
天弓 純米吟醸 桜雨
射美 WHITE
八海山 貴醸酒 2014
いづみ橋 とんぼラベル 3号
獺祭 発泡にごり酒 スパークリング50
一ノ蔵 発泡清酒 すず音
紀土 -KID- 純米大吟醸
るみ子の酒 きもと仕込み純米貴醸酒 おめかし
玉川 Time Machine 1712
AKABU SEA 純米
456: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:47:01.97 ID:HiSWa9ld.net
ウイスキー
I.W.ハーパー
ニッカ フロム・ザ・バレル

ビール
キリン 一番搾り とれたてホップ
御殿場高原ビール ヴァイツェン
箕面ビール ゆずホ和イト
COEDO 瑠璃
BLUE MOON

焼酎
島美人 原酒 35度

ワイン
Saint-Michel Sauternes 2012
457: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 15:47:49.72 ID:HiSWa9ld.net
いままで長い間酒飲みの駄文にお付き合いいただきまして、ありがとうございます。
今回で一応の完結になります。
内容を詰め込みすぎてしまって、いつもとは違うSSみたいになってしまいました。申し訳ありません。
後日談の方もお粗末な出来で申し訳ございません。
そのうちまた何か書くかもしれませんが、そのときは生温かい目で見てやってください。
スポンサーリンク

シェアする

フォローする

『花陽(26)「夏のはなよ酒」』へのコメント

コメントの投稿には初回のみDisqusへのアカウント登録が必要です。Disqusの登録、利用方法を参考に登録をお願いします。
表示の不具合、カテゴリーに関する事等はSS!ラブライブ!Disqusチャンネルにてご報告下さい。