【ss】絵里「海未のにおい」

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うみえり-アイキャッチ4
2: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:13:42.32 ID:zyxq7NeE.net
「…り……えり、起きてください…」

彼女の凜としたアルトと揺さぶりで、私は目を覚ます。この娘はしっかり者だから、毎朝きっかり同じ時間に起きるし、それは必ず私よりも早い時間。幼い頃からの習慣なんだそうだ。でもごめんなさい、私はあなたみたいに、朝からしゃんとしてはいられないの。

「…やだ…あと1時間…」
「もう…」

吐かれた大きな溜息に渋々薄目を開けてみれば、ぼんやり見えるのは困り顔(だと思う)の海未。彼女に起こされるのはいつものことだけど、その度にこんな顔を見せられるのもいつものこと。

…やだ、これじゃ私が悪いみたいじゃない。悪いのはこの心地いい朝とお布団と、土曜日を迎えてしまったこの世界よ。

「これでは穂乃果のことをとやかく言えませんね」
「いいじゃない、お休みなんだもの…」

普段はもうちょっとしっかりしてるつもり。講義に寝坊したことはほとんどないし…それに、よく見たら海未だってまだ寝間着じゃない。
それなら…ふふ。

「あぁ、やっと起きましたか」

…そのちょっとホッとした顔も可愛らしくて、ほんの少しだけ胸が痛むけれど…今は無視させてもらうわね。

元スレ: 【ss】絵里「海未のにおい」

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4: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:14:09.73 ID:zyxq7NeE.net
「…うーみっ♪」
「え、きゃ…っ!?」

海未の華奢な体に抱きついて、そのまま引き倒す。あとはもう一度、羽ふとんを被ってしまえば…

「ふふ、おやすみ…」
「え、絵里!もう、せっかく起きたと思ったら…!」
「お願い…あと少しだけ…」

そう一言だけ呟いて、細い腰をぎゅっと抱きしめてみる。

「…仕方ないですね…本当に、あと少しだけですよ?」

ほら、やっぱり。
諦めたような微笑みで抱き返してくれる海未は、やっぱり私には甘い気がする。そのご好意に甘えて、今日だけはゆっくりさせてもらいましょうか。

…多分、来週も同じようなこと考えるんだろうけど。
6: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:14:38.12 ID:zyxq7NeE.net
「すぅ…」

ああ、いいにおい。
上手く表現するのは難しいけれど、私は海未のにおいがとても好き。最初こそ嫌がっていた彼女も、胸に顔を埋めている間、頭を撫でてくれるようになった。これが、たまらなく心地良いのよね。

こういうお休みの日の朝なんかは、海未のにおいの他にも、違うにおいが混じっていることもある。今日は…

「…玉子焼き?」
「ふふ、正解です」
「…やった」
7: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:15:09.18 ID:zyxq7NeE.net
「…あの、寝ていたいのもわかりますけど…そろそろ起きてくれませんか?」
「…もうちょっと…あと1時間…」
「さっきも1時間って言ったじゃないですか」


さすが私の彼女、かしこいわね。でも、決定的な無知が一つ。海未に包まれながら潜る朝のお布団の気持ちよさ。知ってしまえばもう抜け出せない甘い罠。あなたにはきっと、生涯理解できないのでしょうね。


「…いいでしょ、お休みなんだから…」
「それもさっき聞きました」
「…」


頭上から降ってくる、ちょっと呆れたような溜息。溜息なら、私だってさっき聞いたわよ。…これは言っちゃうと、本気で怒られそうだから言わないけれど。
8: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:15:39.58 ID:zyxq7NeE.net
「もう、絵里…」
「なに…?ちょっと拗ねたような声もかわいいわよ…」
「…変なこと、言わないで下さい」


いたっ。軽く叩かれた…声に出ちゃってたみたい。


「だって…こんなにいい天気なんですよ?せっかくだし、カバーやシーツも洗濯してしまいたいじゃないですか」
「…あ、そういう理由なの」
「い、いえ、それだけではありませんが…」


不意に頬をはさまれて、少しだけ強引に顔を上げさせられる。…ふふ、やっぱり拗ねた顔してるじゃない。


「…今日はもともと、一緒に出かけようと約束していたでしょう?」
「…大丈夫。ちゃんと覚えてるわよ」


忘れていた訳じゃない。いつもはしっかり者の海未が、私だけの前では少しだけ幼く、甘えん坊になる。そんな姿がたまらなくかわいくて、ついこうやってからかいたくなってしまうの。…もう少し寝ていたいのも、本音ではあるけれど。
9: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:16:06.90 ID:zyxq7NeE.net
「…分かってるなら、起きてくれてもいいじゃないですか」

ぶぅ、と頬を膨らませて拗ねる海未が子供みたいで、くすりと笑みが零れるのを止められなかった。
なにを笑ってるんですか、なんて少し照れながら怒ったような表情を取り繕うけれど、本当は海未の方こそこの状況を楽しんでいるのを知っているから、余計に笑いが止まらなくなる。本当に、私はこの娘に弱い。

「…あんまりからかうと、朝ご飯の玉子焼き、出してあげませんよ?」
「…えっ」
「というか、冷めてしまうから、早く起きてほしかったのですけど…」

そう言ってから、少し目を細めて悪戯っぽい笑みを浮かべた。…まずい。

「せっかく腕によりをかけて、絵里の好みに合わせて作ったんですけど…そうですね。お休みですし、もう少し寝るのもいいかもしれません」
「えっと、そうじゃなくて」
「食べないのは勿体無いですし、どうせなら穂乃果の所にでも持って…」
「…起きます」
10: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:16:53.11 ID:zyxq7NeE.net
…やられた。
付き合い始めた当初は、いつだって私がリードしていた。でも、頭のいい海未はそのうち私からどんどん学習してしまい、今では時折こうしてやり返してくることさえある。


「ふふっ、おはようございます、絵里。さあ、朝食にしましょうか」


私をうまく言いくるめてしまった時の海未は、なんだかとっても嬉しそう。そんな彼女を見ていると、まあいいか、なんて思ってしまうから、私も大概よね。


本当に、私はこの娘に弱い…。
11: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:17:26.58 ID:zyxq7NeE.net
…………………


重いガラス戸を押し開けてみれば、くすんだ木の色をあらゆる煌めきが彩る小さな空間。アンバランスなようにも見えるけれど、クリスマスのイルミネーションを想起させるような明るさを持っていて、来るたびに年甲斐もなくわくわくしてしまう。

ここは、私の行きつけのアクセサリーショップ。来るのはちょっと久しぶりだけど、私が趣味のものを揃える時は、いつもここ。

「わぁ…」
「…そっか、海未は来るの、初めてだったっけ」
「は、はい」

普段、あまり派手なものや装飾品は好まない海未は、このお店の雰囲気に気圧されちゃってるみたい。

「ふふっ、そんなに怖がらなくたって何もないわよ」
「す、すみません…」
12: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:18:43.88 ID:zyxq7NeE.net
最初、海未がここに来たいなんて言い出した時は、私だってびっくりした。どういう風の吹き回しなのかな、なんて思ったりして。


無頓着、とまでは言わないけれど、高校生の頃の海未は、あまりお洒落に気を使ったりする方ではなかったのは確か。
でも、私と同じ大学に来てくれて、当然私服を着る機会も増えて。それから、卒業後に留学したことりが、どうやら行く前に何かを言い残したようでもある。それらの影響で、少しずつ服を揃えたりしはじめたみたい。


「さ、始めましょう。おいで?色々教えてあげるわ」
「は、はい!よろしくお願いします…」
「もう、なんでそんなに固くなるのよ」


緊張すると、いつもこうだ。育ちの違いのせいか、海未は私といると、初めて経験することが何かと多いようだ。その度に少し不安そうな目で私を頼ってくれる。
そういういつも初々しいところもかわいくて仕方ないのだけれど、始めてしまえばとても楽しそうな笑顔を見せてくれるから、海未に新しいものを教える時は、私自身楽しくて仕方がない。
13: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:19:10.34 ID:zyxq7NeE.net
今日の海未は、モノトーンチェックの膝丈スカートに襟付きの白いシャツ、重ねた薄いクリーム色のセーターに深緑色の春コート、といった出で立ち。それから、綺麗な黒髪はゆるく結んで、それを胸の前に流していた。
春らしく、また海未らしく清楚で、とても似合っていると思う。ただ…


「…今日の服装は正直、アクセサリーなしで成立してる組み合わせなのよね。それに合わせるアクセって、少し難しいかも…」
「そ、そうなのですか?すみません、何も考えず…」
「謝らなくていいわよ。別に今の服でしか着けられないわけじゃないし、この際だから汎用性の高いものを選びましょう?」


そう、別に今日に限ったことでなくてもいい。海未は元々綺麗な顔立ちと均整のとれた身体を併せ持つ逸材だ。
なのに、可愛らしさとか、女の子らしさというものを避けてしまいがちだから、私としては昔から歯がゆく思っていたところ。まあ、それもまた恥ずかしさから来るものだし、そんな所も可愛いんだけど。
14: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:19:42.70 ID:zyxq7NeE.net
だけど、こうして私の趣味に歩み寄ってくれたのは単純に嬉しいし、何より女の子が自分を磨くのは、とても素敵なことだと思う。海未が今よりももっと素敵になってくれるなら、私は協力を惜しまないわ。


何を言ったのかは想像しかできないけれど、ことりには感謝しなくちゃいけないわね。


「…普段使うなら、シンプルなデザインの方がいいわね…ねぇ海未、この中で、気に入ったデザインのトップってある?」


本人の意志も大事だと思って、すぐ横の海未に聞いてみた。


「…あ、はい…!そ、その…」
「…?どうしたの?」
「…」


何か考えごとをしていたみたい。…変なこと言っちゃったかと思って、少しうつむき気味の海未の顔を覗いてみる。
15: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:20:09.81 ID:zyxq7NeE.net
「…な、なんですか?」


海未の表情が見えた途端、私はすぐに目を逸らした。だって、うつむいていた海未は困り顔で、少しだけ頬も赤くなっていて。海未がこの後何を主張したいのかが一瞬で分かってしまって、自分の表情が緩むのを抑えられる気がしなかったんだもの。


「ふふっ、海未こそなによ。何もしてないのに、変に照れちゃって…」
「そ、それは…」
「くすくす…で、なぁに?」
「…ずるいです、分かってるくせに」
「どうかしらね?ちゃんと言ってくれないと、エリチカわからないわ」


ちょっと意地悪が過ぎるかしら?あまりイジりすぎると今度は拗ねちゃうから、程々にしておかなくちゃいけない。


「…あの」
「んー?」
「え、絵里に…」
「うん」
「…絵里に、選んでほしい、です…私に、いちばん似合う、もの」


…。
ハラショー。ハラショーよ、海未。内容は予想通りだったけれど、言い方と、言った後にもっと赤くなって俯いちゃう所とか、最高にかわいいわ。こんなかわいい姿を見られるのがこの世で私1人だなんて、なんて贅沢なのかしら。


「ふふっ、任せて。とびっきりのを選んであげるから♪」


かわいい恋人にこんなこと言われて、気合が入らないはずがない。私も世の中の恋人の例に漏れず、海未のリクエストに応えるべく、さらに目を輝かせてアクセトップを探し始めた。
…予想外だったのは、ここからだった。
16: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:20:42.22 ID:zyxq7NeE.net
「シンプルなデザインの代表格って言えば、やっぱりクロスか、花か…海未なら、どっちでも似合いそうな気はするけど」


クロスは今日の服装に合わせると、少し目立ちすぎるかしら?せっかく春らしい装いにしているのだから、同じように花で合わせた方が、調和は取れそうな気がする。


「あ、でも…月っていうのも捨てがたいわね。今の服に合わせても、それほど目立つわけでもないし…迷いどころね」


今の服に合わせるなら、間違いなく花がいい。でも、汎用性という面で選ぶのであれば、月かクロスでしょうね。でも、海未の雰囲気に合わせるなら花でも問題ないかな、とは思う。
たぶん海未の他の私服も、今着ているものと極端に離れた印象のものはないと思うから…なんて、夢中で考えていたら。
17: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:21:11.64 ID:zyxq7NeE.net
私の左手に、ぎゅっ、とあたたかい感触。
それにつられて、ふとそちらを向いてみれば。


「………っ!」


自分でも驚くくらい、心臓が跳ね上がるのがわかった。
だって…そこにいたのは、耳まで真っ赤になって俯く海未。…まさか海未が自分から、私の手を握ってくるなんて。


さっきから半歩下がって、付かず離れずの距離でついて来ていたのは知っていた。大和撫子らしい奥ゆかしさから来るものだろう、という程度にしか思っていなかったから、大して気にしてもいなかったけれど。
18: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:21:38.98 ID:zyxq7NeE.net
「み…見ないで下さい…っ!」
「な、なによ…そんなに照れなくても…」
「む、無理です、そんなの…!恥ずかしくて…仕方ないんですから…っ」
「…あのね、海未…そんなに照れられると、私もちょっとだけ…気恥ずかしくて…」


ひょっとして、私にアクセを探させてたのも、こうするためだったのかしら。そうだとしたら、もう少し海未からのアクションが欲しいな、って常々思っていた私にとっては、何より嬉しい進歩だ。海未が私と触れ合いたいと思ってくれた。それが嬉しかった。…驚いたけど。


…なのに、自分からやっておいてこれだもの。とても奥手なのは知っているけれど、大学生にもなって、手を繋いだだけでこんなに恥ずかしがるなんて…。


ふふっ。そんなだから、いつも私に握られちゃうのよ、主導権。
19: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:22:02.64 ID:zyxq7NeE.net
「…うーみ♪」
「…な、なんですか…っ」
「ふふふ…」


あ、やばい。今の私、表情筋がすごいことになってる気がする。
…まあいいわ。どうせ見てる人もいないし、今はこのテンションに身を任せてしまいましょう。


「もう、そんなに照れてないで…ほら、こっちおいで?」
「きゃ…っ!?え、絵里、こんな公共の場で…っ!」


本当ならこのまま抱きしめて、いっぱいキスを散らしてあげたいところだけど。海未の言う通り公共の場だから、今は腕を抱くだけで我慢してあげるわ。


「いいじゃない。やっぱり私、海未には後ろじゃなくて、隣にいてほしいんだもの♪」
「そ、そんな…やっ、やっぱり恥ずかしいですうぅ…!」
20: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:22:49.79 ID:zyxq7NeE.net
…………………


「いただきます♪」
「いただきます」


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今日のお昼は、シーフードドリアとカプレーゼ。アクセサリーショップを出たら以外といい時間だったから、たまに大学の同期と来るカフェに海未を連れてきてみたの。


「夜はバーにもなるみたいで、カフェメニューは本場イタリアでの調理経験のある店長が監修しているそうよ」
「カフェごはんと言えど、本格的なのですね…」
「店長、すごく当時の師匠の影響を受けてるって聞いたわね…確か…トニオさん、って言ったかな」
「イタリアの料理人のトニオさん…どこかで聞いた名前ですね…」


私も亜里沙のと一緒にお弁当を作ったりで、あまりお昼に外食をする方ではない。それでも、何度でも通いたくなるような美味しさや魅力を、このお店は持っている。私のお気に入り、ってところね。
21: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:23:16.90 ID:zyxq7NeE.net
「…!これ、とても美味しいです」


上品にカプレーゼを口に運んだ海未が、顔を綻ばせる。


「でしょ?」
「…ええ、何というか…サッパリとしたチーズにトマトのジューシー部分がからみつく美味しさです。チーズがトマトを、トマトがチーズを引き立てて…」
「ふふっ、なによそれ」


よっぽど気に入ってくれたのか、いつもより饒舌になっている。でも確かに、私も初めて連れてきてもらった時、似たような感じになっていた気もする。


「ここの料理はハズレがないからね。なにを頼んでも美味しく楽しめるわ」


私は私で、シーフードドリアをゆっくりと味わう。使うお米の保存方法や調理の時間まで、とことん緻密に計算されているこのドリアは、余計なねばつきや水っぽさがなくて、普通のドリアよりも軽く食べられる。エビも冷凍ものは使わないらしく、食感も味も他とは別もの。


…こんなに美味しいのに、お値段はかなり良心的だ。採算はどうなっているのだろう。
22: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:24:15.65 ID:zyxq7NeE.net
「でもね、海未。ランチが美味しいのはわかったと思うけど、私が一番楽しみなのはね…」
「?」


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「食後のデザートの方なの♪」
「は、はぁ…」
「食べてみればわかるわ。大学のみんながハマっちゃう理由」


お昼は基本的にお弁当を持ち込む私も、このケーキセットを講義の後に楽しむことはそこそこ多い。チーズケーキとチョコレートケーキの2種類があるのだけれど、私が頼むのはもちろんョコレートケーキの方だ。
23: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:24:42.62 ID:zyxq7NeE.net
ランチは同じものを頼んだ海未も、こちらはチーズケーキセット。私としては、その方がどちらも味わえるからありがたい。…ふふ、ちょっと欲張りかしら。


「…いいですね、このチーズケーキ。甘すぎない柔らかな味わいが、セットのコーヒーによく合って、とても落ち着きます…」


そう言って微笑みながらコーヒーを啜る海未を見てると、本当に美人だなぁ、なんて思う。カップを片手にガラス越しの春の光を浴びるところが、とても様になっていた。やっぱり、美人さんはどんなシチュエーションでも絵になるわね。


…さてと、それじゃあそろそろ、その美人さんが慌てふためいて別の絵を作るところ、見せてもらいましょうか。
24: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:26:23.53 ID:zyxq7NeE.net
「ね、海未。私、ここのケーキセット頼む時はいつもチョコケーキなのよ。チーズケーキ、一口ちょうだい?」
「ええ、構いませんよ」


かちゃん、と私の方に自分の皿を差し出す。だけど勿論、私はそれを貰わないし、手を出そうともしてはいけない。ただ笑顔で、海未をじぃっと見つめるだけだ。


「…絵里?食べないのですか?」
「んー?もちろん頂くわよ」
「…ど、どうぞ」
「…ふふ、わからない?」


わからないわけないわよね。顔が引き攣ってるもの。…なんでそんなに嫌がるのよ。
25: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:28:55.55 ID:zyxq7NeE.net
「で、でも…」
「なによ、家で二人きりの時はやってくれるじゃない」
「絵里がせがむからでしょう…!?」
「今だって頼んでるじゃない」
「う…っ、で、ですが…」
「ほーら、はやく」


そう言って、少しだけ海未の方へ乗り出してみる。すると覚悟を決めたのか、フォークに乗せたケーキをこちらに向けてきてくれた。


「ど、どうぞ…」
「ふふ、あーん♪」


ん、美味しい。滑らかなチーズクリームが、舌の上で少しずつとろけていくのがわかる。いいわね、チョコレートとはまた別のやさしい甘さ…


「うん、美味しい♪ありがと、海未」
「ふぅ…満足しましたか?」
「…」


甘いわね、海未。チョコレートケーキのように甘いわ。このケーキはビター寄りだけど。
私が本当に楽しみにしてるのはここから、ってことがわからないかしら。
26: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:29:51.51 ID:zyxq7NeE.net
「…まだに決まってるじゃない。もらったんだから、私からもお返しするのが道理じゃないかしら?」
「な…っ!?」


ふふっ、やっぱり赤くなっちゃった。たった一言でこうなるってことは、私の言いたいことも読めてるってことよね。


「うーみ、私ならいつでも準備できてるわよー?」
「で、でも…他のお客さんが…」
「あら、反抗しないのね?珍しい」
「そ、それは…」


もう、本当にシャイなんだから。今時あーんくらい、友達どうしでもしてるわよ。穂乃果やことりにも、されたことないのかしら。


いつまで経ってももじもじと落ち着かないものだから、私の方が痺れを切らしてしまった。
27: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:30:30.05 ID:zyxq7NeE.net
「ほーら、食べたいんでしょう?…食べさせて『もらいたい』の間違いかしら?ふふっ」
「そ、そんなこと…」
「いいじゃない、気にしなくても。別に変なことするわけじゃないし、最近ならこれくらい普通よ。…ほら」
「…う……」


ようやく覚悟したのか、海未はほんの少しだけテーブルに身を乗り出してきた。目は合わせてくれないし、顔はさっきより赤い。そのままきゅって目を閉じて、まっすぐに顔を向けてきた。
…何故か、初めてキスした日のことを思い出した。


「…はい、あーん♪」
「ぅ…あ、あーん……」


結局、チョコケーキは海未の口の中へ、ゆっくりと吸い込まれていった。
28: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:30:54.99 ID:zyxq7NeE.net
「どう?おいし?」
「ん…っ」


真っ赤な顔でチョコケーキを咀嚼する海未の表情は、どこか煽情的ですらあった。…いや、私の考えすぎなのは分かっているのだけれど。
飲み込んでもなお、答えはなかなか返ってこない。


「……」
「…どうかした?」
「…ごめん、なさい…」


ちょっとやりすぎたかもしれない。全然顔を上げてくれないし、ちょっと泣きそうな声だし…


「ぁ…味なんて…わからないです…っ」
「…ぅぐっ」


変な声出た。
涙目で、ちょっと上目遣いで、顔が真っ赤で。そんなの、この私が耐えられる訳がないじゃない。
っていうか、ちょっとカフェで「あーん」しただけでこれって…
かわいい。本当、何させてもかわいい、この娘。


…なんて発想しかできないあたり、私も相当重症なのかもしれない。
29: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:31:22.49 ID:zyxq7NeE.net
…………………


春の日差しをたっぷりと浴びたお布団の気持ち良さは、何ものにも代え難い。帰宅してすぐに取り込んで、洗濯物も片付けた。あとは存分に、その心地よさに身を委ねるだけだ。


「はぁあ…落ち着くぅ…」


すぐに飛び込んで、深呼吸。すると私の体を包み込むのは、やわらかなお日様のにおい。どんな時だって穏やかな気持ちになれるこのにおいは、私の2番目くらいに好きなにおい。


「あーあ、このままお昼寝しちゃおうかしら…」
「絵里?」
「…ん、どうしたの?一緒に寝る?」
「い、いえ、そうではなくて…」


洗濯物を仕舞い終えて寝転がる私のそばに、海未が座りこんだ。また何か言いたげな困り顔をしているけれど、こういう時に彼女が何を言いたいかなんて、手に取るようにわかってしまう。そうね、今回は…本当に寝てしまうのか、なんてところかしら。
30: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:39:14.09 ID:zyxq7NeE.net
「あの、もう寝るのですか…?」
「んー、ちょっとだけね」
 
ほら、やっぱり。何というか、この娘は本当にわかりやすい。ちょっとだけ不満そうな目を向けてくるけれど…いいじゃない、まだ2時過ぎよ。
 
「帰ってきたら、アクセサリー作りを教えてくれると…」
「大丈夫、ちゃんと教えてあげるわ。…少しくらいお昼寝したって、まだまだ時間はたっぷり残ってるわよ」
「それは、そうですけど…」
 
ふっと目を逸らして、体を少しだけ、私の方にずらしてくる。まるで、すり寄ってくるみたいに。…ふふ、今度の考えも、また分かっちゃった。
 
「なによ…寂しいの?もしかして」
「なっ…」
 
 
 
「は…はい…少し…」
「ふふっ、素直でよろしい」
31: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:40:23.82 ID:zyxq7NeE.net
2人きりになった時の海未は、本当に甘えん坊だ。普段から厳しく自分を律しているし、昔は自ら嫌われ役に回っていたり。
でも、表立って示すことは少ないけれど、本当はその頃から…いいえ、きっと、年の離れたお姉さんが家を出てしまった時から、ずっと誰かに甘えたくて仕方なかったんだと思う。


「…ほら、おいで?」
「…ん」


ベッドの上から腕を開いて、甘えん坊さんを迎え入れる。一瞬だけ躊躇っていたけれど、結局は私の胸に潜り込んできた。「えり」なんて、いつもなら考えられないような、すごく子供っぽい声を上げながら。


「ふふ、よしよし」
「…」


胸に顔を埋めて、そのまま無言で抱きついてきたということは、つまりそういう気分なのよね。艶やかな黒髪を指で梳きながら、寂しがりうさぎさんのご要望に応えて、私はこのまま目を閉じることにした。
32: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:40:57.49 ID:zyxq7NeE.net
…………………


気がつくと、目の前には美しい金糸が一流れ。うなじの辺りには、少しやわらかな腕の感触…絵里に抱かれながら、いつの間にか私も少し眠っていたみたいです。


絵里はまだ夢の中にいるようで、すぅ、すぅ…と穏やかな寝息が聞こえます。
…元々あまり眠たかったわけでもないからか、私が先に目覚めたのは、蓋し当然のことでしょう。


「…えり」
「…」


声をかけたところで、決して寝起きが良いとは言えない絵里が起きるとは思えません。それに、こうして絵里に抱かれているのは私だって嫌いではないですから…起きるまでもうしばらく、彼女のぬくもりに包まれていようかと思います。
33: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:41:34.08 ID:zyxq7NeE.net
少し目線を上げれば、見えるのはお祖母様譲りの白い頬。まるで生まれたての赤ん坊のようなさらさらの肌は、普段のケア、それと化粧の類をあまりしないことの賜物なのだと思います。


少しだけ、指を伸ばして、触れてみる。絹のようで、少しもちっとした頬を軽くつまんでみたら…思ったよりも伸びますね。
そういえば以前に希が、頬が伸びる人は、その…せ、性欲が強い、なんて事を言っていた、ような。


……。
私の頬も、意外と伸びる、んですよね…。
…って、何を考えているのですか!昼間からこんな、はしたない…っ!
た、確かにここ最近、たまに…その…もやもやした感覚がすることも、ありますけど…。
34: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:42:35.07 ID:zyxq7NeE.net
また少し目線をずらすと、絵里の顔の前に落ちた、しなやかな左手。ほっそりとした指と、程よい肉づきの、私の大好きな手。


ゆっくりと、絵里が起きてしまわないように、指を絡めてみる。
本当は、何度でもこうしたい。でも、自分でも過剰なのはわかっていても…どうしても、羞恥が邪魔をしてしまう。だから今や昼間のように、こっそりと。


「…えり」


はっきり言って、面倒な女だと思います。それなのに、絵里は私を側においてくれる。そんな恋人に、いつか…正面から、気持ちをお渡しできるようになりたい。そう思います。
35: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:43:01.14 ID:zyxq7NeE.net
絡めた指をほどいて、何とは無しに絵里の掌を撫でてみる。いつも私の右手を握ってくれるあたたかな左手は、絵里の中でも、特別好きな場所のひとつです。


「…んぅ」
「あ…」


す、少しくすぐったかったでしょうか。起きては…いないようです。


ふに、と押せば返ってくるような掌の感触が何だか楽しくて、ついつい絵里の手をもてあそぶ。
掌のやわらかさを堪能したり、指の腹をつまんだり、握ってみたり。普段は逆に絵里にからかわれている所為でしょうか、こんな些細なことが妙に楽しく感じられます。


誰にも気兼ねはいらない状況というのは不思議なもので、普段は言えない、絵里への気持ちが溢れてくるのがわかります。
好きで、好きで、大好きで。ただ手をもてあそぶだけのことなのに、絵里のぜんぶが、愛おしくて仕方がないんです。


…そうか。いつもの絵里も、こんな気持ちなのですね。
36: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:43:56.26 ID:zyxq7NeE.net
…。
私は、絵里が好き。絵里は私が好き。


「…」
「すぅ…すぅ……」
「…寝て、いますよね…」


手遊びを止めて、少し迷ってから…絵里の指を真っ直ぐに伸ばしてみる。
……。
…わ、


「…私のこと、好きな人ー…」
「…」
「…はーい…」


…。
37: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:44:31.19 ID:zyxq7NeE.net
顔を中心に、体温が急激に上がるのがわかりました。


なっ、何をやっているのですか、私は!こんな、子供みたいな…!!
ああ、駄目です。自分の行動だけに、いつも絵里にからかわれている時より、遥かに恥ずかしい…!こんなだから、凛や希にヘタレのなんのと言われるんですよ!!


…肝心の絵里は寝ているから、誰にも見られていなかった、というのがせめてもの救いですね。あとは全て気のせいだったということにして、私が忘れてしまえば何も問題はありません。


絵里の口元が微かに笑っているように見えるのも、絶対に気のせいなんです。
38: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:45:04.59 ID:zyxq7NeE.net
…………………


「レジンアクセサリー、って知ってるかしら?」
「…いえ、あまり聞いたことがありません」


レジン液っていう、糊のような液体を型に流し込む。これは硬化すると、ガラスのような質感になるの。
要は、型の中に小さな意匠をいくつか並べて、それをレジンで固める。簡単な割にかなり本格的なものが作れるから、初心者にはぴったりなのよ。


「じゃ、早速始めましょうか」
「はい。よろしくお願いします、先生♪」
「ふふっ、いい子ね」


ハンドメイドのアクセサリーには、既製品にはない魅力が詰まっている。私も、思うようなデザインのアクセが見つからなかったことはなんどもあるわ。でもハンドメイドなら、素材さえあれば、どんなデザインだって世界に一つだけ、思うままに描けるの。


お店では結局、中の意匠をどうするかはお互いに秘密にしていたから、出来上がりが楽しみね。
39: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:45:35.21 ID:zyxq7NeE.net
「まずは、型枠の半分くらいの深さに、レジン液を流し込むの。意匠を詰めた時、型枠の中でずれてしまわないようにね」
「はい。…あの、枠の中に台紙を敷きたいのですが、レジンと台紙、どちらを先に入れるべきでしょう?」
「あら、そうなの?…それなら、台紙を先に敷いて、その上にレジン液ね」
「はい、わかりました」


簡単な作業ではあるけれど、丁寧にやらなければレジン液に気泡が入る。でも海未のしなやかな指は、そんな心配など無用だとすぐに気づかせてきた。…うん、この分ならレジンアクセくらいは、全然問題なさそうね。


新しいことに挑戦する時の海未の表情は、いつも真剣そのもの。少し臆病なようで、一度踏み込んでしまえば誰よりも真剣に、そして理性的に行動できる。
まだ序盤だけれど、真剣な眼差しの中に垣間見える子供のような無邪気さは、きっとその表れだ。…例えるなら、初めて日本のお祭りの出店で型抜きを体験した私と亜里沙、ってところかしら。…わかりにくい?


「…できました」
「見せてみて…あら、丁寧にできてるわね。じゃあ、次のステップよ」


そう言いながら私は、部屋から持ってきた少し大きめの機械を軽く叩く。レジンアクセ作りにはなくてはならない…という程のものではないけれど、あるととても便利なのよ。


「これは…?」
「UVライトよ。レジン液は紫外線に当てると固まる性質があるのだけれど、このライトを使えば、日に晒すよりも遥かに短い時間でレジンが固まるの。…いわば、紫外線照射装置ね」
「……ドイツの科学は世界一…」
「?何か言った?」
「いえ、何でもありません」
40: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:46:07.78 ID:zyxq7NeE.net
「…2分経ちました」
「ん、じゃあ一旦電源切って、レジンに触れないように取り出してね」


2分程度の照射では、レジン液は完全には硬化しない。でもこれはこの後の作業で、型の中に置くチャームがズレてしまわないようにやったことだから、これでいい。
あとはピンセットで丁寧にチャームを配置して、レジン液で閉じ込めて固めるだけだ。


「…ねえ海未、その型枠の形って、懐中時計よね?」
「はい。以前どこかで、懐中時計を首から下げている方を見たことがあって…これなら、違和感なく着けられると思ったんです」
「ふふ、なるほどね。あなたらしいわ」
「絵里は、どうするんですか?」
「私?んー…」


敢えて、少しだけ考えてみる。別に中のチャームくらい、今教えてあげてもいいんだけどね。
ここで私がどう動けば、海未はどういうレスポンスをしてくるか。こんな些細なことで、そこまで考えてしまうのはおかしいかしら。でも、恋人の可愛らしい仕草、姿が見たい。そう思うのは普通のことでしょう?
結局は、私が何を見たいかだけれど…でもやっぱり、答えは簡単。
41: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:46:39.72 ID:zyxq7NeE.net
「ダーメ、ひ・み・つ♪」
「あ…」


人差し指で、海未の唇に触れる。
薄く、綺麗な桜色のそれに触れてみると、彼女はいつも、妙に動揺する。それはたぶん、海未の特に好きなスキンシップを思い起こさせるからだろう。これだけでも少し照れて、慌てがちな口調になるのだから、可愛らしい仕草を見るための手段としては、お手軽なことこの上ない。


「…ず、ずるいですよ。絵里は、私のを見たのに」
「中のチャームは見てないわよ?」
「…そうですけど…」
「いいじゃない、出来るまでの辛抱よ♪」


やはり少し不公平さを感じるのか、海未は若干不満顔で作業に戻った。流石にちょっと悪いとは思ったけれど、個人的には割と満足した。こう、あからさまに不満顔をする海未はなかなか見られないからだ。


…さて、私も集中しないと。
42: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:47:26.92 ID:zyxq7NeE.net
チャームを配置したら、更にレジン液を入れる。丸い型枠を使うときは、表面張力を利用してぷっくりと仕上げてあげると、平面よりもお洒落にできるの。
それを教えなくても1人で出来てしまうあたり、海未は本当に要領がよくて、器用なんだと実感する。最後に、UVライトを5〜10分程度当ててあげれば…


「うん、出来上がりね」
「すごいです…手作りで、こんな綺麗なものができるのですね」


初めての手作りアクセに目を輝かせる海未は、まるで大好きなおもちゃを与えられた子供のようだった。初めての経験でも、のめり込めばこうやって、私の方が嬉しくなるほど楽しんでくれる。本当、可愛らしい彼女を持ったものよね。


「楽しんでくれて何よりよ。…ね、見せてみて」
「あ、はい!絵里から見れば、大した出来ではないかも知れませんが…」
「ふふ、どうかしらね」


差し出された懐中時計型のアクセ。少し重くて、まだ傷一つないレジンを覗き込んでみる。
43: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:48:12.16 ID:zyxq7NeE.net
「…ハラショー……」


すごい。時計の中には、思った以上に美しい世界が広がっていた。


少し傷や塗装の剥げのできたビンテージ系の型の中に、英字新聞調の背景。そこに更に小さな懐中時計と、銀色の金属板に北欧風のお城の彫り込みが入ったものが閉じ込められていた。
…作詞を担当していたくらいだし、こういう美的センスはあるだろう、とは思っていた。けれどまさか、これほどとは。


「ど、どうでしょうか…」
「…すごいわ、海未!私もたくさんアクセは作ってきたけど、こんなに綺麗なもの、出会ったことがないわ…!」
「そ、そんなに、褒められるようなものでは…」
「だって、本当なんだもの。…ハラショーよ、海未」


そう、これは本音だ。私だって、こんなに綺麗なものは作れたことがないかもしれない。感性の違いもあるのだろうけど、初心者でこのクオリティなら…ふふ、この先、仕込んで行くのが楽しみね。青は藍より出でて、藍より青し。いつか、対等に作り合える日が来るかしら。
44: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:49:27.96 ID:zyxq7NeE.net
「海未、おいで」
「?」


だけど、私だって自信がないわけじゃないわ。海未の横で作っていた、これを…


「…えいっ♪」
「わ…っ、え、絵里?」


抱き寄せて、鎖を海未のうなじに回す。留め金をかけて、綺麗な黒髪を鎖の下から抜いてあげて…これでよし。


うんうん。我ながら上手く出来ていると思う。
海未の作ったものとは違い、私は裏表ともにレジンが見えるようにデザインした。最初に固めたレジンの上に、少しラメを混ぜ込んだ透明感のある薄青色の液を流し込んだ。その上に小さなヒトデ、貝殻の欠片、星砂の粒を少しずつ散りばめてある。


「…ハラショー♪よく似合ってるわ」
「綺麗…海のイメージ、ですか?」
「ええ。海と、四角。あなたに合うイメージだと思って」
「ふふっ、なんですか、それ」
「だって海未って、形に例えたらどう考えても四角だもの」


笑いながら私と話しながらも、その手は私の作ったアクセを離さなかった。何度もトップを覗き込んでは微笑み、指で軽く撫でる。…どうやら、気に入ってくれたらしい。
45: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:50:02.96 ID:zyxq7NeE.net
「それ、あげる」
「え…いいのですか?」
「いいも何も、初めからそのつもりだったわよ。元々、海未のアクセを探しに行ってたんだから」
「…ありがとうございます。大切にしますね…」


慈しむようにアクセを胸に抱き、もう片方の手で私に抱きつく。もう、どうしてこう、動きがいちいち可愛らしいのよ。人目があると、手も繋げないヘタレのくせに。…私の理性が、持たないかもしれないじゃない。


「…そうです、それなら、私の作ったアクセサリーは、絵里にお渡ししますね」
「え?そんな、いいわよ。海未の初めての作品じゃない」
「絵里に、つけて欲しいんです。…昔、スチームパンク風の衣装を着たことがあったでしょう?あの時の絵里をイメージして作っていたんです。…ね、いいでしょう?」
「…っ!」


…その言い方は反則でしょう。
海未の無邪気なお願いに、結局私はあっさり折れてしまった。勿論、嫌だったわけではない。形は違うけれど、これもある意味ペアアクセ、ということになるのかしら。
46: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:50:29.28 ID:zyxq7NeE.net
「ありがと、海未。私も大事にするわ」
「こちらこそ。その代わり、と言ってはなんですが…また色々、教えて下さいね」
「ふふ、いい子ね」


本当に、素直で優しい子だ。恋人なのに、たまに妹のような感覚になることがある。愛しさが高まってきて、気づけば頭を撫でていた。
…そしたら。


「ん…っ」


…っ。
軽く唇を噛んだ、はにかむような照れ笑い。
海未が、私だけに見せる表情。
穂乃果やことりでさえ知らない、私だけの海未。
たったこれだけの事なのに、体の真ん中から熱いものがこみ上げてきて、そのまま体温が急速に上がるのを感じた。


恐らく真っ赤になっているであろう顔を見られたくなくて、私はもう一度海未を抱きしめる。


やっぱり、私はこの娘に弱い。弱すぎる。
48: >>47訂正(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:52:08.37 ID:zyxq7NeE.net
…………………


「…あら、結構いい時間ね」
「そうですね…どうします?そろそろ晩御飯、作ってしまいましょうか」
「んー…まあ、それでもいいけど」


ベッドで海未を抱っこして、特に何をするでもなくのんびりしていただけなのに、時間はのんびりとは過ぎてくれないものらしい。
時間の流れが遅かったのは私たちだけで、そのせいか、正直あまりお腹も空いていなかった。まあ、お昼に帰ってきてすぐ寝ちゃったし、アクセ作りだって、そんなに動くわけじゃない。当然といえば当然かしら。


そうね…このお腹具合で、ご飯を作るよりは。


「…先に、お風呂入っちゃわない?」
49: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:53:00.69 ID:zyxq7NeE.net
「…」
「…どうかしました?」
「ん、なんにも」


湯船の縁に腕をついて、海未を見上げる。…特に、何があった訳でもない。ただ、きめ細かな泡に包まれる海未の身体を鑑賞していただけだ。


華奢でありながら力強く、美しい肢体は、どれだけ眺めていても飽きを感じさせることはない。日頃から日舞や弓道で日々鍛えられた身体でありながら、女性らしい柔らかさを失ってはいなかった。…こっそり、お腹のあたりに指を伸ばしてみる。
50: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:53:32.10 ID:zyxq7NeE.net
「ひゃっ…!?」
「…ぷっ」
「な、なんですか急に…!」
「くすっ…ちょっと、触っただけなのに驚きすぎじゃない?」


大げさに体を跳ねさせるのものだから、思わず吹き出してしまった。耐性のない子を驚かすのは、これだから面白い。


濡れているというのもあるけれど、海未の肌はしっとり、もちもちしていて、とても触り心地が良い。お腹をさわったのは、単に近くにあっただけのことだ。


「…不意打ちはずるいです」
「ごめんごめん。許して?頭、洗ったげるから」

「本当、綺麗な髪してるわよね…」
「一応、今でも人前に出る機会はありますから…手入れは怠らないようにはしています」


あれだけ慌てていたのに、こうなると急におとなしくなる。海未にとっては、私に髪を洗ってもらうのもお気に入りの一つらしい。後ろからは見えないけれど、きっと目を閉じて、気の抜けた顔をしているに違いない。


「流すわね」
「はい…」


ふふっ、声も抜けてる。
51: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:54:03.99 ID:zyxq7NeE.net
「…濡烏、っていうんだっけ?海未みたいな色の髪」
「そうですね…青みがかかった黒髪のことを、そう呼ぶらしいです」
「そっか。…たまに、羨ましくなるのよね」
「え?」


羨ましい、というほどの感慨もないのだけれど。別に自分の髪色が嫌いなわけではない。海未の髪色は、ロシアの血が一部流れている私にはないものだから…ただの無いものねだりよ。


「そうでしょうか?私は、絵里の綺麗な髪も素敵だと思いますよ。…一緒になってみたいと思ったことも、実は何度かあります」
「ふふ、ありがと。でもダメよ?悪いけど、海未に金髪が似合うとは思えないし…今が一番素敵よ」
「大丈夫、しませんよ。私は金髪が好きなんじゃなくて…絵里の髪が、好きなんですから」
「…天然誑し」


もう…突然こういうこと言うから、いつまで経ってもドキドキさせられっぱなしよ。不意打ちは卑怯だなんて、どの口が言うのかしら。
しかも無自覚だから、私の見えない所で同じようなこと言ってるんじゃないかと思うと…かなりひやっとする。高校の時の二の舞にならないように、気をつけてほしいものね…。
52: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:54:35.22 ID:zyxq7NeE.net
…………………



「どう?熱くない?」
「ええ、大丈夫です…」


お風呂上がりのドライヤーもまた、海未のお楽しみタイムのひとつ。かといって一方的なものではなくて、海未の黒髪の手入れをするのは、私も結構好きだったりする。


「あー、サラッサラで気持ちいい…どう?絡んだりしてない?」
「ええ、きもちいいです…好きです、絵里の指遣い…」
「…誤解を招くわよ、その言い方…はい、おしまい」
「誤解、ですか」
「…うん、そのうち気づいてくれればいいわ」


ドライヤーを切って、後ろから海未を抱きよせる。…さて、ここからは私のお楽しみタイムよ。

「すぅ…」


やっぱり、いいにおい。お風呂上がりは、いつもよりもっと心地よい気分に浸れる。それはまるで、海未自身に包まれているような。


「私にとっての至高の時間よ…」
「…そんなに好きですか?」
「うん、大好き」
「仕方ないですね…」


やれやれ、という感じではあっても、海未はちゃあんと私を受け入れてくれる。おかげで私は髪だけでなく、全身の海未のにおいを堪能できるのだ。


ただ、海未がうちに泊まった時はシャンプーを貸すから、微かに私のにおいが混じる…だから。


「…うみ」
「えり……んっ」


残ったあなたのにおいさえも、私で埋め尽くしてしまいたくなる。
53: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:55:13.41 ID:zyxq7NeE.net
何秒くらい、こうしていただろう。
ただ唇どうしを重ねるだけの軽いキスを済ませると、海未は少し驚いたような、困ったような顔。頬にはわずかに濃くなった桜色が浮かんでいて、それはたぶん、お風呂上がりのせいじゃなかった。


そのまま後ろから海未の左胸に手を伸ばすと、ぁ、と小さく声が漏れて、身体が固くなるのを感じる。…ふふ、まったくもう。何もしないわよ。


とくん、とくん…
ひどく早くなっている、海未の鼓動。…くすっ、ただキスをして、抱きよせてるだけなのに…本当に初心なんだから。


「うーみ。…どうしちゃったのよ、こんなに緊張しちゃって」
「どうしたも、何も…」
「もしかして…ちょっとその気になっちゃった?」
「なっ…ち、違います!もう…!」
「えー、本当?」


すごい勢いで振り向いて、真っ赤な顔で否定してくる。必死すぎよ、ほんと。
こういう時、先にちょっかいを出すのは必ず私だ。だからある程度分かっているのだけれど、海未は、意外とスイッチが入りやすい。正直、私もそれを分かっていてやっている事も多いから…そのまま襲ってしまった事も、たぶん一度や二度じゃない、と思う。
…ま、でも違うなら気にしなくていいかな。
54: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:55:46.99 ID:zyxq7NeE.net
「んーっ…きっと最高ね、今日のお布団」
「…え?」


一つ伸びをしてから、そのままお布団に倒れこんでみた。
そう、今のお布団はとびきりのはずだ。だって、日中たっぷりとお日様に当てて、そして今はお風呂上がり。心地よくないはずがないじゃない。


「ねえ、海未。干したのもそうだけど、お風呂上がりに入り込むお布団って、どうしてこんなに気持ちいいのかしら。わかる?なんか普段と触り心地が違って感じない?」
「…いえ、わからないでも、ないですけど…」


あー…やっぱりたまらない。湯上りのせいで倍増したふわふわ感に身も心も委ねながら、気ままにごろごろ。
…私、昔からこんなだったかしら。昔はもう少しきりっとしていたような気もするけど…それだけ丸くなった、ということにしておく。
とりあえず今は、このやわらかさに沈んでいくように、眠らないようにと気を付けるように、そっと目を閉じてみることにした。


「………」


…その直前、目を閉じる時に見えた海未の表情が複雑な感じだったのは覚えている。
55: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:56:19.71 ID:zyxq7NeE.net
不意に左頬に、あたたかくてやわらかい感触。
…ふふっ。やっぱり、その気になってたんじゃない。



目を開けてみれば、ちょっとだけ怒ったような海未の顔がすぐそばにあって、艶やかな黒髪が少し、私の頬に垂れ落ちている。頬はさっきとは比べ物にならないくらい赤い。
それでも目を逸らさないで私を軽く睨んでいるあたり、やっぱり今日の海未はいつもと違うようだ。よっぽど、『お預け』が効いたのだろうか。


…ただ、覆い被さってキスした後、まるで動く様子がない。そうでなくても、近づいてキスしてくるまでは5分くらいあったと思うし…。
でも、良しとしましょうか。海未からキスしてくれるなんて珍しいし、ちょっと怒らせちゃったみたいだし。


「…ふふ、海未」
「…っ」


体を転がして仰向けになって、海未の頬に手を添える。


そのまま、二度目のキス。


「…なんですか」
「もう、そんなに怒らないでよ」
「…怒ってません」


海未は、キスが好きだ。
ねだってきたりすることはまずないけれど、一度してしまえば、必ずと言っていいほど2度目を期待している。夜になるまで一度もしていない日なんか、少しそわそわしているし、分かった上でお預けにしてあげれば、ふて腐れる海未だって見られるの。


だから今も、怒っているというよりは拗ねているのだろう。
56: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:57:04.61 ID:zyxq7NeE.net
その証拠に…ほら。


ぽふん、と軽い音を立てて、海未の顔が私の頬の傍に落ちてきた。
くすくす…そう、拗ねてるって、要するに『本当は甘えたい』ってことじゃない。…ちょっと意地悪しすぎちゃったかしら?


「あんまりかわいいことばっかりしてると、チュウしちゃうわよ?」
「…さっきからしてるじゃないですか」
「ふふ、それもそうね…んっ」


私たちは、3度目のキスをする。
4,5,6...私から、啄むような軽いキスを瞼に、頬に、額に…幾度となく散らしていく。
最後にもう一度、少し長めのキスを唇に落とすと、海未の顔は堪えきれない笑みが溢れそうになっていた。


「ふふ、かーわいい♪気づいてる?顔、すっごく緩みきってる」
「し、仕方ないじゃないですか…」
「んー?なんで?」
「……分かってるくせに」
「もー、照れ屋さん」


ああもう、かわいい。この娘はどこまでも、私の心のツボを知り尽くしている。…わざとやってるんじゃないだろうけど。


でも、素でやっているからこそ、私の方は大変だ。日常的にそんなツボを刺激されていたら、こっちだってそのうち暴発しちゃうじゃない。
…ましてや今日は朝から、存分にそんなかわいいところを見せられ続けているのだ。だからね、海未。


「…海未」
「なん……ん、んぅ…っ!」


私があなたを骨の髄まで愛してしまいたくなるのも、全部あなたのせいなのよ。
57: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:57:40.89 ID:zyxq7NeE.net
少し強引に海未の唇をこじ開け、一瞬だけ舌どうしを絡ませた。歯列をなぞり、口蓋を弄る。きゅっと目を閉じて、突然の強すぎる刺激から逃れようとする舌を追って奥へ奥へと進めば、再び舌どうしがぶつかるのに、さほど時間はかからなかった。


逃げ場をなくしたものを捕まえるのは容易だった。最初は舐めるように、だんだんと絡め取るように、啜るように。時間をかけて、その行為自体を味わっていく。


「っ、ぷは…っ、え、えり、くるし……ん、ぅ…っ!」


酸素を求めて逃げる海未を追って、それすらも阻んでやる。少し可哀想かとは思ったけれど、既に私は自分の欲望を満たす方を優先していた。これじゃあ、もうどちらが溺れているのかもわからない。


程なくして、私たちの顔はゆっくりと離れる。その瞬間、海未の熱く湿った吐息を感じ、口内で混じり合った唾液が唇の合間に白い橋を架けた。…唾液が粘性を持つのは興奮している証拠、とどこかで聞いた気がするけれど…ふふ、これは海未か私か、どちらのものなのかしら。
58: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:58:12.98 ID:zyxq7NeE.net
「はっ…ふふ、どうしたの?」
「…っ」


蕩けたような怒ったような、どっちつかずの顔で私を睨んでいる(つもり、だと思う)海未を見下ろして、ちょっとだけからかってみる。


「…さいてい、です…っ、いきなり、こんな」
「あら、ごめんなさい。でも…そんな蕩けた涙目で言われても、煽ってるようにしか見えないわよ?」
「ぅ…!」


たった一言で、みるみるうちに海未の表情は羞恥に支配されていく。「ばか」と小さな罵声を漏らして、そのまま頸を見せてしまった。そんな姿すらも、愛おしくて仕方ない。


海未は、キスが好きだ。
今だってこうして怒ったような素振りを見せてはいても、本心では決して嫌がってはいないのはわかる。だって、本当に怒ってるなら、生真面目な彼女は必ず、その目を真っ直ぐに向けてくるはずだもの。
今はただ、私のキスの余韻と、自身の羞恥の狭間で動揺しているだけに過ぎない。


…さあ、可愛く可憐なうさぎさん。これからどうしてあげようかしら。
59: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:58:40.18 ID:zyxq7NeE.net
「ごめんね、嫌だったんでしょう。急にこられたら、びっくりして当然よね」
「……!」
「でも、大丈夫。あんなこと、『もうしない』から。安心して?」
「ぁ、え…えり」


ふふ、効いてる効いてる。
自分はかなり意地悪なんじゃないか、と思うのはこういう時だ。だけど、海未が素直になってくれないから、その本音を引き出す為なら仕方がない。
…なんて変に自己完結しようとしている私は、当の海未からしてみれば、相当厄介なやつだろう。


「だから…ね、機嫌直してくれる?」
「……っ!」


そう言いながらまた夕方のように、彼女の形のいい唇を軽く撫でてみる。たったそれだけのことなのに、ぞくり…と肩を震わせ、艶かしい吐息が漏れるのがわかった。キス好きの海未からしてみればこんなの、焦らされているようなものだ。
普段からは考えられない、私だけが知っているこの姿に、痺れるような快感が背骨をぞくぞくと上ってくるのを感じる…。
60: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:59:11.30 ID:zyxq7NeE.net
「…ひどい、です…ぜんぶ、わかってるじゃないですか」
「ふふ、何のことかしらね?」
「ぅう…」


ひどく照れ屋な海未にしてみれば、これだけの意思表示をしてくれただけでも上出来だと思う。…さっきの見立て通り。お預けが効いているのは間違いないみたい。


「……っ」
「…ふふ、おいで?」
「…」


何か言いたげに口籠る海未も、私に抱き寄せられる、という行為に対しては妙に素直だ。不満げなままの顔ではあるけれど、少し体温が上がったような身体を擦り付けてくる。


「極端ね。できることと、できないこと…もっと素直になればいいのに、色々」
「…どういう意味ですか」
「海未が一番わかってるはずじゃない?」
「……いじわる」
「それは肯定と捉えていいのかしら」


本当、こういう時は素直じゃない。まあ、昔から恋愛映画もまともに見れないような子だったし、仕方ないのかな?


理性と欲に挟まれて沈黙する彼女は、私にとっては中々のお気に入りだったりする。というのも、彼女の理性が欲の方に圧し潰されてしまった時。その姿が堪らなく私を高揚させるからだ。


だから、本当はもう少し待っていたかったけれど、今この言葉をかけてあげることは、私と海未、双方への助け舟となる。


「海未」
「…」
「…もっと、してほしいんでしょう?」
「……っ!」
61: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/06(土) 23:59:43.67 ID:zyxq7NeE.net
…………………



「はっ…ぁ…っ」


左手は頬に添えて、右手は海未の手首を掴む。私たちの唇はとても近くにあるけれど、触れあってはいない。
女の子の体は、上質なボルシチのようなものだ。じっくり、丁寧に手をかけていれば、この上なく美味しいものが出来上がる。


私の髪が耳をくすぐるのか、海未は時折肩を捩り、真っ赤な首筋を粟立たせている。眉間にわずかに寄ったしわを何となく眺めながら軽い愛撫を繰り返せば、漏れ出す甘い吐息が私の鼻腔を熱くくすぐった。


少し舌先を覗かせて、私は海未の唇だけを舐める。決してキスにはせず、ただやさしく舐めるだけだ。子猫を慈しむ母猫のように、格好の獲物を前にした蛇のように。


海未が快感を優先し始めるまで、大した時間はかからなかった。…私が勝手に沈黙を肯定と捉えて行為を始めただけだけどね。
掴まれていない方の手は私の服の胸のあたりをぎゅっと握るから、もっと、もっとと引き寄せてきているかのような錯覚を覚える。もしかしたら、錯覚じゃないのかもしれないけれど。
62: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 00:00:33.78 ID:vP8I/zht.net
「海未…」
「…っ、え、り…」
「ふふ…ねえ、もっと触ってもいい…?」
「…」


やっぱり、沈黙。…あのね、海未。恥ずかしくて答えられないんだろうけど、私はあなたの表情だけで、「どうしてほしいか」くらいならわかっちゃうのよ?


「やっ……」


反射的に出た抵抗の声が聞こえたけれど、気にしなかった。どうせ、大した抵抗もしないし…。
舌での愛撫をゆっくりと首筋に移行し、左手で寝間着の前ボタンを一つずつ外していく。彼女のほっそりとした上半身が露わになり、それが耐えがたい海未は呻き声を漏らしながら右手で目を覆った。


「あら、これこの間、私が選んであげたブラじゃない?使ってくれてたんだ」
「…はい、あの…今日は一日中、絵里と過ごすつもりだったので…」
「…ハラショー♪」


かわいいことしてくれるじゃない。デートの予定に合わせた、海未なりの気合の入れ方ってことね。
でも、わざわざ下着まで揃えてくるなんて…ふふっ、やっぱり、心のどこかでは期待していたのかしら。


「…ま、外しちゃうんだけどね」
「え、ちょ…え、絵里っ」
63: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 00:01:06.97 ID:vP8I/zht.net
フロントホックのを選んであげたのも、実はこんな時のため。残念ね、買ったときにそこに気付けなかったあなたの負けよ。


前を外してしまえば、これ以上ないくらいにこの娘は赤くなる。意外と自分の胸のサイズを気にしているから、そこそこ大きい方の私にそれを晒されるのは、"見せつけられているようで我慢ならない"らしい。


「…かーわいい♪」
「…嫌味、ですか」
「穿ち過ぎよ。確かに大きくはないけど…海未の控えめなサイズも、私はけっこう好きよ?」
「やっぱり嫌味じゃ……ん、ぁ…っ」


ごめんね。悪いけど私が今聞きたいのは、不満じゃなくて、もーっと甘い声。
小さいけれど形の良いそれを右手で包んで、掌全体でその柔らかさを愉しむ。勿論、固く主張をしはじめた頂点には触れないように気をつけて…
64: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 00:01:39.78 ID:vP8I/zht.net
「ふ……ん、ぅ…」


いつの間にか海未の右手は口元へ行っていて、漏れ出しそうな声を懸命に押さえつけている。
本当はすぐにでもその手を引き剥がして、動揺と羞恥に塗れた声を聞きたいくらいなのだけれど、じっと我慢。今は、膨らみをじっくり愛してあげるだけでいい。焦らすのは、私自身だってそうだ。


少しして、はだけた肩に、首筋に、胸元に、玉のような汗が浮いてくる。漏れ出す吐息はそれに呼応するように甘く、私を獣にするには十分すぎた。
浮き出した汗を腋の下、胸元、額…丁寧に掬い取る。舌先が軽く肌に触れる度、びくびくと身体を震わせるのが私をもっと興奮させたから、首筋の汗を吸い、そのまま一気に耳元まで舐め上げてやった。


「やっ…は、ああぁ…っ」
「かわいいわ…海未」
「そ、れ……耳元で、しゃべ…っあ」


唇が触れるか触れないかの距離で、耳朶を軽くなぞる。…たったそれだけなのに、海未はもう身体を捩るほど出来上がってしまっているらしい。やっぱり、心のどこかでこうなるのを期待していたんだろう。
気づけば上半身だけではなく、その疼きから逃れるように膝を擦り合わせていた。本人は意識していないだろうけど、もう限界なのだろうということがなんとなく察しがついて、その瞬間に、私の中の作りかけのお鍋はひっくり返ってしまった。


こうなってしまえば、やめてしまうのは気の毒だ。…いや、それはそれで面白いものが見られそうだし、実は悪くはないのかもしれないけれど。
でも正直、今夜は私の方が保たないような気がして、でも海未の希望はまだ聞いてなくて、もう妄想は止まらなくなってて…最終的に全部どうでもよくなっちゃって、勝手に海未の内腿へ手を這わせていた。
65: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 00:02:18.59 ID:vP8I/zht.net
「ま……待って下さいっ」
「なによ……あ、もしかして…今日、ダメな日だった…?」
「そ、そうじゃなくて…っ」


言い淀むくらい、大事なことなのかしら。


「…あ、亜里沙が帰ってきたら、どうするんですか…っ」
「…なんだ、そんなこと」


…って思ったけど、海未の心配は思った以上に大したことじゃなかった。いくら私だって、それくらいのことは気にしてスケジュールは考えているわよ?


「だーいじょうぶ。昨日からアイドル研究部の合宿に行ってるんだから」
「で、でも…」
「でもじゃないわよ。鍵はしてるし、2人暮らしなんだから誰も来ないわ」


本当、臆病なんだから。身体を重ねるのは初めてではないのに、いつもこうして一歩引いてしまう。私と通じるまでは1人でしたこともなかったみたいだから、わからないことはないけどね。
それに今、「そうじゃなくて」って言ったでしょ?する分には問題はない、ってことだと解釈させてもらうわ。
…それに。


「…すこーしくらいスリルがある方が、あなた好きじゃない」
「……っ!」
66: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 00:03:09.58 ID:vP8I/zht.net
「ん、んん…っ!」


寝巻きの中へ勝手に手を滑り込ませて、少し汗ばんだ内股を撫でる。指先で刺激を与えられるたびに、びくびくと身体を震わせる姿がとっても愛らしくて、衝動に流されるまま海未の身体にその想いを刻みつけることにした。


「……海未」
「…!え、えりっ、それだけは、本当に……あっ、ふぁあ…っ!」


海未の胸元に唇をあてがって、吸血鬼のように
肌に吸い付く。痛みはないだろうけど、この刺激から逃れようとする姿は、ただただ私の興奮剤になるだけだ。


程なくして口を離すと、そこには思惑通り、小さな赤い花が咲いていた。
67: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 00:03:36.14 ID:vP8I/zht.net
「…さいてい、です…明日は、稽古の予定なのに…」


肌に直に跡を付けられて、今度は本当に泣きだしてしまった。それもそのはず、私が跡を付けたのは、日舞でも武道でも、着た服の襟元から見えるか見えないか、とてもぎりぎりの場所だったからだ。


「ふふ、ごめんなさい。仕方なかったのよ、海未がとっても可愛らしいから」
「…なに、いってるんですか…っ」


全く言い訳になっていない言い訳をして、海未に怒られる。…だけどね、海未。このかしこい私がなんの理由もなく、そんな所に跡を付けたと思ってるのかしら?


「でも、いいじゃない。…そういうの、嫌いじゃないんでしょう?」
「……」
「そうね…日舞ならともかく、稽古中に激しく動いたりしたら、見えちゃうかもしれないわね」


眦に涙を溜めたままの海未の頭を撫でながら、できる限り優しく囁いてみる。…その少し怯えるような、想像して悦ぶような、僅かな表情の変化を楽しみながら。


「次期家元の貴女は、夜はこんなに乱れても、次の朝には涼しい顔で道場に出る…稽古着の下には、私と激しく愛し合った跡を隠しながら、ね」
「……っ」
「……ねえ、海未」


さっきも言ったでしょう?私は知ってるのよ。…あなたが、背徳感たっぷりのスリルが大好きだってこと。


「こんなこと…あなたのお母様に知られたら、どうなっちゃうのかしらね…?」
「っ、あぁ……!」
81: >>74ミスってますね 訂正(庭)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 16:11:45.90 ID:jNsFVI21.net
恐れと快感の間で震える海未の艶姿を見るのは愉悦だった。口では抗いつつも少しずつ溺れていく様は私をいっそう衝き動かして、また少しずつ、赤い花を増やしていく。


「えり…っ、つけすぎ、です…」
「…知らない」
「…っ、ばか…っ」
「ふふっ…随分、生意気なこと言ってくれるわね…んっ」
「あっ、や……っ!」


まだまだ反抗的なことを言う元気があるみたいだったから、焦らしに焦らしていた胸を刺激してあげることにした。


とうに固くなっていた頂点を啄むように吸って、時折舌の上で転がすように舐める。そこに少し強い刺激を綯交ぜてやるのが、海未の一番のお気に入りだった。
そのうち甘い吐息と喘ぎの合間に、えり、えり、と縋るような声が聞こえて、私までお腹の奥が熱くなるのがわかる…


そのまま胸への愛撫を続けていたら、どうしてか私の方が、胸のあたりに違和感を感じた。何かと思って少し下を見てみたら…


「…な、何してるのよ」
「…っ、私だけなんて、ずるいです…」
「絵里も、からだ…見せて、ください……っ」


震える指で、私の寝間着のボタンを、ゆっくりと外す海未がいた。
75: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 11:42:31.29 ID:iz9/CNLf.net
「ほんとにもう、あなたって子は…」


ただ、前のボタンを開けたらもうそれが限界だったみたいで、海未の右手はすとんとベッドの上に落ちていった。それを追って、やさしく握る。すると、潤んだ目で私を見つめながら指をゆっくりと絡めてきたから、我慢の限界はぐっと近くなってしまった。


「ねえ、海未……こんなことされたら、私…加減なんて、できないわよ…」
「…それでも、いい、です…」
「…本当に大丈夫?明日も忙しいんでしょう?」
「いいんです…!いいですから…い、今は…」


まるで懇願するような、いつになく蕩けてしまったその表情。ああ、まずい。そんな顔されたら、私は…





「今はもっと…えりが、ほしい…」
76: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 11:43:30.75 ID:iz9/CNLf.net
今まで、海未の方からせがんできたことなんてほとんどなかった。だから知らなかった。
…反則だ。こんなの、勝てるわけがないじゃない。


「…そう。いいわ…覚悟しなさい」


だから、もういい。海未のあつさは、我慢の限界どころか、私の理性の箍まで焼き切ってしまった。


「滅茶苦茶に、してあげる」
「……っ」
77: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 11:45:34.60 ID:iz9/CNLf.net
…………………



「え、り…ぁ…っ」


吸血鬼みたいに首筋に食いついて、舌先を這わせる。首はどの生き物にとっても急所になるから、感覚が鋭敏なのだとどこかで聞いたことがある。とすれば、吸血鬼というより、捕らわれた兎と狐と言ったほうが適切かしら。


その兎さんはといえば、首筋を蠢めく感覚に襲われるたびに、私の肩を掴む手の力をきゅうっと強くする。その姿にただでさえ焼き切れていた私の理性はもっと焼け爛れて、抱いているのは私のはずなのに、早く、早くと海未を求めてしまう…


「…っ、もう、無理…やさしくなんて、できるわけない…」
「えり、あ、ぁっ…!」
「うみ…っ」


最早邪魔としか思えない寝巻きの下をかなり乱暴に剥ぎ取ったら、私の欲をさらに刺激するような、いわゆる『女の子のにおい』が立つ。
下着越しに海未の秘所へ指を伸ばせば案の定、そこはもう下着が意味を為さないくらいに濡れそぼって、彼女の嬌声もこれまでになく甘く、余裕が失せていった。


「えり…え、りっ…」
「…なに」
「…はげしくする、前に…はぁっ……」
「…」
「き……ぁっ…キス、して…ほしい…ぜん、ぶ、わからなく…なるまえ、にっ……」
「……っ」
78: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/07(日) 11:46:26.41 ID:iz9/CNLf.net
「ほんとに…私を惑わすのが上手な娘ね…っ」
「ん、んぅっ…!」


甘く蕩けた海未の望みを叶えるというよりは、自分の征服欲を満たすために、私は海未の口内を犯していった。力の抜けてしまった海未の舌はあまり動かなかったけれど、それでもほんの少しだけ、私を求めるかのような動きがある。


私の欲と海未の身体を互いに満たしながら、秘所へあてがっていた人差し指と中指で、下着越しにでもわかるほど充血し、膨らんだ割れ目をなぞる。その瞬間、塞いでいた口の隙間から悲鳴とも喘ぎ声ともつかない音が漏れて、肢体は大きく跳ねた。


「ん、んぅ…ん…っ!はあ…っ」


彼女のあつい吐息が顔にかかる。緩急をつけながら愛撫を重ねる度に、絡んだ指にきゅうっと力がこもる。
…びくびくと小刻みに震える身体は、私の指で、感じてくれているのだろうか。
89: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 19:41:50.76 ID:AwDw5A5A.net
「っ、けほっ…え、えり、まって…」


ずっと口を塞いでいたから、さすがに苦しくなってきたらしい。息を整えさせるために、指の動きは一旦止めた。
僅かに首を振りながら逃げはするけれど…たぶん力が抜けちゃってて、あまり抵抗にはなっていない。


「はっ…ふふ、なぁに?さっきまで一生懸命声おさえてたから、塞いでてあげたのに」
「…いじわる、です」
「あなたが煽ってるんじゃない」
「…」
「…やっぱりまだ、ちょっと怖いかしら」


艶やかに乱れる海未の姿を見るのはもちろん大好きだけれど、彼女は少し臆病だ。
初めて私に抱かれた時も、ずっと震えていた。今はもうそんなことはないけれど、それでもやっぱり、慣れない感覚があるという。…嫌いじゃない、とも言っていたけど。


「少しだけ…全部、真っ白になっていくような感覚が、どうしても」


果てる時のことを言っているみたい。
…確かに、それはわからなくもない。あの痺れるような感覚に呑まれると、本当に何も感じられなくなってしまう。


「そ、その…絵里にしてもらうのが嫌、というわけではないんです…ただ」
「…?」
「……そうなってしまったら、絵里のことも、分からなくなってしまうから…」
91: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 19:43:27.51 ID:AwDw5A5A.net
「…ふふ、そう。ずーっと、私を感じてたいってわけね」
「あ…」


本当に、かわいらしいことを言ってくれる。こんなことなら、もっと早く聞いておいてあげればよかったかしら。
覆い被さっていた体を海未の横に寝かせて、そのままぎゅっと抱き寄せた。


「だーいじょうぶ。分からなくても、ちゃんと海未のそばにいるわ。…分かるように、抱きしめててあげる」
「…えり」


ぽつりと呟いて、抱き返す代わりに、体を私に押し付けてくる。
たったこれだけで安心してくれるんだもの。怖がらせたまま抱くより、それをなくしてからしてあげる方がいいのは当たり前。
密着した海未の胸は、とくとくと早鐘を打っている。


「…絵里、あの……」
「ん、なに?したいの?」
「…どうしてそう、私が言いにくいことを簡単に言ってしまうんですか…っ」
「海未が恥ずかしがりすぎなの…んっ」


っていうか、間違ってないのね。
少しムッとしたような表情は無視して、私はやさしく、彼女の薄い唇と自分のそれを重ねた。
92: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 19:44:24.05 ID:AwDw5A5A.net
…………………


「えり…っ、んっ」
「…!」


啄むようなやさしいキスを繰り返していたら、突然唇に、ぬるりとした感触。その感覚に驚いて少し開いてしまった唇の隙間から、海未が私の中へ入ってきた。


「う、うみ…んっ」
「はっ…えりぃ…っ」


海未はきゅっと目を閉じて、必死で舌を動かしている。それも弄ってくるのは、いつも私が海未にしているのと同じようなところばかり。仕返しと言わんばかりに、同じことをやり返している。


…ただ、その動きは笑いそうになっちゃうくらいたどたどしかった。それが私に乱されたせいなのか、単に慣れていないからなのかはわからないけれど…今はとにかく海未の不器用さと、その必死さが愛おしい。


「んっ…ふふ」
「…余裕そう、ですね」
「あら、不満?…だって、すっごく甘いんだもの」
「…どうせ、私は下手なんです」
「もう、拗ねないの。…甘いっていうのは、ね」


ひとつは、その唇のあまさ。
お菓子みたいだとか、そういうことじゃなくて…なんだろう、好きっていう、その気持ちそのものというか。
以前海未に貸してもらった本に、「あなたの唇は自然にあまいのですか」という表現があったけれど、まさにそんな感じ。


あとは、こっち。


「…やっぱり、まだまだね」
「…!ちょ、ぁ…っ」
93: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 19:44:51.65 ID:AwDw5A5A.net
「そういうところが甘いっていうの。…ちょっと驚かせたくらいで、逆転できたと思っちゃった?ふふっ」
「ちょっ、えり…っ、い、今は、わたしが…ぁっ…!」
「やーだ♪海未だって、あれだけじゃ物足りないでしょう?」


攻めに転じようとして、隙だらけになった胸元へ手を伸ばす。そのまま少しだけ全体を緩やかに揉んだら、やっぱりまだ何か言いたげな顔の海未がいたから、もう一度その口との距離を0にした。


キス一つで立場逆転なんて、今のあなたには難しいでしょう?もしそうなりたいと思うなら…今日はしっかり、その身体で、覚えていきなさい。
94: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 19:46:18.86 ID:AwDw5A5A.net
もう、僅かな抵抗もなくなった。胸に手を添えたまま、舌で海未の口内を搔きまわして、その反応を楽しんでみる。


「っ!…やっ、あ、あぁ…っ!」


舌からの愛撫に気を取られていた身体は、胸への唐突な刺激で、こちらが驚くほど大きく跳ねる。
その後も不定期に乳首への刺激を重ねていく。強くしたり、柔らかく撫でたり。摘んだり、押し込むように捏ねてみたり…
予想できない愛撫のリズムに海未の身体はもうついて来れなくて、気付けばまるで惚けてしまったかのように、綺麗な顔は涙と唾液でよごれてしまっていた。


「えり…、もう、わたし…っ」


…どうやら、余裕がないのは私も同じだったらしい。さっき一息ついて、少しは冷静さを取り戻したつもりだったのだけれど。


だって、そう言いながら海未は身体の疼きを抑えきれないかのように膝頭を擦り合わせている。
それに気付かないでキスや胸への愛撫ばかりしてきたのは、私もまた、海未との行為に溺れきっていることの証明に他ならない。


そして、言外に『その先』を求めてくる海未の姿は途轍もなく淫靡で、これ以上に焦らす、なんてことを許さないほどの色香に充ち満ちていて…。
95: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 19:46:59.43 ID:AwDw5A5A.net
「……海未っ」


そうして愛しい恋人の名を呼ぶ私の声は、自分でも呆れるくらいに余裕がない。その勢いのまま、私は彼女が擦り合わせていた膝を割って、再びその秘所へと手を伸ばした。


「あっ…あぁ、あ…っ!」


その下着は、もうさっきまでとは比べ物にならないくらいに濡れていて、触れた瞬間、海未は背中を反らしてびくびくと身体を震わせる。
その震えのせいで、動かしていないはずの私の指が尚更擦り付けられる、好循環。


つけていてもいなくても大して変わらなくなってしまった下着は、ただただ邪魔っけだった。
この指で、直接海未に触れたくて。直接私のことを感じてほしくて。ただの障害物となったそれを、膝のあたりまで引きおろす。その瞬間、さらに広がった海未のにおいが私の脳をあまく痺れさせて、その中心はまるで別の生き物であるかのように蠢き、私の指を濡らした。
96: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 19:48:10.04 ID:AwDw5A5A.net
「やっ、あぁっ…え、りぃ…っ!」


割れ目に沿って中指と薬指を動かせば、それだけで卑猥な水音を立てる海未の秘所。なぞりながら指の先だけが僅かに沈んだり、少し上の蕾を掠めたり…時々与えられる別の刺激を感じるたびに、甘い声が溢れ出して、私の背に回した腕の力がぎゅうっと強くなった。


少し顔を上げてみれば、もう海未の表情は完全に蕩けきってしまっていた。甘く掠れた声と熱い吐息を漏らす唇。その端からは、だらしなく唾液が一筋の線を引いている。
そこにもう一度やさしく唇を重ねてから、海未の中に溜まりきった熱を解放するために、親指を彼女の蕾へと添えた。


「ひぅっ、んぁ、ぅんん…ゃあっ…!」


その瞬間に海未の腰は大きく跳ねて、唇から余裕のない嬌声が溢れた。腰の動きに合わせて入り口もひくひくと蠢めき、それらを感じるだけで、触れてもいないはずの私の方まできゅうっと疼いて…きっと、はしたないことになっているのは私も同じだ。


「も、やぁ…っ…っり、え、り…っ!」
「…大丈夫。ちゃんといるから」
「えり、わた…っ、イっ、ちゃ……ぅ、んんん………っ!!」
97: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/08/08(月) 19:48:59.34 ID:AwDw5A5A.net
とうとう、果ててしまったらしい。その瞬間、入り口がきゅうっと締まるのを感じたし、ほぼ同時に腰が大きく浮いて、身体全体がびくびくと震えたから…まず、間違いはないと思う。


海未は今、快感の余韻に溺れながら、力の抜けてしまった身体をベッドへと預けている。まだ冷めやらぬ熱い吐息をはくはくと漏らし、小刻みに身体を震わせながら…


…何というか、その姿は、まだ興奮の冷めない私の情欲を、更に刺激してしまったらしい。
イったばかりの身体に追い打ちをかけるのはかなり負担がかかるのは知っている。でも、このままじゃ私の方がおさまりがつかないのだ。
ああ、だけどそういえば、触り始めたときに「めちゃくちゃにしてあげる」なんて約束していた気もするし、別にいいかなんて自己完結したりして…


「…」
「…?えり……?」


結局私はまた、自分の熱を優先してしまうようだ。
108: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 05:04:15.07 ID:lC2S/9pT.net
ベッドに身体を横たえていた海未の肩を抱いて、後ろから抱きつくようにして起こす。そしたら、私の腕に海未のまだ熱い吐息がゆっくりとかかってきて、そのこそばゆさが、余計に私の情欲を昂めてしまった。


「ごめん…もっと、あなたが欲しい…」
「…!!え、えり、駄目…やぁっ!」
「ふふ…かわいい」
「だっ、め…です…いま…敏感、に…ぁああっ!」


手加減なんて、もうできそうになかった。…初めからそんなつもり、なかったけれど。
後ろから耳を浸すように舐め、左手で乳首を、右手は再び秘所を…。3点を同時に責められる感覚に、海未の身体はがくがくと震えていた。


きっと蕩けきっているであろう表情が見えないのは残念だけれど、だんだんそんなこともどうでも良くなってきて。海未の身体を食んで、触れて、犯している感覚がもっと欲しくて。
その衝動の赴くまま、私は右手の指を彼女の中心へ、ゆっくりと沈めていった。


「やっ……ぅあ、ああ…っ!!」


その瞬間、そこは私の指を咥え込んだままあつく脈打って、海未は再び身体中を強張らせて…腰が抜けてしまったのか、くたりと私にしなだれ掛かってきた。
109: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 05:05:03.55 ID:lC2S/9pT.net
「…ちょっとイっちゃった?指、挿れただけなのに」
「…っ、はぁ…っ、ぁ…」


返事はない。もうそんな余力もないのだろう。ただ、さっきよりも更に乱れた息遣いが聞こえるだけだ。


普段はあまり見せてくれない、か弱い姿。いつも凛として美しい彼女も、私に抱かれる時だけは、何物にも隠されない、あられもない姿を見せてくれる。
穂乃果やことりでさえ知らない、私だけが知っている海未。そんな愛しい彼女を、空いている左腕でしっかりと抱きすくめながら…私は、またゆっくりと右指を蠢かせた。


「っえ、り…!わたっ…ゃ、あぁ…っ!」
110: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 05:05:40.54 ID:lC2S/9pT.net
後ろから抱いているから、さすがに奥までは指が届かない。だから入り口に近い、少しざらついた部分を押したり、撫でたり。度重なる快感の奔流に、海未はもう湿った涙声で喘ぐことしかできないようだった。


「えり……はっ、ぁ…え、りぃ…っ」


力の抜けてしまった海未の身体だったけれど、その右腕はまだ所在無げに、震えながら揺れている。
それが私を探しているのだとようやく気付いて、その右手を極力優しく握ってみる。


「はっ…はっ……え、り…」
「…どうしたの?」
「これ…いや、です……」
「…」
「前から…きてほしいです…えりが、わからない、から…っ」


…そうだ。さっき、約束してたっけ。わかるように、抱きしめていてあげるって…


「…ふふっ」


約束もそうだし、何よりこんないじらしいこと言われたら…叶えてあげたくなるのが当たり前よね。
111: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 05:06:06.36 ID:lC2S/9pT.net
挿れていた指をゆっくりと引き抜いてから、海未を正面から抱きしめようとして…今は身体が に力が入らないことを思い出して、もう一度寝かせてから抱き寄せた。


「ごめんね。ガッつきすぎちゃった…ちょっと怖かったかしら」
「…」


こくり、と小さく頷く。
そのまま私の手をきゅっと握って、呼気は荒いまま、ひどく安心したような微笑みを浮かべた。


「ふふっ…かわいい」
「…そればっかり、ですね」
「だって本当だもの…ねえ、海未」


眦に浮かんだ涙を指先で掬って舐めとると、海未はまた目を伏せてしまった。そんな恥ずかしがり屋さんの耳元に、できる限りやさしく囁きかけてみる。


「最後はちゃんと…一緒にしましょう?」
114: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 19:02:59.96 ID:lC2S/9pT.net
…………………


「はぅ…っ、ん、はぁあ…っ!」


舌を絡めあったまま、もう一度この指をゆっくりと挿し入れる。密着した唇の狭間から漏れ出る嬌声とあつい吐息にまた興奮が昂まったけれど、今度はもっと冷静でいなくちゃいけない。


「大丈夫?痛くない?…今更だけど」
「…へい、きです…っ」


指への締めつけがさっきよりも強い気がするし、中の壁が妖しく蠢めくのも感じる。それに合わせて海未の身体もびくびくと震えて、私の身をぐっと引き寄せてきた。


「海未…」
「は、い……んっ」


離してしまった唇をもう一度近づけて、今度は触れるだけのキス。汗で頬に貼りついた黒髪を左手でよけながら、静かにただお互いを確かめあって、また小さくキスをして…
そうして絡みあったままの姿で、挿れていた指をまたお腹側に向けて押し込んだ。


「ふあっ…!ぁ、あ…っ」
「かわいい…」
115: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 19:03:33.16 ID:lC2S/9pT.net
彼女の中で指を曲げるたびに、今ひとつになっているところがみるみる熱を帯びていく気がして。また耳元へ移した唇で耳を軽く食んだら、その熱はさらに高まってきた。
そのまま縋るように、海未は私にあつい身体を寄せて、辛うじて刺激の波に耐えていた。


「海未…好きよ、海未…だいすき」
「えり…っ、ぁ…わたし、もっ……わたしも、すき……っ」
「………っ!」


その言葉に当てられて、耳なんかよりもその唇が欲しくなって。本能のままに奪った唇が立てる水音と、海未の快感の中心が立てる水音で、私たちの頭の中はぐちゃぐちゃになってしまっていた。


「ぷぁ…っ、えり…っ!も…っ、ダ、メ…っ」
「いい…いいから、海未…っ」
「あっ…えり、えりぃ……っ…あ、あぁああ……………っ!!」


海未がぐっと背を反らしたその瞬間、その身体をぎゅぅっと抱き寄せる。同時に少し痛いくらいに締めつけられた右指でその脈動を感じて、それに伴ってがくがくと震える恋人の身体を、全身で受け止めた。
116: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 19:04:36.86 ID:lC2S/9pT.net
…………………




「えり……絵里、起きてください…」
「…んぅ……?」


いつの間にか、二人して眠っていたみたい。海未の凜としたアルトで目を覚ましたけれど…あまりにも眠たい。
それもそのはず、ベッドの脇の時計を見やると、まだ朝の4時半。早起きするにしたって、いくらなんでも早すぎる時間じゃないかしら。


そのまま視線を下に下ろすと、胸元には私に抱きしめられた海未が少し怒ったような、困ったような表情を浮かべている。ただ、抱かれていて首があまり動かせないせいで、上目遣いになっているから怖くもなんともないし、ただただかわいいだけだった。


「ん、おはよ……おやすみ」
「ちょ、絵里…!もう…っ」


胸元でもぞもぞと動く海未は、何かに焦っているご様子。どうしたのかしら。いつもならこうして抱かれていても、用事があれば這い出していくのだけれど。


「今日は朝稽古があるんです…遅れるわけにはいきませんから、少しだけ起きてください…」
「…ごめん、無理…一人で抜けられない…?」
「そ、そうしたいのは山々ですけど…その…」


そこでなぜか顔を赤らめて、口ごもってしまう。何がなんだか、全然わからなかったけれど…あっ。
117: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 19:05:39.51 ID:lC2S/9pT.net
「…もしかして、海未…まだ力抜けちゃってるの?」
「…っ、え、絵里のせいでしょう…!その…あ、あんなに激しく、するから…っ」
「あら?なによ、それじゃあ私だけが悪いみたいじゃない…『今は、えりが欲しい…』なんて誘っ」
「な、なんで覚えてるんですか!言わないでください、そんな破廉恥な…っ!!」
「くすっ…あなたが言ったんじゃない。まあいいわ、おいで?」
「もう…っ」


真っ赤な顔で、それでも素直に私に抱きついてくる海未。その脇の下に私も腕を通して、海未が起き上がるのを支えてあげた。


…今は若いからいいけれど、これから何十年か先も、こんな風にしているのかしら。
でも、やっぱり違うわね。おばあちゃんになってしまったら、逆に私が海未にお世話されてそう。そうならないように、今のうちから気をつけておこうかしら、色々。
118: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 19:06:15.58 ID:lC2S/9pT.net
「…絵里?」
「んー…?」


抱き上げて、そのままベッドに座り込んだ私たち。カーテンの隙間から漏れる光はまだ弱々しいけれど、きっとこれから暖かい陽射しが顔を出すはずだ。


その細い光に僅かに照らされながら、私は海未に抱きついたままでいた。


あったかくて、やわらかくて、かわいくて。
大好きな恋人の感覚を全身で感じながら味わう、ぼんやりとした眠気はとても心地よい。


でも一応、海未が出掛けなければいけないのはわかっているから、そろそろ離してあげなきゃいけないわね。


「おはよう、海未」
「…んっ」
119: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 19:06:49.31 ID:lC2S/9pT.net
ほっぺたに一つだけキスを落として、そのまま彼女の髪に鼻をうずめる。

ゆっくりと、からだいっぱいに吸い込んだのは、やっぱり私の大好きな『海未のにおい』。



おわれ
120: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 19:07:17.63 ID:lC2S/9pT.net
やっと終わり

地の文難しすぎ。もう2度とやらねえ。
121: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/08/10(水) 19:09:47.10 ID:lC2S/9pT.net
おまけ
 
 
 
 
 
海未ママ「…では、本日はこれまでとします」
 
海未「…はい」スッ
 
海未ママ「今日は何時になく、動きが固かったですね。…どこか、痛むのですか?」
 
海未「い、いえ!決して、そのようなことは…」
 
海未ママ「…そうですか。誰しも不調の日はあります。ですが体調の管理も、人前に立つ者としての責務。その点、ゆめゆめ忘れぬようになさい」
 
海未「…はい、申し訳ありません…ありがとうございました」ペコリ
 
海未ママ「…あら」
 
海未「…?」
 
胸元キス痕「」ウッス
 
海未ママ「…海未さん……あなたもやっぱり、年頃の女の子なのですねぇ…♪」ニヤニヤ
 
海未「!?///」バッ
 
 
 
今度こそおわり
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『【ss】絵里「海未のにおい」』へのコメント

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